農業研究本部

鉄欠乏

微量要素の欠乏症


症状の特徴

1.上位葉の葉柄に近い部分から黄化症状が現れ、特に生長点とそれに近い新葉では黄白化が著しく現れる(写真26)。

2.中下位葉もやがて淡緑化が進行し(写真27)、葉脈間には葉脈の緑を鮮明に残した網目状の黄化症状が現れる(写真28、29)。

3.鉄は体内移行性が低いため、その欠乏症状は上位葉に黄白化症状として現れるのが一般的である。また、鉄欠乏の場合と同じく、新葉に類似症状の発現するカルシウム欠乏およびホウ素欠乏では生育抑制が著しいが、鉄欠乏は生育抑制が見られない。また、鉄欠乏症状は他の重金属元素の過剰によって誘発されることが多い。

発生しやすい条件

1.土壌pHが高い圃場やリン酸肥料を過剰施用した場合に発生し易い。

2.マンガン、銅、亜鉛などの重金属の過剰により、鉄欠乏が誘発される。

鉄欠乏の症状

上位葉の黄白色症状

中下位葉の淡緑化

写真26

上位葉の葉柄に近い部分から黄白化症状が現れ、特に成長点とそれに近い新葉では黄白化が著しくなる。
(6葉期 −Fe6週目)

写真27

中下位葉もやがて徐々に淡緑化が進行する。
(6葉期 −Fe6週目)

網目状の黄化症状

写真28

葉脈間には葉脈の緑を鮮明に残した網目状の黄化症状が現れる。
(4葉期 −Fe6週目)

網目状の黄化症状

写真29

現地加工用トマトで発生した鉄欠乏の症状。葉脈間に網目状の黄化症状が発生した。

鉄欠乏による異常果

写真30

鉄欠乏で発生した異常果


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