農業研究本部

マグネシウム(苦土)欠乏

多量要素の欠乏症


症状の特徴

1.生育初期のマグネシウム欠乏は、初期段階で下位葉の葉脈間に葉先より黄化症状が現れる(写真22)。この症状は葉脈付近の緑色と葉脈間の黄化が鮮明であるが(写真23)、やがて黄化が拡大し葉脈だけ緑を残して、葉全面が黄化する。

2.この症状はやがて中位葉へと進行し(写真24)、果実の肥大に伴い黄白化は激しくなる。しかし、最下部の葉は全面が黄化せず、葉脈付近に緑色を残し、葉脈間の黄化部分はやがて紫紅色を帯びる(写真25)。

3.マグネシウムは葉緑素の構成成分であるため、欠乏すると葉緑素の生成が抑制され、葉に黄化症状や壊死斑が生じる。また、マグネシウムは移行し易い要素であることから、古い葉から生長の盛んな部位に移行し、症状は古い葉から生じる。また、果実の肥大・成熟に伴い、果実周辺の葉からマグネシウムが果実へ移行するため、果実周辺の葉にも症状が現れる。

発生しやすい条件

1.カリウム、カルシウムなどの塩基類が過剰に蓄積しているハウスでは、土壌中にマグネシウムが十分あっても、これら塩基のアンバランスによりマグネシウム吸収が阻害され、マグネシウム欠乏の発生が見られる。

マグネシウム(苦土)欠乏の症状

発症初期(葉脈間の黄化)

葉脈間の黄化の鮮明化

写真22

発症の初期には下位葉の葉脈間に葉先より黄化症状が現れる。
(6葉期 −Mg3週目)

写真23

この症状は葉脈付近の緑色と葉脈間の黄化が鮮明となる。
(4葉期 −Mg4週目)

葉脈以外の全葉の黄化

写真24

黄化が拡大し葉脈だけ緑を残して、全葉が黄化する。やがて中位葉へと進行し、果実の肥大に伴い黄白化が進行する。
(4葉期 −Mg5週目)

最下部葉は緑色

写真25

最下部の葉は全面が黄化せず、葉脈付近が緑色を残し、葉脈間の黄化部分はやがて紫紅色を帯びる。
(6葉期 −Mg6週目)


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