【普及参考事項】
クリアリングブレードの利用試験
北海道農業試験場農業物理部

1 試験目的
 放牧地造成の機械化体系を創出することを目途として、伐開用機械であるクリアリングブレイドの使用並びに利用上の資料を得る。

2 供試機
 米国 Rome 社製KGA型および日特金属工業株式会社試作のクリアリングブレイドを供用した。この機械はトラクターの重量ならびに出力を利用して鋭い刃で立木を伐採するものであり、普通は立木を地表面で切断する作業に使用されるが、場合によっては地表面下での根の切断や、地表面上での立木の切断にも使用される。また伐採後の木を整理し密な列にすることも可能である。このほかⅤ型の排水溝や林道の建設にも使用される。



3 試験方法
 (1)供試機:米国Rome社製KGA型及び日特金属工業株式会社試作品の2種、トラクターはNTK6型使用
 (2)試験圃の位置:紋別群興部町
 (3)試験圃の面積
   Pome製 42.4×16.4m 6.95a 傾斜地
   NTK製  41.2×1.9m 7.87a   〃
 (4)試験圃の立木
   ナラ、ハンノキ、キハダ、シラカバ、ニレ、シナなどが自生し、10数年前に伐採された跡あり、二次植生のものが多くみられた。
   1ha当たりの換算株数は5,745株、換算立木数10,977本、樹高約7m
 (5)測定項目
   作業能率 燃料消費量

4 試験成績

 作業能率
供  試  機  械 Rome型 NTK型
作  業  面  積 6.95a 7.87a
伐採作業時間 22分50秒 32分40秒
正味作業時間 15分41秒 22分55秒
後退時間 7分09秒 9分45秒
排  木  時  間 23分00秒 25分45秒
作  業  回  数 14回 14回
平均作業巾 1.17m 1.36m
1時間当り作業面積 9.1a 8.1a
伐採作業 18.3a 14.5a
排木作業 18.1a 18.3a
1a当り作業時間 11時0分 12時22分
伐採作業 5時29分 6時55噴
排木作業 5時31分 5時27分

伐株、排木作業の際次のことが認められた。
 (1)今回の試験ではクリアリングブレイドによる立木処理のみを行って、レーキドーザによる立木処理を行っていないが、過去のレーキドーザによる作業に比して高能率である。

 (2)一押しで株径約20㎝までの立木が切断可能である。

 (3)地表面切断に伴う表土の移動ならびに損耗は認められず、伐採排木された後の地表面は平坦であった。

 (4)株径の大きい物を無理にでも一押しで切断すべきか、もしくは立木をブレイドの突先で縦に裂いてから切断すべきかについては将来における根の腐触の点を考えれば後者の方が良いように思われる。

 (5)立木の多い場合は、作業(切断)巾を全巾にとることには疑問がある。

 (6)クリアリングブレイドによる立木処理の跡地に、重デスクハローを掛けたが、根の堀り起こしによる地表の凹凸は特に認められなかった。
 クリアリングブレイドによる伐開作業は高能率であり、これを重デスクハロと組合せ造成方式として新しい機械化体系を創ることの可能性と、その有利性を認めた。