【普及参考事項】
水田用代かき機性能試験 北海道立中央農業試験場農業機械部 |
1)試験のねらい及び方法
トラクター用の代掻機が最近多く開発されて来たが、能率、精度の面で実用的な作業機の作出を行い導入上の指針とする。トラクターには補助車輪或いは籠車輪を装着して作業機を牽引し1機種当たり0.3~0.4haの圃場を与えて実施した。
2)調査項目
ⅰ)水田車輪及び作業機の機体調査
ⅱ)作業能率及び作業精度(砕土率)
3)調査結果
作業能率
トラクター | 変速ギヤ位置 エンジン r.p.m |
フリップ率 % |
作業速度 m/sec |
トヨタWR-25 | 7.2 | 0.99 | |
マツセイファーガソン65 | 4速 1300 | 23.6 | 1.74 |
マツセイファーガソンFE-35× | 4速 1200~1300 | 22.9 | 1.37 |
小松インターD-439 | 3~4速 1800 | 18.8 | 1.37 |
三菱R-301 | 5速 2200 | 34.3 | 0.95 |
インターB-414 | 3速 1400 | 40.2 | 1.18 |
ヤンマーYM18A | 4速 2000 | 32.5 | 1.15 |
ダビットブラウンDB990 | 3速 1800 | 25.2 | 1.49 |
クボタL-27 | 5速 1800 | 35.7 | 0.54 |
シバウラS-17 | 3~4速 2000~2200 | 31.7 | 1.29 |
フォードソンデキスター | 4速 1700 | 38.6 | 0.96 |
ポルシェTP-329 | 4~5速 1800~2000 | 20.5 | 1.45 |
ゼトア3011 | 4速 1600 | 40.4 | 1.12 |
砕土率調査
8㎝以上 | 8~4 | 4~2 | 2~1 | 1㎝以下 | 貫入深 (53g/cm2) |
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東急均平板付レーキ | 5.5% | 21.2% | 10.4% | 5.5% | 57.4% | 4.1cm |
スター式レーキ | - | 13.7 | 8.8 | 7.2 | 70.3 | 3.6 |
松山式レーキ | - | 10.1 | 11.3 | 8.3 | 70.3 | 3.7 |
スガノ式均平板付レーキ | - | 9.4 | 14.6 | 6.8 | 69.2 | 4.4 |
ササキ式均平板付レーキ | 6.7 | 17.6 | 14.5 | 5.8 | 55.4 | 2.7 |
ササキ式均平板付レーキ | 2.5 | 10.4 | 9.9 | 7.3 | 69.9 | 3.5 |
松山式レーキ | - | 12.1 | 15.2 | 6.9 | 65.8 | 7.1 |
浦田式レーキ | - | 12.3 | 12.3 | 7.0 | 68.4 | 5.0 |
シバウラ均平板付レーキ | 6.3 | 12.7 | 4.6 | 3.8 | 72.6 | 2.9 |
松北式レーキ | 5.3 | 10.9 | 11.8 | 5.3 | 66.3 | 3.2 |
高北式均平板付レーキ | 1.8 | 13.5 | 12.1 | 6.4 | 66.2 | 2.7 |
高北式均平板付レーキ | - | 13.1 | 10.4 | 6.1 | 70.4 | 4.1 |
本田式均平機 | - | 25.1 | 9.4 | 4.7 | 60.8 | 7.6 |
4)試験結果の考察
水田車輪はトラクタータイヤの外側に装着する補助車輪とタイヤーを取り除いて水田車輪のみで作業するカゴ型車輪とに分けられる。走行状態について見れば補助車輪は走行性が悪い場合が多く、又車輪跡が残り、その解消のため均平化に支障がある。然しカゴ型車輪単独の場合も、型状や使用材料によって走行性に難易が認められた。使用材料別では、アングル使用が多くその他パイプや平鉄があったが、走行性、土壌の流れ、通過跡、均平化等の精度を高めるにはアングル使用が良好な結果を示した。又型式では円錐型が良好であった。従って本調査ではカゴ型車輪単独でアングル使用の円錐が望ましく思われた。
代掻均平機については、(レーキ+均平板)(花型ローター+均平板)(デスク+均平板)に大別される。砕土部は一般に複列式で中央で左右調整を行うもの、一方向のみ角度調整を行うものとがあり進行方向に対して或いは圃場の起伏状態によって調節する場合が多く、又、土壌状態によってレーキ間隔の移動が可能なものがあった。均平板はレーキ兼用と後部に代3均平板を取付スパイクや、放水孔を附属させたものがある。何れにしろ砕土機は前部砕土機による土の移動、或いは土塊の補助的な破壊作用等を行い、後部均平機によって修正する機構を有するものがよい。
作業精度の面では、砕土率、土壌表面硬度(貫入深)、均平度を主体に比較検討した。砕土率60%以上は1㎝以下の土塊で代掻過剰の感が見られる。
土壌硬度を示す意順は、53g/cm2の柄付重錘を静かに直立させ、その時の貫入深で示した。代掻層は作物の生育から見るとなるべく浅い方が良く表面にヘドロ層をなす状態が理想的と思われる。然し代掻層が何種の状態が生育に良好な結果を及ぼすかについては未だ研究中であるが、貫入深は代掻層の深さではなく表面ヘドロ層の部分を示すものである。これらを代掻機の型式別に検討ると、(レーキ+均平板)は3~4㎝、(花型ローター+均平板)6㎝、(デスク+均平板)7.6㎝とレーキ附属の場合が比較的表面のみ作用する傾向にあるが、代掻砕土は水田車輪が大きな影響を与えるのでこの砕土率だけでは代掻均平機に対する充分な判定は出来ない。然しながら浅い方が作物の生育に良好な結果を及ぼすので水田車輪による砕土作用と合わせて、補助的な砕土と均平を兼ねた作用を行い得るもので十分であろう。
作業能率の面では、牽引トラクターはカゴ車輪を装着し30PS級以上、速度は1m/sec以上、埴土地での砕土機は均平を主体として作業機の利用が望ましく思われる。