農業研究本部

尻腐れ果

異常果


症状の特徴

1.尻腐れ果の発生は、ピンポン玉大から鶏卵大の幼果に発生するものが散見され、これは発生の初期段階に花痕部に褐色の小斑ができることが多い。

2.症状が進むと果実内部は油浸状から暗褐色に変わり、陥没してそのまま固まるのが一般的症状である。

3.症状の程度が軽ければそのまま大きくなり成熟するが、重症のものは果実の半分以上がこの症状となり、大きくならず着色も劣る場合が多い。

発生しやすい条件

1.尻腐れ果の直接の原因は一般的に果実のカルシウム欠乏であることが明らかとなっており、カルシウム欠乏条件下で発生が多く見られる(写真75〜76)。

2.カルシウムは根の機能低下や干ばつに伴う土壌乾燥条件下で吸収が抑制される。また、土壌中に窒素やカリウムが過剰に存在する場合や土壌中にケイ素が不足し、窒素が過剰に吸収された場合にもカルシウムの吸収が抑制され、尻腐れ果が発生することがある(写真77〜80)。

3.カルシウムは体内移行性が低く再移動し難いために、生長の盛んな時期や果実肥大期に尻腐れ果が発生しやすい。

尻腐れ果の症状

カルシウム欠乏による尻腐れ果

カルシウム欠乏による尻腐れ果(切断面)

写真75

カルシウム欠乏による尻腐れ果

写真76

カルシウム欠乏による尻腐れ果(切断面)

窒素過剰による尻腐れ果

カリウム過剰による尻腐れ果

写真77

窒素過剰による尻腐れ果

写真78

カリウム過剰による尻腐れ果

ケイ素欠乏による発育途中の尻腐れ果

ケイ素欠乏による尻腐れ果

写真79

果実の発育途中で現れたケイ素欠乏による尻腐れ果

写真80

ケイ素欠乏による尻腐れ果


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