【指導参考事項】
北見地方におけるてん菜の紙筒移植栽培に関する試験成績
-品種・施肥・本数について-
北海道立北見農業試験場

Ⅰ 移植栽培の現状及び試験目的
 昭和37年にてん菜の紙筒移植栽培が普及に移されて以来育苗技術の向上、移植機の開発導入による省力と相まって、着実にその成果を上げている。当時は育苗、移植時期、方法の試験が中心で、本圃の肥培管理については一応慣行直播栽培に準ずることとし、また実際栽培に当たっては施肥量は直播よりやや多目にする。本数は7.000本程度を標準とし移植期も普通には畦巾60cm、株間23~25でおおよそ7.000本である。
 現在北見地方では5~6の栽培品種があって移植栽培における品種の収量性を明らかにすることと、移植栽培を更に多び収、省力化のための施肥法及量、株立本数を検討しようとする。

Ⅱ 試験結果の要約
 1. 品種について
  北見地方で現在栽培されている品種の収量性は、直播移植の両栽培法で同一傾向であった。従って直播向、移植向と区別する要はないが、発芽良好で一つの種子(1果)から1~2芽の品種、種子を使用することがよい。
 2. 施肥について
  多肥による収量増は直播より移植栽培の方がやや大きい傾向がある。地力、目標収量によって異なるが、普通には現在の直播標準量程度では条施がよい。地力の高いところ、或いは積極的に2~3割以上増肥の場合には作業上やり易い方法でよい。
 3. 本数について
  ha当り35~45tonを期待出来る圃場では6.500~7.000本を標準とし苗不足その他都合には6.000本以上が確実に収穫されるような本数でよい。

Ⅲ 品種に関する試験
 1. 試験方法
  (1) 供試品種(移植栽培による試験)
昭和38年 昭和39年 昭和40年
   1 導入2号  
   2 合成2号
   3 Polyrave 
   4 AJ Poly-1
   5 KE-E
   6 Kw-Polybata  
   7 つきさっぷ  
   8 Trirave     
   9 Hill. st. KL    
   10 Kw-ES    
   11 S-10    
  (2) 育苗  常法による。播種板の穴より種子の大きい品種は研磨(布袋に入れて槌でたたく)して用いた。
  (3) 本圃  畦巾×株間  38~39年は60×23cm 7.250本/10a
                   40年は60×24cm6.950本/10a
     施肥量(要素量kg/10a)
       38年   12-20-13 >条施
       39年  14.4-24-12
       40年  16.56-26.4-13.2 2/3全層1/3条施
      畜力3畦用成畦刃を使って手植
      移植後の管理は直播栽培に準ずる
  (4) 直播との比較方法
   移植、直播は別個の試験なので、施肥、栽植密度、収穫期等も異なる。直播は標準栽培に準ずる5~6つの試験の平均を用い移植と対比したそれらの播種期その他を次表に示した。

 対比する試験の播種期、収穫期等
直     播 移     植
試験名 播種期
(月日)
収穫期
(月日)
分析法 試験名 播種期
(月日)
移植期
(月日)
収穫期
(月日)
分析法
1 品  試  A 5. 3 10.13 搾汁法 移植品試 4.10 5.11 10.24 搾汁法
2 作     況 5. 7 10.16
3 特検播種期 5. 4 10.15
4  〃 褐斑病 5. 4 10.16
5  〃 株立本数 5. 4 10.15
1 品  試  A 5. 9 10.20 冷浸法* 移植品試 4. 3 5.10 10.26 搾汁法
2 作     況 5. 2 10.17 搾汁法
3 特検施肥量 5. 2 10.15
4  〃 播種期 5. 2 10.17
5  〃 褐斑病 5. 8 10.21
6  〃 株立本数 5. 9 10.25
1 奨     決 5. 8 10.20 冷浸法* 移植品試 4. 7 5.15 10.17 搾汁法
2 作     況 5. 7 10.18 搾汁法
3 特検褐斑病 5.10 10. 6
4  〃 株立本数 5.11 10. 8
5 連品(輸作区) 5.13 10.27
  ※冷浸法とはてん菜研究所で冷水浸出法で糖分分析を行った。

 2. 試験経過の概要
年次 直   播 移   植
38 土壌乾燥で発芽概して良くない風害で株立数減る 移植直後の異常高温で活着やや遅れる。5月下旬
の風害で本葉2~3枚枯死
39 発芽良好 活着、生育極めて良好
40 発芽良好であったが5月29日の凍霜害で欠株多い
試験がある。
活着良かったが5月29日の凍霜害で奇形葉出来る。
耕土浅く地力低いため収量低い。

 3. 試験成績
  第1表 年次別の収量、糖分及び直播対移植の割合
年次 品類名 根 重 糖 分 糖 量 直播に対する移植の割合
直播 移植 直播 移植 直播 移植 根重 糖分 糖重
昭38 1 導入2号 3098
100
3248
100
17.21
100
18.95
100
493
100
580
100
105 110 118
2 合成2号 107 94 100 100 109 93 92 110 101
3 Polyrave 121 115 102 103 124 115 99 110 109
4 AJPoly-1 101 104 105 107 109 111 107 110 120
5 Kw-E 116 120 103 98 121 117 109 105 114
昭39 1 導入2号 2741
100
3477
100
18.1
100
19.1
100
450
100
613
100
127 106 136
2 合成2号 104 106 100 98 105 105 132 103 136
3 Polyrave 119 116 103 104 123 121 124 106 134
4 AJPoly-1 103 109 107 103 112 114 134 102 139
5 Kw-E 119 132 103 100 124 133 141 103 146
6 Kw-P 113 118 106 105 120 125 133 105 142
7 つきさっぷ (113) 122 (98) 96 (112) 117
昭40 1 導入2号 2770
100
3005
100
17.4
100
7.5
100
441
100
491
100
108 101 111
2 合成2号 105 101 101 101 108 102 105 101 105
3 Polyrave 118 119 102 105 119 126 110 103 118
4 AJPoly-1 103 101 106 111 110 113 106 105 115
5 Kw-E 119 121 103 107 122 130 110 105 118
6 Kw-P 112 117 105 109 118 127 113 104 120
7 つきさっぷ 112 114 95 98 105 122 111 104 118
  注) 1 導入2号については実収(kg/10aと糖分は%)で示し以下の名種は導入2号を100として示した。
     2 北見の栽培品種で直播試験と対比出来るものだけについて示した。

  第2表 3~2か年平均の収量、糖分及び直播対移植の割合
年次 品類名 根 重 糖 分 糖 量 直播に対する移植の割合
直播 移植 直播 移植 直播 移植 根重 糖分 糖重
38~40
の平均
1 導入2号 2870 3243 17.57 18.52 461 561
  100 100 100 100 100 100 113 105 122
2 合成2号 105 101 100 100 107 100 108 105 114
3 Polyrave 119 117 103 104 122 120 111 106 120
4 AJPoly-1 102 105 106 107 110 113 116 106 125
5 Kw-E 118 125 103 102 122 127 120 104 126
39~40
の平均
1 導入2号 2756 3241 17.75 18.30 446 552
  100 100 100 100 100 100 118 103 124
6 Kw-P 113 118 105 107 119 126 123 104 131

 4. 考察
  直播、移植試験のそれぞれの導入2号に対する割合を見ると第1表にあるような多少のふれはあるが、おおよそ平行していることがうかがわれる。ただ昭和38年の合成2号の根重、Kw-Eの糖分のように直播と移植と逆になったもの、昭和39年のKw-Eの根重で直播119、移植では132と大きくふれている点もあるが、第2表に示した3~2カ年の平均でみると平行的である。即ち対比した品種の移植栽培における収量性は、直播栽培での収量性とおおよそ同一傾向と思われる。このことは直播に対する移植の割合のところをみても、昭和38年はばらついているが、39年、40年及び3~2カ年平均をみると同一傾向であることがわかる。次ぎにこの試験に供試した品種、種子の範囲内であるがKw-Polybetaのように紙筒移植栽培用に種子が処理されたものは、播種、間引が容易で能率的であった。導入2号、合成2号は種子が小さく播種は容易であったが3~4粒播種されることが多く、また発芽の良いこともあって発芽数が多過ぎて間引労力を他のものより多く要した。しかしこれは播種板の改良で解消出来ることである。
 以上のことはこの試験で扱った品種の収量性と育苗の実際から検討したのであって、今後特性の異なる品種或いは新しく導入される品種については更に検討をする要があろう。

Ⅳ 施肥に関する試験
 1. 試験方法
  (1) 試験区別
   施肥法  3処理  条施、1/2全層、1/2条施、全層施肥
   施肥量  5処理  1.00(標準)、1.25、1.50、1.75、2.00(倍)
    標準量(kg/10a)
     昭和38年     9-15-10   堆肥2ton
     昭和39~40年  12-19.2-9.6   〃
  (2) 育苗    常法により育苗した。
  (3) 供試品種 昭和38年      導入2号
            昭和39年~40年 Kw-Polybeta
  (4) 1区面積及び概要
    昭和38年  18.8m2  分割区法  4反復
       39年  31.5〃     〃     3 〃
       40年  20.0〃     〃    4 〃
 2. 試験経過の概要
  昭和38年:
   4月10日播種、3.5~4葉苗を5月11日~12日に成畦刃をとおした後手直した。当時土壌乾燥と異常高温で2~3日活着がおくれ更に5月下旬の風害で本葉が2~3枚枯死して1時生育不良となったがその後回復した。
  昭和39年:
   5月8日に全層施肥、9日に条施、成畦刃をとおした後10日に手直した。苗は4月3日播種の4葉苗で良い苗で移植当日夜の降雨もあって活着は極めて良好であった。その後の生育も順調であった。
  昭和40年:
   4月7日に播種した4葉苗を5月15日~16日に成畦刃をとおした後で手直した。
  活着は良好で5月29日の凍霜害による奇形葉、腋芽発生等もあったがその後の生育は順調であった。
 3. 試験成績
  第3表 移植施肥試験の根重
施肥量 年次 施肥法 施肥量の
平  均
条施 1/2全層
1/2条施
全層
1.00
(標準)
38 3045 2939 2469 2818
39 3320 3320 3221 3287
40 3729 3658 3848 3745
平均 3365 3306 3179 3283(100)
1.25 38 3127 3046 3006 3060
39 3591 3406 3349 3439
40 3955 3919 3967 3948
平均 3538 3457 3441 3485(106)
1.50 38 3207 3126 3355 3229
39 3637 3890 3620 3715
40 4062 4097 4038 4606
平均 3635 3701 3671 3670(112)
1.75 38 3208 3234 3435 3292
39 3534 3933 3605 3691
40 4050 3979 4061 4030
平均 3597 3715 3700 3671(112)
2.00
(倍量)
38 3341 3235 3409 3228
39 3917 3791 3990 3899
40 4109 4228 4133 4157
平均 3789 3751 3844 3795(116)
施肥法
の平均
38 3186 3116 3153 3152
39 3600 3668 3557 3608
40 3981 3979 4009 3989
平均 3589
(100)
3587
(100)
3573
(100)
3583
  ( )は施肥法平均は条施を、施肥量の平均は1.00(標準)を100とした。

  第4表 移植施肥試験の根中糖分
施肥量 年次 施肥法 施肥量の
平  均
条施 1/2全
1/2条
全層
1.00
(標準)
38 18.98 19.13 19.03 19.04
39 20.40 20.30 20.00 20.20
40 19.80 19.50 19.80 19.68
平均 19.73 19.64 19.61 19.64(100)
1.25 38 18.63 19.10 18.75 18.83
39 20.60 20.20 20.50 20.40
40 19.00 19.30 19.40 19.18
平均 19.41 19.53 19.55 19.47(99)
1.50 38 18.85 19.00 18.23 18.69
39 20.10 20.00 19.50 19.90
40 19.00 18.60 19.20 18.92
平均 19.32 19.20 18.98 19.17(98)
1.75 38 18.28 18.73 18.60 18.53
39 17.90 19.90 19.60 19.70
40 19.10 19.20 19.00 19.06
平均 19.03 19.28 19.07 19.10(97)
2.00
(倍量)
38 18.05 18.55 18.28 18.29
39 19.60 19.20 19.20 19.30
40 18.60 18.30 18.70 18.56
平均 18.75 18.68 18.73 18.72
施肥法
の平均
38 18.56 18.90 18.56  
39 20.10 19.90 19.80  
40 19.09 18.95 19.20  
平均 19.25
(100)
19.25
(100)
19.19
(100)
 
  ( )は施肥表平均は条施を、施肥量の平均は1.00(標準)を100とした。

  第5表 移植施肥試験の糖量
施肥量 年次 施肥法 施肥量の
平  均
条施 1/2全
1/2条
全層
1.00
(標準)
38 541 525 440 502
39 630 628 591 617
40 692 670 712 690
平均 621 608 581 603(100)
1.25 38 545 546 530 540
39 684 639 641 656
40 701 707 720 707
平均 643 631 630 634(105)
1.50 38 567 553 573 564
39 681 725 654 688
40 730 716 734 726
平均 659 665 654 659(109)
1.75 38 545 565 596 568
39 644 727 649 674
40 734 719 725 725
平均 641 670 657 659(109)
2.00
(倍量)
38 565 558 581 568
39 709 672 708 696
40 712 723 727 721
平均 662 651 672 662(110)
施肥法
の平均
38 552 549 544  
39 671 678 649   
40 713 706 723   
平均 645
(100)
644
(100)
639
(99)
  
  ( )は施肥法の平均は条施を、施肥量の平均は1.00(標準)を100とした。

  第6表 移植施肥試験の方法、量の年次別平均
処  理 根重(kg/10a) 根中糖分 糖 量
38 39 40 38 39 40 38 39 40
方法 条  施 3186 3600 3981 18.56 20.1 19.09 552 671 713
1/2全、1/2条 3116 3668 3976 18.90 19.9 18.95 547 678 706
全  層 3135 3557 4009 18.56 19.8 19.20 544 649 723
L.S.D 0.05 N.S N.S N.S N.S N.S N.S N.S N.S N.S
0.01
1.00(標) 2818 3287 3745 19.04 20.2 19.68 502 617 690
1.25 3060 3449 3947 18.83 20.4 19.18 540 656 707
1.50 3230 3715 4066 18.69 19.9 18.92 564 688 726
1.75 3293 3691 4030 18.53 19.7 19.06 568 674 725
2.00 3329 3899 4157 18.29 19.3 18.56 568 696 721
L.S.D 0.05 217 201 156 0.32 0.3 0.44 36 36 N.S
0.01 292 272 210 0.43 0.4 0.59 49 46

  第7表 移植施肥試験の方法、量の年次別収量比
処  理 根重(kg/10a) 根中糖分 糖 量
38 39 40 38 39 40 38 39 40
方法 条   施 100 100 100 100 100 100 100 100 100
1/2全、1/2条 98 102 100 102 99 99 99 101 99
全   層 98 99 101 100 100 101 99 97 101
1.00(標) 100 100 100 100 100 100 100 100 100
1.25 109 105 105 99 101 97 108 106 102
1.50 115 113 109 98 99 96 112 112 105
1.75 118 112 108 97 98 97 113 109 105
2.00 118 119 111 96 96 94 113 113 104
  注) 方法は条施を、量は1.00(標準)を100とした。

  第8表 直播栽培における施肥試験
調査項目 施肥量 年次 施肥法 施肥量の
平   均
条施 1/2全、1/2条 全層
根   重
(kg/10a)
1.00
(標)
39 3.343 3.317 2.984 2.215
40 3.263 3.735 3.510 3.503
-
X
3.303 3.526 3.247 3.359(100)
1.50 39 3.652 3.523 3.369 3.515
40 3.578 3.578 3.713 3.623
-
X
3.615 3.551 3.541 3.569(106)
1.00と1.50の施肥
法の平均
39 3.498 3.420 3.177
40 3.421 3.657 3.614
-
X
3.459(100) 3.538(102) 3.394(98)
2.00
(倍量)
39 3.360 3.523
40 3.735 3.600
-
X
3.548 3.562
根中糖分
(%)
1.00
(標)
39 18.4 18.3 18.3 18.3
40 19.7 19.5 19.4 19.5
-
X
19.1 18.9 18.9 18.9(100)
1.50 39 17.7 18.2 18.1 18.0
40 18.9 19.3 19.2 19.1
-
X
18.3 18.8 18.7 18.6(93)
1.00と1.50の施肥
法の平均
39 18.1 18.3 18.2
40 19.3 19.4 19.3
-
X
18.7(100) 18.8(101) 18.8(101)
2.00
(倍量)
39 17.8 16.9
40 18.8 18.9
-
X
18.3 17.9
  注) 1. 播種期   昭和39年:5月21日  昭和40年:5月11日
     2. 供試品種 Polyrave
     3. 標準量   12-19.2-9.6(S242号80、チリ硝石15、kg/10a)

 4. 考察
  第3表の根重について施肥量をこみにして施肥法をみると、各年次とも差がないと見てよい。しかし1.00(標準量)では条施の方が良い傾向であり、施肥量では1.50(5割増)まで増収が明らかであった。
 第4表の糖分では施肥法間に全く差がなく、増肥によって低下することが認められ、従って糖量では第5表に示したように施肥量の効果は根重の増収割合よりやや低くなった。
 これら施肥法、施肥量の年次別平均の一覧と有意差及び収量比を第6~7表に示したのであるが、施肥法については各形質とも有意差がなく、また交互作用にも有意差がなかったので、増肥による増収と糖分低下が各年次とも同一傾向であった。
 なお、第8表に昭和39年~40年に行った直播播栽培での施肥試験(試験区別は多少異なるが)結果を示したが、直播では条施の1.50(5割増)になると亜発芽障害が見られた。また施肥量増による増収割合は試験圃場が同一でないので、直接比較することは妥当でないが、直播に比べて移植栽培が大きい傾向があり、更に糖分低下の割合は直播より移植の方がやや小さい傾向にある。
 現在移植栽培の指導に当たっては、直播栽培より多目にとしているが、この試験ではおおよそ5割増肥程度まで経済的効果があった。従って実際栽培では地力、目標収量によって増肥量は決められてないが、施肥の方法について普通には標準量程度では条施の方が良いでしょう。また地力のあるところや、積極的に2~3割以上増肥するような場合には、直播栽培の全量条施で懸念される発芽障害等のようなことはないと思われるので条施、全層の何れでも実際作業面からやり易い方法で施肥してよいと思われる。

Ⅴ 株立本数に関する試験
 1. 試験方法
  (1) 試験区別
   10a当本数  5処理 5.000 6.000 7.000(標準) 8.000 9.000畦巾は60cm共通とした。
  (2) 育苗
   常法により育苗した。
  (3) 供試品種
   昭和38年     導入2号
   昭和39~40年  導入2号  Kw-Polybeta
  (4) 1区面積及び区制
   昭和38年     18.8m2 乱塊法   4反復
   昭和39~40年  20.0m2 分割区法  4反復
 2. 試験経過の概要
  4の施肥に関する試験に同じ
 3. 試験成績
  第9表 移植本数試験の収穫本数
処理(本数)
理論数
38 39 40
導入2号 導入2号 Kw-P 導入2号 Kw-P
5.000 4.589 5.510 5.534 4.950 4.980
6.000 5.820 6.484 5.961 5.961 5.825
7.000 6.724 7.244 7.244 7.244 7.225
8.000 7.624 7.624 7.814 7.814 7.700
9.000 8.075 8.289 8.289 8.289 8.475

  第10表 移植本数の根重、糖量
本数 年次 根  重 糖  量
品  種 本数の平均 品  種 本数の平均
導入2号 Kw-P 導入2号 Kw-P
5.000 38 3.154 553
6.000 3.221 546
7.000 3.087 520
8.000 3.087 524
9.000 3.154 539
5.000 39 3.399 3.741 3.570 580 670 626
40 3.622 4.204 3.913 621 739 678
-
X
3.511 3.973 3.742(102) 601 705 652(101)
6.000 39 3.430 3.784 3.607 584 693 639
40 3.575 4.026 3.800 595 705 647
-
X
3.503 3.905 3.704(101) 590 699 643(100)
7.000 39 3.249 3.644 3.447 554 677 634
40 3.575 4.145 3.860 611 739 675
-
X
3.412 3.895 3.654(100) 583 708 645(100)
8.000 39 3.356 3.696 3.526 574 694 634
40 3.670 4.121 3.897 637 751 692
-
X
3.513 3.909 3.711(102) 606 723 663(103)
9.000 39 3.314 3.548 3.430 565 674 624
40 3.539 4.145 3.842 610 732 670
-
X
3.427 3.847 3.636(100) 593 703 647(100)
本数の
平 均
39 3.350 3.683 574 681
40 3.596 4.128 613 732
-
X
3.473(100) 3.906(112) 594(100) 707(119)
  ( )本数の平均は7.000本区を、品種は導入2号を100とした。

  第11表 移植栽培本数試験の根中糖分T/R
本数 年次 根中糖分 T/R
品  種 本数の平均 品  種 本数の平均
導入2号 Kw-P 導入2号 Kw-P
5.000 38 18.73 1.13
6.000 18.45 1.29
7.000 18.23 1.31
8.000 18.38 1.26
9.000 18.65 1.32
5.000 39 18.6 19.7 19.2 1.15 0.98 1.07
40 18.3 18.8 18.5 1.48 1.06 1.27
-
X
18.5 19.3 18.9(99) 1.32 1.02 1.17
6.000 39 18.5 19.7 19.1 1.16 0.93 1.05
40 17.6 18.7 18.1 1.50 1.29 1.40
-
X
18.1 19.2 18.6(98) 1.33 1.11 1.23
7.000 39 18.6 20.1 19.3 1.28 1.06 1.17
40 18.2 19.1 18.7 1.58 1.22 1.40
-
X
18.4 19.6 19.0(100) 1.43 1.14 1.29
8.000 39 18.6 20.2 19.4 1.22 1.08 1.15
40 18.4 19.5 18.9 1.59 1.15 1.37
-
X
18.5 19.9 19.2(101) 1.41 1.12 1.26
9.000 39 18.9 20.2 19.6 1.33 1.07 1.20
40 18.3 18.9 18.6 1.78 1.26 1.52
-
X
18.6 19.6 19.1(101) 1.56 1.17 1.36
本数の
平 均
39 18.6 20.0 1.23 1.23
40 18.1 19.0 1.59 1.59
-
X
18.4(100) 19.5(106) 1.41 1.41

  第12表 移植栽培本数試験の年次別平均
処  理 根重(kg/10a) 根中糖分(%) 糖量(kg/10a)
38 39 40 38 39 40 38 39 40
株立本数 5.000 3.154 3.570 3.913 18.73 19.2 18.5 553 626 678
6.000 3.221 3.607 3.800 18.45 19.1 18.1 546 639 647
7.000 3.087 3.447 3.860 18.23 19.3 18.7 520 615 675
8.000 3.087 3.526 3.897 18.38 19.4 18.9 524 634 692
9.000 3.153 3.430 3.842 18.65 19.6 18.6 539 624 670
L.S.D N.S N.S N.S N.S N.S N.S N.S N.S N.S
品  種 導入2号 3.350 3.596 18.6 18.1 574 613
Kw-P 3.683 4.123 20.0 19.0 681 732
L.S.D 0.05 218 128 0.1 0.2 45 20
0.01 301 177 0.2 0.3 63 28

  第13表 移植栽培本数の年次別収量比
処  理 根重(kg/10a) 根中糖分(%) 糖量(kg/10a)
38 39 40 38 39 40 38 39 40
株立本数 5.000 102 104 101 103 99 99 106 102 100
6.000 104 105 98 101 99 97 105 104 96
7.000 100 100 100 100 100 100 100 100 100
8.000 100 102 101 101 101 101 101 103 103
9.000 102 100 100 102 102 104 104 101 99
品  種 導入2号 100 100 100 100 100 100
Kw-P 110 115 108 105 119 100
 4. 考察
  植付及び管理作業中の損失と、移植後に枯死したものもあって、設計どおりの本数にならず、特に第9表にあるように、9.000本区の収穫本数が少なかった。
 第10表には根重、糖量を示したが、これでわかるように、本数間に殆ど差がなく、年次によってもまた39~40年の2ヶ年ではあるが、導入2号、Kw-Polybetaともに本数間に差がないとみてよいであろう。このことは第12表の年次別平均、13表の収量性によってよいとわかる。
 根中糖分については、有意差はないが極く僅かではあるが、本数が少ないと低い傾向がある。
 以上のように、私欲栽培の本数については、施肥試験の場合と同じように、地力、目標収量等によってもちがうので、最良の本数決定は出来ないが、実際栽培に当っては育苗、手植、或いは1~2本づつ植付ける手動式移植器具使用の省力などを考え合わせて、ha当り35~45ton程度の収量が期待出来る条件の圃場では6.500~7.000本を標準とし、育苗中の障害による苗不足、また移植機による場合のスリップその他で少々本数が少なくなっても普通には生育均一な6.000本程度以上が確実に収穫されるような本数でよいと思われる。