【普及参考事項】
てん菜収穫機(国産ハーベスタ)に関する試験
北海道立十勝農業試験場農業試験場

 大dataハーベスターは、枕堀りをしなければならず、又、コスト高で容易に使用出来ないので、コンパクトな、出来得れば、直装タイプで、小まわりのきく機械を選ぶべきである。
 国産のビートハーベスターの研究開発途上にあるものの性能調査を実施したので、その性能と改良の方向を示す。

1 供試機と性能の大要
 (1)太田式ビートハーベスター
 直列式で、機上に機械操縦員1人必要である、堀取刃は、刃先間隙240mmの2ポイント彎曲刃である。堀取られた根部は、1.8mのロットチエンコンベアーであげられ、回転ドラムで、上方へ転送され、前部タンクへ送られる。タッパーは、フイラーホイール径630mm∮で、P.T.O駆動である。茎葉は、タッピングされるとその直後に配置したコンベアーの上部を走って、後部に排出される。性能調査は芽室町で行ったが、タッピングの精度は、ほぼ満足すべき状態となったが、堀取刃とコンベアー位置関係がよくなく、ノドツマリ現象を生じ掘取損失が生じやすい。機体のまとまりは良好となったが、茎葉コンベアーをもっと軽量に、又、本機の根部堀取コンベアー上部をもっと容易に上下するよう工夫してほしい。

 (2)北農式ビートハーベスター
 並列型で、直装式である。機体の重量が500㎏で、後部に重心が寄っているため、35ps級トラクターでは、フロントに100㎏以上のバラストを要する。タッパーのフイラーホイールは、455mm∮で巾128mmで比較的小さい。分離コンベアーは、1.36mで短めであるため、土室状態では土砂附着が第となるおそれがあり、又、根部集積タンクは小さい。堀取刃をトラクター中心部で索引するため、トラクタータイヤー巾が3畦またぎとなり使用上若干の難あり。性能調査は芽室町において行ったが、畦が比較的曲がっている場合等は、特にタッピングの精度は低下するが、平坦畑であれば時間当0.1ha以上の作業は可能である。茎葉処理装置が故障しやすく、ビートの根部が大きい場合は、堀取刃、コンベアー等に再検討を要するだろう。

 (3)菅野式ビートハーベスター
 並列型直装で、機体の重心を前部にもってゆくように、又、計量にするようリフトコンベアーを工夫した。2畦またぎで、堀取刃は2ポイント直線刃、本機も直装式であるため、分離コンベアー距離が900mmであり場所によっては土砂の分離が多くなる傾向を有する。又、若干高さが高く安定を欠く面もある。タッパーの駆動輪は、機体保持輪からとっているが、形が小さく、スリップの発生するおそれが大きい。性能調査は上富良野町で行ったが、降雪後の粘質土で行ったので、堀取精度、土砂分離等が著しく悪い。従って、作業速度も0.5/sec以上あげ得ることが出来なかった。タッピングは最良で、能率試験時では、何の支障もなく1時間0.1ha以上の作業が可能である。

 (4)山田トンボ式ビートハーベスター
 半直装で直列型である。第1コンベアーは800mmで、リフトコンベアー1本で、前部タンクへ根部は転送される。性能調査は帯広市で実施したが、土壌・植生とも比較的良好な圃場で行ったため作業精度は良好であった。ただし機体が流れると、地上収穫損失が増す。機上より操縦できるようにすべきであり、また機体の強度についても十分考慮すべきである。

2 改良の方向
 今回テストしたものの中には、すぐれた性能を示すものがあったが、直結型では、軽量小型にするため、コンベアーの長さに限度があり、土砂分離性能は、土質の重いところでは著しく低下することが予想される。又牽引型は、回行時、十分な杭地を要するため作業の手順をふむのに人手を要す。従って、直結型にあっては、短いコンベアーを有効に利用する方法、そのためには、堀取刃の形状なども喰込み漁が非常に異なるので、十分考慮する必要があろう。
 又、機械の重量バランスを考えてすべて、根部タンクは機械前方に位置するよう工夫したい。牽引型にあっては、十分コンベアーの長さがとれるのでその点、分離が当然良くなくてはならない。又、分離を良くする方法としてダブルコンベアー方式が普通とされているが、上段コンベアーと下段コンベアーの速度比は、コンベアーの長さを考えて決めるべきであろう。次に牽引型にあっては特に、回行時、ヒッチとP.T.Oジョイントシャフトの関係位置を十分考えに入れて回行が容易になるよう、又、P.T.Oジョイントシャフト自身についてもあらたに配慮すべきではないだろうか。
 タッパー、ディガーの組合せ利用は型の上では、殆ど完成の域にせまり、今後の研究開発は動力伝導装置の耐久性、重い土地条件に使用出来るスペシャルタイプなどの検討ということになるだろう。
 しかし、ハーベスターが直結型、ないしは、半直結型のものが多く、種々の機構が、ゆったりと組まれていないので地域条件適応性が問題となるだろう。このハーベスターの傾向は、圃場区画が小さいことが原因している。直結型のものは、土質の軽いところ、牽引型のものは、土質の重いところとはっきり適正地をきめて導入する方法も考えられるが、セミマウント程度にしぼって考えた方がよい。