【普及参考事項】
フィールドチョッパ利用による乾燥調製法に関する試験
北海道農業試験場農業物理部

1 試験目的
 フレイルまたは固定刃型フイールド、チョッパーにより牧草の収穫を行う場合、刃の引き裂き、引きちぎり作用により茎葉に著しい裂傷を与えるため、これを牧草の刈り取りと、コンデショニングの両作用を兼ねた収穫法の一つとして乾草調製に利用する。

2 試験方法
 (1)供試機-1番刈り-固定刃型 フイールド、チョッパー
        2番刈り-フレイル型フイールド、チョッパー

 (2)乾草調製方法
 フイールドチョッパーによる乾草調製法は刈り取りと同時に後方に放てきしていく。その後半日に1回程度の割合で、ワッフラーによる反転を行い安全水分迄乾燥した後、サイドレーキで集草し、ヘーベーラで拾い上げ梱包した。対照区はモーアで刈り取り、その直後ヘーコンデショナーで圧砕またはワッフラーで反転し、乾燥仕上り後べーラーで梱包、収納した。

 (3)供試牧草
 いね科と豆科の混播牧草

3 試験成績
 (1)刈り取り後の乾燥速度

 1番刈り(6月)生草量10a当たり1,793㎏
調査時刻/試験区別 ロータ1,000r.p.m ロータ1,400r.p.m モーア、ヘイコン モーア、ワッフラー
刈り取り時 78.0% 78.0% 78.0% 78.0%
6月10日 15時30分 60.4 70.0 75.5 77.0
6月11日 15時30分 48.0 42.4 63.8 68.8
6月12日 10時30分 37.0 50.0 47.8 49.8
6月12日 15時30分 23.3 17.5 34.5 39.5
6月13日 13時00分 13.0 13.3 22.5 26.3
刈り高 9~14㎝ 4~7㎝ 7~10㎝ 7~10㎝

 2番刈り(9月)生草量10a当たり1,813㎏
審査時刻/試験区別 フィールドチョッパー モーア、ヘイコン モーア、ワッフラー 備     考
刈り取り時 78.0 78.0 78.0 モーアおよびチョパーの刈り高
7~10㎝
9月1日 15時00噴 33.3 53.0 63.8
9月2日 10時30分 24.0 46.5 46.5
9月2日 15時00分 13.5 23.5 29.5
9月3日 10時30分 - 15.0 21.0

 (2)乾草収納時の集草、拾い上げ損失
 1番刈り
試験区別/調査項目 サイドレーキ
損失(%)
ベーラ
損失(%)
総損失
割合(%)
サイドレーキ
損失(%)
ベーラ
損失(%)
総損失
割合(%)
ロータ 1,000r.p.m 8.05 5.62 13.67 3.52 2.04 5.56
ロータ 1,400r.p.m 22.21 9.39 31.60 3.88 3.10 6.98
モーア、ヘーコンデショナー 2.26 0.83 3.09 1.23 1.09 2.32
モーア、ワッフラー 2.39 1.07 3.46 1.35 0.70 2.05

 2番刈り
試験区別/調査項目 サイドレーキ
損失(%)
ベーラ
損失(%)
総損失
割合(%)
フィールドチョッパー 10.28 5.55 15.83
モーア、ヘーコンデショナー 2.87 1.26 4.13
モーア、ワッフラー 1.37 1.40 2.77


 (3)モーア刈りに比べ、チョッパーにより刈り取った牧草は、乾燥条件の如何にかかわらず常に速く、10a当りの生草量が2屯地殿牧草でも乾燥条件さえ良ければ2日間で乾草を作ることが出来る。

 (4)チョッパーにより刈り取られた牧草の切断長は、数量割合では全体の80%が6㎝以下に細断されている。しかし重量割合を求めてみると、6㎝以下に細断された牧草は38%に減じ、全体の約60%が3~15㎝の長さに切断されている。

 (5)サイドレーキ集草損失およびベーラ拾い上げ損失はモーア刈りに比べ大きい。特に降雨中あるいは水滴が茎葉に付着している状態のとき刈り取った場合は損失の程度が著しかった。したがってチョッパーにより乾草を調製する場合は、降雨中の刈り取りはさけた方が良い。