【普及奨励事項】
重粘傾斜地にける心土破砕法に関する試験成績
道立上川農業試験場畑作科

Ⅰ 目的
 重粘傾斜地における心土破砕方法と物理改善効果、ならびに作物の生育収量に及ぼす影響を知ろうとする。

Ⅱ 試験地の概要
 (1) 試験施行場所  士別市東山町九九  道立上川農試畑作科
 (2) 地形及び地質系統  標高180cm  傾斜方向SW10度  砂礫岩質土壌
 (3) 気象  平均気温5.8℃  年間降水量約1.200mm
 (4) 土壌断面の形態
腐埴を含む  小円礫を含む(珪岩) 軽埴土(LiC)粘性中
硬土16



小中円礫に富む(珪岩安山岩) 埴壌土(LiC)
粘性中 硬度22



小中円礫に富む(珪岩安山岩) 埴壌土(CL)
粘性弱 硬度22



小中円礫に富む(安山岩)砂質埴壌土(SCL)
粘性弱 硬度22

 (5) 土壌の理化学的性質
区  別 項目/層位 0~13cm 13~40cm 40~65cm 65~100cm
粒径組成
(国際法)
粗   砂 11.5 16.7 23.1 35.2
細   砂 18.6 21.1 26.3 35.8
砂合計 30.1 37.8 49.4 71.0
シルト 39.4 31.3 31.0 6.6
粘  土 30.5 30.9 19.6 22.3
化学的性質 PH H2O 5.2 5.0 4.7 4.7
Kcl 4.0 3.9 3.9 3.8
置換酸度(Y1) 14.0 40.0 65.5 68.7
全炭素  (%) 19.6 0.90 0.38 0.61
全窒素  (%) 0.19 0.12 0.06 0.08
炭素率 11 7 6 7
置換性塩基 Ca (me) 9.78 3.88 1.92 1.83
Mg (〃) 0.67 0.13 0.26 0.85
K2O(mg) 13.3 10.6 12.9 1.47
塩基置換容量(me) 19.6 19.3 20.8 19.7
石灰飽和度(%) 44.8 20.1 9.2 9.3
N/5Hcl可溶燐酸(mg) 10.8 3.8 3.8 3.8
燐酸吸収係数 838 1.146 1.056 915


Ⅲ 試験方法
 (1) 使用機種  パンブレ-カ(60cm深さ90cm間隔3本瓜)5月6日施行
 (2) 供試作物及び品種名
 (3) 耕種の梗概
   えん麦(前進)、小豆(光小豆)、デントコ-ン(黄色種)、てん菜(KW-E)(移植)、馬鈴薯(ホッカイアカ)
作物名 前作物 10a当
同収量
(kg)
10a当施肥量(kg) 畦巾
(cm)
株間
播種期
(月日)
智硝 硫安 過石 硫加 硫苦
えん麦 大正白金時 65 40 70 30 40 50   5.21
小 豆 65 20 70 20 40 50 25   5.21
デントコ-ン 65 60 70 30 40 100 45   5.21
てん菜 65 40 20 70 30 40 50 25 (完)5.21
馬鈴薯 65 60 70 30 40 70 35   5.21

 (4) 試験区別
試験区番号 試験区別 備   考
1 30cm深耕(心土破砕せず) 標準区
2 等高線心土破砕 30cm深耕   
3 方格に心土破砕   〃 等高線心土破砕後に上下破砕
4 上下に  〃      〃 下降のみ心土破砕

 (5) 試験区の配置
                       上部                  ← 20m →
   えん麦       えん麦      えん麦      えん麦      えん麦  
小 豆 小 豆 小 豆 小 豆 小 豆
デントコ-ン デントコ-ン デントコ-ン デントコ-ン デントコ-ン
てん菜 てん菜 てん菜 てん菜 てん菜
ばれいしょ ばれいしょ ばれいしょ ばれいしょ ばれいしょ
↑10m

   深耕のみ  上下心砂深耕  方格心破深耕等  高線心破深耕   深耕のみ


Ⅵ 試験成績
 (1) 破砕深と10a当所要時間
試験区別 破砕深
(cm)
10a当所要時間
(分)
備   考
等高線心土破砕 90 25 40mの往復作業26回転より算出
方格    〃 60 46 65 13区の組合せ
上下    〃 46 40 50m方作業22回転より算出

 (2) 破砕状況(等高線心土破)


 (3) 三相分布調査
  1) えん麦ほ場 7月31日調査
試験項目/
試験区別
調査部位
(cm)
真比重 気相 液相 固相 孔隙率 摘 要
等高線心土破壊
    30cm深耕
0~10 2.53 35.0 22.0 43.0 57.0  
10~20 2.55 44.0 20.0 36.0 64.0
20~30 2.66 27.0 29.4 43.6 56.4
30~40 2.66 34.0 25.0 41.0 59.0
40~50 2.70 31.0 26.0 43.0 57.0
50~60 2.66 27.0 28.5 44.5 55.5
方格心土破砕
    30cm深耕
0~10 2.58 44.0 19.0 37.0 63.0  
10~20 2.61 25.0 27.0 48.0 52.0
20~30 2.59 25.0 30.0 45.0 55.0
30~40 2.57 15.0 35.5 49.5 50.5
40~50 2.57 17.0 31.5 51.5 48.5
50~60 2.57 20.0 28.5 51.5 48.5
上下心土破砕
    30cm深耕
0~10 2.61 37.0 23.0 40.0 60.0 50cm以下は堅密
で採土不能
10~20 2.53 33.0 23.5 43.5 56.5
20~30 2.60 29.0 28.0 43.0 52.0
30~40 2.56 19.0 31.5 49.5 50.5
40~50 2.57 15.0 30.5 54.5 45.5
30cm深耕 0~10 2.51 44.0 17.5 38.5 61.5 40cm以下
10~20 2.55 41.0 18.5 40.5 59.5
20~30 2.61 39.5 18.5 42.0 58.0
30~40 2.52 19.0 31.0 50.0 50.0

  2) えん麦ほ場 8月5日(降雨直後)
試験項目/
試験区別
調査部位
(cm)
真比重 気相 液相 固相 孔隙率
等高線心土破壊
    30cm深耕
0~10 2.56 12.0 36.5 51.5 48.5
10~20 2.59 14.0 36.0 50.0 50.0
20~30 2.67 20.0 32.5 47.5 52.5
方格心土破砕
    30cm深耕
0~10 2.56 15.5 34.5 50.0 50.0
10~20 2.56 10.5 37.0 52.5 47.5
20~30 2.60 9.0 36.5 54.5 45.5
上下心土破砕
    30cm深耕
0~10 2.63 11.5 32.5 50.0 50.0
10~20 2.69 28.0 23.0 49.0 51.0
20~30 2.61 8.0 38.0 54.0 46.0
30cm深耕 0~10 2.62 17.0 32.0 51.5 49.0
10~20 2.63 16.0 33.0 51.0 49.0
20~30 2.62 10.0 35.5 54.5 45.5

  3) デントコ-ンほ場 8月9日調査
試験項目/
試験区別
調査部位
(cm)
気相 液相 固相 孔隙率 真比重 備  考
等高線心土破壊
    30cm深耕
0~10 32.0 25.3 42.7 57.3 2.52  
10~20 21.0 36.5 42.5 57.5 2.62
20~30 16. 40.6 43.4 56.6 2.61
30~40 17.0 39.7 43.3 56.7 2.59
40~50 15.5 39.0 45.5 54.5 2.67
50~60 22.0 31.5 46.5 53.5 2.67
方格心土破砕
    30cm深耕
0~10 24.5 32.0 43.5 56.5 2.67  
10~20 27.0 30.2 42.8 57.2 2.69
20~30 8.0 41.6 50.4 49.6 2.60
30~40 8.0 41.3 50.7 49.3 2.64
40~50 7.5 42.2 50.3 49.7 2.57
50~60 7.0 40.0 53.0 47.0 2.64
上下心土破砕
    30cm深耕
0~10 24.5 25.4 50.1 47.9 2.35 50cm以下は堅密で
調査不能
10~20 22.0 30.5 47.5 52.5 2.59
20~30 15.0 34.9 50.1 49.9 2.61
30~40 18.2 29.8 52.0 48.0 2.65
40~50 14.0 33.4 52.6 47.7 2.63
30cm深耕 0~10 26.0 26.2 47.8 52.2 2.53 40cm以下は同上
10~20 29.0 27.5 43.5 56.5 2.65
20~30 14.0 34.4 51.6 48.4 2.65
30~40 9.0 36.5 54.5 45.5 2.62

  4) デントコ-ンほ場 10月14日調査
試験項目/
試験区別
調査部位
(cm)
気相 液相 固相 孔隙率 真比重 備  考
等高線心土破壊
    30cm深耕
0~10 31.0 26.5 42.5 57.5 2.58  
10~20 27.0 28.8 44.2 55.8 2.51
20~30 20.0 35.0 45.0 55.0 2.50
30~40 24.0 31.4 44.6 55.4 2.56
40~50 17.0 40.3 42.7 57.3 2.59
50~60 14.0 34.8 51.2 48.8 2.62
方格心土破砕
    30cm深耕
0~10 28.0 27.2 44.8 55.2 2.45   
10~20 25.0 30.0 45.0 55.0 2.55
20~30 13.0 37.0 50.0 50.0 2.59
30~40 15.0 38.5 46.5 53.5 2.68
40~50 6.0 37.3 56.7 43.3 2.61
50~60 10.0 37.3 52.7 47.3 2.58
上下心土破砕
    30cm深耕
0~10 37.0 24.6 38.4 61.6 2.51   
10~20 25.0 30.3 44.7 55.3 2.48
20~30 18.0 33.0 49.0 51.0 2.57
30~40 9.0 39.7 51.9 48.7 2.56
40~50 15.0 31.0 54.0 46.0 2.62
50~60 14.5 32.3 53.2 46.8 2.61
30cm深耕 0~10 26.0 28.5 45.5 54.5 2.52 40cm以下は調査
不能
10~20 30.0 28.2 41.8 58.2 2.50
20~30 30.0 28.8 41.2 58.8 2.66
30~40 15.0 30.0 55.0 45.0 2.56
40~50 12.0 32.5 55.5 44.5 2.56

 (4) 土壌硬度調査
ほ場別 調査
月日
調査部位/
試験区別
0~10cm 10~20 20~30 30~40 40~50 50~60
えん麦ほ 7.31 等高線心土破砕 4 8 10 14 16 16
7.31 方格    〃 3 14 15 18 18 18
7.31 上下    〃 5 13 13 20 20 23
7.31 深耕のみ 8 16 18 22 25 25
デントコ-ンほ場 8. 9 等高線心土破砕 8 10 12 14 16 16
8. 9 方格    〃 7 12 15 16 16 16
8. 9 上下    〃 11 16 16 19 21 24
8. 9 深耕のみ 10 18 18 23 25 25
デントコ-ンほ場 10.14 等高線心土破砕 5 12 14 14 16 16
10.14 方格    〃 10 14 14 16 18 20
10.14 上下    〃 12 16 15 18 20 22
10.14 深耕のみ 15 18 18 23 25 25

 (5) 根の垂直分布調査(1.000cc当g)(風乾重)
ほ場別 調査
月日
調査部位/
試験区別
0~10cm 10~20 20~30 30~40 40~50 50~60
えん麦ほ 7.31 等高線心土破砕 13.0 24.9 21.8 23.0 22.8 13.2
7.31 方格    〃 13.6 37.2 16.8 13.2 1.5 1.5
7.31 上下    〃 10.8 22.1 22.0 10.0 3.9
7.31 深耕のみ 17.0 46.3 8.4 7.0
デントコ-ン 8. 9 等高線心土破砕 29.6 34.5 23.4 21.6 11.5 10.4
8. 9 方格    〃 12.4 32.0 19.3 11.4 2.5 1.2
8. 9 上下    〃 25.7 47.2 9.4 4.3 1.2
8. 9 深耕のみ 21.1 18.8 8.8 1.0

 (6) 作物の生育調査
  1) えん麦
試験区別 発 芽 出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
成熟期の調査

(月日)
良否
整否
草丈
(cm)
穂長
(cm)
茎数
(本)
無効
茎数
(本)
一穂
粒数
不稔
粒数
30cm深耕のみ 6. 3 良整 7.23 8.25 104.7 21.9 54.3 1.3 43.9 1.4
等高線心土破砕30cm深耕 6. 3 7.23 8.26 115.7 22.9 60.3 2.3 43.4 1.6
方格    〃    〃 6. 3 7.23 8.26 120.1 22.8 56.3 1.0 42.6 0.8
上下    〃    〃 6. 3 7.23 8.26 116.8 22.2 60.0 4.3 42.7 0.8
30cm深耕のみ 6. 3 7.23 8.24 100.8 22.3 58.0 3.0 47.2 1.5

  2) 小豆
試験区別 発 芽 開花始
(月日)
成熟期
(月日)
成熟期における調査

(月日)
良否
整否
草丈
(cm)
分枝数
(本)
莢数
不稔
莢数
30cm深耕のみ 6.20 良整 8.12 9.26 35.7 2.3 39.3 4.3
等高線心土破砕30cm深耕 6.20 8.12 9.27 38.3 4.0 54.3 9.0
方格    〃    〃 6.20 8.12 9.27 32.7 2.7 49.7 4.3
上下    〃    〃 6.20 8.12 9.27 34.2 2.3 50.2 7.7
30cm深耕のみ 6.20 8.12 9.26 32.7 2.3 43.0 3.7

  3) デントコ-ン
試験区別 発 芽 出穂期 収穫期
(月日)
収穫時における調査

(月日)
良否
整否

(月日)

(月日)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
穂数
(本)
穂長
(cm)
30cm深耕のみ 6.16 良整 8.25 9. 4 9.29 275.0 13.7 1.3 38.7
等高線心土破砕30cm深耕 6.16 8.26 9. 3 9.29 351.7 15.7 2.3 41.3
方格    〃    〃 6.16 8.26 9. 3 9.29 332.7 14.3 2.1 39.7
上下    〃    〃 6.16 8.26 9. 3 9.29 325.0 14.0 2.0 37.2
30cm深耕のみ 6.16 8.25 9. 4 9.29 295.0 12.9 1.3 36.8

  4) てん菜(その一)
試験区別 収穫期における調査
草丈
(cm)
生葉
(枚)
枯葉
(枚)
根周
(cm)
根長
(cm)
分岐根
(本)
30cm深耕のみ 49.0 26.4 6.0 28.1 13.2 2.8
等高線心土破砕30cm深耕 54.8 26.8 7.8 33.3 16.4 2.0
方格    〃    〃 49.8 27.0 9.0 32.0 15.1 3.0
上下    〃    〃 49.6 25.4 10.8 30.3 14.0 2.8
30cm深耕のみ 49.2 28.4 7.6 26.8 13.2 4.2

  5) ばれいしょ
試験区別 発 芽 開花始
(月日)
収穫期
(月日)
収穫時の調査

(月日)
良否
整否
草丈
(cm)
茎数
(本)
30cm深耕のみ 6.19 良整 7.28 10.4 74.5 4.2
等高線心土破砕30cm深耕 6.19 7.28 10.4 84.1 4.5
方格    〃    〃 6.19 7.28 10.4 85.0 4.4
上下    〃    〃 6.19 7.28 10.4 84.7 4.5
30cm深耕のみ 6.19 7.28 10.4 80.0 4.4

 (7) 作物収量調査
  1) えん麦
試験区別 10a当収量(kg) 子実
収量比
一立
重量
(g)
千粒
重量
(g)
品質
順位
総重 稈重 子実重
30cm深耕のみ 570 210 (301)
314
100 400 31.9 1
等高線心土破砕30cm深耕 593 230 312 104 390 29.2 2
方格    〃    〃 648 268 318 106 395 28.4 2
上下    〃    〃 628 268 310 103 375 29.8 3
30cm深耕のみ 578 223 288 408 31.0 1

  2) 小豆
試験区別 10a当収量(kg) 子実
収量比
一立
重量
(g)
千粒
重量
(g)
腐敗粒歩合 品質
順位
総重 稈重 子実重 粒数
(%)
重量
(%)
30cm深耕のみ 250 100 (158)
150
100 798 114 3.2 2.7 1
等高線心土破砕30cm深耕 355 193 162 103 754 123 12.7 12.3 2
方格    〃    〃 320 169 151 96 715 129 19.1 14.9 2
上下    〃    〃 350 197 153 97 710 127 19.1 17.4 3
30cm深耕のみ 285 120 165 798 113 2.3 1.8 1

  3) デントコ-ン
試験区別 10a当収量(kg) 収量比 風乾率
(%)
生重 風乾重 生重 風乾重
30cm深耕のみ 3.880 1.858 (4.110)
100
(1.946)
100
47.9
等高線心土破砕30cm深耕 6.200 2.994 151 154 48.3
方格    〃    〃 5.800 2.397 141 123 44.1
上下    〃    〃 5.444 2.176 132 112 40.0
30cm深耕のみ 4.340 2.034 46.9

  4) てん菜
試験区別 10a当
個数
10a当収量(kg) 菜根
収量比
T/R 根中
糖分
(%)
純糖率
(%)
10a当可製糖量
総重 頸葉重 根重 重量 収量比
30cm深耕のみ 7.800 9.252 5.130 (4.035)
4.122
100 124 18.60 85.5 (653)
655
100
等高線心土破砕30cm深耕 7.600 12.589 6.675 5.914 1047 113 19.15 87.9 995 152
方格    〃    〃 7.900 9.599 4.635 4.964 123 93 18.10 86.0 773 118
上下    〃    〃 7.850 9.027 4.520 4.507 112 100 19.15 86.4 746 114
30cm深耕のみ 7.600 8.273 4.325 3.948 110 18.95 87.0 651

  5) ばれいしょ(その一)
試験区別 10a当個数 10a当重量(kg) 10a当上いも収量
収量(kg) 収量比
30cm深耕のみ 7.450 10.100 12.800 30.350 1.580 1.100 470 (3.076)
3.150
(2.614)
2.680
100
等高線心土破砕30cm深耕 9.400 11.400 23.200 44.000 2.004 1.174 803 3.981 3.178 122
方格    〃    〃 8.400 10.200 18.400 37.000 1.802 1.075 638 3.515 2.877 110
上下    〃    〃 7.600 9.500 13.100 32.000 1.626 994 535 3.155 2.620 100
30cm深耕のみ 7.200 9.700 13.400 30.300 1.522 1.025 532 3.079 2.547

    ばれいしょ(その二)
試験区別 総収量比 10a当
屑いも重
(kg)
澱粉
含有率
(%)
10a当澱粉収量 腐敗
個数
歩合
(%)
個数 重量 収量 収量比
30cm深耕のみ 100 100 84 20.0 (600)
630
100 6.6
等高線心土破砕30cm深耕 145 129 390 19.1 760 127 1.8
方格    〃    〃 122 114 285 19.1 671 112 5.4
上下    〃    〃 106 103 305 18.1 571 95 18.6
30cm深耕のみ 213 18.5 570 9.9

Ⅴ 試験結果ならびに考察
 1) 心土破砕作業の難易ならびに能率
  10度程度の傾斜地であれば等高線方向の運転によるズレも問題とするほどでもなく、往復作業も容易で最も能率的であった。これに反して上下作業は下降の際は破砕瓜の土中への貫入が用紙でなく、出発点に破砕不能の部分が多く残ることが認められた。また下降の際は破砕深度が浅いことも加わってけん引抵抗も小さいが登上の際には破砕瓜が規定以上に貫入するため、早春の土壌水分の多いときにはけん引不能となり、下降作業のみしか出来ず作業能率が低いばかりでなく、トラクタ-の踏圧による土壌の固結が大であった。また方格心土破砕は作業時間を多く要するばかりでなく上下心土破砕を行った場合は踏圧によって先に行った等高線心土破砕効果が著しく低下する不合理が認められた。
 2) 心土破砕方法と土壌の物理性改善効果との関係
  破砕深度ならびに硬度三相分布等を調査した結果等、高線心土破壊が最も優り、上下心土破壊が最も劣った。また上下心土破壊を行った場合に降雨後傾斜面下部に滲透流去水が停滞するので畜力管理作業等に支障を来すことが多く作物の生育とくに地下部に湿害を生ずる等の障害もみられた。
 3) 作物の生育収量に及ぼす影響
  前述のような物理的の改善により心土の破砕効果は深根性作物であるてん菜、デントコ-ン等に最も顕著な効果がみられ、ばれいしょがこれに次いだがえん麦、小豆はあまり効果がみられなかった。また心土の破砕方法では等高線心土破壊が最も有効であることが認められた。
 4) 総合的考察
  以上の結果を総合して考察すると上川北部に多い重粘傾斜地における心土破砕の方法としては等高線の心土破砕方法が最も効果的で、とくに深根性作物であるてん菜、デントコ-ン等の増収効果が最も顕著であることが認められた。