【指導参考事項】
芽室町における秋播小麦のコンバイン収穫と大規模乾燥施設に関する試験調査
道立十勝農業試験場機械科
国立農試畑作部

 農業構造改善事業の一環として乾燥調整施設およびコンバインが各地に導入されようとしているが、大量の高水分の小麦をどのように処理するかが問題となっている。このため芽室町が昭和38年に設置した穀類乾燥調整工場を対象として、コンバインおよび乾燥機の利用、コンバイン収穫と乾燥調整施設運営との関連について調査を行った。
 1. コンバイン収穫
  (1) 試験および調査項目
   ア 試験期日 昭和40年8月3日~17日
   イ 供試機   D8-61型 20 PS 1台
            T-600型 40 PS 1台
            I- 93型  50 PS 1台
            M- 80型  54 PS 3台
   ウ 調査項目 作業作条と作業精度

  (2) 調査結果
   ア 作業条件
機 種 名 1 2 3 4
天   候



品    種  北栄 北栄 北栄 北栄
草  丈(cm) 93.0 98.4~107.4 98.0 85.2~102.3
穂  長(cm) 9.0 7.1~8.6 8.0 5.4~9.0
畦  間(cm) 33.0 33.3~52.0 47.0 29.0~59.5
性云う密度(本/m2) 433 335~394 340 324~634
粒含水率(%) 25.5 24.7~27.7 20.5 21.6~37.5
子実稈歩合(%) 38.2 31.4~37.5 35.4 31.2~49.2
収  量(kg/10a) 535 240~255 295 200~435
倒     伏 ≒0 ≒0 0 0



土     性 火山灰土 沖積土 火山灰土 火山灰~火山性沖積
形     状 平坦 平坦 傾斜2~3° 平坦~波状
0~5cm、5~10cm 30、31 29~43、27~45 26、27 2032、22~33
土壌硬度(mm) 9~12 5~11 4~8 2~10
表面  5cm        
雑 草 量 中~多 中~外






刈  巾(cm) 132 208~233 188 245~285
刈り取り条数 4 4~7 4 5~9
刈  高(cm) 33 37~39 26 25~38
直進時速度(m/sec) 0.75 0.95~1.13 0.82 0.83~1.43
駆動輪スリップ率(%) 8.5 18.7~19.5 1.5 3.0~5.5
コンケ-プクリアランス 前(mm) 5 8 8 16~19
後(mm) 4 5 3 5~10
シリンダ-回転数 負 荷 1.050 1.570~1.580 690 1.100~1.270
無負荷 1.108 1.600~1.650 710 1.050~1.300
チャフシ-プ開度 1/3 1/3 1 1/4~1/3
シュシ-プ開度 16mm 1/3~2/3 8mm 1/3
フアン開度 1/2 1/2~3/4 1/3 1/3~2/3

   イ 作業精度
機  種  名 1 2 3 4
シリンダ-周速度(m/sec) 25.2 32.0~32.2 21.6 24.1~30.6
精粒口 (g) 305.0 286.0~297.5 1.800 1.680~2.230
送別口 g 29.2 4.0~6.1 2.3 1.0~36.1
% 1.05 0.14~0.22 0.13 0.05~1.66
分離口 未脱 g 202.0 9.4~22.3 14.4 13.2~39.8
% 7.08 0.33~0.78 0.81 0.60~1.83
ササリ g 29.9 8.6~17.9 8.2 4.2~49.2
% 1.05 0.31~0.64 0.46 0.20~2.59
精粒口風選重 g 28.50 281.5~285.5 1.790 1.635~2.175
% 93.5 96.0~98.4 99.5 95.3~99.3
総損失 g 261.1 33.4~34.9 24.9 18.4~98.6
% 9.2 1.2 1.4 0.9~5.2

  作業精度で問題となる点は、刈り取り時の子実津異聞と収穫損失との関係であるが、水分40%以内では強い傾向がなく、この範囲内では総損失3%以内に止め得る。莢雑物の混合量は高水分になるに従い多くなる傾向がある。5%以上もあると乾燥機内での穀粒流動が悪くなるので、コンバイン調整で選別をよくする必要がある。
   ウ 収穫時における雨量の影響
 収穫期間内の降雨の多少は、コンバインの収穫面積に関係するので、その期間内の降雨日数が重要となる。
 降雨直接の精度調査では、子実水分は高いが総損失、及び精粒口莢雑物は最良の作業条件時の結果に比較して劣らない事が認められた。従って、大雨後(20mm)を除いて、2~3mm蒸発量があればコンバインは稼働可能と考えられる。

   エ 作業能率




  平坦圃場は区画に大小があったこと、1日の圃場消化率に巾があることから図のごとくフレが大きい。しかし処理面積の増加にともなって能率は高まる傾向が認められた。傾斜圃場では0.7ha以上の圃場が大部分であるにもかかわらず、地形が複雑で条件が悪かったことなどのため、実作業時間に対する損失時間も多く、処理面積と能率との関係が明らかでない。
   オ 作業面積規模と能率
 コンバインの利用に当たっては、作業条件を一様とみた場合、作業面積が大きく移動時間が少ないことが能率を高めるために必要である。しかし、現状では小区画の面積が点在しているので(1)小さな面積をかためて次々に作業したらよいか、また(2)多少移動してもある程度大きな面積を処理してゆく方法がよいかが検討されねばならない。
 コンバインの稼働が最も有効に行われた8月9、12日の実態を調査した結果次の結論が得られた。圃場の内容をまず整理することと、区画が0.5ha程度でも整然となっていれば、能率にあまり支障がなく計画的に小画のものも含めて移動時間を節約した方が得策である。
   カ 小麦の熟期
 導入地区別に品種が同じでも熟期に5~10日程度の差があるので、コンバインの稼働はドライヤ-利用のことも考えあわせて、コンバイン集団をつくり熟期の早い地区を消化しつつ、遂次作業を行っていく事が、ある程度全体的な能率を高め得るだろう。
  2. 乾燥様利用
   (1) 試験方法
    ア 供試機の概要
 (ア) H式コンベア-型熱風乾燥機
  本機は、乾燥部本体は6室からなり、巾1.8m×長さ19.8mのエンドレスコンベア-(ネット平織BMG17網目2/mm)で、被乾燥物は、このコンベア-上に一定の厚さ(0~15cm)に推積され、原料受入れ定量ホッパ-から乾燥穀物排出口に移動する。この間、重油バナ-の間接熱風により乾燥する型式である。

 1図 H式乾燥機略図


 (イ) L式乾燥機
  40PSディ-ゼルエンジンに軸流ファンを直結させたもので、空気の熱はエンジンの発生する熱を利用する。昭和39年はフロア-タイプによる麻袋乾燥を採用し、40年はビンタイプによるバラ積み乾燥とした。
    イ 供試材料
 コンバイン収穫による秋播小麦で含水率は43.8~17.7%であった。
    ウ 測定項目
 乾燥前後・途中の麦含水率の変化、外気、床下、排気の温度と湿度、風速、風量、床下静圧、燃料消費量
   (2) 試験経過の概要
 コンバイン収穫による小麦の含水率は予想以上に高く、H式乾燥機の処理能力では困難であるため、昭和39年にL式乾燥機(麻袋乾燥法)を予備乾燥施設として補った。その結果は良好であったが、労力と空気抵抗の多い麻袋をとおして乾燥する無駄をなくするため、昭和41年はバラ積み乾燥法を採用した。
 2図 L式乾燥機(フロア-タイプ)


 3図 L式乾燥機(ビンタイプ)


   (3) 試験成績
    ア H式乾燥機
 4図 H式乾燥機の性能(小麦)2基

                 穀物乾燥初期水分(%)

 コンバイン収穫による小麦の含水率が20%以下になることはまれで、大半は25~35%である。このような小麦が1日40ton程度搬入されるため仕上がり水分14%にすることは不能である。したがって20%程度に1次乾燥し、収穫終了後の9月に入って仕上げ乾燥する必要がある。あるいは仕上げ乾燥前の流量調節のため1次貯蔵・予備乾燥施設が必要である。

 1表 39年度H式乾燥機試験結果
試験
番号
乾燥
月日
バ-ナ
開 度
コンベア-用
モ-タ-回転数
受入
数量
(kg)
同 左
含水量
(%)
製品
実数
(kg)
重 油
消費量
(L)
所要時間
(時 分)
時間当
重油
消費量
(L/h)
時間当
製 品
実 数
(t)
備考
1 8.12 1.0~1.5 200~250 20.086 21.9 18.093 449 24-55 18.0 0.73 *
2 8.13 1.0~1.5 150~450 19.427 23.6 17.667 374 25-10 14.8 0.95 *
3 8.20 1.5~3.5 150~350 31.924 27.2 27.264 1.048 42-05 25.6 0.46 *
4 8.21 1.5~3.0 200~300 27.189 26.4 22.992 855 34-45 24.6 0.66 *
5 8.31 3.0 300 14.414 23.6 12.820 389 13-00 29.9 0.99 *
6 9.12 1.0~1.5 300~320 23.571 20.0 21.790 471 23-50 19.8 0.92  
7 9.13 1.0~1.5 300 21.402 19.6 19.925 356 18-40 19.0 1.07  
8 9.16 1.0~2.0 450 26.464 17.2 25.173 350 17-00 20.6 1.48  
  注)* コンバイン収穫、予備乾燥

   イ L式乾燥機
 (ア) フロア-タイプ
 2表 フロア-タイプ試験結果
番号 項   目/
積算時間/
日   時



乾燥前小麦 予備乾燥
後小麦
乾減
水分量
(kg)
送風量

(m2/s)
床下
静圧
(水柱)
平均
(mm)
燃料
消費量
(L)
蒸発水分/
燃料費
(kg/L)
乾燥枠及び
送風経過
乾燥終了時
温湿度
本乾燥仕上
り総重量
(kg)
総重
(kg)
麻袋数
含水量
(%)
総重
(kg)
含水率
(%)
3 12日
18時00分

14日
8時00分
33.30 1 7.610 185 23.4 6.890 15.6 720 8.0 28.1 219.0 8.2 A
13日
8時~
18.00
Aのみ
15.5℃
92.5%
24.045
2 7.560 183 23.6 7.020 17.8 540
3 6.980 171 24.8 6.660 20.8 320
4 5.720 138 26.1 5.510 23.3 210
27.870 677   26.080   1.790
5 14日
18時00分

16日
14時00分
43.50 1 7.510 199 29.8 6.590 19.9 920 7.0 30.6 227.0 6.0 A
15日
8時00分~
16日4時
Aのみ
22.2℃
82.5%
24.315
2 6.930 180 17.7 6.780 15.9 150
3 6.700 165 21.3 6.450 18.4 250
4 5.530 144 21.5 5.490 21.0 40
26.780 688   25.310   1.360
7 19日
18時00分

21日
8時00分
37.30 1 9.200 250 30.3 8.230 22.2 970 8.0 41.0 165.0 9.6 B
20日
8時00分
~17時
Bのみ
17.0℃
93.5%
22.992
2 8.300 216 31.1 7.910 27.9 390
3 5.470 152 30.8 5.350 29.3 120
4 4.210 106 29.2 4.150 28.3 60
5 3.580 88 28.7 3.560 28.4 20
6 1.705 48 29.1 30.880 28.0 25
32.465 860       1.585
  注) 1. 送風量はAB送風時は1/2とした。
     2. 床下静圧は25点の平均価とした。
     3. 燃料消費量はAB送風時は1/2とした。
     4. 乾燥終了時の温度、湿度は外気の関係を示した。

 3表 フロア-タイプ性能
穀物水分(%) 乾燥能率(ton/日)
30 25 60
30 20 24
25 20 36

  当乾燥施設においては上段・下段の含水率を一定にすることはできなかったが、H式乾燥機が2基あるため、下段を1号機、上段を2号機により仕上乾燥を行うことにより、コンバインとの組合せ利用が円滑に行われた。

 (イ) ビンタイプ
 4表 ビンタイプ試験結果概要
番号 項   目/
積算時間/
日   時
ロット
番号
外 気 風洞内 排 気 乾燥前小麦 予乾終了時 送風量
(m2/s)
静圧
水柱
(mm)
穀温 燃料
消費量
(L)
温度
(℃)
湿度
(%)
温度
(℃)
湿度
(%)
温度
(℃)
湿度
(%)
堆積
高さ
(cm)
平均
含水率
(%)
総重

(kg)
場所
(cm)
含水率
(%)
4 5日20°.30’

6日16°.35’
20.05 3 19.2 95 26.4 59 22.6 84 70 33.8 5.951 70
10
34.7
18.2
3.3 125.0 25.3 25.0 73.0
6 6日7°.05’

8日8°.30’
36.25 2 17.4 97 24.8 69 100 33.7 8.401 100
10
28.0
12.1
3.6 90.0 23.9 20.9 87.5
10 8日15°.54’

10日16°.40’
48.46 2 22.9 83 31.5 63 190 30.8 13.728 190
100
10
30.2
30.4
11.5
3.3 125.0 30.4 23.9 116.5
15 12日16°.00’

13日10°.00’
18.00 3 14.9 94 23.6 60 17.4 96 70 29.2 6.421 70
10
22.0
17.8
3.9 100.0 22.4 17.8 65.8
16 12日19°.30’

14日14°.00’
42.30 2 15.0 94 24.4 58 17.8 96 120 28.1 9.691 120
60
10
33.0
18.3
13.3
3.6 115.0 23.3 18.0 182.4
17 13日18°.00’

15日9°.00’
39.00 3 15.1 95 23.8 61 100 26.8 7.585 100
60
10
26.9
24.4
14.4
3.3 125.0 23.2 18.0 121.4
  注) 燃料、風量とも2ビン送風時は1/2、3ビン送風時は1/3とした。

 5表 ビンタイプ性能
穀物水分(%) 乾燥能率(ton/日)
35 30 36
35 25 18
35 20 12
30 25 22
30 20 10
25 20 15


 試験4.15は堆積高さがいずれも70cmであり、気象条件等もほぼ等しいが、4は3ビンに送風する時間が長かったのに対し、15は2ビンに送風する時間が長かったことによる相違から下層部はいずれも顕著な乾減傾向を示したが、上層部は4は殆ど乾燥せず、初期水分のまま推移している。
 試験6.17は堆積高さ1mでは、前記試験同様下層部は顕著な乾燥傾向を示し、上層も緩慢ではあるが乾減傾向を示した。しかし17のごとく中層に含水率の低いものが入った場合は、殆ど乾燥せず初期水分のままであった。
 試験16は、堆積高さ1.2mであるが、中層までは乾燥が進行するが、上層は殆ど乾燥が進行しない。
 試験10は堆積高さを1.9mにしたが下層のみが乾燥し、中、上層は殆ど乾燥が進まず、48時間程度送風した後には、上層にカビの発生が認められた。

   (4) 結論
  以上本年度まで行った小麦の乾燥結果につき記述して来たが、流動乾燥機とコンバイン収穫を結びつけるためには、一時貯蔵、予備乾燥施設が必要であり、この場合、L式乾燥機等この種施設をどの面に重点をおくかによりその規模施設が変わってくる。一時貯蔵に重点をおく場合には、本乾燥機に連続的に流れやすい場所、例えば2階等に大量に貯蔵しながら流す方式となり、予備乾燥に重点をおくならば、フロア-の面積を50~100m2位、堆積厚さは初期含水率30%程度では70cmとし、コンバイン収穫の最大量40~50tonを1日で処理出来るように2基施設すべきである。いずれにしろ、コンバインによる刈取面積を利限したり、麦にのみしか使用出来ないH式乾燥機が、夜間運休するような運営方法はロスが大であると指摘されよう。

 3. コンバイン収穫と乾燥施設の運営
  (1) コンバイン刈取原料の含水率
   39・40年のコンバインで収穫された小麦の時期別含水率とその入荷量をしめしたのが第6表である。気象条件さえよければ、40年に示される如く、成熟期を過ぎると水分は減少し、20~35%となる。39年は初年度でもあり、8月10日より収穫を始めたが15日以降異常天候の影響で、収穫期が遅れ、また倒伏・穂発芽を生じ含水率が非常に高くなっている。
  (2) 小麦原料の乾燥実績
   39年のコンバイン収穫物はL式乾燥機で予備乾燥を行い、これに続いてH式乾燥本機にかけて行われたが、40年はコンバイン台数も増加(5台)し、また早期、高水分の状態から収穫が開始され、L式乾燥機による予備乾燥では対処できず、本機による1次乾燥を行い、18~20%の水分に低下させてこれを貯蔵し、コンバイン収穫終了後、仕上げ乾燥を行った。これにより後述する如く大巾に御図率を上げることができ、コンバインによる収穫作業をスム-ズに行うことができた。

 第5表 含水率と製品1.000kg乾燥所要時間
 
  注) 1. 直接乾燥とは1度に含水率14.5%迄乾燥
     2. 2回掛乾燥とは1度含水分を18~20%迄乾燥貯蔵後、含水率14.5%に仕上乾燥を行う。

 第6表 原料水分別受内量と乾燥実績
時  期
(半旬別)


39年 (天候の悪い年)
原料受入量* 千kg L式仕上乾燥量 千kg
原料水分 % 予乾後
仕上乾燥
直接
乾燥
40.0

35.5

40.0
30.5

35.0
25.5

30.0
20.5

25.0
15.5

20.0
8月



2 5.9 14.1 20.0 20.0 20.0
1 24.1 70.8 94.9 94.9 94.9
2 42.3 6.4 48.7 48.7 48.7
1 25.8 18.4 14.6 58.8 58.8 58.8
2 3.3 5.8 25.1 22.6 9.7 66.5 18.2 48.3 66.5
9月 1
3.3 5.8 25.1 90.7 48.4 115.6 288.9 240.6 48.3 288.9
手 刈 141.3 202.7 344.0 344.2 344.2
合 計 3.3 5.8 25.1 90.7 189.7 318.3 632.9 240.6 392.5 633.1


時  期
(半旬別)
40年 (天候の良い年)
原料受入量* 千kg 予備及仕上乾燥量 千kg
原料水分 % 予備乾燥 仕上乾燥
35.5

40.0
30.5

35.0
25.5

30.0
20.5

25.5
15.5

20.0
L式 本機による
1次乾燥
予備乾燥
したもの
直接
乾燥
8月



8.8 32.5 3.8 45.1 10.9
2 9.1 34.3 114.7 46.1 1.1 205.3 135.7 39.7 20.9 60.6
1 1.4 105.8 137.0 68.3 312.5 303.9
2 40.0 4.6 44.6 58.6 68.7 68.7
1 126.8 8.8 135.6
2 292.0 292.0
9月 1
17.9 68.2 264.3 187.7 69.4 607.5 509.1 458.5 98.4 556.9
手 刈 153.5 153.5 153.5 153.5
合 計 17.9 68.2 264.3 187.7 222.9 761.0 509.1 458.5 251.9 710.4
  注) 39年 1. *コンバイン収穫物のうち、8月下-2の直接乾燥した48.3千kgを除いては総てL式乾燥機による予備乾後の水分別数量、従って受入時の原料水分は2~4%高い。
     40年 1. 数量はいずれも受入時あるいは機械に投入時の重量。
         2. L式乾燥機は8月上、中旬原料水分の高いものに使ったが(約80千kg)大部分は本機により1次乾燥を行う。
         3. 8月上-2直接乾燥20.9千kgは39年度の要領で行おうとした結果、能率低いので中止。
         4. コンバイン稼働期間 39年8月10日~31日  22日
                        40年8月 3日~18日  16日

  (3) 直接乾燥と本機による1次乾燥との比較
   当乾燥調整工場に設置せれている2基の乾燥機を1日操業時間16時間-8時間労働2交代制-として1日当操可能量を示したのが第3図である。
 ここでは原料水分は18%程度までは直線的に低下するものとしたのである。原料水分30%以上のものであると製品の質は低下し、価格条件を考慮して、水分30%以上のものは収穫、乾燥に適さないとした。
 縦軸の期日はコンバイン実稼働日数14日を示したものである。(稼働期間は8月5日~25日の20日間とし、その降雨量2mm以下の日を稼働可能日とする)
 縦軸60tonの線はコンバイン5台がフル稼働した場合1日当り入荷される量である。直接乾燥法では原料水分が低下する後期にいたってもコンバインをフル運転することはできず、全期間を通じてコンバイン刈り取り濃緑の44%しか乾燥処理能力がない。
 1次乾燥し、コンバインによる収穫終了後に仕上げ乾燥を行うことにより8日目以降、乾燥機の処理能力にコンバイン稼働が規制されることなく、逆に原料不足の現象を呈する。10a当収量を5俵とみらば229.5ha、1台当り46haとなる。この面積はコンバイン刈り取り能力の80%にあたるが、原料水分の高い初期はコンバインの能率も低下するとみられるから、ほぼフル稼働が可能と考えて良い。
 予備乾燥、一時貯蔵後仕上げ乾燥を行うことにより乾燥施設の操業率は倍加され、一方コンバイン自体の稼働も倍加される。
 両者の乾燥経費を試算したのが第7表であり、1俵当20%の低下がみられる。

 第6図 直接乾燥と乾燥機2回掛との処理量比較

           コンバイン収穫可能日数月日~日における稼働日数

 第7表 乾燥法の違いによる能率比較
  コンバイン
稼働日数
乾燥機
操業日数
乾燥処理
総重(t)
コンバイン
刈取可能
面積(ha)
直接乾燥 14 14 368.9 123.0
乾燥機2回掛 14 29 686.7 229.5

 第8表 直接乾燥と乾燥機2回掛の場合の1俵当り経費
  1俵当流動費(円) 1俵当固定費(円) 計(円)
直接乾燥 120.5 252.6 373.1
乾燥機2回掛 143.0 172.5 315.5
  注) 乾燥数量は乾燥処理量の95%とした。(5%は屑)

  (4) 要約
   芽室農協乾燥調整工場2ヶ年の実績資料を基礎に乾燥機による直接乾燥(原料を一時に製品の仕上げる)と、本機によって1次乾燥(貯蔵可能な水分まで乾燥)し、以後仕上げ乾燥を行う方法とを比較した。
 その結果、後者の方法により乾燥機、コンバインとも大巾に操業度を高めることが可能であることが明らかとなった。
 しかし、本機による1次乾燥法が最も合理的であるということではなく、もし他の方法により、これが解決されるならば、その方法を採用すべきであろう。
 なお、ここではコンバイン利用を前提とした場合についてであるがコンバイン収穫時期には限度があり、その後の原料をいかに調達するか、手刈収穫物の乾燥は39年にように寡照、湿潤年は多く、40年の好天時にすくないという現象は重要な問題のひとつである。