【普及参考事項】
果樹園の除草剤に関する試験成績
北海道農業園芸作部第1研究室

 果樹園用除草剤として、昭和38年、39年の2ヶ年にわたって、HG3031についてその効果の検討を行ってきたが、その結果、薬害も認められず、除草効果も確実であったので報告する。
1. 試験の方法
 昭和38年  リンゴ、なし、ブドウ各3年生の幼木に対する薬害及び除草効果を調査
 昭和39年 リンゴ及びなし成木園の除草効果を調査

2. 使用薬剤及び濃度
 昭和38年(試験Ⅰ Ⅱ)
薬 剤 名 10a当り薬量(kg)
HG-3031 0.75 1.5
パラコート 0.2 0.4
シ ア ン 2.0 4.0
HS-3004 2.0 4.0
HS-3005 1.0 2.0
デシコーン 1.0 2.0
アトラジン 0.3 0.6

 昭和39年 試験Ⅰ
薬 剤 名 10a当り薬量(kg)
HG-3031 0.5 1.0
D - 306 0.75 1.0
D - 303 1.0 2.0
レグロックス 0.3 0.5
デシコーン 2.0

        試験Ⅱ
薬 剤 名 10a当り薬量
HG-3031 0.5 1.0
D - 306 1.5
D - 303 0.5 1.0
レグロックス 0.5
HE - 96A 2.0
HE - 104 3.0
D - 304 3.5
D - 304 3.75

        試験Ⅲ
薬 剤 名 10a当り薬量
HG-3031 0.8
レグロックス 0.5
D - 303 1.2
D - 306 0.75

3. 散布月日及び散布方法
 昭和38年   5月15日10a当 200L
 昭和39年試Ⅰ   5月14日 〃   150L 背負噴霧器で散布
       〃Ⅱ  6月18日 〃   150L
       〃Ⅲ  7月21日 〃   100L 動力噴霧器で散布


4. 処理園の状態
 昭和38年 試験Ⅰ・Ⅱ、シバムギ、スヅメノカタビラの優先する幼木清耕園で雑草生育初期
 昭和39年 試験Ⅰ、ラデノークロバー播種後6年目、リンゴ成木草生園
        試験Ⅱ、ハコベ、スヅメノカタビラ優先のなし成木清耕園中耕後2週間
        試験Ⅲ、ハコベ、スヅメノカタビラ優先のなし成木清耕園雑草生育盛期

5. 成績
 1) 供試した薬剤はリンゴ、ナシ、ブドウの各3年生の木に対し殆ど薬害は認められない。
 2) 昭和38年
薬 剤 名 10a当
施用量
(kg)
散布後30日(6月14日) その他
(g)
合計草量
(g)
スヅメノ
カタビラ
(g)
シバムギ

(g)
ギシギシ

(g)
ヤチイヌ
ガラシ
(g)
HG-3031 0.75 5 53 10 39 2 109
1.0 0 23 0 0 2 25
パラコート 0.2 12 752 6 32 116 918
0.4 0 75 15 26 29 145
シ ア ン 2.0 120 364 53 146 24 707
4.0 131 725 0 179 8 1.043
アトラジン 0.3 8 739 66 0 10 823
0.6 11 290 9 0 22 332
HS-3004 2.0 115 553 0 0 33 701
4.0 38 467 6 6 6 523
HS-3005 1.0 39 81 0 0 13 155
2.0 4 86 0 21 15 126
無 処 理 168 774 0 226 64 1.232

 3) 昭和39年 試験Ⅰ
薬 剤 名 薬量 散布翌日の状態 5日後 10日後 1ヶ月後 2ヶ月後
D - 303 2.0kg 雑草に出ている
薬害は極めて軽微
牧草及雑草全
体に萎凋する
全体に枯死する 牧草及雑草が枯死
後殆ど消える
雑草30%再生
雑草40%再生
1.0kg
D - 306 1.5 散布直後より葉が
褐色となり枯れ始
める
雑草20%再生
 〃 30% 〃
0.75
HG-3031 0.1 無処理と同様 雑草殆どなし
0.5
レグロックス 500cc 処理直後より葉先
の枯れ甚だしい
3日後までは甚だしい
が薬害の進行は停止
再生が始められる 無処理に比べ草丈
がやや低いが完全
に回復
無処理と同様
300cc
デントコーン 2.0kg
無 処 理

 4) 試験Ⅱ
 試験成績  処理後20日  雑草量(7月9日調査1m2)
薬 剤 名 薬量10a当

(kg)
ハコベ

(g)
スヅメノ
カタビラ
(g)
その他
(アカザ、シバムギタデ)
(g)
草重量

(g)
HG-3031 0.5 0 0 0 0
1.0 0 0 0 0
D - 303 0.5 48 144 8 200
D - 303 1.0 224 216 32 472
D - 304 3.5 32 104 32 168
D - 306 1.5 0 0 0 0
D - 305 3.75 440 16 0 456
レグロックス 500cc 16 88 4 108
HE - 96A 2.0 136 264 104 504
HE - 104 3.0 0 312 0 342
無 処 理 928 264 72 1.264

 5) 試験Ⅲ
薬 剤 名 ハコベ
(g)
スヅメノカタビラ
(g)
その他
(g)
HE-3031 0 0 0
レグロックス 200 620 20
D - 303 400 170 0
D - 306 0 0 0
無 処 理 322 1.880 82

 試験の結果
 1. 昭和38年に幼木の清耕園に行った試験では供試薬剤は、リンゴ、なし、ブドウの幼木に対し薬害は認められなかった。
  1) 昭和38年…HE-3031は散布後1週間頃から効果が現れ、散布30日後の調査においては地上部、地下部共殆ど枯死し、1.0kgが雑草量一番少なく、次いで0.75kgであった。散布2ヶ月後に於いては両区共雑草皆無の状態が続き、供試薬剤中効果が最も理想的であった。
  2) 昭和39年…昭和39年には、HG-3031の1.0、0.8、0.5kgを供試した。その結果高濃度のものは効果の持続期間が長かったが0.5kgにおいても効果は著しく2ヶ月を経ても前年同様、雑草皆無の状態が続き効果が極めて確実であった。
注) HG-3031は効果が強力であり、更に10a当り1.0kg以上の高濃度で連用した場合の樹に対する薬害の影響の検討がなされていない。