いもち病防除試験

【普及参考事項】

いもち病防除試験
道立中央農試稲作部

Ⅰ　試験結果の概要
　本年は7～8月に於いて低温多雨、日照不足で、いもち病の初発はややおそかったが、試験ほ場ではその後は著しく蔓延し、収穫機頃には無防除区は健全茎が殆ど認められない状態であった。
　核薬剤の防除効果をみると、葉いもちに対してはM-338水溶剤の効果最も勝り、ブラエスPこれにつぎその他はほぼ同等の効果を示している。
　節、首いもちに対してはM-338の高濃度区が最も勝り、ブラエスP、ブラエスM、PS錠、M-338の低濃度区は同等の効果を示している。
　収量は冷害で全般的に平年の6分作前後であったが、対照のPS区に比して、M-338の160倍、ブラエスPが勝り、M-338の80倍区は同等の結果を示している。
　薬害は試験の範囲内では認められない。

Ⅱ　試験成績
　1.試験方法
　ア　試験場所　　岩見沢市金子町　道立中央農試稲作部ほ場
　イ　供試品種　　テルニシキ
　ウ　1区面積及び区制　　液剤区　1区25m2　3反復
　　　　　　　　　　　　　　　　粉剤区　1区36m2　　〃
　エ　供試薬剤及び試験区別
　　液剤区

試　験　区　別成　　　分　　　及　　　び　　　含　　　量

1.無散布　

2.ブラエスP　400倍ブラストサイジンS-ハロプロパジルエーテル誘導体塩(ブラエス1%)

3.ブラエスM　480〃ブラストサイジンS、ベンゼンスルホン酸塩(ブラエス1%　Hg1%)PMA

4.有機水銀錠剤(PS錠)　1錠/2L PMTS,EMP、EMUの混合剤(Hg 2.5%)(対照区)

5.M-338水溶剤　80倍カスガマイシン　1.25%

6.　　　〃　　　　　160倍　　　　〃

7.M-338水溶剤　320倍カスガマイシン　1.25%

　　註　散布はミスト機(噴口2.2)により、10アール当り8月8日は54L、8月14日は63Lの液量を散布

　　粉剤区

試　験　区　別成分及び含量

1.無散布　

2.M-338粉剤A カスガマイシン　0.3%

3.　　〃　　　 B 　　　　〃　　　　 0.2

4.　　〃　　　 C 　　　　〃　　　　 0.1

5.M-338＋PI粉剤カスガマイシン0.1%　Mg0.1%

6.ブラエスP粉剤ブラエス　0.2%

7.ブラエスM粉剤ブラエス　0.1%　Hg　0.1%

8.ブラエス粉剤ブラエス　0.2%

9.PI粉剤(フミロン粉剤) Hg　0.2%

　　註　防除は8月1日、9日、14日、20日の4回、10アール当り3.5㎏散布

　2.試験結果

　液剤区

試　験　区　別 8月17日 8月26日 9月21日薬害
(8.24) 10アール当り収量

葉いもち病
斑面積歩合節いもち
病節率首いもち
病穂率節いもち
病節率首いもち
病穂率精籾重
(㎏) 対照区対比
(%)

1.無散布 9.414 19.7 47.9 95.6 100 - 16.5 6.0

2.ブラエス　P×400 0.457 0.8 3.1 9.9 26.1 - 298.8 105

3.ブラエス　M　480 1.559 0.1 1.6 14.5 22.6 - 277.6 98

4.PS錠　1t/2L 1.058 0.1 1.7 13.9 29.6 - 283.8 100

5.M-338水溶剤×80 0.242 0.1 2.2 6.5 18.5 - 287.6 101

6.　　　〃　　　　　 160 0.215 0.1 2.0 11.6 20.9 - 320.6 113

7.　　　〃　　　　　 320 0.249 0.4 5.1 14.6 35.2 - 249.2 88

　　備考　葉いもちは予察の基準で1区50株、節、首いもちは1区10株調査

　粉剤区

試　験　区　別 8月17日 8月31日 9月21日薬害 10アール当り収量

葉いもち病
斑面積歩合節いもち
病節率首いもち
病穂率節いもち
病節率首いもち
病穂率精籾重
(㎏) 対照区対比
(%)

1.無散布 13.420 27.6 81.0 98.9 99.4 - 38.0 16.0

2.M-338粉剤A 0.242 1.0 10.6 8.5 28.4 - 273.0 117.0

3.　　〃　　　 B 0.893 1.0 10.1 11.6 30.2 - 248.0 106.0

4.　　〃　　　 C 0.396 1.7 16.7 18.0 56.7 - 184.0 78.5

5.M-338＋PI粉剤 0.433 1.1 9.3 15.5 38.3 +～± 245.0 105.0

6.ブラエスP粉剤 0.780 1.4 14.4 13.4 42.3 ± 188.0 80.0

7.ブラエスM粉剤 0.855 0.9 11.9 10.8 57.3 ±～－ 260.0 111.0

8.ブラエス粉剤 1.099 1.5 16.2 18.0 56.9 ±～＋ 195.0 84.0

9.PI粉剤(フミロン粉剤) 2.049 0.9 11.9 12.1 28.9 －～± 234.0 100.0

試　験　区　別	成　　　分　　　及　　　び　　　含　　　量
1.無散布
2.ブラエスP　400倍	ブラストサイジンS-ハロプロパジルエーテル誘導体塩(ブラエス1%)
3.ブラエスM　480〃	ブラストサイジンS、ベンゼンスルホン酸塩(ブラエス1%　Hg1%)PMA
4.有機水銀錠剤(PS錠)　1錠/2L	PMTS,EMP、EMUの混合剤(Hg 2.5%)(対照区)
5.M-338水溶剤　80倍	カスガマイシン　1.25%
6.　　　〃　　　　　160倍	〃
7.M-338水溶剤　320倍	カスガマイシン　1.25%

試　験　区　別	成分及び含量
1.無散布
2.M-338粉剤A	カスガマイシン　0.3%
3.　　〃　　　 B	〃　　　　 0.2
4.　　〃　　　 C	〃　　　　 0.1
5.M-338＋PI粉剤	カスガマイシン0.1%　Mg0.1%
6.ブラエスP粉剤	ブラエス　0.2%
7.ブラエスM粉剤	ブラエス　0.1%　Hg　0.1%
8.ブラエス粉剤	ブラエス　0.2%
9.PI粉剤(フミロン粉剤)	Hg　0.2%

試　験　区　別	8月17日	8月26日		9月21日		薬害 (8.24)	10アール当り収量
試　験　区　別	葉いもち病斑面積歩合	節いもち病節率	首いもち病穂率	節いもち病節率	首いもち病穂率	薬害 (8.24)	精籾重 (㎏)	対照区対比 (%)
1.無散布	9.414	19.7	47.9	95.6	100	-	16.5	6.0
2.ブラエス　P×400	0.457	0.8	3.1	9.9	26.1	-	298.8	105
3.ブラエス　M　480	1.559	0.1	1.6	14.5	22.6	-	277.6	98
4.PS錠　1t/2L	1.058	0.1	1.7	13.9	29.6	-	283.8	100
5.M-338水溶剤×80	0.242	0.1	2.2	6.5	18.5	-	287.6	101
6.　　　〃　　　　　 160	0.215	0.1	2.0	11.6	20.9	-	320.6	113
7.　　　〃　　　　　 320	0.249	0.4	5.1	14.6	35.2	-	249.2	88

試　験　区　別	8月17日	8月31日		9月21日		薬害	10アール当り収量
試　験　区　別	葉いもち病斑面積歩合	節いもち病節率	首いもち病穂率	節いもち病節率	首いもち病穂率	薬害	精籾重 (㎏)	対照区対比 (%)
1.無散布	13.420	27.6	81.0	98.9	99.4	-	38.0	16.0
2.M-338粉剤A	0.242	1.0	10.6	8.5	28.4	-	273.0	117.0
3.　　〃　　　 B	0.893	1.0	10.1	11.6	30.2	-	248.0	106.0
4.　　〃　　　 C	0.396	1.7	16.7	18.0	56.7	-	184.0	78.5
5.M-338＋PI粉剤	0.433	1.1	9.3	15.5	38.3	+～±	245.0	105.0
6.ブラエスP粉剤	0.780	1.4	14.4	13.4	42.3	±	188.0	80.0
7.ブラエスM粉剤	0.855	0.9	11.9	10.8	57.3	±～－	260.0	111.0
8.ブラエス粉剤	1.099	1.5	16.2	18.0	56.9	±～＋	195.0	84.0
9.PI粉剤(フミロン粉剤)	2.049	0.9	11.9	12.1	28.9	－～±	234.0	100.0