【普及参考事項】
移植作業省力化のための栽植様式に関する試験
北海道立中央農業試験場 稲作部

 近年水稲の移植作業は労力不足及び賃金の高騰により、省力化が叫ばれているが、その一環として栽植株数を減じた場合の、稲の生理と収量に及ぼす影響を知るため試験を行った。
 試験は昭和38、39の両年行った。試験日は沖積の植壌土水田で、昭和38年は標準肥、昭和39年は標準肥の他多肥、造田4年目の高位収穫田について行った。栽培法は冷床苗栽培法で供試品種はササホナミ、ユーカラで、栽植密度は栽植株数1m2当り12、15、18(標準)21株とし株数は畦巾30㎝とし株間で調整した。株当り植え本数、2本(標準)4本、6本とした。
 試験の結果を要約すると次の通りである。
 普通一般栽培として、実施可能な栽植密度の範囲では単位面積当りの挿植される本数により、収量性の動きが見られ、従ってm2当18株2本植に比べて15株4本植が収量性が高い傾向が見られる。このことはm2当り12株2本植程度の極端な疎植では、穂数不足に伴い粒数確保が困難であるが、12株4本植えではすでに必要とする着粒数に達し、それ以上は単に密植のみでは粒数増加が見られない。しかし12株4本植、15本2本植程度では粒数の確保も高次高位の分けつ茎に依存するところから、稔実歩合の低下、屑米の増加が考えられ減収するものと考えられる。従って疎植による収量安定の範囲はササホナミの場合m2当り株数で15株以上を必要とし、植本数はm2当り40本以上を必要とするものと考えられる。しかしユーカラの如き粒数確保が比較的困難な品種は、普通肥条件では密植程粒数増加が見られるところから施肥量を増し栽培することが望ましい。
 以上本道の栽植株数はm2当り18株(60株1坪当り)乃至21株(70株1坪当り)が普通で、19飼株~20株位が多いと考えられるがこれらをm2当り15株(坪当り約50株)4本植位にすることにより、一応普通栽植密度程度の収量性を保つことから移植労力では30%程度の省力となる。しかし苗の所要量は多く必要とする苗床面積を拡げる昼用が生ずるが、これらは播種様式(条播方法等)等の採用が望ましいと思考される。