【普及奨励事項】
浸透性有機燐剤の土壌施用による馬鈴薯アブラムシ類の防除試験成績
北海道農業試験場
北海道立中央農業試験場
  〃   道南農業試験場
  〃   上川農業試験場
  〃   十勝農業試験場
  〃   北見農業試験場
  〃   天北農業試験場天塩支場

Ⅰ 普及上の要点
 1. アブラムシに対する効果
  浸透性有機燐剤の土壌施用は、馬鈴薯に寄生するアブラムシ類の繁殖防止に有効であり、昭和39年度までの試験成績は農業技術普及資料第9巻第1号421~429頁に記載されている。
 本年はその有効と認められたエチルチオメトン、ジメトエ-ト、IPSP各5%粒剤の再検討ならびに実用化試験を実施した。その結果、供試剤はいずれもじゃがいもの生育期間中、ジャガイモヒモナガアブラムシ、モモアカアブラムシの繁殖を低密度に抑えることができた。施用剤のアブラムシに対する有効期間は土壌又は気象条件にもよるが、おおよそ2ヶ月程度とみなされる。
 なお省力的防除場面の開発の一端として、製せられたこれら殺虫剤と肥料との混合剤もまた有効であった。
 2. 使用方法及び施用量
  粒剤は播種溝に施肥した上に10a当4~6kg(標準栽植密度で1株当り1~1.5g)を有効成分量で350g程度をすじまきにし、土と軽く混和してから播種すればジャガイモの萌芽を障害せずに効果が高い。
 3. 馬鈴薯葉巻病ウイルスについて
  ウイルス病を防除するには、従来より行われている病株の早期抜き取りが最も重要であって、土壌施用剤によるアブラムシ類の初期防除はこの病株抜き取りの効果を助長するものと考えるべきである。
 なお、後期感染を防ぐため、播種60日後より燐剤の茎葉散布が必要である。

Ⅱ 試験調査成績
 1. 供試剤の施用方法
  土壌(土中)施用: 播種溝に肥料を施し、その上に所定量の粒剤を施用し、土と攪拌後種薯を播種する。
  土表施用法:萌芽揃期に播溝上に粒剤を施用
  培土期施用:粒剤を株元に施用後培土
  茎葉撒布:有機燐剤(乳剤)の1.000倍液も、10a当り100Lの割合で萌芽後10日間隔で収穫時まで散布
 2. 調査方法
  アブラムシの調査:1区から20株を任意に選んで、各株5複葉に寄生するジャガイモヒゲナガアブラムシとモモアカアブラムシ数を算える。
  発病調査:当代感染の発病については、各品種の黄変期前に、次代検定においては前年度試験区の各株より各々1個宛採取した種いもについての二次病微を調査した。
 3. 試験成績
  (1) 北海道農業試験場
試験薬剤 施用量
(株当)
(g)
アブラムシ数(1株5複葉300複葉当) 発病株数の
無処理比
(%)
6月 7月 8月
16 22 30 7 14 21 28 5 11 18
ジメトエ-ト粒剤5% 1 0 1 1 3 2 19 59 82 106 24 297 9.8
1.5 0 0 2 3 6 9 36 65 103 36 260 8.2
エチルチオメトン粒剤5% 1 0 0 3 4 2 7 34 26 49 14 139 13.1
1.5 0 0 2 4 0 17 8 11 21 3 66 6.6
IPSP粒剤    5% 1.5 0 0 1 9 13 7 17 45 36 6 134 27.9
   〃        7%  1.5 1 2 1 6 3 2 27 19 11 17 89 14.8
  〃      10% 1.5 0 3 3 2 4 7 4 15 9 3 50 8.2
無  処  理   20 46 224 280 163 306 429 432 334 27 2.261 100.0
  注) 紅丸、播種:5月17日、1区面積:23.4m2

  (2) 北海道立十勝農業試験場
供試薬剤 施肥法と量
(g)
アブラムシ数(100複葉当) 葉捲病当代
感染株数
6.17 6.28 7. 9 7.22 7.28 8.11 合計
エチルチオメトン粒剤 5% 土中  1 0 0 0 0 1.3 0 1.3 3
土中  2 0 0 0 0 0 0.3 0.3 2
土表  2 0 0 0 0 0 3.3 3.3 0
土中  1
培土  1
0 0 0 0 0 0 0 5
IPSP粒剤  5% 土中  1 0 0 0 0.3 0.3 0.7 1.3 3
土中  2 0 0 0 0 0.7 0 6.7 0
土表  2 1.3 2.7 3.0 1.0 11.0 0.3 19.3 2
土中  1
培土  1
0 0 0 0 0 0 0 2
MPP乳剤  50% 8回散布 0 0 0 9.7 8.7 14.0 32.4 3
無  処  理 1.3 13.3 77.0 249.7 456.3 33.3 830.9 4
  注) 葉捲病株数は168株当り調査  品種:エニワ  播種期:5月7日  1区面積:20m2

  (3) 北海道立北見農業試験場
供試薬剤 処理時間 施用量
(10a当)
アブラムシ数(300複葉当り)
粒剤
(kg)
成分
(g)
2/Ⅶ 12/Ⅶ 21/Ⅶ 2/Ⅷ 10/Ⅷ 19/Ⅷ
エチルチオメトン粒剤 5% 播種期 4 200 0 0 0 1 3 1 5
6 300 0 0 1 0 1 0 2
萌芽期(6. 7) 4 200 0 1 0 24 13 10 48
培土期(7.12) 4 200 3 0 6 5 0 3 17
播種期・培土期 4 200 0 0 0 1 2 3 6
IPSP粒剤  5% 播種期 4 200 0 0 0 29 7 11 47
6 300 0 1 12 29 3 3 48
萌芽期(6. 7) 4 200 6 2 7 35 23 10 83
培土期(7.12) 4 200 1 6 33 51 42 4 137
播種期・培土期 4 200 0 1 17 25 8 2 53
ジメトエ-ト粒剤  5% 播種期 4 200 8 1 0 16 14 3 42
無   処   理 0 2 17 70 39 26 154
  注) 品種:エニワ  播種期:5月13日  1区面積:17.8m2

  (4) 北海道立上川農業試験場
供試薬剤 処理時間 1株当り
施用量
(g)
アブラムシ数(300複葉当り) 合計
22/Ⅵ 6/Ⅶ 16/Ⅶ 9/Ⅷ 20/Ⅷ
IPSP粒剤 播種期 1 0 0 0 0 0 0
2 0 0 0 0 0 0
萌芽期(6.16) 1 0 3 0 0 0 3
播種期 1 0 0 0 0 0 0
培土期(7. 1) 1             
播種期 1 0 0 0 5 0 5
50日後(7.16) 1            
無 処 理 0 21 108 24  1 154
  注) 品種:農林1号  播種期:5月26日  1区面積:15m2

  (5) 北海道立中央農業試験場
区の構成 (8月12日)
発病率
アブラムシ数(300複葉当り)
6.19 6.29 7. 9 7.19 7.29 8. 9 8.19
土壌施用区(IPSP粒剤) 0.9 1 5 0 8 37 20 4
茎葉撒布区(チオメトン乳剤) 1.9 52 26 6 13 90 46 13
無  処  理  区 11.1 87 143 90 59 207 135 80
  注) 品種:男爵  播種期:5月12日  1区面積:23.4m2
      土壌施用区は株当り2g施用、茎葉散布は播種40日から10日おきに7回散布

  (6) 北海道立中央農業試験場、北海道農業試験場
   昭和39年度試験成績次第検定
区の構成 施用方法 葉捲病
前年度当
代感染率
(%)
次代
発病率
(%)
エチルチオメトン粒剤 土壌施用 3.5 2.9
I P S P 粒剤 4.9 2.2
ジメトエ-ト粒剤 4.2 5.8
パラチオン乳剤(6.11~) 茎葉散布 3.5 9.4
エチルチオメトン粒剤
+パラチオン乳剤(7.21~)
土壌施用
散布併用
4.2 2.1
無   処   理   31.0 28.6
  注) 品種:紅丸  土壌施用は株当り1.5g  茎葉散布はパラチオン乳剤の1.500倍散布

 <広面積実用化試験>
  1. 耕種概要および薬剤の施用方法
   耕種条件は農家の慣行に準じ、粒剤は肥料と混合して畜力施肥機で作条施用した。
  (1) 北海道農業試験場
   虻田郡留寿都町農家圃場
圃場
区分
区の構成 施用有効
成分量
(10a当)
(g)
アブラムシ数 発病株数
6.25 7. 9 7.31 8.15 7.31 8.24
A IPSP粒剤 360 0 0 0 1.0 0
無 処 理 0 5.6 204.4 108.8 3.0
B IPSP粒剤 5% 360 0 0 1.4 0.8 0
無 処 理 0 10.0 96.0 50.4
C IPSP粒剤 360 0 0 0.8 0 0 0.2
無 処 理 3.8 43.6 358.0 69.2 3.7 14.3
  注) 品種:紅丸  播種期:5月12日~19日  1区面積:約1ha

  (2) 北海道立十勝農業試験場
   ア 河西郡芽室町農家圃場
供試薬剤 施用有効
成分量
(10a当)
(g)
アブラムシ数 葉捲病当代
感染株
6.30 7.12 7.20 7.30 8.10 8.18
エチルチオメトン粒剤(A) 300 0 0 0 0 4.0 0 4.0 2.5
エチルチオメトン粒剤(B) 300 0 0 0 10.0 0 5.0 16.0 0.5
無   処   理 8.6 28.6 52.6 174.0 408.8 272.0 944.6 12.0
  注) 品種:紅丸  播種期:5月9日  1区面積:0.4~1.6ha

   イ 河西郡芽室町農家圃場
供試薬剤 施用有効
成分量
(10a当)
(g)
アブラムシ数
7.22 7.29 8. 9 8.20 9. 1
エチルチオメトン粒剤 5% 300 0.1 0.9 4.7 6.3 4.4 16.4
無   処   理 9.1 42.1 103.7 130.4 24.1 309.4
  注) 品種:紅丸  播種期:5月10日  1区面積:0.15ha

  ウ 帯広市川西町農家圃場
施用方法 供試薬剤 アブラムシ数
6.30 7.10 7.30 8.10
土壌施用(10a当4kg) エチルチオメント粒剤 5% 0 0 0 0 0
茎葉散布(7月上旬から) E S P 乳剤   50%
茎葉散布(7月上旬から) E S P 乳剤   50% 2.5 0 10.0 0 12.5
  注) 品種:エニワ  播種期:5月上旬  1区面積:1ha

  エ 河西郡芽室町農家圃場
供試薬剤 施用有効
成分量
(10a当)
(g)
アブラムシ数 葉捲病
6.30 7.12 7.20 7.30 8.10 8.18 当代
感染株
二次
病微株
エチルチオメトン粒剤(A) 300 0 0 0 0 20 0 20 2.5 1.0
エチルチオメトン粒剤(B) 300 0 0 0 80 0 40 120 0.5 0
無   処   理 86 286 526 1.714 4.054 2.714 9.380 12.0 0.5
  注) 品種:紅丸  播種期:5月9日  1区面積:0.3ha

 <浸透性有機燐剤と肥料との混合剤による効果>
  204尿素高度・低度化成
  (1) 供試剤の組成
供試剤 成分量(%)
IPSP N P2O5 K2O MgO
204尿素高度化成 0.5 12 20 14 6
204尿素低度化成 0.3 7 11 9 3
I P S P粒剤 5.0
尿素高度化成(対象) 12 20 14 6
尿素低度化成(対象) 7 11 9 3

  (2) 試験地と試験条件
担当農試名 試験地名 1区面積 品種 播種月日
北海道農業試験場 虻田郡留寿都町農家圃場 0.5~0.8ha 紅 丸 5.10
  北海道立道南農業試験場 亀田郡大野町農家圃場 9.6m2 男 爵 4.27
    〃   上川農業試験場 士別市農試畑作科圃場 15m2 農林1号 5.26
    〃   十勝農業試験場 河田郡芽室町農試圃場 20m2 エニワ 5.13
    〃   北見農業試験場 常呂郡訓子府町農試圃場 31.2m2 男 爵 5.14
  〃天北農業試験場天塩支場 天塩郡天塩町支場圃場 18m2 紅 丸 5. 7

  (3) 供試剤の施用方法
   播種直前に畜力施肥機、または、手まき法によって播溝に施用した施用量は表に示した。
  (4) 調査方法
   アブラムシの寄生数の調査は前記と同様である。
  (5) 試験成績
   アブラムシ数は100複葉、発病株数は100株当りで示した。
試験
場所
区の構成 有効
成分量
(10a当)
(g)
6月 7月 8月




204尿素高度化成 435     0 0   0   0  
対象 (無処理)     0 9.2   244.0   96.0  
204尿素高度化成 335     0 0   0   0  
対象 (無処理)     0 3.8   167.0   77.8  
204尿素高度化成 285     0 0   0.8   0  
対象 (無処理)     0.9 0   183.6   40.0  






204尿素高度化成 300 0 8.0 65.2 32.0 49.2        
IPSP粒剤+尿素高度化成 300 0 12.0 38.8 26.9 46.8        
IPSP粒剤+尿素高度化成 200 0 8.0 70.8 48.2 102.8        
対象区 (尿素高度化成) 28.0 145.2 761.2 276.0 288.0        
204尿素低度化成 300 0 12.5 64.0 34.0 42.8        
IPSP粒剤+尿素低度化成 300 0 16.0 44.0 32.0 59.9        
IPSP粒剤+尿素低度化成 200 0 10.8 76.0 58.8 90.8        
対象区 (尿素低度化成) 28.0 182.8 809.2 270.8 352.0        






204尿素高度化成 300        0 0   0 0  
IPSP粒剤+尿素高度化成 300        0 0   0 0  
対象区 (尿素高度化成)       7.0 31.3   0.3 0.3  
204尿素低度化成 300       0 0.3   0 0  
IPSP粒剤+尿素低度化成 300       0 1.7   0 0  
対象区 (尿素低度化成)       4.7 31.0   9.7 5.3  



尿素高度化成(対照)   0.1 7.7 17.3 104.0 118.7 18.3    
204尿素高度化成 300   0 0 0 0 0.7 1.3    
IPSP粒剤+尿素高度化成 300   0 0 0 0 0 0.7    
204尿素低度化成 300   0 0 0 1.7 0.3 1.0    
IPSP粒剤+尿素低度化成 300   0.3 0 0 0 2.7 1.7    






IPSP粒剤+尿素高度化成 300       0 0.3 1.7 9.3 13.2 1.3
204尿素高度化成 300       0 0 0 11.3 13.3 2.7
対象区 (尿素高度化成)       1.3 7.7 12.0 84.3 135.0 28.0
204尿素低度化成 300       0 0 2.7 3.7 9.0 1.7
IPSP粒剤+尿素低度化成 300       0.7 0 4.3 8.4 25.0 9.7
対象区 (尿素低度化成)       0.3 0.7 2.7 43.7 101.6 9.7



204尿素高度化成 300   7.2 8.9 6.7 2.2   5.5 3.3 7.8
IPSP粒剤+尿素高度化成 300   8.9 15.5 18.8 10.0   10.0 20.0 14.5
204尿素低度化成 300   0 1.2 3.8 1.2   1.2 0 1.3
IPSP粒剤+尿素低度化成 300   7.2 18.8 32.8 6.7   13.3 12.8 23.3
尿素高度化成   37.8 40.0 43.8 14.5   10.0 14.5 17.8

 <エチルチオメントおよびジメトエ-ト化成肥料>
 化成肥料
  (1) 供試剤の組成
供試剤 成分量(%) 有機燐剤
N P2O5 K2O MgO
エチルチオメトン化成肥料 10 16 12 5 0.3
ジメトエ-ト化成肥料 11 22 20 5 0.3

  (2) 試験の条件
   前記と同様である。
  (3) 試験成績(北海道農業試験場)
   ア エチルチオメトン化成肥料
供試剤と施用量(10a当り) 投下薬量
(10a当り)
(g)
アブラムシ数(300複葉当り)
6.24 7. 1 7. 7 7.14 7.28 8.10
エチルチオメトン化成肥料 80kg 240 0 0 4 1 4 12 21
化  成  肥  料     80   6 0 13 5 12 31 67
エチルチオメトン粒剤 5% 4.8 240
化  成  肥  料(無処理)80 83 112 363 267 515 879 1.719
エチルチオメトン化成肥料 100kg 300 0 0 3 0 1 6 10
化  成  肥  料     100 300 0 1 17 3 3 28 52
エチルチオメトン粒剤 5% 6
化  成  肥  料(無処理)100 52 115 402 228 395 340 1.532
  注) 品種:農林1号  播種期:5月8日  1区面積:15.75m2

  イ ジメトエ-ト化成肥料
施用
時期
供試剤と施用量(10a当り) 投下薬量
(10a当り)
アブラムシ数(300複葉当り)
6.24 7. 3 7.14 7.27 8. 3 8.18
播種
培土
ジメトエ-ト化成肥料 100kg 300 2 0 5 9 70 241 327
ジメトエ-ト粒剤 5% 6 300 6 5 5 20 101 227 364
ジメトエ-ト粒剤 5% 6 300 182 417 164 5 61 310 1.139
化成肥料(無処理) 100 221 339 154 205 643 743 2.289
  注) 品種:男爵  播種期:5月20日  1区面積:27.4m2

 <施用剤のばれいしょの生育に及ぼす影響>
  粒剤の萌芽に対する影響
 (1) 試験方法
  播種時に株当り1~1.5gの供試剤を作条施用し、ばれいしょの萌芽に及ぼす影響を調査した。
 (2) 試験成績
  萌芽調査(北海道農業試験場)
供試薬剤 使用量
1株当り
(g)
調査月日
6. 1
(株)
6. 8
(株)
6.14
(株)
エチルチオメトン粒剤 5% 1 1.3 37.7 77.0
1.5 1.3 40.7 76.0
I P S P 粒剤  5% 1.5 3.3 39.0 76.7
     〃      7% 1.5 7.0 42.7 75.3
     〃     10% 1.5 5.3 43.7 75.3
ジメトエ-ト粒剤  5% 1 4.3 42.0 76.7
1.5 6.0 33.7 75.7
無   処   理 5.7 33.0 74.7
  注) 1区78株  3区の平均で示す
     品種:紅丸  播種期:5月7日

 <尿素化成との混合剤のばれいしょ生育及び収量に及ぼす影響>
 (1) 試験方法
  供試剤の有効成分量として10a当り300gを播種時に作条し、ばれいしょの生育収量への影響を調べた。
 (2) 試験成績
  生育と収量調査(北海道立北見農業試験場)
供試薬剤 使用量
10a当り
IPSP成分量
(g)
萌 芽 茎長
(cm)
10a当り
上いも重
(kg)
整否
204尿素高度化成1号 300 6.15 ヤヤ整 62.0 3.564
高度化成+IPSP粒剤 300 6.15 58.7 3.284
204尿素低度化成1号 300 6.15 62.0 3.133
低度化成+IPSP粒剤 300 6.15 61.0 3.547
高度化成  (対照) 300 6.14 62.0 3.408
低度化成  (対照) 300 6.15 ヤヤ整 60.0 3.355
  注) 品種:男爵  播種期:5月13日  3区の平均で示す

 生育と収量調査(北海道立天北農業試験場天塩支場)
供試薬剤 使用量
10a当り
IPSP成分量
(g)
萌  芽 終花期
茎長
(cm)
10a当り いも重の
無処理比
(%)
良整否 いも数
(個)
いも重
(kg)
204尿素高度化成1号-P 300 6. 8 良整 70.9 30.448 2.900 108
尿素高度化成+IPSP粒剤 300 6. 8 68.4 27.527 2.773 103
204尿素低度化成1号-P 300 6. 9 70.4 28.000 2.685 100
尿素低度化成+IPSP粒剤 300 6. 9 68.3 30.190 2.750 103
尿 素 高 度 化 成 300 6. 8 69.1 29.335 2.681 100
  注) 品種:紅丸  播種期:5月7日

  (3) 試験結果総括
   ア.供試した薬剤の土壌施用は、いずれも従来の茎葉散布法より一段とアブラムシの発生を抑え、葉捲病の伝播を防止した。
   イ.1区2.0~1.0haの広面積圃場に、エチルチオメトンおよびIPSPの5%粒剤を10a当り6kg(有効成分として300g)施肥機で肥料帯に作条施用した結果、アブラムシの寄生ならびにウイルスの感染株が極めて低く有効であった。
   ウ.IPSP、エチルチオメトン、ジメトエ-ト各剤と化成肥料との混合剤はそれら単剤施用と同等の効果をあげ、アブラムシの寄生ならびにジャガイモ葉捲病の発生を低率に抑えることができる。
   エ.エチルチオメトン、IPSP、ジメトエ-ト各粒剤とも、播種溝に作用すれば、ばれいしょの萌芽えの悪影響は全く認められない。
 またIPSP204剤の化成肥料との混合剤について調査した結果、ばれいしょの萌芽、生育および収量ともに無処理区と差を認めなかった。