【普及奨励事項】
ニンジンの除草剤(リニユロン)処理
北海道農業試験場作物園芸第2研究室

1. 試験経過
 昭和38年度は予備試験を行って実用的濃度範囲を調査した。昭和39年度は播種直後処理、予葉展開期処理、本葉1~2葉期処理、それぞれ10a当り成分量50、75、100gを用いた。試験は1区面積1.67m23区制で行い、他に参考的な試験を行った。

2. 薬害
処理期/
処理区
播種直後 予葉期 本葉期
50 な   し 薬斑を生ず ほとんどなし
75 な   し 枯葉、枯死個体あり 葉先が萎れる
100 生育抑制 枯  葉、枯  死 葉萎れ、薬斑生ず


3. 除草効果と生育収量
処理期 播種直後(5月27日) 予葉期(6月11日) 本葉期(6月23日)
調査項目 雑草調査 苗重調査 収量 雑草調査 苗重調査 収量 雑草調査 苗重調査 収量
調査期日 7月21日 7月28日 8月27日 7月21日 7月28日 8月27日 7月21日 7月28日 8月27日
  雑草量
(g/m2)
除草効果
(%)
苗重
(g)
1個重
(g)
雑草量
(g/m2)
除草効果
(%)
苗重
(g)
1個重
(g)
雑草量
(g/m2)
除草効果
(%)
苗重
(g)
1個重
(g)
50 732 36 109 282 12 94 119 18 100
75 423 24 24.2 122 499 20 22.6 101 75 16 18.9 100
100 135 7 26.8 103 29 4 20.9 73 34 10 21.8 89
Propazine 150 28 2 23.8 85 59 2 22.7 94 75 37 19.3 101
cl-IPC 92 373 23 24.0 99 830 36 25.3 71 681 34 19.3 101
放   任 1.859 100 12.2 65 2.268 100 18.9 63 2.042 100 15.7 78
手   取 25.1 106 29.4 91 21.2 116
L.S.D.0.5 5.5 8.1 8.0
  注) 主要雑草はハコベ、スズメノカタビラ、ヤチイヌガラシ、スベリヒユ、タニソバ等である。

4. 考察
 (1) 薬害
  10a当り成分量100gでは薬害が強く使用できない。75g以下でも薬害が見られるが生育、収量には影響が認められない。然し子葉期は薬害が出やすいので処理をさけるべきであろう。
 (2) 除草効果
  10a当り成分量50g、75gで相当の効果が認められ、持続効果も比較的あるように観察される。幼苗期の雑草に対する接触効果も高い。雑草発生期以後はリニユロンの効果が大きいと推察される。有効草種は非常に広く、メヒシバ、ヒエ等のスズメノカタビラ以外の禾本科、スベリヒユ、アカザ、ナズナ、ハコベ、ヤチイヌガラシ等に対する効果が大である。

5. 使用方法および注意
 (1) 使用濃度
  10a当り成分量 50~75g
 (2) 処理時期
  播種直後又は本葉第2葉展開期頃。
  発芽期、予葉期、本葉第1葉期はさける。本葉第2葉期以後は雑草の生育が進んで効果が劣ってくるので除草後処理が望ましい。