農業研究本部

窒素欠乏

多量要素の欠乏症




症状の特徴

1.生育初期の窒素欠乏は初期段階から子葉全体に黄化症状が現れる。やがてこの症状は下位葉(古い葉)にも発生し、葉縁の緑を淡く残して葉全体が黄化する(写真1)。

2.この症状は、順次上位葉へと進行する(写真2)。このとき葉脈にはアントシアン色素が出現し、暗紫色を呈する。また、上位葉の生長は抑制され、小葉化し。生育は著しく抑制される。

3.着果期以降の窒素欠乏は、下位葉から順次上位葉へと葉の全面に黄化症状が発生する(写真3)。下位葉にはやがて、暗紫色の斑点が生じる(写真4)。

4.窒素は体内で移行し易いことから、欠乏すると古い葉から生長の盛んな新しい葉へと窒素が移行し、古い葉に黄化症状が生じる。

発生しやすい条件

1.育苗ポット内の窒素分にはかぎりがあるため、長期間無追肥で育苗した場合に発生が見られる。

2.収穫期頃に、一種の老化現象と思われる窒素欠乏が発生することがある。かん水を打ち切った後に顕在化する傾向にある。

3.通常の肥培管理下ではほとんど発生しないが、未熟な稲わらなどを多量に施用した場合、土壌中の微生物が急激に増殖し、作物と微生物の間に窒素の奪い合いが起こり、作物に窒素欠乏(窒素飢餓)が発生する。

窒素欠乏の症状

下位葉全面の黄化症状

葉脈間にアントシアニン色素出現

写真1

下位葉全面に黄化症状が現れる
(弟6本葉展開期以降に窒素欠如後、2週目、以後、「6葉期 −N2週目」と略記)

写真2

黄化症状は順次上位葉へと広がり、葉脈間には、アントシアニン色素が出現し、暗紫色を呈する。また、上位葉の成長は抑制され、小葉化する。
(6葉期 −N6週目)

着果期以降の窒素欠乏症(葉全面の黄化症状)

下位葉の暗紫色斑点

写真3

着果期以降の窒素欠乏症状。下位葉から順次上位葉へと葉全面に黄化症状が現れる
(着果期 −N4週目)

写真4

下位葉では症状が進むと、暗紫色の斑点を生じる。
(着果期 −N6週目)




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