【指導参考事項】
てん菜に対するPCP尿素に関する試験成績
北海道農業試験場
道立十勝農業試験場
道立北見農業試験場

Ⅰ 試験目的
 PCP尿素による除草効果並びにてん菜生育に対する影響を見る。
  北海道農業試験場
 1. 昭和37年度
  (1) 試験経過の概要
   供試圃場の前作は秋蒔小麦(跡地菜種緑肥)で、ハコベ、タデ、ヤチイヌガラシが雑草の優占草種であった。
 5月10日播種、同日処理、圃場は5月はじめより降雨なく稍乾燥状態を示し、その条件下で播種、処理を行った。処理直後1mm程度の降雨(夕方)あり、5月全期間の降雨量は22.1mm(平年より40.4mm減)であった。5月21~22日発芽始となり、さらに発芽期に達するに10日を要した。このため発芽の良整を欠き、初期生育は不話であった。
 6月12日間引、7月上、中旬以降は個体差も認められず、概ね順調な生育を示した。収穫を10月17日に行った。病害虫の発生被害について特記することはなかった。

 5月気象表
  平均気温(℃) 降水量(mm) 日照時数(h)
本年 平年 本年 平年 本年 平年
上 旬 11.2 10.5 1.8 11.6 65.2 79.2
中 旬 12.8 11.7 8.1 23.2 80.1 74.5
下 旬 15.1 13.5 12.2 27.7 73.1 79.9
平均又
は合計
1.0 11.9 22.1 62.5 218.4 233.6

 雑草調査
  雑草別本数(本)1m2  3区の計(6月21日)
雑草名/
試験区別
ヤチ
イヌ
ガラ








オオ
ツメ
クサ
イヌ
ノフ
グリ



スズ
メノ
カタ
ビラ
クロ

バ-






スベ
リヒ
ノボ
ロギ







(本)


ヤチイヌガラシ
を除いた場合
同割合
標準無処理 41 156 300 2 142 99 22 15 1 2 3 59 842 100 801 100
PCP石灰窒素クリン 79 78 201 1 116 54 12 2 12 2 1 4 54 616 73.2 537 67.0
PCP尿 素 29 79 125 5 1 125 103 14 21 1 3 8 27 541 64.3 512 63.9
PCP  (粒) 74 77 179 3 75 107 10 8 1 1 4 22 561 66.6 487 60.8
石灰窒素 59 125 204 4 127 137 12 7 1 2 2 111 791 93.9 732 91.4
尿  素 39 130 167 4 155 195 12 1 17 2 2 15 131 870 103.3 831 103.7

 同重量(g)
雑草名/
試験区別
ヤチ
イヌ
ガラ








オオ
ツメ
クサ
イヌ
ノフ
グリ



スズ
メノ
カタ
ビラ
クロ

バ-






スベ
リヒ
ノボ
ロギ







(本)


ヤチイヌガラシ
を除いた場合
同割合
標準無処理 304.7 610.0 327.0 4.5 170.0 98.2 4.1 12.7 0.1 0.1 0.5 19.9 1.551.8 100 1.247.1 100
PCP石灰窒素クリン 348.0 108.0 151.3 0.4 71.0 35.0 2.7 0.1 3.8 0.5 0.1 0.1 9.15 730.2 47.1 382.2 30.6
PCP尿 素 131.0 215.5 71.0 3.7 0.05 115.2 35.7 4.8 4.6 0.1 0.85 5.2 587.7 37.9 456.7 36.6
PCP  (粒) 221.0 181.8 105.0 3.8 39.4 58.2 8.1 6.1 0.05 1.5 0.3 7.3 632.55 40.8 411.55 33.0
石灰窒素 245.0 367.0 224.5 1.35 140.0 108.0 3.2 2.2 0.1 0.2 2.2 36.9 1.130.65 72.9 885.65 71.0
尿  素 182.0 381.0 159.0 16.0 170.1 143.4 2.2 0.1 13.5 0.1 0.4 2.7 33.1 1.103.6 71.1 921.6 73.9

  (2) 試験方法
   ア 試験操作  PCP尿素(粒剤)を播種直後全面散布
   イ 耕種梗概  標準耕種法
   ウ 1区面積及び区制  16.2m2  乱塊法  3反復
   エ 供試薬剤および使用量  PCP尿素(PCP15%含有N37%)
       PCPとして1.000g/10a施用
   オ 試験区別
    (ア) 標準無処理
    (イ) PCP石灰窒素クリン  (PCP1.000g/10a)
    (ウ) PCP尿素        (PCP1.000g/10a)
    (エ) PCP(粒)         (PCP1.000g/10a)
    (オ) 石灰窒素
    (カ) 尿素
   カ 供試品種  導入2号
   キ 前作     秋蒔小麦(跡地菜種緑肥)
   ク 供試圃場  河成沖積土
  (3) 試験成績
   ア 生育に対する影響
    PCP尿素は無処理と同様に発芽および生育に対して影響は認められなかった。
   イ 除草効果
    PCP単剤と類似の除草効果が認められ、Cl-IPCの対象種であるハコベ、タデ、タニソバにも有効であった。しかしCI-IPCに比較してその除草効果は稍落ちるもののようである。
区  別 全面散布 作 条
PCP尿素 尿素 尿素 硫安
無処理区 5.625
PCP尿素1kg/10a 2.466 3.159
  〃 1.5kg/10a 3.700 1.925
尿 素 区 5.625
  各処理区の施用量の合計はN…11.25kg/10a
  P2O5…11.25kg/10a  K2O…4.5kg/10a

   ウ 収量に対する影響
    処理のよって減収する傾向は認められなかった。

 収量調査表(3区平均)
試験区別 区当り収量(kg) 根中糖分
(%)
T/R 欠株
歩合
(%)
個数
(本)
菜根重 頸葉重
標準無処理 64 17.9(100) 33.8 16.2(100) 1.89 10.6
PCP石灰窒素 61 19.5(109) 36.7 15.8(98) 1.89 15.7
PCP尿   素 61 17.8(99) 36.0 16.0(99) 2.02 15.3
PCP  (粒) 60 17.7(99) 34.0 16.2(100) 1.92 16.2
石灰窒素 62 18.4(103) 31.5 16.1(100) 1.72 13.9
尿   素 63 17.1(96) 32.7 15.9(99) 1.92 12.0
L.S.D    NS NS      

  2. 昭和38年
  (1) 試験経過の概要
   4月30日播種、同日処理、発芽、初期生育は概ね順調であった。間引を5月29日に行い、10月18日に収穫を実施した。優先雑草はオオツメクサ、ハコベ、スギナ、ヤチイヌガラシ、スズメノカタビラであった。

 5月気象表
  平均気温(℃) 降水量(mm) 日照時数(h)
本年 平年 本年 平年 本年 平年
上   旬 10.0 10.4 7.3 11.7 93.8 76.4
中   旬 14.3 11.9 16.9 22.5 91.0 75.6
下   旬 14.9 13.6 44.3 24.4 90.6 79.8
平均又は合計 13.1 12.0 68.5 58.6 275.4 231.8

  (2) 試験方法
   ア 試験操作  PCP尿素(粒剤)を播種直後散布
   イ 耕種梗概
    標準耕種法、ただし施肥量は次の通りである。智利硝石、過石、硫加をそれぞれ5.625kg、11.25kg、4.5kg/10aを作条施用、N施用量のうち智利硝石以外のNとして5.625kgを次ぎのごとくに全面および作条施用した。
   ウ 1区面積及び反復  16.2m2  乱塊法  3反復
   エ 供試PCP尿素  15%PCP含有 N37%含有
   オ 試験区別
    (ア) 標準無処理
    (イ) PCP尿素  PCPとして1.000g/10a施用
    (ウ)   〃     〃    1.500g/10a 〃
    (エ) PCP(液)  1.000g/10a
    (オ) 尿素
    (カ) *CI-IPC  100g/10a
        *CI-IPCのみ比較のため1反復
      カ 供試品種  導入2号(砕粒)
      キ 前作     秋蒔小麦(跡地葉種緑肥)
      ク 供試圃場  河成沖積土
  (3) 試験成績
   ア 生育に対する影響
    各処理区共発芽ならびに生育に対して影響は認められなかった。
   イ 除草効果
    草種としてオオツメクサが大部分を占め、その他ハコベ、ヤチイヌガラシ、スギナが若干発生しているのみで、アカザ、ツユクサは発生が認められなかったので、アカザ、ツユクサに対する除草効果をみることができなかった。
 しかし上記の草種に対してPCP尿素のPCPとして1kg/10a、1.5kg/10aの両区は処理後1カ月は発生を抑制し、除草効果を期待できることが認められた。しかし対象雑草の種類のためかCI-IPCより効果は稍劣る。

 雑草調査(5月30日調査)
  雑草別本数(本) 1m2 2区の計
試験区別/
雑草名
ヤチイヌ
ガラシ
ハコベ
アカザ
オオツ
メクサ
スズメノ
カタビラ
クロ-
バ-
ナズナ
シバ
ムギ
オオ
バコ
イヌ
タデ
スギナ

(本)
同割合
(%)
標準無処理 35 42 1.751 3 7 40 9 1.887 100
PCP尿素100g* 45 70 1 451 7 1 6 6 43 19 649 34
  〃   150g* 36 37 1 288 7 2 2 5 26 14 418 22
PCP(液) 100g 22 34 2 484 13 1 1 21 19 597 32
尿     素 42 64 1.908 1 1 5 48 7 2.076 110
CI-IPC  10g 12 24 4 6 14 6 16 82 4

  同重量(g)
試験区別/
雑草名
ヤチイヌ
ガラシ
ハコベ
アカザ
オオツ
メクサ
スズメノ
カタビラ
クロ-
バ-
ナズナ
シバ
ムギ
オオ
バコ
イヌ
タデ
スギナ

(本)
同割合
(%)
標準無処理 43.5 8.2 694.2 1.2 13.2 3.5 5.8 769.6 100
PCP尿素100g* 36.2 14.5 0.2 138.0 0.4 1.0 3.0 6.9 4.0 24.5 228.7 30
  〃   150g* 21.9 5.7 0.5 60.0 1.4 0.25 0.7 6.7 2.0 10.4 109.55 14
PCP(液) 100g 14.8 4.1 0.8 109.0 1.3 0.05 1.0 1.5 9.4 141.95 18
尿     素 45.4 15.7 759.5 0.6 1.2 13.2 4.2 7.8 847.6 110
CI-IPC  10g 4.4 2.0 0.04 0.04 1.6 0.10 9.6 17.78 2
  注) 1) CI-IPCは1カ所の調査であるから他区の比較上数値を2倍にして掲げた。
     2) 施用量はa当(*印)

   ウ 収量に対する影響
    各処理とも収量、糖分に対する影響は認められなかった。
  収量調査表(3区平均)
試験区別 区当り収量(kg) 根中糖分
(%)
T/R
欠株歩合
(%)
個数(本) 菜根重 頸葉重
標準無処理 68 29.5(100) 38.3 17.34(100) 1.30 5.6
PCP尿素100g* 64 29.6(100) 34.5 17.16(99) 1.17 11.1
  〃   150g* 63 29.8(101) 35.7 16.98(98) 1.20 12.5
PCP(液) 100g 64 28.0(95) 34.9 16.98(98) 1.24 11.1
尿     素 64 29.3(99) 32.7 16.65(96) 1.12 11.1
CI-IPC  10g 69 30.0(102) 37.2 17.82(103) 1.24 4.2
L.S.D NS NS
  注) 1) CI-IPCは反復なし  ( )内は標準無処理を100とした割合
     2) PCP、CI-IPCの施用量はa当り

  3. 昭和40年度
   昭和37、38両年の試験は沖積土(琴似においてのみ実施されたもの)であり、PCP尿素の使用は差し支えないと認められたので、さらに発芽、初期生育に対する影響を重点といして、恵庭町島松(作物部第5研究室)の火山性土における試験結果を得ようとした。
   (1) 試験経過の概要
    供試圃場の前作は燕麦であり、優先雑草はハコベ、アカザが多く、部分的には菜種が発生した。
 5月11日播種、直後に処理を実施した。播種後も圃場は乾燥することもなく試験は順調に行われたものと認められた。6月中旬に間引、11月5日に収穫を行ったが、病害虫による被害は殆どないものと認められた。

 5月気象表
平均気温(℃) 降水量(mm) 日照時数(h)
   上 旬 8.49 13.5 72.3
   中 旬 10.75 21.5 94.5
   下 旬 12.02 5.5 102.6
  
 降雨状況
   5月5日 6.0mm 5月17日 5.0mm
     7日 6.5〃   20日 11.5〃
     10日 1.0〃   24日 1.0〃
     11日 5.0〃   25日 4.5〃
   (2) 試験方法
    ア 試験操作  PCP尿素(粒剤)を播種直後全面散布
    イ 播種梗概  標準耕種法
    ウ 1区面積および区制  28m2  乱塊法  2反復
    エ 供試PCP尿素(PCP15%含有、N37%)をPCPとして1.050g/10a、1.500g/10a施用
    オ (オ)試験区別
     (ア) 対照区
     (イ) PCP尿素区  PCP1.050g/10a(製品量として7kg/10a)
     (ウ)   〃          〃    (   〃   10kg/10a)
       ただし智利硝石以外のNは尿素を使用、各処理区間の表面散布量のN量と同一とし、PCP施用量のみの差とした。
       N:P2O5:K2O→10:15:5kg10aの施用量とした。
    カ 供試品種  導入2号(砕粒)
    キ 前作     燕麦
    ク 供試圃場  火山性土
     上 15cm樽前火山灰a層
     下 70cm恵庭岳火山a層
     PH 原土5.9→6.5に酸性矯正に必要の炭カルを施用
   (3) 試験成績
    ア 生育に対する影響
     5月25日~26日発芽期  30~31日発芽揃
     生育状態は6月上旬までPCP1.500g/10aのみ稍劣り、生育も稍抑制された。
     PCP1.050g/10aは対照区に比較し、僅かに稚苗時の短期間のみ稍抑制されたのみであった。7月以降は各区間に生数差は認め難く、草丈葉数にも差はなかった。
 発芽状態に関する調査を播種~発芽の中間と、発芽直前の2回にPCP尿素を特別に散布し、調査を行った。発芽本数を対照区と比較すると、発芽始の前日の散布においてもPCP1.050kg/10a区で対照区に対し、79%、PCP1.500g/10a区で54%の発芽本数が得られた。
 発芽生育状態はPCP1.050gでは対照区に比較してほぼ同一とみて差し支えなく、PCP1.500でも実用的には差し支えない程度の抑制であった。
    イ 除草効果
     試験区内の雑草発生程度を調査したが、対照区と比較してみると次ぎの通りである。
区  別/反  復 1 2 2 平均
対  照  区  
PCP尿素区PCP1kg/10a 中~大 中*
 〃  〃    1.5kg/10a 中~大 極大 大*
  注) 中は37、38年の琴似の試験の除草効果と略同じで無処理100に対し30~40の雑草発生。
     大は100に対し10の雑草発生
     PCP1.050g/10a、1.500g/10aの両区は間引時まで雑草の発生は抑えられ、間引の省力に十分に効果のあることが認められた。
    ウ 収量に対する影響
     本試験は各区のN、P2O5、K2Oの施用量、施用法を同一にし、PCPの有無のみの差を問題にしたものであり、予想したごとく収量、糖分に有意差は認められなかった。

 収量調査表(3区平均)
試験区別 本数
(本)
総重
(kg)
頸葉重
(kg)
根重
(kg)
根中糖分
(%)
T/R
対  照  区 103 108.6 67.7 40.9(100) 16.93 1.7
PCP尿素区PCP1kg/10a 100 113.2 72.5 40.7(100) 16.99 1.8
 〃  〃    1.5kg/10a 95 110.1 71.2 38.9(95) 16.45 1.8
L.S.D       NS    

  4. 考察
   琴似2カ年、島松1カ年の試験結果をとりまとめて考察すると次ぎのごとくである。
  (1) 除草効果
   優先草種により除草効果は異なるが、琴似などのPCP対照草種の少ない場所においてもPCP尿素7kg(PCP1.050kg/10a)で間引の省力化に充分に役立つ程の効果が認められた。
 CI-IPCの効果に比較すれば、琴似では稍劣るが、PCP対照草種の多い地帯(会社成績参照)ではCI-IPC液に劣らない効果を示した。
  (2) 生育に対する影響
   沖積土などの良好な圃場ではPCP1.000g/10a、1.500g/10a相当のPCP尿素施用による発芽、生育抑制などの障害はないものと認められた。
 火山性土の場合はPCP1.000g/10a相当のPCP尿素7kg施用では発芽、稚苗時の生育に支障はないが、1.500g/10a相当のPCP尿素10kgの施用では発芽稚苗時の生育が抑制される傾向が認められた。しかし収量調査では減収する程のものでなかった。
 会社の連絡試験結果では、PCP尿素施用による減収の傾向が火山性土の2ton/10a前後の低収地帯に多少認めらるが、低収地帯の土壌における根系の分布から考えて、PCPそのものの影響より尿素の全面施用によるNの肥効の低下によるものと考えられる。
 しかし沖積土、火山性土の熟畑では、除草効果とNの表面散布による肥効が期待出来る。
 以下の結果から、PCP尿素は次ぎのごとく使用するのが適当である。
   ア 施用量および施用方法
    PCP尿素7kg(PCP1.050kg/10a相当)を播種直後表面散布する。
   イ PCP尿素に不適と考えられる圃場
    不良火山性土(てん菜収量2ton以下の圃場が対象となるであろう。)
   ウ 散布方法
    散粒器などを使用し、まきむらの少ない方法をとる。

 参考成績 (会社連絡試験抜すい)
  37年度 収量調査
場  所 日甜 帯広市清川(清川農場) 芝糖 上常呂 ホクレン 小清水町 ホクレン 十勝清水 台糖 伊達町
土  性 火山性土 火山性土 火山性土 火山性土 火山性土
項目/区別 発芽 個体数(本) 根重(kg) 根中糖分(%) 発芽 薬害 個体数(本) 根重(kg) 根中糖分(%) 発芽 個体数(本) 根重(kg) 根中糖分(%) 発芽 個体数(本) 根重(kg) 根中糖分(%) 発芽 薬害 個体数(本) 根重(kg) 根中糖分(%)
無処理 稍良 6.774 1.592(100) 13.00 7.130 2.761(100) 15.90 5.252 3.435(100) 16.0 9.350 1.554(100) 17.2 78.2 7.730 2.909(100) 11.5
PCP尿素(粒) 稍良 6.697 1.669(105) 12.96 7.284 2.572(93) 15.69 5.525 3.736(109) 15.7 8.700 1.545(99) 16.6 76.2 8.170 3.011(104) 10.6
CI-IPC液 稍良 6.445 1.560(98) 12.93 6.927 2.613(95) 15.64 6.397 3.568(104) 15.7 9.800 1.845(119) 17.2 89.6 8.430 3.323(114) 10.8

  38年度 収量調査
場  所 日甜 帯広市清川(清川農場) ホクレン 中斜里 台糖 伊達町 大日本製糖 本別町
土  性 火山性土 火山性土 火山性土 火山性土
項目/区別 個体数(本) 根重(kg) 根中糖分(%) 発芽 個体数(本) 根重(kg) 根中糖分(%) 欠株率
(5.22)
個体数(本) 根重(kg) 根中糖分(%) 発芽 個体数(本) 根重(kg) 根中糖分(%)
無処理 7.607 1.736(100) 14.2 5.800 3.383(100) 14.4 1.1 8.450 2.596(100) 14.2 7.206 1.825(100) 16.40
PCP尿素(粒) 7.836 1.330(77) 13.7 5.467 3.417(101) 14.9 6.1 8.040 2.649(102) 12.7 稍否 7.464 1.546(85) 16.58
CI-IPC液 7.645 1.659(96) 13.7 3.133 3.133(93) 15.7 0.3 8.650 2.631(101) 13.4 7.762 1.942(106) 16.79
  注) 1) 個体数、根重はそれぞれ10a当り
     2) ホクレン(小清水)、芝糖は風害のため38年度は中止
     3) PCP尿素……PCP 1.000g/10a
       CI-IPC液        100g/10a

  37年度 雑草調査
場  所 日甜 清川 芝糖 上常呂 ホクレン 小清水 台糖 伊達 大日本製糖 勇足
土  性 火山性土 火山性土 火山性土 沖積土 火山性土
優先草種/
調査月日
ツユクサ
アカザ

8月7日
ハコベ
アカザ
タデ
6月7日
アカザ
タデ
ツユクサ
6月9日
ハコベ
アカザ

6月19日
アカザ、ハコベ
ナギナタコウジユ

6月2日
項目/区別 本数 重量(g) 本数 重量(g) 本数 重量(g) 本数 重量(g) 本数 重量(g)
無処理 223
(100)
233
(100)
333
(100)
51
(100)
292
(100)
2.417
(100)
343
(100)
15
(100)
PCP尿素(粒) 146
(69)
74
(33)
94
(28)
13
(25)
21
(7)
439
(18)
130
(38)
6
(40)
CI-IPC液 94
(42)
27
(12)
76
(23)
10
(20)
93
(32)
611
(25)
329
(96)
14
(93)

  38年度
場  所 日甜 清川 ホクレン 中斜里 台糖 伊達 大日本製糖 勇足
土  性 火山性土 火山性土 沖積土 火山性土
優先草種/
調査月日
アカザ
ツユクサ

6月13日
ハコベ、アカザ
スギナ、タデ

ハオコベ、アカザ
イヌホウズキ

6月13日
アカザ、ハコベ
ナギナタコウジユ

6月2日
項目/区別 本数 重量(g) 本数 重量(g) 本数 重量(g) 本数 重量(g)
無処理 31
(100)
407
(100)
138
(100)
231
(100)
496
(100)
238
(100)
16.3
(100)
PCP尿素(粒) 11
(35)
168
(41)
56
(41)
47
(20)
51
(10)
112
(45)
6
(37)
CI-IPC液 25
(81)
236
(58)
39
(28)
53
(23)
26
(5)
217
(91)
11.6
(72)

  道立十勝農業試験場成績
 1. 試験方法
薬剤名 薬  量
(成分量g/a)
摘  要
PCP粒剤 100 播種後土壌全面に散布
 〃 液剤 100 播種後a当10Lの水に稀釈して噴霧器で土壌全面に散布
PCP尿素 7% 100 播種後土壌全面に散布
  〃  15% 100        〃
尿  素        〃

  供試品種  (導入2号)
  1区面積   11.8m2
  区  制   乱塊法3反復
  播種期    5月4日

  管理方法
 各処理および無処理区は雑草調査まで中耕、除草を行わず、間引のみとし雑草調査後は普通管理を行った。
 試験実施場所の土地条件
  土質および土性、腐植に富む火性砂墜土、排水良好、耕深21cm、覆土2cm

 除草剤処理前後の降雨量(昭和38年)
項目/月日 5月
1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20
降水量
0.0

0.0

0.0

2.8

0.1

0.0

0.4

2.2

11.8
  注) △は播種期  ○は処理月日

  2. 試験成績
  (1) 草種別雑草量(g/m2)
試験区別 アカザ タデ イヌホ
ウズキ
ナギナタ
コウジユ
その他
広 葉
イネ科 合計 然処理に対
する雑草比
(%)
PCP粒剤 8.14 0.30 0.06 0.30 0.40 9.20 19.2
 〃 液剤 17.80 0.26 0.20 0.18 1.16 19.60 40.9
PCP尿素7% 16.88 0.14 0.08 0.04 0.78 17.92 37.4
 〃   5% 8.02 0.14 0.18 0.18 0.36 0.42 9.30 19.4
尿   素 53.06 3.26 1.10 0.30 0.14 0.47 59.32 123.8
然 処 理 44.40 1.56 0.94 0.32 0.72 47.94 100.0

  (2) 生育処理調査
試験区別 薬量
(g/a)
発芽期
(月日)
欠株率
(%)
45日目 7月11日 8月14日 収穫期(11月1日)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数 根周
(cm)

(枚)

(枚)
PCP粒剤 100 5.14 1.7 14.6 8 44.3 17 63.6 20 54.2 23 17 26.4
 〃 液剤 100 5.14 1.7 13.6 8 46.6 15 59.7 21 54.3 20 15 25.8
PCP尿素7% 100 5.14 3.1 13.6 8 43.8 16 56.0 20 51.1 19 17 26.1
 〃   5% 100 5.14 1.1 13.5 7 46.3 16 57.4 22 53.1 22 19 26.5
尿   素 5.14 0.3 14.8 8 44.7 14 56.8 18 48.3 21 15 25.2
然 処 理 5.14 0.7 14.9 8 44.3 15 56.4 21 55.8 23 13 26.7

  (3) 収量調査成績
試験区別 薬量
(g/a)
10a当収量(kg) 百分比(%) 根中糖分
(%)
T/R
個数
(ヶ)
頸葉重 菜根重 可製
糖量
菜根重 可製
糖量
PCP粒剤 100 7.800 2.295 3.128 501 97 92 17.89 0.73
 〃 液剤 100 8.025 2.500 3.243 533 100 98 18.16 0.77
PCP尿素7% 100 7.800 2.178 3.099 519 96 95 18.23 0.70
 〃   5% 100 7.050 2.223 3.146 512 98 94 18.08 0.68
尿   素 7.800 2.525 3.128 501 97 92 18.06 0.81
然 処 理 7.913 2.682 3.231 544 100 100 18.35 0.83

  3. 考察
  (1) 除草効果
   覆占雑草はアカザであるが、発生がきわめて少なく、その他の雑草も若干発生をみた程度であった。PCP尿素では(15%)100g区がPCP(粒)100gとの同程度の除草効果を認めた。本年はPCP(液)より粒剤の効果が高かったのは散布直後に2.8mmの降雨があったためとみられる。
 尿素区は雑草の生草が旺盛で、雑草量は無処理より多かった。
  (2) 生育、収量に対する影響
  発芽、初期生育とも障害なく、また後半の生育も順調で処理間の差は認められなかった。菜根収量はPCP(液)は無処理と大差なく、他はいずれもやや劣ったが処理間に有意な差はなかった。
  (3) 実用化について
  PCP尿素15%、7%は共に除草効果が高く、PCP(液)よりも雑草量が少ないことから、薬量は100g/a程度が適量とみられる。

 道立十勝農業試験場
 1. 試験方法
  (1) 試験年次  昭和38年、39年
  (2) 試験地    北見農試圃場(脳植に頗る富む植壌土)
  (3) 供試品種  昭和38年:「合成2号」、昭和39年:「ポリラ-ベ」
  (4) 試験規模  1区14m2  乱塊法3反復
  (5) 試験区別
   施用窒素要素量(kg)  
表施 条施
1) 無窒素区 ( )内は39年度の施用量
を示す。
2) 標準肥料区 3.3(4.3) 3.7(4.94)
3) P尿素表施区(PCP-Naとして1.5kg) 3.7(3.7) 3.3(4.3) -(1.24)
4) 尿素表施区 3.7(3.7) 3.3(4.3) -(1.24)
供試N肥料 P尿 尿素 智硝 尿素  
  備考) 1) 供試肥料中で15%PCP尿素のN%は37%
       2) 共通肥料として両年共に下記の施肥量とする。
         P2O5 :12kg(過石・熔燐を半々づつ施用)
         K2O  :10kg(硫加)
         F.T.E:3kg
       3) 耕起前に10a当りタンカル:124(200kg)  堆肥:1.500(2.000kg)を施用する。なお( )内39は年度施用量を示す。
       4) P尿並びに尿素の表施は、播種壌土後直ちに行った。昭和39年のB試験のP尿処理は播種後4日目に処理した。

 2. 試験結果
 昭和38年度
  (1) 試験経過の概要
   5月6日に播種し、その夜7.5mmの降雨があったものの5月上中旬は降雨が少なく圃場は乾燥し5月18日~20日発芽期に達し、処理間においては畦内の施肥窒素濃度の低い区ほど発芽は幾分早かった。その後の旱魃と5月下旬の連続強風により地表土壌の飛散がみられたが、アカザ、タデ、禾本科雑草が優する。この試験圃では6月下旬の調査でアカザ・タデに除草効果がみられた。
 一方、叉、てん菜の生育を見るに初期生育は停滞気味であったが、7月に入って好天に恵まれ生育も回復し順調な生育を示していたが9月下旬以降低温多雨の傾向があり試験圃の排水が稍不良な事も関係し根部肥大は充分でなかった。
  (2) 試験成績
 ア 生育調査
  発芽期 草  丈 葉  数 根周
(cm)
根長
(cm)
7月5日 7月19日 8月19日 10月15日 7月5日 7月19日 8月19日 10月15日
(1) -N 6月18日 28.4 35.3 49.3 46.0 9.6 15.0 19.7 20.1 13.4 24.3
(2) 標肥   20日 33.7 51.7 59.7 54.3 11.8 17.2 23.1 23.8 13.0 26.0
(3) P尿表施   19日 34.1 52.1 60.3 57.6 11.5 14.2 24.7 22.8 13.2 25.2
(4) 尿素表肥   19日 33.7 49.1 59.9 52.8 10.7 15.3 23.1 21.6 12.8 25.2

 イ 収量調査
  10a当り収量(kg) T/R 根中糖分
(%)
純糖率
(%)
可製糖量
(kg)
Top Root
(1) -N 1.34 1.65 62 0.81 18.07 92.4 276
(2) 標肥 2.77 2.69 100 1.05 18.68 93.2 458
(3) P尿表施 3.42 2.82 107 1.21 18.14 92.8 475
(4) 尿素表肥 2.85 2.93 42 0.97 18.52 93.7 508

 ウ 雑草調査
  数(本/m2) 生重(gr/m2) 雑草被度
(%)
アカザ タデ 禾本科 アカザ タデ 禾本科
(1) -N 118 24 222 364 572 100 80 752 140 36
(2) 標肥 71 27 247 345 341 103 94 538 100 28
(3) P尿表施 45 19 247 311 144 77 73 294 55 12
(4) 尿素表肥 185 29 155 369 245 114 63 423 79 42

  (3) 摘要
  処理間においてP尿表施区の生育は後期迄他区に比し旺盛であり頸葉重が優っておりT/R比が高く、叉根重においてPCP尿素並びに尿素表施区は作条標準区に比較し優る結果となった。
 昭和39年度
  試験~1
   (1) 試験経過の概要
  発芽は前年と同じく、標肥区が他区に比し遅れ、不整であった。5月下旬から6月上旬にかけて圃場の乾燥が甚しく、特に5月20日から22日にかけて地表面の土壌飛散がみられた。6月23日の雑草量調査ではアカザ・タデ・スギナに除草効果はみられたが、ハコベ・禾本科にはみられなかった。
 処理区別では無窒素区は初期より葉色淡く最後まで生育は劣り、叉標肥区は初期は不良であり、P尿並びに尿素表施区は初期の生育は優っていたが、風蝕に伴なう施肥窒素を含む土壌の飛散があったためか生育中期以降草丈の伸長停滞、葉色のあせ方は標肥区に比べ著しく、収量的には標肥区に比し劣った。
   (2) 試験成績
 ア 生育調査
  播種期 発芽期 草  丈 (cm) 葉  数 (枚) 根長
(cm)
根周
(cm)
25/6月 9/7月 18/8月 28/9月 25/6月 9/7月 18/8月 28/9月
(1) -N 5月6日 5月16日 10.3 20.1 35.5 37.2 6.0 8.4 15.1 16.3 16.4 18.0
(2) 標肥   18日 11.8 22.4 50.7 52.0 7.0 9.2 17.0 19.6 14.2 19.9
(3) P尿表施   16日 14.6 27.9 42.1 40.9 7.3 11.5 18.0 20.5 16.1 19.4
(4) 尿素表肥   16日 13.2 26.0 41.2 37.0 7.5 11.0 16.5 18.1 15.5 30.4

 イ 収量調査
  10a当り収量(kg) T/R 根中糖分
(%)
純糖率
(%)
可製糖量
(kg)
本数 Top Root
(1) -N 7.225 1.36 1.74 63 0.78 19.62 93.8 320
(2) 標肥 7.780 3.60 2.79 100 1.29 18.68 94.3 492
(3) P尿表施 7.920 2.25 2.75 99 0.82 19.66 92.9 502
(4) 尿素表肥 7.970 1.76 2.62 94 0.67 19.50 95.0 486

 ウ 雑草調査(6月23日)
  本数/m2 生育重(g/m2)
アカザ タデ スギナ ハコベ 禾本科 アカザ タデ スギナ ハコベ 禾本科
(1) -N 26 47 7 324 62 25 107 2 278 23 436
(2) 標肥 52 18 12 179 73 74 63 13 363 25 539
(3) P尿表施 45 22 10 344 115 47 55 3 407 18 514
(4) 尿素表肥 63 42 15 254 49 90 177 8 321 17 601

  試験~2
   (1) 試験経過の概要
  播種後風の日が続き表施処理が遅れた為、P尿処理区の発芽は対称区に比し幾分下揃となり、その後の初期不良が目立ち、欠株となるものが多かった。生育後期になり他区に比し、旺盛となったものの概肥区と比べ根部収量は減収した。
   (2) 試験成績
 ア 生育調査
  播種期 表 施
処理期
発芽期 草  丈 葉  数 根長
(%)
根周
(cm)
17/7月 18/8月 28/9月 17/7月 18/8月 28/9月
(1) -N 5月20日 6月8日 22.1 35.2 35.5 8.2 13.5 15.6 15.1 17.9
(2) 標肥   10日 25.9 46.1 45.1 9.3 15.6 16.8 14.8 21.0
(3) P尿表施 5月24日   8日 20.8 45.8 48.2 8.1 14.8 16.6 15.4 20.2
(4) 尿素表肥   8日 24.3 43.9 45.7 9.2 16.3 16.5 14.3 20.8

 イ 収量調査
  10a当り収量(kg) T/R 根中糖分
(%)
純糖率
(%)
可製糖量
(kg)
本数 Top Root
(1) -N 7.820 1.71 1.80 72 0.95 19.32 91.6 319
(2) 標肥 7.180 2.71 2.52 100 1.08 19.14 93.2 449
(3) P尿表施 6.660 2.70 2.38 95 1.13 19.09 9.07 412
(4) 尿素表肥 7.180 2.79 2.68 105 1.04 18.91 91.3 462

 3. 考察
  北見農試において2カ年に亘りPCP尿素の施用試験を行ったが両年とも道東地区に見られ易い春季の風蝕があり表層土壌の飛散が見られ必ずしも充分な成績とは言えない難しいが参考のために取りまとめ考察すると次ぎの通りである。
 (1) 除草効果
  アカザ、タデ等PCP対象草種について除草効果が見られたが春季の気象状態が乾燥年の場合には雑草の発生も少なく、叉その様な年に強風があると土壌の飛散が見られ易いので表面施用の場合に除草効果の低下することが予想される。
 (2) 生育・収量に対する影響
  ア P尿表層処理は発芽に対する障害はなく、同一施肥量の場合作条標準区に比べ畦内の窒素濃度が低いので発芽は良かった。
  イ 風蝕による施肥窒素を含んだ土壌の飛散がない場合は標準区に比べ後半の生育も良いものと考えられる。
  ウ P尿表層施用は播種覆土直後とすべきで本試験においても4日後の散布は欠株増加、初期生育の不良障害がみられ収量にも影響することを認めた。