【普及奨励事項】

薬剤の苗代散布によるイネヒメハモグリバエ防除について 北海道農業試験場 北海道立中央農業試験場

Ⅰ　普及上の要点
　1.イネヒメハモグリバエ防除の一方法として、デイルドリン、アルドリン、又はヘプタクロル乳剤の200～300倍液を移植の前日に苗代で3.3m2当り500cc散布する。

　2.この有効期間は焼く2週間であるから発生の多い場合は、移植2週間目以後、他の防除方法を行うこと。

Ⅱ　試験調査成績
　試験場所　岩内郡共和村発足

1.1962年の試験
　1)耕種概要
　播種　4月20日、　移植　5月21日
　品種｢ささほなみ｣裁植密度30×15㎝2本植

　2)薬剤散布量
　800cc/3.3m2

　3)薬剤散布月日
　a　移植5日前･････5月16日
　b　移植前日･････5月20日

　4)区制、面積
　移植5日前散布の場合は1区約10m2　4列6区
　移植前日散布の場合は1区約8m2　3列9区
　3連制、乱塊法

　5)調査方法
　調査株数は各区中央部40株、但し在生幼虫被害葉数は20株
　被害葉とは幼虫の食痕が長さ1㎝以上のものを指す。
　数値は3区平均値を示す。

　6)結果

　　a　移植5日前散布

薬　　剤　　区　　別	葉数	産卵葉数	産卵葉率(%)	被害葉数	被害葉率(%)	在生幼虫被害葉数	在生幼虫被害葉率(%)
アルドリン乳剤　24%　100倍液	247	26	10.7	50	20.9	5.7	4.8
〃　　　　　　　　　200　〃	286	30	10.5	37	13.2	4.7	3.3
〃　　　　　　　　　300　〃	298	36	12.2	28	9.6	4.0	2.7
〃　　　　　　　　　400　〃	279	37	13.2	30	11.3	10.3	7.9
デイルドリン乳剤15.7%300　〃	313	41	13.5	31	9.8	2.0	1.4
無　　　　　散　　　　　布	343	23	6.8	60	17.7	18.3	10.7

　　註　調査月日　6月8日(移植後18日目)

　　b　移植前日散布

薬　　剤　　区　　別	葉数	産卵葉数	産卵葉率(%)	被害葉数	被害葉率(%)	在生幼虫被害葉数	在生幼虫被害葉率(%)
アルドリン乳剤　24%　100倍液	256	26	9.8	55	22.1	9.0	7.2
〃　　　　　　　　　200　〃	320	30	9.3	34	11.3	3.3	2.1
〃　　　　　　　　　300　〃	345	28	8.0	31	9.2	7.0	4.1
〃　　　　　　　　　400　〃	294	30	10.2	57	19.3	10.0	6.8
デイルドリン乳剤15.7%300　〃	331	35	10.5	37	11.1	6.7	4.0
ヘプタクロル乳剤　20%100　〃	276	25	9.3	71	26.6	13.7	11.2
〃　　　　　　　　　 200　〃	276	26	9.4	38	13.8	6.3	4.5
〃　　　　　　　　　 300　〃	321	23	7.2	68	20.6	9.3	6.2
無　　　　　処　　　　　理	285	24	6.8	80	36.0	23.3	16.1

　　註　調査月日　6月8日(移植後18日目)

薬　　剤　　区　　別	葉数	被害葉数	被害葉率(%)
アルドリン乳剤　24%　100倍液	688	130	19.8
〃　　　　　　　　　200　〃	768	102	13.8
〃　　　　　　　　　300　〃	820	135	16.3
〃　　　　　　　　　400　〃	722	135	18.6
デイルドリン乳剤15.7%300　〃	742	140	19.0
ヘプタクロル乳剤　20%100　〃	685	154	22.6
〃　　　　　　　　　 200　〃	647	124	19.3
〃　　　　　　　　　 300　〃	728	166	22.8
無　　　　　処　　　　　理	605	136	22.3

　　註　調査月日　6月21日(移植後31日目)

2.1963年の試験
　1)耕種概要
　播種　4月20日、移植　5月22日
　品種　｢南栄｣裁植密度　30×15㎝　2本植

　2)薬剤散布量
　500cc/3.3m2

　3)薬剤散布月日
　移植前日･････5月21日

　4)区制、面積
　1区焼く8m2　13区3連制、乱塊法

　5)調査方法
　調査株数は各区中央部30株
　被害葉とは幼虫の食痕が長さ1㎝以上のものを指す。
　数値は3区平均値を示す。

　6)結果

薬　　剤　　区　　別	産卵葉率(%)	被害葉率(%)
	5月29日	6月5日	6月12日
アルドリン乳剤　24%　100倍液	3.9	0.4	1.9
〃　　　　　　　　　200　〃	1.2	0.2	0
〃　　　　　　　　　300　〃	3.5	0.4	1.3
〃　　　　　　　　　400　〃	1.1	0.4	0
ヘプタクロル乳剤　20%100　〃	3.4	0.9	1.1
〃　　　　　　　　　 200　〃	2.5	0.4	0.9
〃　　　　　　　　　 300　〃	1.7	0.2	0.7
〃　　　　　　　　　 400　〃	2.8	0	1.6
デイルドリン乳剤15.7%100　〃	1.3	0.2	0.3
〃　　　　　　　　　 200　〃	5.2	0.2	0.8
〃　　　　　　　　　 300　〃	1.3	0.2	0
〃　　　　　　　　　 400　〃	1.3	0	0
無　　　　　処　　　　　理	1.5	0.4	0.2

3.1964年の試験
　1)耕種概要
　播種　4月20日、移植　5月20日
　品種　「南栄」　裁植密度　30×15㎝　2本植

　2)薬剤散布量
　500cc/3.3m2

　3)薬剤散布月日
　移植前日・・・・・5月19日

　4)区制、面積
　1区焼く8m2　13区3連制、乱塊法

　5)調査方法
　調査株数は各区中央部より30株
　被害葉とは幼虫の食痕が長さ1㎝以上のものを指す。
　数値は3区平均値を示す。

　6)結果

薬　　剤　　区　　別	移植1週間後		移植2週間後			移植3週間後
	葉数	産卵葉率(%)	葉数	産卵葉率(%)	被害葉率(%)	葉数	産卵葉率(%)	被害葉率(%)
アルドリン乳剤　24%　100倍液	137	37.3	155	28.4	0.9	184	2.0	6.9
〃　　　　　　　　　200　〃	112	27.8	149	23.2	1.5	181	3.5	7.1
〃　　　　　　　　　300　〃	109	35.8	128	28.4	0.5	169	2.0	12.2
〃　　　　　　　　　400　〃	120	38.1	147	23.8	0.7	175	1.5	7.7
ヘプタクロル乳剤　20%100　〃	118	36.3	141	22.5	1.0	170	3.3	8.2
〃　　　　　　　　　 200　〃	128	34.1	150	24.5	0.5	177	1.3	8.5
〃　　　　　　　　　 300　〃	127	35.2	157	26.4	1.9	180	2.0	12.1
〃　　　　　　　　　 400　〃	131	32.8	168	16.7	1.3	184	0.4	13.3
デイルドリン乳剤15.7%100　〃	110	43.5	132	29.2	1.3	160	2.1	11.5
〃　　　　　　　　　 200　〃	117	27.1	171	24.8	0	204	2.5	6.9
〃　　　　　　　　　 300　〃	122	35.1	146	24.6	0.2	158	2.3	12.6
〃　　　　　　　　　 400　〃	126	32.0	162	21.8	0.2	183	3.3	8.3
無　　　　　処　　　　　理	135	41.4	145	15.5	3.9	181	1.7	17.1