【普及奨励事項】
天北地帯泥炭地、草地の施肥に関する試験成績
道立天北農業試験場 天塩支場

1. 試験の目的
 近年酪農の振興に伴い草地の造成が急速に発展しているが、農家経営面積の狭あい等から、泥炭地にも、草地の造成がなされつつあるので、これが施肥管理技術について、特に適応面積の多い低位泥炭地について検討する。
2. 試験圃場の概要
 支場内のヨシを主体とする低位泥炭地(借用地)で、30年程前に明渠を施行したが、経年とともに次第に排水不良となり、昭和36年に再び暗渠を施行した。翌昭和37年に草地造成すべく笹等の焼払いを行い、昭和38年及び39年に造成した新墾地である。尚昭和37年若干であるが放牧したことがある。土壌断面は下図の通りである。排水は間隔15m、暗渠又は明渠とした。


3. 草地の造成法
 当初にロ-タ-ベ-タ-による拡拌耕鋤を計画したが、都合により馬でプラウ耕を実施し(15糎深としたが、稍不均一であった)後、トラクタ-でデスク2回、石灰散布後耕耘機で2回砕土した。整地後施肥播種し鎮圧した。
 (1) 3要素試験
  ア 試験方法
  ア-1区面積及び区制  1区12m2、2反復
  イ-酸性矯正 PH炭カルにて6.0に矯正、表土15cm
  ウ-草種(混播) チモシ-グラス、オ-チャ-ドグラス、ペレニアル、ライグラス、アカクロ-バ、アルサイククロ-バ、拡0.5kg、ラジノクロ-バ0.3kg
  エ-播種法及び播種期 散播 昭和39年5月12日
  オ-処理区別 試験成績の項参照
  カ-施肥量(kh/10a) 基肥N4.0、P2O50、K2O10.0
    追肥N2.0、P2O55.0、K2O0.5(収穫毎)
    Nは硫安、P2O5は過石、K2Oは硫加で施用した。
  キ-
収穫期 1番草 2番草 3番草 4番草
昭和39年 8月5日 9月25日    
昭和40年 6月8日 7月13日 8月13日 9月27日


  イ 試験成績
   以下の諸表に於いては次の如く略記して示す。
   P…P2O50、K…K2O
 第1表 生草収量及びマメ科率(刈取時期別) (3要素試験)
年   次/
刈取時期/
調査項目/
施肥区別
昭和39年度 昭和40年度
1番草 2番草 1番草 2番草 3番草 4番草
総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率
無肥料 962 57 34 687 60 23 938 38 27 763 50 15 417 38 11 384 30 0
N単用 1.004 59 30 792 58 19 829 34 28 854 56 19 484 44 20 342 26 11
P単用 1.459 85 18 1.050 76 6 892 36 9 754 49 1 379 35 0 475 37 0
K単用 1.283 75 30 1.175 85 32 1.788 73 45 1.159 76 37 750 69 47 705 54 40
無 K 1.463 86 17 975 71 9 1.129 46 12 892 58 3 529 49 0 563 43 0
無 P 1.192 70 27 1.134 82 29 1.296 53 36 1.179 77 24 829 76 33 738 57 20
無 N 1.688 99 30 1.383 101 15 1.976 80 25 1.400 92 17 1.063 98 40 1.279 98 31
3要素 1.709 100 17 1.375 100 11 2.454 100 12 1.525 100 12 1.088 100 18 1.300 100 14
3要素 不矯正 1.958 115 7 833 61 14 1.542 63 8 650 43 24 700 64 0 1.158 89 0

 第2表 風乾物収量及びマメ科(刈取時期別) (3要素試験)
年   次/
刈取時期/
調査項目/
施肥区別
昭和39年度 昭和40年度
1番草 2番草 1番草 2番草 3番草 4番草
総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率 総重量 収量比 マメ科率
無肥料 171 52 24 166 68 21 147 44 25 145 57 13 80 43 10 78 31 0
N単用 188 57 22 158 65 17 124 37 24 158 62 16 110 56 18 79 32 10
P単用 357 108 11 208 86 5 139 42 7 157 62 1 78 40 0 102 41 0
K単用 214 64 23 203 84 29 244 73 39 179 70 31 132 68 43 140 56 37
無 K 307 92 13 175 72 8 157 47 10 158 62 3 113 58 0 109 43 0
無 P 214 64 20 193 79 26 189 57 30 204 80 20 154 79 28 149 59 19
無 N 315 95 22 240 100 13 255 17777 20 229 90 11 177 91 34 209 84 26
3要素 332 100 12 243 100 10 333 100 9 255 100 10 195 100 15 250 100 12
3要素 不矯正 388 117 4 174 72 11 254 76 6 122 48 18 149 76 0 249 100 0

  ウ 試験結果並びに考察
  試験経過中、特記すべき障害はなかった。第1表、第2表によると造成当初の昭和39年1番草においては、明らかにリン酸の無施用区、即ちN単用、K単用、無P区無肥料区のみ、収量著しく劣り、マメ科率はリン酸の施用区で、少なくなる傾向を示した。39年度2番草に至ると、風乾物量で、リン酸の施用効果も認められるが、次第にカリの施用果が認められるようになり、特にマメ科率の高くなることがわかる。(2番草無N区、3要素区のマメ科率が少ないは1番草の良好な生育に伴う倒伏によって、葉腐病が発生し枯死したための影響である。)この傾向は40年になると一層強く現れ、風乾物収量では1~4番草とも、カリの施用効果が最も高くなり、特にリン酸の併用により顕著である。マメ科率では、カリの伴わないリンの施用区(P単用、無K区)では益々低くなり、3番草では、マメ科は皆無とまった。これに対してK単用区のマメ科率は最も高く、叉リン酸とカリの併用区(無N区)のマメ科率は次第に増加した。無石灰区は両年とも1番草の風乾物収量は比較的高いが、2番草より次第に低下し、マメ科率は極めて低く、40年3番草で消滅した。当試験の結果から、ヨシを主体とする低位泥炭地では、当初リン酸が最も必要であり、他の土壌に比べて比較的早い時期から、カリの効果が顕著に認められた。
 (2) 3要素施用量試験
  ア 試験方法
   ア)1区面積及び区制  1区16m2、33混同法、無反復
   イ)酸性矯正  PH炭カルにて6.0矯正  表土15cm
   ウ)草種(混播) チモシ-グラス、オ-チャ-ドグラス、ペレニアルライグラス、アカクロ-バ、アルサイクロ-バ各0.5kg、ラジノクロ-バ0.3kg
   エ)播種法及び播種期  散播-昭和38年6月5日
   オ)処理区別 施肥量(kg/10a)収穫毎
      N  2..0  4.0  6.0
     P2O5  5.0  10.0  15.0
     K2O  5.0  10.0  15.0
  Nは硫安、P2O5は過石、K2Oは硫加で施用した
   カ)
収穫期 1番草 2番草 3番草 4番草 5番草
昭和38年          
昭和39年 6月1日 6月24日 7月22日 8月25日 9月30日
昭和40年 6月1日 7月 2日 7月27日 8月27日 10月2日

  イ 試験成績
 第3表 3要素施用試験(生草収量及びマメ科率) (略)

 第4表 3要素施用試験(風乾物収量及びマメ科率) 収量kg/10a (略)

 第5表 生草収量及びマメ科率(年合計) (3要素施用量試験)
年次 燐酸施用量/
カリ施用量/
調査項目/
窒素施用量
5kg 10kg 15kg   
5kg 10kg 15kg 5kg 10kg 15kg 5kg 10kg 15kg  
総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率
昭和38年 2kg 651 68 596 57 993 52 897 66 928 59 1.061 56 1.038 40 994 65 1.031 77
4 507 58 730 41 1.021 63 819 63 1.028 44 1.217 43 1.017 64 1.021 61 1.122 74    
6 826 49 530 47 820 55 941 68 1.043 58 1.117 54 946 65 820 61 968 50    
昭和39年 2 6.905 49 6.850 39 8.216 48 6.895 38 7.921 39 8.234 42 6.990 33 7.360 38 7.711 35 1.720 20
4 7.160 36 7.289 41 7.467 33 7.244 44 7.423 29 8.417 30 6.233 26 7.521 34 8.862 39    
6 7.567 23 8.539 31 9.184 36 7.556 37 7.761 37 8.100 27 7.533 36 7.739 33 7.989 21    
昭和40年 2 6.722 41 7.739 47 8.379 54 6.922 45 7.861 41 7.833 34 7.005 39 7.462 34 7.144 32 900 5
4 7.200 46 7.833 40 7.546 34 6.982 21 7.155 19 7.684 27 6.328 16 7.539 19 7.945 19    
6 6.239 20 7.872 39 8.411 48 6.872 37 7.029 19 6.950 22 7.183 28 7.051 22 8.233 22    

 第6表 風乾物収量及びマメ科率(年合計) (3要素施用量試験)
年次 燐酸施用量/
カリ施用量/
調査項目/
窒素施用量
5kg 10kg 15kg   
5kg 10kg 15kg 5kg 10kg 15kg 5kg 10kg 15kg  
総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率
昭和38年 2kg 98 66 96 56 137 50 137 64 131 59 147 55 149 39 137 64 147 77
4 79 57 113 39 146 61 120 63 155 44 168 43 159 63 167 60 145 73    
6 124 46 84 45 117 54 134 69 150 56 164 53 137 64 151 61 142 49    
昭和39年 2 1.030 44 1.010 33 1.133 42 1.042 33 1.109 35 1.156 37 1.081 28 1.075 33 1.073 31 351 18
4 1.072 32 1.030 36 1.095 27 1.044 39 1.089 25 1.212 25 977 22 1.133 30 1.186 34    
6 1.146 21 1.190 27 1.220 31 1.082 32 1.097 31 1.208 23 1.079 31 1.103 29 1.138 18    
昭和40年 2 989 33 1.075 40 1.056 46 991 37 1.080 23 1.166 26 1.072 33 1.082 28 1.079 26 207 4
4 1.047 39 1.080 34 1.090 48 1.092 16 1.125 15 1.091 21 1.041 13 1.154 16 1.196 15    
6 1.002 16 1.100 32 1.112 40 1.002 31 1.071 15 1.064 17 1.035 23 1.083 18 1.164 16    

 第7表 乾物生産速度(3要素施用試験)
年次 肥料/
施用量/
刈取時期/
窒素 燐酸 カリ 無肥料
2kg 4 6 5 10 15 5 15 15
昭和39年 1番草 4.71 4.71 4.93 4.93 4.67 4.79 4.43 4.69 5.24 1.93
2 〃 7.39 7.78 8.35 8.35 8.43 7.43 8.17 7.43 7.91 3.87
3 〃 8.18 8.50 9.68 9.68 8.25 9.00 8.36 8.68 9.29 2.21
4 〃 7.74 7.59 7.53 7.53 7.50 7.74 7.29 7.79 7.76 1.09
5 〃 4.03 4.03 3.72 3.72 4.25 3.89 3.72 3.92 4.14 1.39
昭和40年 1番草 6.49 6.56 6.23 6.23 6.23 6.31 6.15 6.74 6.38 1.54
2 〃 7.65 7.77 8.06 8.06 7.77 7.94 7.39 7.84 8.23 1.77
3 〃 9.16 9.44 9.48 9.48 9.28 9.36 9.32 9.48 9.32 1.44
4 〃 6.10 6.65 6.10 6.10 6.42 6.26 5.90 6.35 6.61 1.26
5 〃 4.42 4.56 4.19 4.14 4.14 4.33 4.03 4.39 4.75 0.47
  注) 1. 乾物生産速度=各刈取時期の10a当たり収量(乾物)/当該期の生育日数。(従って10a当たり1日乾物生産量を示す)
     2. 本表の各要素毎の各施用量別の乾物生産速度の算出は、その要素以外の要素施用量は本試験に於ける各量の場合を平均してある。例えばN2kgの生産速度はP2O5、K2Oの各施用量の場合を含んでいる。

 第1図 風乾物収量及びマメ科率
     (第5表の図表化)
              N施用量との関係(昭和38~39年)




              N施用量との関係(昭和40年)




              P2O5施用量との関係(昭和38~39年)




              P2O5施用量との関係(昭和40年)




              K2O施用量との関係(昭和38年)




              K2O施用量との関係(昭和40年)
  

ウ 試験結果並びに考察
  昭和39年度の越年中に1部の試験区で、野鼠の食害が若干あったのみで各年とも略順調に経過した。初年目1番草は、一定の草丈に達した時に収穫したが、この種の試験にこの方法は適合せず、調査の対照から除外し、2番草から一斉に収穫して調査した。従って、1番草において観察では燐酸の用量差が判然と識別されていたのであるが、前記の関係から、2番草の調査結果からは、観察で期待した程の値は得られなかった。即ち観察においては、初年目1番草で燐酸の施用効果が最も顕著で、5kg施用に比べて、10kg-15kg施用区は著しく生育旺盛であった。(第2.3.4表、第1図)。しかし燐酸は2年目以降になるとその施用効果は充分認められるのであるが、施用量間の差は僅差となり、2年目3番草からは、マメ科率において、用量が多くなる程低下する傾向で、この傾向は刈取時期が進む程著しくなる。カリについては初年目1番草において、観察では施用間には見られなかったが、2番草(2番草には追肥しなかった。)から顕著に認められ、2年目以降も同様な傾向を示した。燐酸との関係は、2年目においてはカリ5kg区で、燐酸の施用量が多くなる程減収したが、3年目ではカリの各用量とも、燐酸の用量が多くなる程増収の傾向を示す反面、マメ科率は低下した。しかしカリの施用量間の収量差はカリの施用量の差の割には少ない。窒素については2年目の2番草と3番草は若干窒素の施用量の多い程増収の傾向を見せたのみで、マメ科率では各年次とも用量の多くなる程下する傾向であった。第6表は2年目以降の乾物の生産速度を表示したが、窒素、燐酸、カリともに施用量間に大差が認められず、従って当試験の結果から牧草の分析が伴わぬことと、初年目1番草の試験操作の不備から、窒素、カリについて基肥量を明確にすることはできないが、燐酸については造成時に10kg以上、2年目以降の追肥として、窒素2kg(収穫毎)、燐酸5kg(春季)以内カリについては凡そ5kg(収穫毎)前後を推定される。
 (3) カリ用量試験
  ア 試験方法
   ア)1区面積及び区制  1区16m2  分割区試験法 3反復
   イ)酸性矯正  炭カルにてPH6.0に矯正  表土15cm
   ウ)草種(混播) オ-チャ-ドグラス、アカクロ-バ各1.0kg、ラジノクロ-バ0.3kg
   エ)処理区別  2年目(昭和39年以降)
    大処理  刈取回数  4回 6回
    小処理  カリ施用量kg/10a  1kg 3kg 5kg 7kg 9kg(収穫毎)
    共通肥料  窒素2kg  燐酸5kg
     窒素は硫安、燐酸は過石、カリは硫加で施用した。
   オ)基肥量(初年目) (kg/10a)
    窒素4kg(硫安)、燐酸15kg(10kg熔りん全層、5kg過石上層)、カリ10kg(硫加)
   カ)牧草の播種法  播種期 撒播 昭和38年7月15日
   キ)収穫期 1番草 2番草 3番草 4番草 5番草 6番草
    昭和39年
     (4回刈取区) 6月6日 7月7日 8月12日 9月25日
     (6回  〃 ) 5月27日 6月16日 7月8日 8月3日 9月1日 10月8日
    昭和40年
     (4回刈取区) 6月7日 7月12日 8月10日 9月27日
     (6回  〃 ) 5月27日 6月21日 7月14日 8月6日 9月4日 10月6日

  イ 試験成績
 第8表 生草収量(カリ用量試験)
 









1番草 2番草 3番草 4番草 5番草 6番草 年合計 カリ用量
総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 対比率


39

4



0 2.233 28.5 911 12.1 1.033 8.0 333 12.0         4.510 76
3 1.133 25.4 1.413 25.5 1.763 21.1 829 26.1         5.938 100
5 2.026 42.3 1.678 30.9 1.967 23.1 1.019 28.6         9.690 103
7 2.781 29.3 1.637 29.9 1.989 23.9 1.096 35.5         7.503 126
9 2.544 35.0 1.837 38.2 2.252 31.7 1.104 30.3         7.737 130
6



0 1.128 33.0 700 31.2 878 28.0 1.080 4.4 367 2.0 178 0.6 4.331 77
3 959 37.4 1.086 37.4 800 28.3 1.429 23.1 948 13.1 422 17.3 5.644 100
5 1.089 35.4 1.278 38.3 880 25.0 1.706 19.4 978 8.4 526 16.1 6.457 114
7 1.042 39.3 1.252 31.6 906 25.7 1.593 23.5 970 7.1 503 9.9 6.266 111
9 1.167 39.9 1.237 36.5 1.026 29.9 1.699 18.2 992 9.5 496 10.0 6.617 117


40

4



0 450 9.1 461 5.5 344 0 333 0         1.588 29
3 1.746 19.6 1.430 21.3 1.106 22.2 1.189 26.6         5.471 100
5 2.019 25.1 1.637 26.6 1.354 37.6 1.448 31.0         6.547 118
7 2.029 32.3 1.846 27.3 1.535 38.4 1.631 32.0         7.102 130
9 2.196 28.8 1.852 23.4 1.517 34.6 1.724 27.5          7.289 133
6



0 178 0.7 322 1.3 383 0 378 0 244 0 106 0 1.611 26
3 907 19.9 1.154 32.5 902 28.3 1.118 27.9 1.478 25.2 541 37.9 6.100 100
5 1.042 10.2 1.046 25.6 895 13.0 1.168 23.0 1.450 18.0 619 26.3 6.221 102
7 885 8.9 1.054 14.9 835 16.0 1.089 18.8 1.693 19.2 509 22.5 6.065 99
9 1.070 6.8 1.055 12.3 880 16.7 1.089 16.1 1.459 13.2 559 16.7 6.112 100

 第9表 風乾物量(刈取時期別) (カリ用量試験)









1番草 2番草 3番草 4番草 5番草 6番草 年合計 カリ用量
総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 マメ科率 総重量 対比率


39

4



0 382 22.3 140 10.8 174 6.3 66 9.3             762 83
3 312 18.9 208 22.6 248 18.2 155 19.8             923 100
5 305 35.0 252 27.0 287 19.0 184 23.1             1.028 111
7 440 25.3 225 26.3 268 21.2 182 27.8             1.115 121
9 393 22.3 265 35.1 286 27.4 187 23.7              1.130 122
6



0 204 26.0 116 27.6 137 26.0 135 3.6 72 1.0 38 0.5 7.3 79
3 179 32.2 172 33.6 131 24.9 188 17.5 133 10.7 82 15.1 886 100
5 200 31.7 201 33.8 138 21.4 224 15.4 136 66.5 97 12.5 995 110
7 184 31.7 197 26.3 137 21.4 210 18.0 136 5.4 93 7.9 957 108
9 203 34.4 189 30.7 150 26.1 218 13.0 133 7.0 94 7.6 987 111


40

4



0 59 7.0 82 3.8 76 0 88 0           303 36
3 226 14.3 208 15.4 174 18.0 230 22.0           837 100
5 249 18.3 224 20.0 190 29.2 262 25.3           924 110
7 233 23.3 244 21.1 201 31.0 384 25.5           963 115
9 252 19.8 252 18.3 206 26.7 307 21.8            1.017 122
6



0 31 0.7 53 1.3 59 0 45 0 47 0 25 0 260 32
3 135 17.3 163 25.3 114 22.2 126 19.5 181 20.6 87 33.4 806 100
5 154 8.5 150 19.8 125 9.8 139 16.4 189 14.7 99 22.4 856 106
7 136 7.4 154 10.6 120 11.3 125 11.7 204 14.4 83 18.9 820 102
9 153 5.6 153 8.7 119 12.1 129 10.6 159 9.9 92 14.2 825 102

 第10表 乾物生産速度(カリ用試験)
刈取
回数
年次/
刈取時期/
カリ施用量
昭和39年度 昭和40年度
1番草 2 〃 3 〃 4 〃 5 〃 6 〃 1番草 2 〃 3 〃 4 〃 5 〃 6 〃
4



0 6.06 4.52 4.83 1.50 1.31 2.34 2.62 1.83
3 4.95 6.71 6.89 3.52 5.02 5.94 6.00 4.79
5 4.84 8.13 7.97 4.18 5.53 6.40 6.55 5.40
7 6.94 7.26 7.44 4.14 5.18 6.97 6.93 5.92
9 6.24 8.55 7.94 4.25 5.60 7.20 7.10 6.40
6



0 3.85 5.80 6.23 5.19 2.48 1.03 0.91 2.12 2.67 1.96 1.62 0.78
3 3.38 8.60 5.95 7.23 4.59 2.22 3.97 6.52 4.96 5.48 1.24 2.72
5 3.77 10.05 6.27 8.62 4.69 2.62 4.53 6.00 5.43 6.04 6.52 3.09
7 3.47 9.85 6.23 8.08 4.69 2.51 4.00 6.16 5.22 5.43 7.03 2.79
9 3.83 9.45 6.82 8.38 4.59 2.54 4.50 6.12 5.61 5.61 6.17 2.88

 第11表 カリの含有量(%) (カリ用量試験)

刈取
回数別
カリ
施用量
1番草 2番草 3番草 4番草 5番草 6番草
マメ イネ マメ イネ マメ イネ マメ イネ マメ イネ マメ イネ


39

4



0 1.21 1.41 0.82 1.32 1.10 0.82 8.46 0.46
3 1.38 1.82 1.16 2.56 1.71 2.39 1.49 2.06
5 1.55 2.16 1.44 3.39 1.82 3.14 2.11 2.90
7 1.77 2.16 1.77 3.39 2.39 3.70 2.62 3.51
9 1.93 2.44 2.28 4.24 3.39 4.79 3.58 4.48
6



0 1.38 1.55 1.00 1.44 0.72 1.21 1.16 1.21 1.27 1.66   0.48
3 1.55 1.88 1.61 2.79 1.61 3.39 1.61 3.00 1.71 2.96 0.80 1.55
5 1.88 2.16 2.28 3.62 2.56 4.36 2.55 3.75 2.90 4.36 2.00 4.04
7 2.00 2.44 2.28 4.18 3.00 5.22 3.68 5.10 4.12 5.22 2.74 4.91
9 2.33 2.79 3.39 4.48 3.39 5.52 4.42 5.58 4.42 5.64 2.91 4.91


40

4



0 0.97 0.72 0.62 0.58 0. 0.60 1.16 1.46
3 2.44 2.90 1.44 2.16 1.20 2.44 1.66 1.82
5 2.62 3.42 1.88 3.45 2.08 3.82 2.33 2.44
7 2.90 3.00 3.68 4.24 2.90 4.54 2.65 3.39
9 3.62 4.04 3.32 4.91 3.70 5.47 3.82
6



0 1.20 1.82 1.27 1.55 0 0.62 0 0.72 0 0.66 0 0.40
3 1.82 2.56 2.16 3.45 2.00 3.82 2.39 3.54 1.88 2.96 1.64 3.00
5 2.78 4.00 3.08 4.86 2.90 4.97 2.60 5.16 2.77 4.04 2.76 4.54
7 2.96 4.80 4.24 5.89 3.94 5.52 4.42 5.80 4.48 5.47 3.82 5.03
9 3.62 5.30 4.97 6.78 5.16 5.94 4.97 6.00 4.36 5.76 4.27 5.22

 第12表 カリの吸収及び利用率(カリ用量試験)

刈取
回数別
カリ
施用量
カリ吸収量(kg/10a) カリ利用率(%)
1番草 2 〃 3 〃 4 〃 5 〃 6 〃 年合計 1番草 2 〃 3 〃 4 〃 5 〃 6 〃 年合計


39

4



0 5.22 1.77 1.45 0.31 9.09
3 5.42 4.66 5.61 3.02 21.25 7 96 139 90 101
5 5.95 7.23 8.31 5.01 33.44 15 109 137 94 122
7 9.08 6.61 9.16 5.93 39.60 55 69 110 80 109
9 8.99 9.40 12.58 8.00 44.33 42 85 124 85 90
6



0 3.07 1.53 1.48 1.63 1.20 0.18 8.75
3 3.17 4.10 3.86 5.17 3.78 1.17 18.71 3 86 79 118 86 33 55
5 4.13 6.39 5.50 7.97 5.79 3.66 26.50 21 97 80 127 92 70 59
7 4.23 7.50 6.53 9.93 7.01 4.40 30.78 17 85 72 119 83 60 52
9 5.33 7.86 7.45 11.85 7.38 4.46 38.97 25 70 66 114 68 48 56


40

4



0 3.96 0.48 0.45 0.40 5.29
3 6.41 4.25 3.85 3.86 18.37 82 126 103 115 109
5 8.14 7.03 6.28 5.87 27.32 84 131 117 109 110
7 6.92 9.55 8.12 8.87 33.46 42 130 110 121 101
9 9.96 11.65 10.31 10.94 42.86 67 124 110 117 104
6



0 0.55 0.81 0.32 0.32 0.31 0.10 2.46
3 3.27 5.08 3.89 4.18 4.97 2.22 23.61 91 142 117 162 155 71 118
5 5.98 6.78 5.95 6.60 7.28 4.11 36.70 109 119 112 126 139 80 114
7 6.32 8.80 6.35 7.06 10.82 4.01 43.40 82 114 86 96 150 56 97
9 7.93 10.17 6.96 7.58 10.08 4.66 47.38 82 104 73 81 109 51 83

 第2図 風乾物収量とカリ吸収量(年合計)

ウ 試験結果並びに考察
   当試験は前記の3要素施肥試験に於いて、泥炭地においては2年目のカリ肥効が最も高く、その量は凡そ5kg前後と推定されたので更に適確な用量を明らかにすることと刈取回数に及ぼす影響を知るために設計したものである。39年度の越年中に試験区の1部に野鼠の食害が若干あったのみで、両年とも略特記すべき障害は認めなかった。第7、8表によると39年度1番草ではカリの施用効果は明らかでなかったが、2番草以降ではカリの施用効果が認められ、刈取回数別に見ると6回刈取区に比べ4回刈取区肥効が常に高く、5kg施用まで略順調に増収し、なおも上昇の傾向を見せるが、6回刈取区では3kg施用の効果は顕著であるけれども5kg施用では強くなり、7kg以上では増収せず、マメ科においては、39年度3番草以降カリの増施に伴って低下の傾向を見せ、その程度は刈取期の進む程著しかった。風乾物収量の年合計を見ても同様の傾向が認められる。第10表の乾物生産速度についてみても両年を通じ、6回刈取区において、5kg施用しても高くならない。しかし乍ら4回刈取区においては常に5kg施用まで略直線的に高くなり40年度においては7kg以上の施用でなおも上昇した。このことは第12表のカリの利用率が6回刈取区に比べ4回刈取区が高いことに関連しているものである。カリ含有率はカリ施用量の多い程高い傾向を示し、特に6回刈取区で顕著である。刈取時期別のカリ吸収量(第11表)を見ると6回刈取区と4回刈取区とは略同様の傾向で、9kg施用まで略直線的に上昇している。このことは第7図のカリ吸収量の年合計を見るとなお一層明瞭であるが、6回刈取区では5kg以上施用区で、叉4回刈取区では7kg以上施用でカリの過剰吸収が見られる。
 以上の結果を総合すると泥炭地において草地を維持管理する場合のカリ施用量と刈取回数の関係は、過度の刈取はマメ科率を低下させ従って収量も減退する。カリは1刈取期当り風乾物250kgを生産するには5kg用を適当とする。