【普及参考事項】
亜麻、赤クロバーおよびチモシー作混播に関する試験
北海道農業試験場作物部亜麻研究室
北海道立十勝農業試験場

A 亜麻研究室成績
Ⅰ試験目的
 亜麻と赤クロバーの混播は古くから行われているが、これにチモシーを加えた3作物の混播を行い亜麻収穫後の草地としての利用価値を高めようとする場合が多くなってきた。3作物の同時混播は亜麻の生育、収量に悪影響があり、またチモシー出穂が亜麻の収穫作業を妨げることが多い。チモシーとの競合を軽減するためにチモシーの播種期移動の可否について検討した。

Ⅱ試験成績
 1.昭和34年度成績
 チモシー同時混播の亜麻茎収量は2Rに10%の減収を示した。47日後播は亜麻に対し影響はないが、チモシーの発芽が悪く1年目の生草重はほとんどなかった。すなわち高後播として47日後は遅きに失した。

 2.昭和35年度開始成績
 チモシー同時混播の亜麻茎収量は11~14%の減収があるのに対し、22日後播は亜麻収量に影響はなかった。亜麻収穫労力は同時混播区が亜麻単作の1.5~3倍を要し、22日後播区は2R程度であった。
 後播したチモシーの当年の発芽は、同時混播の20%生草重は5%に過ぎなかった。チモシーが動じ混播程度に回復するには3年を要した。
 チモシー後播区の赤クロバー生草重は2年目に同時混播より多収となり、全草に対する比率も大きい。しかし3年目には同時混播と大差なかった。

 3.昭和36年度開始成績
 チモシー同時混播区の亜麻茎収量は11~25%の減収を示した。チモシーを5日後播した場合は9%で同時混播程度の減収であるが、10日がは3%で収量に対する影響は少なくなった。また亜麻収穫労力は35年と同じく同時混播が亜麻単作と2倍以上の労力を費やすのに対し後播区は5日後で約1.2倍、10日後は逆に少なくなった。
 後播したチモシーの発芽は5日後で同時混播の77%、10日後で46%を示し、2年目で両後播とも生草重は回復し同時混播と差はなくなった。
 チモシー後播区の赤クロバー生草重は2年目で同時混播区と差はなくなり、また全草に対する割合も少なかった。
 全草重は2年目は2Rが最も多いが、3年目はチモシー生育が旺盛になりチモシー混播区の生草重が多く、後播による影響はなかった。

 1)亜麻及び牧草本数調査
試験区別 亜             麻 赤クロバー チモシー
草丈
(㎝)
茎収量
(㎏)
百分比
(%)
子実収量
(㎏)
百分比
(%)
収穫時間
(時分)
本数
(本)
百分比
(%)
本数
(本)
百分比
(%)
2R 78.0 381.3 100 64.1 100 34.24 155.8 100 - -
2R1T 76.1 291.0 75 44.5 68 85.07 81.0 52 655.8 46
1R2T 74.8 343.1 89 52.4 80 72.01 49.0 32 1,421.3 100
1R5日後2T 77.8 351.4 91 54.4 83 40.54 43.5 28 1,097.8 77
1R10日後2T 77.7 374.3 97 62.2 95 26.53 41.0 33 657.5 46


 2)生草重量調査
試験区別 1    年    目 2    年    目
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
2R 87 100 - - 87 100 100 4m109 100 - - 4,109 100 100
2R1T 26 30 615 79 641 737 4 1,779 43 1,511 113 3,290 80 54
1R2T 24 28 817 100 842 967 3 1,451 35 1,339 100 2,790 68 52
1R5日後2T 26 29 488 60 514 591 5 1,524 37 1,256 94 2,780 68 55
1R10日後2T 21 24 232 28 253 291 8 1,609 38 1,534 115 3,143 77 51


試験区別 3    年    目 合        計
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
2R 1,797 100 - - 1,797 100 100 5,993 100 - - 5,993 100 100
2R1T 777 43 2,254 112 3,031 169 26 2,582 43 4,380 105 6,962 116 37
1R2T 793 44 2,013 100 2,806 156 28 2,268 38 4,169 100 6,437 107 35
1R5日後2T 944 53 2,068 103 3,012 168 31 2,494 42 3,812 91 6,306 105 40
1R10日後2T 788 44 1,980 98 2,768 154 28 2,418 40 3,746 90 6,164 103 39
  (注) F:亜麻単播、R:赤クロバー、T:チモシー、1:播種量450g、2:播種量900g


 4.昭和37年度開始成績
 前2ヶ年と同様、同時混播区の亜麻茎収量は5~8%劣り、後播区は亜麻単作と等しかった。
 チモシー後播区の当年の発芽は10日後が38%、20日後が9%で播種期が遅くなると発芽率が低下した。2年目のチモシー生草重は10日後播が同時混播と同程度になるのに対し、20日後は42%で著しく劣った。しかしいずれの後播区も3年目で同時混播区より生草重は増加した。(ただしこの間に有意差はない)
 チモシー後播区の赤クロバー生草重は2年目に至ると同時混播に優るが、3年目に大きな差はなくなった。また前草に対する赤クロバーの割合は2年目より低下しクロバーの生育は2年目以降衰えることを示した。


 1)亜麻及び牧草本数調査
試験区別 亜         麻 赤クロバー チモシー
草丈
(㎝)
茎収量
(㎏)
百分比
(%)
子実収量
(㎏)
百分比
(%)
本数
(本)
百分比
(%)
本数
(本)
百分比
(%)
2R 87.2 634.7 100 77.9 100 103.8 100 - -
2R1T 85.9 605.6 95 69.1 89 114.8 110 294.8 51
1R2T 85.8 583.3 92 60.8 78 77.3 74 403.0 100
1R10日後2T 85.9 636.1 100 67.2 86 69.3 67 153.5 38
1R20日後2T 86.3 629.9 99 70.3 90 70.8 68 36.3 9


  2)生草重量調査
試験区別 1     年     目 2     年     目
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
2R 1,379 100 - - 1,379 100 100 4,338 100 - - 4,338 100 100
2R1T 824 60 896 75 1,720 125 48 2,208 51 2,643 105 4,851 112 46
1R2T 474 34 1,190 100 1,664 121 28 1,666 38 2,523 100 4,189 97 40
1R10日後2T 848 61 475 40 1,323 96 64 2,784 64 2,381 94 5,165 119 54
1R20日後2T 1,211 88 150 13 1,361 99 89 3,599 83 1,068 42 4,667 108 77

試験区別 3     年     目 合        計
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
2R 2,828 100 - - 2,828 100 100 8,545 100 - - 8,845 100 100
2R1T 697 25 2,640 112 3,337 118 21 3,729 44 6179 102 9,908 116 83
1R2T 816 29 2,348 100 3,164 112 26 2,956 35 6,061 100 9,017 106 33
1R10日後2T 508 18 2,990 127 3,498 124 15 4,140 48 5,846 96 9,986 117 41
1R20日後2T 908 32 2,835 121 3,743 132 24 5,718 67 4,053 67 9,771 114 59


 5.昭和38年度開始成績
 後播したチモシーの発芽は旱魃により極端に悪く同時混播の2%であり、2年目でも10日後、20日後、それぞれ25、15%を示し、後播によりチモシー発芽生育は著しく悪くなった。この年の亜麻収量はチモシー混播の影響を全く受けなかった。
 チモシー後播区のチモシーは年目の生草重が著しく少なかったが、補償的に赤クロバーが繁茂し全草重量は同時混播と大差がなかった。


 1)亜麻及び牧草本数調査
試験区別 亜         麻 赤クロバー チモシー
草丈
(㎝)
茎収量
(㎏)
百分比
(%)
子実収量
(㎏)
百分比
(%)
本数
(本)
百分比
(%)
本数
(本)
百分比
(%)
2R 81.4 350 100 48.0 100 147 100 - -
2R1T 81.7 370 106 45.9 96 116 80 242 59
1R2T 82.8 358 102 48.0 100 90 61 411 100
1R10日後2T 81.1 370 106 49.5 103 80 54 7 2
1R20日後2T 81.4 384 110 49.3 103 104 71 9 2


 2)生草重量調査
試験区別 1     年     目 2     年     目
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
2R 1,179 100 5 - 1,179 100 100 6,192 100 - - 6,192 100 100
2R1T 760 64 666 80 1,426 121 53 2,381 38 3,573 114 5,956 96 40
1R2T 715 61 830 100 1,545 131 46 2,093 34 3,139 100 5,232 84 40
1R10日後2T 796 68 9 1 805 68 99 4,969 80 771 25 5,740 93 87
1R20日後2T 911 77 6 1 918 78 99 5,391 87 473 15 5,864 95 92

試験区別 合計
赤クロバー チモシー 全草 赤クロバー
/
全草
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
10a当
(㎏)
百分比
(%)
2R 7,371 100 - - 7,371 100 100
2R1T 3,141 43 4,241 107 7,352 100 43
1R2T 2,808 38 3,969 100 6,777 92 41
1R10日後2T 5,765 78 780 20 6,545 89 88
1R20日後2T 6,302 85 479 11 6,781 92 99


Ⅲ試験結果の総括
 1.亜麻、赤クロバーにチモシーを同時混播すると、亜麻の収量は昭和38年を除き5~25%減収した。また同時混播のチモシーは出穂し収穫労力を著しく多くした。
 2.チモシーを10日後播することにより亜麻の減収と収穫労力の増大はさけうる。
 3.チモシーの後播は亜麻播種後5日、10日、20日、22日、47日の後播を試験したがいずれも初年目の立毛は減少し、後播するほど立毛減が著しい。この回復の程度は生草重で5日後及び10日後は2年目に同時混播と差がなくなり、20日後、22日後は3年を要した。
 4.赤クロバーの生草重は2Rが最も優るが、チモシーを後播する程赤クロバーの割合はチモシーの10日後播が2年目で、20日以上の後播は3年目で同時混播と等しくなった。
 5.チモシー+赤クロバーの3年合計生草重はチモシー10日後播と同時混播に大差はなかった。

Ⅳ指導上の注意
 1.亜麻、赤クロバーにチモシーを同時混播するのは亜麻収量、収穫労力(収穫機の場合はチモシーは亜麻と一緒に抜き取られる)上好ましくない。
 2.チモシーを加える場合は10日以上の後播を要するが一般にチモシーの発芽は後播するほど不良になり、また降雨により著しく発芽が左右される。チモシーの播種は適度の降雨があり土壌が湿潤になった後、また播種後に降雨の期待される日を選んで行うのが望ましい。

B十勝農業試験場成績
Ⅰ試験方法の概要
 1.試験区別
  1)亜麻赤クロバー900g同時混播   F2Rと略
  2)亜麻赤クロバー900gチモシー450g同時混播 F2RTと略
  3)亜麻赤クロバー900g同時+亜麻番種10日後チモシー900g F2R+10日後2T
  4)亜麻赤クロバー900g同時+20日後チモシー900g F2R+20日後2T
  注 亜麻の播種量は180万粒

 2.供試品種 亜麻:ウイーラ 赤クロバー、チモシー:芽室農協市販品

 3.耕種概要
年次
(昭和)
試験
区の
配置

1区
面積
(m2)
播種期
(月日)
収穫期
(月日)
除   草   剤   散   布
時期 薬     剤 後播チモシーの状態
36 3 9.0 4.24 7.31 6.1 MCP40+DNOC180
降雨のためDNOC180再散布
10日後播種
チモシー発芽揃後
37 4 8.0 5.1 7.24 6.2 MCP40+DNOC160 発芽揃後
38 4 6.0 4.27 8.2 6.1 発芽期
  注 1)亜麻に対する施肥量は標準施肥量(3.5-7-4)
     2)昭和37年度は倒伏のため未熟茎のまま収穫


 4.昭和36~38年 試験経過の概要
年次
(昭和)
亜      麻 混  播  チ  モ  シ  ー
36 発芽及び初期生育とも良好。
6月中旬の旱魃のため草竹伸長は
不良であった。
亜麻同時混播及び10日後播種チモシーは発芽良好、20日後播
種チモシーは土壌乾燥著しかったため発芽悪く、6月下旬の降
雨で僅かに発芽したのみ。
混播チモシーも旱魃のため一部枯死し、生育は一時不良であった
が7月に入って伸長した。
37 発芽は良好、初期生育も極めて良好。
7月に入って土壌乾燥したが、亜
麻の生育が進んでいたため影響は比
較的少なかった。
同時及び10日後播種チモシーは発芽良好、20日後播種チモシー
は土壌乾燥しやや不整。
チモシーの生育は7月の旱魃のため亜麻の生育に比し相対的
に劣り、同時混播でもチモシーの出穂はなく、20日後播種チモ
シーは生育が停止し葉先が一時枯死。
38 播種後乾燥したため発芽やや不良。
5月下旬の強風乾燥のため初期生育
はやや不良であったが、後半は順調
な生育であった。
後半チモシーは、10日後、20日後とも強風による土壌乾燥の
ため発芽が遅れ、6月上旬の降雨によりようやく発芽をみたた
め発芽期は両者間に差がなかった。飛散してきた土壌が薄く種
子を被覆するような状態になったため発芽は良好であったが、
時期が遅れたため初期の生育は不良で後半ようやく伸長した。


Ⅱ試験成績

 1.生育調査
区別 年次 開花期
(月日)
亜麻草丈(㎝) チモシー草丈(㎝) 収穫期
チモシー
/
亜麻
(%)
チモシー
出穂有無
30日目 45日目 60日目 収穫期 45日目 60日目 収穫期
F2R 36 6.28 7.2 20.6 56.4 82.5 - - - - -
37 7.2 9.0 37.6 81.1 85.2 - - - - -
38 7.2 6.4 20.2 49.8 88.6 - - - - -
平均 7.1 7.5 26.1 62.4 85.4 - - - - -
F2R1T 36 6.27 6.7 20.7 58.5 82.7 (11.3) (13.2) (42.9) 51.9 17
37 7.2 9.3 38.3 82.2 88.1 23.7 27.5 30.1 34.2
38 7.1 6.3 20.4 51.6 88.0 8.4 19.6 42.9 48.8 17
平均 6.30 7.4 26.5 64.1 86.3 16.1 23.6 36.5 - -
F2R+
10日後2T
36 6.27 7.1 21.2 57.8 78.4 (4.4) (4.6) (15.1) 19.3
37 7.2 9.3 39.9 83.5 86.9 11.3 14.6 15.3 17.6
38 7.2 6.4 19.8 51.1 89.3 2.3 5.7 12.8 14.3
平均 6.30 7.6 27.0 64.1 84.9 6.8 10.2 14.1 - -
F2R+
20日後2T
36 6.28 6.9 21.1 56.7 82.1 - - - -
37 7.2 8.5 38.2 81.2 86.3 3.5 4.1 5.9 6.8
38 7.2 6.5 20.2 50.5 89.0 1.6 4.7 10.9 11.9
平均 7.1 7.3 26.5 62.8 85.8 2.6 4.4 8.4 - -
  注 チモシー草丈平均値は昭和36年を除く2ヶ年平均


 2.収量調査
区別 年次 茎重 (㎏) 子実重 (㎏) 繊  維
10a当 百分比 10a当 百分比 歩留(%) 品質 L
F2R 36 415 100 18.1 100 11.32 3.30
37 577 100 36.9 100 16.39 2.75
38 509 100 58.9 100 - -
平均 500 100 38.0 100 13.86 3.03
F2R1T 36 359 87 13.8 76 10.93 3.30
37 540 94 34.5 94 17.00 27.0
38 487 96 55.8 95 - -
平均 462 92 34.7 91 13.97 3.00
F2R+
10日後2T
36 370 89 19.5 108 11.51 3.00
37 576 100 33.5 91 16.70 2.88
38 478 94 54.7 93 - -
平均 475 95 35.9 94 14.11 2.94
F2R+
20日後2T
36 407 98 17.2 95 10.92 3.30
37 577 100 33.0 89 16.18 2.88
38 501 98 56.8 96 - -
平均 495 99 35.7 94 13.55 3.09


 3.亜麻収穫後の牧草に関する調査成績
 1)播種翌年度一番乾草収量

  a)昭和36年播種分(昭和37年6月25日収穫)
区    別 10a当収量(㎏) 構成比(%) 百分比
赤クロバー チモシー 全重 赤クロバー
/
全重
チモシー
/
全重
赤クロバー チモシー 全重量
2R1T 281 549 830 33.9 66.1 100 100 100
2R+10日後2T 308 460 768 40.1 59.9 109 84 93
2R+20日後2T 458 252 710 64.5 35.5 162 46 86
2R+亜麻抜取後2T 497 121 618 80.4 19.6 172 22 74
Lsd 5% 95.5 57.5 100.2          
   1% 144.6 87.0 151.7          


  b)昭和37年度播種分(昭和38年6月20日収穫)
区    別 10a当収量(㎏) 構成比(%) 百分比 昭和36、
  37年平均
赤クロバー チモシー 全重 赤クロバー
/
全重
チモシー
/
全重
赤クロバー チモシー 全重量 10a当 百分比
2R1T 415.0 185.2 600.1 69.2 30.9 100 100 100 715 100
2R+10日後2T 455.5 146.4 601.9 75.7 24.3 110 79 100 685 96
2R+20日後2T 481.5 10.1 491.6 97.9 2.1 116 5 82 601 84
2R+
亜麻抜取後2T
521.2 8.4 529.6 98.4 1.6 126 5 88 574 80
L.s.d  N.S   N.S           N.S  
  注 1)昭和36、37年播種分には翌春融雪後それぞれ3-5-3(10a当要素量 ㎏)追肥
      更に37年播種分に対して、昭和38年1播草収穫後に10-14-12追肥し、39年融雪後に再び
      10-14-12を追肥
     2)収穫は1区全量収穫後、1.5㎏の生草サンプルにより乾草率、草種構成比率を算出


 2)2年目(翌々年)一番乾草収量

  a)昭和37年度播種分(昭和39年6月17日収穫)
区  別 10a当収量 (㎏) 構成比 (%) 百分比 (%) 2ヶ年全重
合計 (㎏)
赤クロバー チモシー 全重 赤クロバー
/
全量
チモシー
/
全量
赤クロバー チモシー 全重 10a当 百分比
2R1T 165 407 573 29.3 70.7 100 100 100 1,173 100
2R+10日後2T 129 479 608 21.3 78.7 78 118 106 1,210 103
2R+20日後2T 169 385 579 35.1 64.9 102 95 101 1,071 91
2R+抜取後2T 228 299 527 43.5 56.5 138 73 92 1,057 90


  b)草種構成の経年的推移(昭和37年度播種分一番乾草)

Ⅲ試験結果の考察
 1.亜麻生育収量
 チモシー混播により亜麻の開花期や草丈その他形態に顕著な影響はみられないが、亜麻茎収量はチモシーの同時混播の場合、3ヶ年平均で亜麻赤クロバー900g同時混播(F2R)に比し5%水準で有意に劣り、8%の減収がみられた。年次間では著しい旱魃を受けた昭和36年が最も減少した。
 同時混播(F2R1T)に次いで「2R+10日後2T」に減収傾向がみられるが、チモシー混播時期が遅れる程減少割合は小さい。昭和37年は、チモシー10日並びに20日後播で減収は全くみられないが、亜麻の初期生育がすこぶる速やかだったので、後播チモシーの影響を受けなかった結果とみられる。
 子実収量も同じような減収傾向で「F2R1T」が最も劣った。
 繊維歩留、品質は手抜収穫で同時混播でもチモシーの混入が殆どなかったので影響はみられなかった。

 2.混播牧草の生育収量
 1)昭和36年播種分
 初年度旱魃のためチモシーの生育は一時停止したが亜麻に対する相対的な生育は3ヶ年中で最もよく、翌年におけるチモシーの生育収量も良好であった。発芽が不良であった20日後播種チモシーは37年収穫一番草で同時混播の約1/2の収穫があるが、チモシーの播種時期が遅れる程チモシーは減収し、赤クロバーが増収する関係が極めて顕著であった。
 赤クロバー、チモシー全重でもチモシーの播種時期が最も早い「2R1T」が最も優り、「2R+抜取後2T」が最も劣った。

 2)昭和37年度播種分
 初年度は亜麻に対し、相対的にチモシーの生育が劣り、更に翌年度(昭和38年)伸長初期に強風乾燥にあい生育は不良で、特に20日後播種チモシー並に亜麻抜取後播種チモシーは殆ど収量はなかった。又赤クロバー、チモシー比率も前年度のに比しチモシーの割合が低くなっているが、全重ではやはりチモシーの播種時期が早い程一番草は被い傾向にある。
 チモシーの発芽の良否、亜麻との競合等複雑な要因により年次間の差異は大であるが、昭和37年播種の翌々年(昭和39年)一番草ではチモシーの構成比が高くなり、チモシーの播種時期による差が小さくなっている。即ち前年殆ど収量のなかった20日後播種でも同時混播に近い前に回復し、全重ではチモシーの播種時期による収量差はみられない。

Ⅳ総括
 1.チモシー同時混播により、亜麻茎、子実収量とも減収が、みられるがチモシーを後播することにより、亜麻の減収を少なくし、機械収穫出来るまでにチモシーの生育を抑制できる。
 2.播種翌年度の一番乾草収量は、チモシーは勿論、全重でもチモシーの播種時期が早い程収量は多い傾向にある。しかし翌々年は20日後播種でも全重では同時混播と差がなくなった。
 後播チモシーの発芽良否は年により差があるが、不良であった37年度の20日後播も翌々年には回復した。
 以上の結果から亜麻跡地を2~3年草地として利用する場合は、亜麻に対する影響の少ないチモシーの混播法として亜麻、赤クロバー同時混播後、10~20日の間にチモシーを後播するのが適当である。

Ⅴ留意すべき事項
 1.チモシーの同時混播は亜麻の減収のみならず、機械収穫も出来なくなるので避けること。
 2.チモシーを混播する場合に播種期を遅らせること。亜麻播種後10~20日が適当であるが、土壌が著しく乾燥するところでは不適である。
 3.除草剤はチモシーの発芽揃後10a当gMCP40、DNCO160g(成分量)程度であれば後播チモシーに影響はない。
 4.十勝の火山性土では特に亜麻収穫後の草地の肥培管理に留意し、早春追肥を施す等チモシーの生育促進を計る。