【普及参考事項】
ハスカーに関する試験
北海道立十勝農業試験場農業試験場

 とうもろこしの耕種労働のうち調製作業に約50%の労力を要している。そこで調製機械化の研究の一つとして小型ハスカーの性能を調査した。

1 供試機
 2本のゴムロールからなっており、人手で、このロールに玉蜀黍を入れ脱皮せしめる。試験番号1~2は、2本のロールが同数回転で、平滑ロールであり、試験番号3~15は、一方のロールの回転数を1/2とし、ゴムの外側へトッキを出した。又、苞皮コンベヤー(Huskconvyer)がある。駆動シャフトが800(r.p.m)回転すると、この苞皮ベルト軸は、800(r.p.m)回転し、この軸からチエン伝導した、ロールが、400(r.p.m)し、対するローラーは、ギヤー伝導で800(r.p.m)回転するようになっている。ロールに対しet巻きつぎが、たまたま作業中に起こるので、ロールの上部のカバーは、取付け、取り外しが容易である。又、重量は、80㎏程度であるから、2名で十分、希望する位置へセット可能である。

 供試機仕様
項   目 仕    様
高   さ 820mm
長   さ 1,100mm
590mm(360)
重   量 82㎏
脱皮ローラー 75mm∮(ゴム厚30mm)長さ700mm
皮コンベアー ベルト長さ600mm 巾230mm



2 供試作物

 1)試験番号1~2の作物条件
品種/項目 子実含水率 苞皮含水率 芯含水率
2.5~74.0
41.9%
22.9~42.1
31.2%
46.8~88.0
63.5%

 2)試験番号3~7の作物条件
品種/項目 子実含水率 脱苞皮含水率 未脱皮含水率 芯含水率 重量比(%)
子実 苞皮
札幌八行 47.2% 33.%5 34.3% 56.8% 84.5 11.3 4.2

 3)試験番号8~15の作物条件
穂別/項目 子実含水率 苞皮含水率 全長 穂長 苞周
完熟穂 45.3% 32.1% 27.9㎝ 24.8㎝ 16.5㎝
未熟穂 52.5 39.4 25.4 14.4 17.6

3 試験成績
 1)作業精度
 ア 試験番号 1~2
 スムースロール2本を、内側向きに同数回転せしめた。供給の方法は、1本1本、次々に、ロールの間に入れ、脱皮せしめたが、完全に脱皮したものは、78%で、5枚以上皮がついたものが、22%出た。ロール間隙が狭くなれば、玉蜀黍のロールかみつきが悪くなり、未脱皮のものが増加する。又、間隙が多きすぎれば、ロール間に玉蜀黍がはさまる。又、ロールの回転数を高めてゆけば、玉蜀黍は、オドリ出したとき、脱皮が容易となることを知った。しかし800r.p.m以上の回転では、機体が、振れ出すので、本機は800r.p.mが使用限度である。しかし、玉蜀黍が、オドリ出せば、脱皮が容易となるが、玉蜀黍がロールにはさまれて、直立するというトラブルが起こりやすい。そこで2本の脱皮ロールの上に、カバーを取り付けた。又、玉蜀黍は、ロールの上で回転する場合は、脱皮が非常に速く、回転しない場合は、未脱皮のまま出て来る。

 イ 試験番号 3~7
 本試験では、ロール回転数を、一方を半減して、玉蜀黍がロールの上で回転するようにし、又、ロールのゴムの上に2mm程度の高さに、70mm間隔にヶ所爪を出し、脱皮が容易になるよう工夫した。結果は、およそ5%以上脱皮率が向上した。ロールの回転数と脱皮率の関係は、ロールの回転を低くした場合は、供給率を下げなければ、適当な作業が出来ないので、高速回転なみに供給するならば、当然脱皮率は低下する。

 ウ 試験番号 8~15
 穂首から入れたものは、脱皮が瞬間的にゆかず多少時間がかかり脱皮遅延という現象を起こす。穂先から入れた場合は、ロール喰込みが多くなる。結果的にみれば、穂先から入れると、脱皮は速くなるが、ロールに喰込む場合はロール回転を注ししなくてはならないので、供給速度としては変わらない。しかし穂首から入れた方が、穂先から入れるより脱皮率は高い。玉蜀黍が完熟しているものは、一般的に脱皮しやすい。この関係は、回転数が高いところでは、さして差がないが、低いところでは差が、10%程度生じてくる。

 作業精度
試験番号
/
項目
脱皮ロール
回転数r.p.m
供給
本数
(㎏)
供給量
本/sec
子実
芯重
(㎏)
苞重
(㎏)
脱皮率(%) 不完全
苞皮重
(%)
脱粒重
(g)
トラブル本 供給
方法
熟度
完全 1~2 3~5 不完全 脱皮
遅延
ロール
喰込
1 800 100
(20.93)
0.45 18.25 2.68 78.0 0.0 0.0 22.0 1.1 - - - 穂先混合 未熟20%
2 800 100
(18.00)
0.77 15.93 2.07 78.0 0.0 0.0 22.0 3.4 - - -  
3 770 100
(19.00)
0.72 17.50 1.50 89.0 7.0 2.0 2.0 2.2 - 4 1  
4 670 100
818.00)
0.88 17.40 1.50 82.0 8.0 6.0 4.0 5.9 - 6 -  
5 870 100
(18.45)
0.80 16.78 1.67 84.0 8.0 8.0 0.0 3.9 - 3 -  
6 572 100
(19.10)
0.44 17.25 1.85 89.0 5.7 5.0 1.0 1.3 - 7 2  
7 500 100
(19.20)
0.46 17.31 1.89 89.0 7.0 3.0 1.0 2.4 - 11 2  
8 800 100
(20.55)
0.6 18.90 1.62 90.0 5.0 3.0 2.0 1.2 28.0 3 2 穂先
9 800 50
(9.78)
0.5 8.80 0.80 98.0 0.0 2.0 0.0 0.8 180.0 4 0 穂首
10 800 50
(8.13)
0.5 6.80 1.20 90.0 0.0 6.0 4.0 3.8 90.0 3 9 穂先
11 800 50
(8.34)
0.8 7.20 1.00 96.0 0.0 2.0 2.0 1.5 121.0 4 3 穂首
12 650 50
(10.19)
0.6 9.20 0.90 86.0 8.0 4.0 2.0 0.0 90.0 1 4 穂先
13 650 50
(10.58)
0.6 9.50 1.00 98.0 0.0 2.0 0.0 1.0 74.0 9 0 穂首
14 650 50
(9.23)
0.5 8.10 1.00 70.0 6.0 14.0 4.0 0.3 130.0 3 7 穂先
15 650 50
87.90)
0.4 6.80 1.00 88.0 6.0 0 4.0 0.1 100.0 9 3 穂首

 2)作業能率
  作業人員
(人)
供給本数
(本)
供給重量
(㎏)
供給時間
(hr)
トラブル時間
(hr)
総所要時間
(hr)
処理能率
(本/hr)
機械能率
(10a/hr)
所要労働
(hr/10a)
試験番号1~7 2 2,988 580 1.25 0.05 1.30 2,300 0.46 2.2×2=4.4
試験番号8~15 2 640 122 0.32 0.01 0.33 1,940 0.39 2.6×2=5.2
慣行 2 1,000 - - - 1.23 - (0.15) 6.6×2=13.2
  (注)10アール当りの穂数を5,000本とした。