【指導参考事項】
玉ねぎの施肥法に関する試験成績
道立中央農試化学部
 

玉ねぎは本道の特産物であり、近年栽培面積も増加の傾向にあるため、その合理的施肥法を確立しておくことが必要と考え、昭和37年度から3年にわたり直播玉ねぎについて特に施肥法試験以外では作条施肥条件下で本試験を継続実施したものである。
 試験は札幌市丘珠の埴壌土及び壌土の2ヶ所で直播玉ねぎについて行った。
試験名及び試験年度
Ⅰ 玉ねぎの三要素試験 (昭和37年度)
Ⅱ 玉ねぎの養分吸収過程に関する調査 (   〃   )
Ⅲ 窒素、燐酸用量について (昭和38年度)
Ⅳ 窒素質肥料比較試験 (昭和37年度)
Ⅴ 燐酸質肥料比較試験 (昭和38年度)
Ⅵ 施肥法について (昭和39年度)
Ⅶ 玉ねぎの栽培土壌の特性に関する調査 (昭和38年度)


 Ⅰ 玉ねぎの三要素試験
 1. 試験目的
  玉ねぎに対する三要素の肥効を検討し、併せて天然供給量を査定せんとする。
 2. 試験方法
  (1) 試験地  札幌市丘珠川向東  岩田 岩蔵(壌土)
             〃   〃川向南  大滝 汎 (埴壌土)
  両試験地共に伏古川流域に発達した沖積土
  ア) 岩田試験地
項目/層位 土性 現地
容積重
(g)
三相分布(%) T-C
(%)
T-N
(%)
C/N PH Y1 CEC
(m・e)
置換性塩基(mg) Truog
P2O5
(mg)
吸収係数
固相 液相 気相 H2O KCL CaO MgO K2O N P2O5
作 土 C L 159.6 45.8 35.8 18.7 1.21 0.11 11.0 6.30 5.45 0.24 30.72 604 90 45 23.6 324 1.166
心 土 L 146.7 41.7 32.8 25.5 0.82 0.08 10.3 6.15 5.20 0.25 32.75 519 86 29 0.6 391 1.069

  イ) 大滝試験地
項目/層位 土性 現地
容積重
(g)
三相分布(%) T-C
(%)
T-N
(%)
C/N PH Y1 CEC
(m・e)
置換性塩基(mg) Truog
P2O5
(mg)
吸収係数
固相 液相 気相 H2O KCL CaO MgO K2O N P2O5
作 土 SiC 138.7 37.2 38.6 24.2 1.72 0.22 7.8 5.90 4.75 0.51 28.60 57.9 45 58 12.4 406 1.362
心 土 SiC 146.4 37.8 44.0 18.2 1.29 0.15 8.6 6.10 4.95 0.40 37.57 56.2 84 46 0.3 463 1.273


  (2) 試験区  1区18m2、2連制
  (3) 耕種梗概
   供試品種-札幌黄
   栽植密度-畦巾42cm、株間12cm、2条値
   播種期--4月26日
   収穫期--岩田試験地 9月17日
           大滝試験地 9月24日
  (4) 試験区別
   有機質秋無施用、脱脂米糠秋施用、鶏糞秋施用の3系列に下記の試験区を設置す。
  (5) 備考
   脱脂米糠秋施用、鶏糞秋施用の両系列は前年の秋に脱脂米糠及び鶏糞を全面に撒布して秋耕す。尚、施用せる脱脂米糠及び鶏糞量とa当要素換算量は次の如し、
種 類 a当
施用量
(kg)
原物中の肥料成分 a当要素換算量
N
(%)
P2O5
(%)
K2O
(%)
N
(kg)
P2O5
(kg)
K2O
(kg)
脱脂米糠 37.5 2.84 5.82 1.46 1.07 2.18 0.55
鶏  糞 54.4 3.00 4.00 1.50 1.63 2.18 0.82


 3. 試験成績
  その1 岩田試験地
  (1) 生育及び球茎調査成績
秋肥の
有無
項目/試験区 6月25日 7月10日 7月25日 8月10日 球 茎
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
8月10日
(cm)
8月25日
(cm)
9月10日
(cm)




1. 無肥料区 30.7 3.9 54.4 6.4 74.3 8.8 75.6 8.6 5.7 5.8 6.1
2. 〃窒素区 33.8 4.0 54.3 6.3 74.9 8.7 75.1 8.6 5.9 6.0 6.1
3. 〃燐酸区 30.4 4.0 53.8 6.2 80.0 8.8 80.0 8.2 5.8 5.9 6.0
4. 〃加里区 34.6 4.2 58.7 6.8 81.2 9.4 78.2 8.4 6.1 6.2 6.3
5. 三要素区 35.1 4.3 60.2 7.0 81.5 9.5 78.9 8.4 6.1 6.3 6.5





1. 無肥料区 30.4 4.1 53.6 6.7 73.4 8.8 76.4 8.5 5.7 5.8 6.1
2. 〃窒素区 33.9 4.0 55.7 6.5 73.6 8.6 76.8 8.4 5.8 5.9 6.0
3. 〃燐酸区 31.3 4.0 54.0 6.5 78.9 8.7 77.2 8.0 5.9 6.0 6.0
4. 〃加里区 36.0 4.1 60.3 6.8 80.0 9.3 78.0 8.5 6.4 6.6 6.7
5. 三要素区 35.9 4.2 60.5 6.8 81.3 9.3 78.9 8.5 6.4 6.6 6.8



1. 無肥料区 31.3 4.2 52.9 6.5 71.4 8.8 76.8 8.2   6.0 6.2
2. 〃窒素区 34.1 4.1 54.1 6.2 71.3 8.6 76.4 8.1   6.1 6.3
3. 〃燐酸区 32.3 4.1 55.5 6.4 76.3 8.9 80.9 8.2   5.9 6.2
4. 〃加里区 36.0 4.2 60.9 6.8 80.6 9.3 80.1 8.5   6.3 6.6
5. 三要素区 35.6 4.2 60.6 7.1 80.1 9.5 80.5 8.3   6.5 6.7

  (2) 収量調査成績
秋肥の
有無
項目/試験区 a当収量(kg) 鱗茎構成割合(%) 鱗茎
平均
1個重
(g)
収量比(%)




















各系列の
三要素区
を100とする
無施用系
列の三要
素区を100
とする




1. 無肥料区 172 211 55 12 15 438 39.2 48.2 12.6 100 132 96  
2. 〃窒素区 155 239 51 13 32 445 34.7 53.8 11.5 100 129 97  
3. 〃燐酸区 152 205 40 9 75 397 38.2 51.6 10.2 100 128 87  
4. 〃加里区 223 198 27 17 53 448 49.7 44.2 6.1 100 137 98  
5. 三要素区 221 198 37 19 51 456 48.4 43.3 8.3 100 136 100 100





1. 無肥料区 197 158 44 19 40 399 49.4 39.6 11.0 100 131 96  
2. 〃窒素区 198 165 42 24 53 405 48.9 40.7 10.4 100 132 97  
3. 〃燐酸区 187 144 33 14 1215 364 51.3 39.7 9.0 100 127 87  
4. 〃加里区 227 140 38 21 149 405 56.0 34.7 9.3 100 137 87  
5. 三要素区 238 154 26 24 166 418 57.0 36.7 6.3 100 140 100 92



1. 無肥料区 191 202 33 17 69 426 44.8 47.4 7.8 100 131 97  
2. 〃窒素区 204 183 39 16 61 426 47.8 42.9 9.3 100 130 97  
3. 〃燐酸区 172 181 33 17 81 386 44.5 46.9 8.6 100 129 88  
4. 〃加里区 212 184 37 13 85 433 48.9 42.6 8.5 100 136 98  
5. 三要素区 212 189 38 20 113 439 48.2 43.0 8.8 100 137 100 96
  注) 合計-規格外、腐敗を含まず、中玉-4.0~5.2cm
     大玉-球茎6.4cm以上、規格外-長球、分球、屑を含む
     上玉-5.2~6.4cm

  (3) 作物体分析成績
   倒伏期(8月5日)
秋肥の
有無
項目/試験区 葉 部 鱗茎部 1株当養分吸収量 a当養分吸収量
N
(%)
P2O5
(%)
K2O
(%)
N
(%)
P2O5
(%)
K2O
(%)
N
(mg)
P2O5
(mg)
K2O
(mg)
N
(mg)
P2O5
(mg)
K2O
(mg)




1. 無肥料区 2.15 1.02 2.94 1.24 0.85 1.63 175 101 234 0.661 0.382 0.884
2. 〃窒素区 2.18 1.02 2.90 1.35 0.88 1.83 203 118 274 0.767 0.446 1.036
3. 〃燐酸区 2.46 0.93 2.77 1.60 1.00 1.94 238 120 279 0.900 0.454 1.055
4. 〃加里区 2.84 1.10 3.32 2.22 1.13 2.23 346 158 375 1.312 0.598 1.318
5. 三要素区 2.97 1.16 3.64 2.16 1.19 2.13 363 173 399 1.372 0.653 1.508





1. 無肥料区 2.27 1.05 3.01 1.34 0.85 1.74 202 111 266 0.764 0.420 1.005
2. 〃窒素区 2.21 1.17 2.98 1.33 0.99 1.76 216 138 290 0.817 0.521 1.096
3. 〃燐酸区 2.84 1.11 3.75 1.89 1.06 1.85 298 142 346 1.127 0.537 1.308
4. 〃加里区 2.84 1.10 2.94 2.09 1.09 1.90 366 168 355 1.383 0.635 1.342
5. 三要素区 2.99 1.18 3.29 2.17 1.11 2.14 400 183 416 1.512 0.692 1.572
  無施用系列から算出した要素吸収率 N60.5%、 P2O516.6%、K2O19.0%

 第1図 土壌の3要素分布
(秋肥無施用区) (脱脂糠施用区)


  その2 大滝試験地
  (1) 生育及び球茎調査成績
秋肥の
有無
項目/試験区 6月25日 7月10日 7月25日 8月10日 球 茎
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
8月25日
(cm)
9月20日
(cm)




1. 無肥料区 23.2 5.9 38.1 5.3 64.9 7.8 74.0 7.9 5.7 6.0
2. 〃窒素区 25.5 3.9 40.3 5.5 65.2 7.9 74.4 8.3 5.9 6.2
3. 〃燐酸区 23.4 4.0 44.3 5.8 75.3 8.7 80.7 9.0 6.4 6.5
4. 〃加里区 25.1 4.1 49.3 6.4 75.7 8.8 84.2 9.1 6.4 6.6
5. 三要素区 26.1 4.2 50.4 6.6 76.5 9.0 84.1 9.1 6.5 6.7





1. 無肥料区 25.1 4.2 44.9 5.7 68.7 8.0 77.7 8.1 6.1 6.2
2. 〃窒素区 26.5 4.1 45.6 6.1 71.7 8.3 77.2 8.5 6.3 6.4
3. 〃燐酸区 24.8 4.1 51.3 6.5 79.4 8.7 83.9 8.8 6.6 6.6
4. 〃加里区 27.9 4.4 53.2 6.6 80.6 8.8 8.37 8.9 6.7 6.8
5. 三要素区 28.3 4.5 54.9 6.8 81.0 9.1 83.9 8.9 6.8 6.9



1. 無肥料区 26.5 4.2 44.9 5.5 69.4 8.1 76.2 8.8 6.0 6.2
2. 〃窒素区 26.8 4.2 47.6 5.9 71.7 8.2 78.5 8.8 6.4 6.5
3. 〃燐酸区 25.5 4.2 51.9 6.2 79.1 8.7 86.4 8.9 6.6 6.7
4. 〃加里区 28.7 4.4 55.6 6.3 79.8 8.8 86.7 9.2 6.7 6.8
5. 三要素区 28.4 4.5 57.7 6.4 80.2 9.0 86.2 9.3 6.7 6.9

  (2) 収量調査成績
秋肥の
有無
項目/試験区 a当収量(kg) 鱗茎構成割合(%) 鱗茎
平均
1個重
(g)
収量比(%)




















各系列の
三要素区
を100とする
無施用系
列の三要
素区を100
とする




1. 無肥料区 148 244 49 9 16 441 33.5 55.3 11.2 100 116 83  
2. 〃窒素区 161 231 55 10 25 447 36.3 51.6 12.1 100 117 84  
3. 〃燐酸区 216 185 34 18 30 435 49.6 42.5 7.9 100 133 82  
4. 〃加里区 341 156 23 20 84 520 65.5 30.0 4.5 100 143 98  
5. 三要素区 341 167 23 14 47 531 64.1 31.4 4.5 100 146 100 100





1. 無肥料区 247 232 37 7 24 516 47.8 44.9 7.3 100 137 95  
2. 〃窒素区 266 210 26 13 58 502 53.0 41.8 5.2 100 140 93  
3. 〃燐酸区 299 163 18 20 74 480 62.3 33.9 3.8 100 148 89  
4. 〃加里区 369 155 13 10 86 437 68.6 28.9 2.5 100 150 99  
5. 三要素区 373 156 14 12 88 543 68.7 28.7 2.6 100 153 100 102



1. 無肥料区 272 224 30 8 10 526 51.7 42.5 5.8 100 141 92  
2. 〃窒素区 279 227 30 7 10 536 52.1 42.3 5.6 100 137 94  
3. 〃燐酸区 323 150 22 16 69 495 65.2 30.3 4.5 100 147 87  
4. 〃加里区 389 138 28 14 69 555 71.4 25.3 3.3 100 157 98  
5. 三要素区 384 163 22 12 34 569 67.5 28.5 4.0 100 161 100 107

  (3) 収穫物の分析成績 (省略)

 Ⅱ 玉ねぎの養分吸収過程に関する調査
  1. 試験目的
   玉ねぎの無機成分の吸収過程を調査し、合理的な施肥法の基礎資料とする。
  2. 試験方法
   (1) 試験地    札幌市丘珠川向東  岩田岩蔵
   (2) 耕種梗概  供試品種-札幌黄  間引期-6月14日
             栽植密度-畦巾42cm、倒伏期-8月6日  株間1.2cm  2条植
              播種期-4月26日  収穫期-9月15日
   (3) 施肥量(kg/a) N:1.0、P2O5:1.2、K2O:1.0
   (4) 鱗茎収量 a当456kg
   (5) 試料採取回数
    6月10日より15日おきに7回採取し窒素、燐酸、加里を部位別に分析調査した。

  3. 試験成績
   (1) 生育状況
調査項目/
調査月日
草丈
(cm)
生葉数
(枚)
1株当生重 1株当風乾重 球茎
(cm)
総重
(g)
葉重
(g)
鱗茎重
(g)
総重
(g)
葉重
(g)
鱗茎重
(g)
6月10日 20.1 2.5 0.7 0.7 0.1 0.1
〃 25日 35.1 4.3 7.7 7.7 0.8 0.8
7月10日 60.2 7.0 57.4 49.0 8.4 3.6 2.9 0.7 1.2
〃 25日 81.5 9.5 124.4 86.4 38.0 9.1 5.7 3.4 3.9
8月10日 78.9 8.4 189.3 81.3 108.0 14.6 5.6 9.0 6.0
〃 25日 164.6 19.3 145.3 16.2 3.2 13.0 6.3
9月10日 153.9 153.9 13.4 13.4 6.5


            生育時期


            生育時期


             生育時期

成分/部位/
調査月日
N P2O5 K2O

(%)
鱗茎
(%)

(%)
鱗茎
(%)

(%)
鱗茎
(%)
6月10日 5.72 1.26 6.01
〃 25日 4.25 0.89 5.68
7月10日 3.42 2.93 0.85 1.08 5.51 4.07
〃 23日 3.17 2.34 1.19 1.06 4.38 3.13
8月10日 2.97 2.16 1.16 1.19 3.64 2.11
〃 25日 2.00 2.06 0.92 1.26 1.72 1.98
9月 1日 2.16 1.27 1.94


         生育時期


         生育時期


         生育時期

  (2) 三要素吸収量の推移
調査項目/
調査月日
N吸収量(株当) P2O5吸収量(株当) K2O吸収量(株当) 鱗茎部への移行率 a当り吸収量(kg)
葉部
(mg)
鱗茎部
(mg)

(mg)
葉部
(mg)
鱗茎部
(mg)

(mg)
葉部
(mg)
鱗茎部
(mg)

(mg)
N
(%)
P2O5
(%)
K2O
(%)
N
(%)
P2O5
(%)
K2O
(%)
6月10日 2.6 2.6 0.6 0.6 2.8 2.8
〃 25日 30.2 30.2 6.3 6.3 40.3 40.3
7月10日 99.9 21.1 121.0 24.8 7.8 32.6 159.8 29.3 189.1 17.4 23.9 15.5
〃 25日 178.0 79.6 257.6 68.0 36.0 104.0 250.0 106.0 356.0 30.9 34.6 29.7
8月10日 169.0 194.0 363.0 66.0 107.0 173.0 207.0 192.0 399.0 53.4 61.8 48.1 1.44 1.58
〃 25日 64.0 267.8 331.8 29.0 164.0 193.0 55.0 257.0 312.0 80.7 84.9 82.3 0.77
9月10日 287.0 287.0 167.0 167.0 257.0 257.0

                   玉ねぎの時期別三要素吸収量(株当)

         A-6月25日、B-7月10日、C-7月25日、D-8月10日、E-8月25日、F-9月10日

  4. 考察
   (1) 玉ねぎの生育状況
    本道の玉ねぎは年1作の直播方式で大半が栽培されており、一般に融雪後4月下旬に播種する。発芽後、先ず草丈及び根の伸長が始まり、6月上旬頃より次第に葉数が増加し、特に7月中旬頃の生育量は極めて旺盛であり、8月上旬頃を境にして茎葉の枯凋が始まる。一方、鱗茎の発生は7月上旬頃より認められ、徐々に肥大し、茎葉の倒伏が始まる8月上旬頃より玉ねぎは成熟期に移行し9月中旬頃に収穫する。玉ねぎの生育日数は120~140日前後であるが、その生育時期を大別すると2つになる。即ち、5月下旬~9月中旬迄は生殖生長期間である。
   (2) 玉ねぎの養分吸収
    ア)窒素
    葉部の窒素濃度についてみると、生育の初期から中期頃まで生育の進行と共に次第に減少し、茎葉の倒伏後急激に低下する。一方、鱗茎部の窒素濃度は鱗茎の発生が認められた7月上旬頃より鱗茎の肥大と共に次第に減少し、茎葉の枯凋以後は2.1~2.2%前後で殆ど変わらぬ。次ぎに葉部の窒素吸収量は生育量に比例して増加し、7月下旬頃にもっとも吸収量が多い。一方鱗茎部の吸収量は鱗茎の肥大と共に増加し、茎葉の枯凋以後、その増加割合は鈍るが徐々に増加している。叉、鱗茎部への窒素の移行割合は7月上旬頃で18%、茎葉の倒伏期である8月上旬頃で5.4%前後である。玉ねぎの全生育期間中に吸収された窒素量のもっとも多いのは8月上旬頃である。
    イ)燐酸
    葉部の燐酸濃度は発芽後、徐々に減少し、7月上旬頃から急激に増加し、7月下旬頃を境にして再び低下する。一方、鱗茎部の燐酸濃度は鱗茎の発生後やや減少するが、8月上旬の茎葉枯凋以後は再び漸増の一途をたどっている。次ぎに、葉部及び鱗茎部の燐酸収量は量的にはやや少ないが窒素の吸収量と全く類似の傾向を示している。叉、鱗茎部への燐酸の移行割合は7月上旬頃で24%、倒伏期の8月上旬で62%前後であって、窒素に比して燐酸の方が鱗茎への移行時期が早く、移行量も多い。玉ねぎの全生育期間中に吸収された燐酸量のもっとも多いのは8月中、下旬頃である。
    ウ)加里
    葉部、鱗茎部の加里濃度吸収量は窒素のそれと全く同様であるが、ただ、窒素に比して葉部の加里吸収量が多く、鱗茎部の加里吸収量は少ない。

 Ⅲ 窒素燐酸用量について
  1. 試験目的
   窒素及び燐酸用量試験を行い、玉ねぎの合理的施肥基準設定に関する基礎資料を得んとする。
  2. 試験方法
   (1) 試験地   札幌市丘珠川向東  岩田岩蔵
               〃  〃 川向西  大滝 汎
   (2) 試験区   1区12m2、2連制
   (3) 供試品種  札幌黄
   (4) 耕種梗概
        栽植密度 42cm×12cm、2条植
        播種期   4月27日
  3. 試験成績
   その1 岩田試験地
   (1) 生育及び球茎調査成績
項目/試験区別 6月19日 7月10日 7月26日 球(cm)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
7月26日 9月7日
-N 2.55 2.8 57.3 5.6 72.5 8.3 4.2 6.6
-P 23.7 2.7 59.2 5.7 77.1 9.0 4.2 6.5
N 0.8  P1.0 26.9 3.0 64.0 6.2 76.8 8.8 4.6 6.5
〃1.2   〃  26.4 2.9 62.2 5.8 78.9 7.9 4.0 6.7
〃1.6   〃  26.6 2.8 62.1 5.6 78.3 9.2 4.5 6.7
〃2.0   〃  26.4 3.0 61.3 5.5 75.3 8.5 4.3 6.5
N 0.8  P1.5 26.6 2.5 64.2 5.9 75.5 9.1 4.9 6.7
〃1.2   〃  26.9 2.8 65.0 6.1 79.3 9.2 4.6 6.9
〃1.6   〃  25.8 3.0 64.5 5.8 78.1 8.7 4.8 6.9
〃2.0   〃  26.0 2.4 61.8 5.9 75.5 9.3 4.9 6.6
N 0.8  P2.0 26.7 2.6 64.3 5.9 76.6 8.9 4.9 6.8
〃1.2   〃  27.0 2.5 63.9 6.1 77.1 9.2 4.5 6.7
〃1.6   〃  24.4 2.5 64.6 6.1 74.4 9.2 5.0 6.8
〃2.0   〃  25.9 2.7 62.6 5.9 76.7 8.8 4.5 6.8
N 0.8  P2.5 26.3 2.8 64.0 6.3 77.6 9.0 4.7 6.8
〃1.2   〃  26.3 2.6 65.1 5.9 75.7 8.9 4.7 6.7
〃1.6   〃  25.1 2.5 62.3 5.7 78.9 8.7 4.5 6.9
〃2.0   〃  25.1 2.6 63.8 6.0 77.8 8.8 4.6 6.9

   (2) 収量調査成績
項目/試験区別 a当収量(kg) 鱗茎平均
1個重
(g)
収量比

(%)
鱗茎構成割合(%)
大玉 上玉 中玉 合計 大玉 上玉 中玉
-N 248 178 38 464 136 96 53.4 38.4 8.2
-P 270 139 51 460 147 95 58.6 30.2 11.2
N 0.8  P1.0 263 182 38 483 144 100 54.5 37.7 7.8
〃1.2   〃  256 165 49 470 145 98 54.5 35.1 10.4
〃1.6   〃  259 147 49 455 141 94 56.9 32.3 10.8
〃2.0   〃  234 133 39 405 138 84 57.6 32.8 9.6
N 0.8  P1.5 299 137 50 486 144 101 61.5 28.2 10.3
〃1.2   〃  266 154 35 455 138 94 58.5 33.8 7.7
〃1.6   〃  284 134 29 447 138 92 63.5 29.0 7.5
〃2.0   〃  224 147 39 410 137 85 54.6 35.8 9.6
N 0.8  P2.0 280 155 32 467 146 97 59.0 33.2 7.8
〃1.2   〃  283 130 32 445 140 92 63.6 29.2 7.2
〃1.6   〃  289 134 36 459 145 95 62.9 29.2 7.9
〃2.0   〃  259 118 50 427 141 88 60.6 27.6 11.8
N 0.8  P2.5 284 141 48 473 144 97 60.0 29.9 10.1
〃1.2   〃  231 143 48 455 139 94 58.0 31.4 10.6
〃1.6   〃  230 154 46 430 140 89 53.5 35.8 10.7
〃2.0   〃  244 146 39 429 141 88 56.9 34.0 9.1

   (3) 作物体分析成績
    ア) 生育初期(6月19日)の養分吸収
項目/試験区別 a当収量(g)
N P2O5 K2O
-N 27.2 8.7 56.3
-P 37.8 6.0 52.2
N 0.8  P1.0 38.9 9.5 64.6
〃1.2   〃  39.3 7.9 59.3
〃1.6   〃  37.0 8.3 57.5
〃2.0   〃  36.7 8.3 60.5
N 0.8  P1.5 43.8 9.8 77.1
〃1.2   〃  40.4 9.5 61.2
〃1.6   〃  37.0 9.1 61.6
〃2.0   〃  36.7 7.6 53.3
N 0.8  P2.0 40.1 9.1 66.2
〃1.2   〃  39.7 9.1 62.0
〃1.6   〃  36.7 8.7 60.5
〃2.0   〃  40.4 8.3 60.9
N 0.8  P2.5 38.9 9.8 65.0
〃1.2   〃  38.2 10.6 68.0
〃1.6   〃  36.7 8.3 59.3
〃2.0   〃  38.6 8.3 61.6

    イ) 生育最盛期(7月26日)の養分吸収
項目/試験区別 a当収量(g)
N P2O5 K2O
鱗茎 鱗茎 鱗茎
-N 514 121 635 163 72 235 775 200 975
-P 548 144 692 129 79 208 703 200 903
N 0.8  P1.0 662 144 806 174 95 269 835 238 1.073
〃1.2   〃  612 151 763 167 95 262 847 223 1.070
〃1.6   〃  677 145 822 181 87 268 907 207 1.114
〃2.0   〃  650 159 809 185 102 287 1.013 212 1.225
N 0.8  P1.5 699 132 831 245 91 336 934 219 1.153
〃1.2   〃  677 181 858 174 95 269 805 246 1.051
〃1.6   〃  616 155 771 174 95 269 767 212 979
〃2.0   〃  620 151 771 159 83 242 851 212 1.063
N 0.8  P2.0 597 139 736 170 95 265 953 246 1.199
〃1.2   〃  627 155 782 178 98 276 869 265 1.134
〃1.6   〃  650 197 847 197 95 292 941 276 1.217
〃2.0   〃  718 155 873 166 76 242 915 223 1.138
N 0.8  P2.5 650 155 805 166 91 257 824 249 1.073
〃1.2   〃  464 178 824 159 102 261 828 276 1.104
〃1.6   〃  662 197 859 163 102 265 878 291 1.169
〃2.0   〃  662 200 862 170 102 272 896 284 1.180

    ウ) 収穫期(9月25日)の養分吸収
項目/試験区別 a当収量(g)
N P2O5 K2O CaO MgO
-N 1.085 503 1.142 336 450
-P 1.036 582 1.448 378 370
N 0.8  P1.0 1.164 616 1.349 318 427
〃1.2   〃  1.368 658 1.558 344 597
〃1.6   〃  1.274 537 1.440 397 537
〃2.0   〃  1.123 476 1.232 306 491
N 0.8  P1.5 1.217 578 1.380 336 688
〃1.2   〃  1.126 563 1.266 408 495
〃1.6   〃  1.210 609 1.463 344 416
〃2.0   〃  919 423 1.138 302 518
N 0.8  P2.0 983 450 1.266 344 423
〃1.2   〃  1.149 533 1.380 352 340
〃1.6   〃  1.281 684 1.346 325 302
〃2.0   〃  1.126 450 1.179 359 370
N 0.8  P2.5 1.183 537 1.300 408 282
〃1.2   〃  1.210 537 1.259 359 272
〃1.6   〃  1.134 529 1.251 359 408
〃2.0   〃  1.062 476 1.198 340 442

   その2. 大滝試験地
   (1) 生育及び球茎調査成績
項目/試験区別 6月19日 7月10日 8月7日 球(cm)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
8月7日 9月7日
-N 15.0 2.0 42.9 5.0 76.7 9.6 4.2 6.4
-P 10.9 2.0 36.1 4.7 77.0 10.1 4.1 6.3
N 0.8  P1.0 13.4 2.1 42.2 5.2 82.3 10.0 4.0 6.5
〃1.2   〃  12.5 2.1 40.1 4.8 81.0 10.1 4.1 6.5
〃1.6   〃  12.2 2.0 39.7 4.8 82.2 10.3 4.4 6.4
〃2.0   〃  12.9 2.1 39.7 4.9 80.7 10.2 4.1 6.5
N 0.8  P1.5 15.2 2.0 44.6 5.0 81.5 10.5 4.3 6.7
〃1.2   〃  14.2 2.2 43.9 5.0 79.0 10.3 4.3 6.6
〃1.6   〃  14.3 2.1 45.0 5.0 80.5 10.9 4.2 6.5
〃2.0   〃  14.3 2.1 45.1 5.0 80.6 9.8 4.6 6.7
N 0.8  P2.0 16.3 2.1 41.9 4.8 80.6 10.1 4.2 6.4
〃1.2   〃  15.0 2.2 42.5 5.0 79.6 10.2 4.2 6.4
〃1.6   〃  14.7 2.1 42.6 5.0 79.3 9.7 4.2 6.5
〃2.0   〃  13.5 2.0 41.0 5.0 82.3 10.4 4.3 6.5
N 0.8  P2.5 17.6 2.2 43.1 5.0 80.7 10.6 4.4 6.3
〃1.2   〃  16.1 2.2 45.4 5.1 81.8 10.3 4.4 6.5
〃1.6   〃  16.1 2.1 46.1 5.1 84.4 10.6 4.3 6.7
〃2.0   〃  14.8 2.1 47.0 5.0 83.5 10.4 4.3 6.8

   (2) 収量調査成績
項目/試験区別 a当収量(kg) 鱗茎平均
1個重
(g)
収量比

(%)
鱗茎構成割合(%)
大玉 上玉 中玉 合計 大玉 上玉 中玉
-N 168 166 61 395 128 103 42.5 42.0 15.5
-P 123 143 73 339 115 88 36.3 42.2 21.5
N 0.8  P1.0 151 159 74 384 131 100 39.3 41.4 19.3
〃1.2   〃  238 172 17 427 134 111 55.7 40.2 4.1
〃1.6   〃  189 178 53 420 129 109 45.0 42.4 12.6
〃2.0   〃  170 169 43 382 131 99 44.5 44.2 11.3
N 0.8  P1.5 184 172 45 401 128 104 45.9 42.9 11.2
〃1.2   〃  186 140 72 398 128 104 46.7 35.1 18.2
〃1.6   〃  222 136 26 384 132 100 57.8 35.4 6.8
〃2.0   〃  213 147 25 385 131 100 55.3 38.2 6.5
N 0.8  P2.0 186 172 62 420 136 109 44.2 40.9 14.9
〃1.2   〃  149 180 73 402 135 105 37.1 44.7 18.2
〃1.6   〃  163 147 72 382 127 99 42.6 38.5 18.9
〃2.0   〃  168 171 39 388 129 101 43.3 44.1 12.6
N 0.8  P2.5 168 172 53 393 131 102 42.7 43.7 13.6
〃1.2   〃  197 168 52 417 132 109 47.2 40.2 12.6
〃1.6   〃  187 170 46 403 132 105 46.4 42.2 11.4
〃2.0   〃  210 157 40 407 134 106 38.5 38.5 99

   (3) 作物体分析成績
   ア) 生育最盛期(8月7日)の養分吸収
項目/試験区別 a当収量(g)
N P2O5 K2O
鱗茎 鱗茎 鱗茎
-N 708 261 924 197 109 306 1.174 357 1.531
-P 922 212 1.134 176 64 240 1.545 312 1.857
N 0.8  P1.0 805 262 1.064 216 143 359 1.417 415 1.832
〃1.2   〃  994 232 1.226 267 116 383 1.718 352 2.070
〃1.6   〃  977 234 1.211 236 108 344 1.467 352 1.819
〃2.0   〃  1.114 265 1.379 254 119 373 1.684 407 2.091
N 0.8  P1.5 915 257 1.172 261 123 384 1.565 389 1.954
〃1.2   〃  1.015 291 1.306 264 146 410 1.712 415 2.127
〃1.6   〃  1.063 287 1.350 226 128 354 1.763 408 2.171
〃2.0   〃  969 220 1.189 233 102 335 1.610 343 1.953
N 0.8  P2.0 817 220 1.037 202 101 303 1.434 354 1.788
〃1.2   〃  811 203 1.014 220 105 325 1.565 352 1.917
〃1.6   〃  964 282 1.246 213 111 324 1.603 404 1.007
〃2.0   〃  945 242 1.187 212 98 311 1.610 334 1.944
N 0.8  P2.5 833 195 1.028 192 96 288 1.367 343 1.710
〃1.2   〃  976 243 1.219 232 95 327 1.684 369 2.053
〃1.6   〃  910 241 1.151 204 106 310 1.793 398 2.191
〃2.0   〃  917 274 1.191 200 112 312 1.583 363 1.946

   イ) 収穫期(9月25日)の養分吸収
項目/試験区別 a当収量(g)
N P2O5 K2O CaO MgO
-N 721 346 882 171 287
-P 1.085 322 939 286 281
N 0.8  P1.0 929 331 907 221 446
〃1.2   〃  806 350 879 279 374
〃1.6   〃  995 364 1.037 246 452
〃2.0   〃  984 336 1.002 558 317
N 0.8  P1.5 910 964 1.003 614 190
〃1.2   〃  836 329 867 315 457
〃1.6   〃  1.217 407 1.038 334 496
〃2.0   〃  1.102 367 1.057 230 393
N 0.8  P2.0 1.102 360 938 312 249
〃1.2   〃  1.068 397 1.179 292 459
〃1.6   〃  1.155 376 1.021 317 360
〃2.0   〃  979 306 965 342 316
N 0.8  P2.5 1.012 324 963 280 428
〃1.2   〃  1.043 360 931 322 211
〃1.6   〃  1.141 340 946 332 385
〃2.0   〃  699 302 1.009 273 351

   (4) 収量分析表
岩田試験地 大滝試験地
N量 P2O5 収量比(%) N量 P2O5 収量比(%)
0.8 1.0 1.00 0.8 1.0 100
1.5 1.01 1.5 104
2.0 97 2.0 109
2.5 97 2.5 102
1.2 1.0 98 1.2 1.0 111
1.5 94 1.5 104
2.0 92 2.0 105
2.5 94 2.5 109
1.6 1.0 94 1.6 1.0 109
1.5 92 1.5 100
2.0 95 2.0 99
2.5 89 2.5 105
2.0 1.0 84 2.0 1.0 99
1.5 85 1.5 100
2.0 88 2.0 101
2.5 88 2.5 106

 Ⅳ 窒素質肥料比較試験
  1. 試験目的
   玉ねぎに対する各種窒素質肥料の肥効を比較検討せんとする。
  2. 試験方法
   (1) 試験地   札幌市丘向川向東  岩田岩蔵
               〃   〃川向西  大滝 汎
   (2) 試験区   1区18m2、2連制
   (3) 供試品種  札幌黄
   (4) 耕種梗概
     栽植密度  畦巾42cm、株間12cm
     播種期    4月26日
     収穫期    岩田試験地 9月17日
             大滝  〃  9月24日
   (5) 試験区別
    1 無窒素区
    2 硫安区
    3 尿素区
    4 塩安区
     共通肥料として、N:1.0kg、P2O5(過石):1.2kg、K2O(硫加):1.0kg/a
  3. 試験成績
  その1 岩田試験地
  (1) 生育及び球茎調査成績
項目/試験区 6月25日 7月10日 7月25日 8月10日 球 茎
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
8月10日
(cm)
8月25日
(cm)
9月10日
(cm)
1. 無窒素区 33.8 4.0 54.3 6.3 74.9 8.7 75.1 8.6 5.8 6.0 6.1
2. 硫安区 35.1 4.3 60.2 7.0 81.5 9.5 78.9 8.6 6.1 6.2 6.5
3. 尿素区 33.3 3.9 59.9 6.7 78.7 9.0 77.0 7.7 6.1 6.2 6.4
4. 塩安区 35.2 4.3 59.6 6.9 80.2 9.7 78.5 8.5 6.2 6.3 6.5

  (2) 収量調査成績
項目/試験区 a当収量(kg) 鱗茎構成割合(%) 鱗茎
平均1
個重(g)
収量比
(%)
大玉 上玉 中玉 規格外 腐敗 合計* 大玉 上玉 中玉 合計
1. 無窒素区 155 239 51 13 32 445 34.7 53.8 11.5 100 129 97
2. 硫安区 221 198 36 19 51 456 48.4 43.3 8.3 100 136 100
3. 尿素区 136 237 42 15 59 415 32.7 57.2 10.1 100 125 91
4. 塩安区 207 222 37 20 46 466 44.4 47.6 8.0 100 134 102
  注) 合計*  規格外、腐敗を含まず
     大玉   球茎6.4cm以上
     上玉    〃 5.2cm~6.4cm
     中玉    〃 4.0cm~5.2cm
     規格外  長球、分球、屑を含む

  (3) 作物体分析表
時期/項目/試験区 倒伏期88月5日) N
吸収率
(%)
収穫期(9月14日)
N N吸収量 N a当
N吸収量
(kg)
葉部
(%)
鱗茎部
(%)
株当
(mg)
a当
(kg)
鱗茎部
(%)
1. 無窒素区 2.18 1.35 2.03 0.767 1.64 0.632
2. 硫安区 2.97 2.16 3.63 1.372 60.5 2.18 1.026
3. 尿素区 2.79 2.01 3.10 1.172 40.5 1.98 0.865
4. 塩安区 2.86 2.13 3.54 1.338 57.1 2.14 0.973

  その2 大滝試験地
  (1) 生育及び球茎調査成績
項目/試験区 6月25日 7月10日 7月25日 8月10日 球 茎
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
8月25日
(cm)
9月10日
(cm)
1. 無窒素区 25.5 3.9 40.3 5.5 65.2 7.9 74.4 8.3 5.9 6.2
2. 硫安区 26.1 4.2 50.4 6.6 76.5 9.0 84.1 9.1 6.5 6.7
3. 尿素区 26.0 4.0 49.9 6.5 74.9 9.0 82.9 8.9 6.5 6.6
4. 塩安区 25.9 4.1 49.4 6.5 75.8 9.1 84.3 9.0 6.7 6.8

  (2) 収量調査成績
項目/試験区 a当収量(kg) 鱗茎構成割合(%) 鱗茎
平均1
個重(g)
収量比
(%)
大玉 上玉 中玉 規格外 腐敗 合計* 大玉 上玉 中玉 合計
1. 無窒素区 161 231 55 10 25 447 36.3 51.6 12.1 100 117 84
2. 硫安区 341 167 23 14 47 531 64.1 31.4 4.5 100 146 100
3. 尿素区 276 195 28 7 38 499 55.3 39.0 5.7 100 137 94
4. 塩安区 313 183 21 10 52 517 60.5 35.4 4.1 100 146 97

  4. 考察
  (1) 両試験地共に無窒素区の収量が比較的高く、窒素の肥効がそれ程、顕著に認められないのに、尿素の肥効は硫安及び塩安より可成り劣っている。
  (2) 尿素区は他の窒素質肥料(硫安、塩安)に比して、発芽時にはアンモニア濃度が高く、作条の土壌は高いPHを示し、そのため発芽に悪い影響を与え、欠株を生じるに至り、ひいては玉ねぎの初期生育の不良、収量の低下を惹起したものと思われる。
  (3) 硫安の肥効は硫安のそれに比して大差を示さぬが、玉ねぎの品質の点より考えてやや不適当と思われる。
  (4) 結局、玉ねぎに対する窒素質肥料としては品質、生育、収量の面より考えて、硫安がもっともまさることが確認された。

 Ⅴ 燐酸質肥料比較試験
  1. 試験目的
   玉ねぎに対する燐酸質肥料の肥効を検討せんとする。
  (1) 生育及び球茎調査成績
項目/試験区 6月19日 7月10日 7月26日 球 径(cm)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
7月26日 9月7日
-P 22.0 2.4 59.6 5.7 75.0 8.6 3.9 6.6
熔  燐 23.0 2.3 60.2 5.6 74.6 8.5 3.8 6.7
熔燐+過石 23.6 2.4 60.7 5.6 74.6 8.3 4.1 6.7
過  石 24.7 2.4 62.6 5.9 75.9 8.3 4.5 6.8

  (2) 収量調査成績
項目/試験区 a当収量(kg) 鱗茎
平均
1個重
(g)
収量比

(%)
鱗茎構成割合(%)
大玉 上玉 中玉 合計 大玉 上玉 中玉
-P 266 130 40 436 138 93 61.0 29.8 9.2
熔  燐 230 150 36 416 139 89 55.2 36.0 8.8
熔燐+過石 298 158 22 478 141 102 62.3 33.1 4.6
過  石 256 190 22 468 140 100 54.7 40.0 5.3

  (3) 作物体分析成績
   ア- 生育初期(6月19日)の養分吸収
項目/試験区 含有率(乾物%) 1株当吸収量(mg) 当吸収量(g)
N P2O5 K2O N P2O5 K2O N P2O5 K2O
-P 4.21 0.89 7.56 8.5 1.8 15.2 32.1 6.8 57.5
熔  燐 4.51 0.82 7.20 10.2 1.9 16.2 38.6 7.2 61.2
熔燐+過石 4.12 0.84 6.71 9.9 2.0 16.0 37.4 7.6 60.5
過  石 4.61 0.87 7.10 11.6 2.2 17.9 43.8 8.3 67.7

   イ- 生育最盛期(7月26日)の養分吸収
    (ア)養分含有率(乾物%)
項目/試験区 N P2O5 K2O CaO MgO
鱗茎 鱗茎 鱗茎 鱗茎 鱗茎
-P 2.85 1.30 0.86 0.79 4.23 3.02 2.18 1.36 0.81 0.87
熔  燐 3.07 1.35 0.89 0.98 4.83 2.32 2.89 1.41 0.50 0.81
熔燐+過石 3.47 1.71 0.84 0.93 4.59 2.69 2.58 1.38 0.52 0.91
過  石 3.54 1.93 0.88 1.04 4.92 2.91 2.36 1.41 0.62 0.90

   (イ)a当養分吸収(g)
項目/試験区 N P2O5 K2O CaO MgO
鱗茎 鱗茎 鱗茎 鱗茎 鱗茎
-P 559 95 654 166 57 223 824 219 1.043 423 98 521 155 64 219
熔  燐 605 110 715 174 79 253 899 189 1.080 571 113 684 98 68 166
熔燐+過石 643 147 790 155 79 234 854 231 1.085 480 117 597 106 79 185
過  石 711 185 896 174 102 276 987 276 1.263 476 133 609 125 87 212

   (ウ)収穫期(9月25日)の養分吸収
項目/試験区 含有率(乾物%) a当吸収量(g)
N P2O5 K2O CaO MgO N P2O5 K2O CaO MgO
-P 2.02 0.80 2.17 0.61 0.86 919 416 987 276 389
熔  燐 1.99 0.78 2.27 0.71 0.87 1.070 416 1.217 378 456
熔燐+過石 2.02 0.83 2.43 0.85 0.91 1.089 446 1.308 457 491
過  石 1.98 0.96 2.06 0.84 0.95 1.119 541 1.293 525 593

   その2 滝川試験地
   (1) 生育及び球茎調査成績
項目/試験区 6月19日 7月10日 8月7日 球径(cm)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
8月7日 9月7日
-P 10.0 2.1 31.8 4.5 75.2 10.0 3.4 5.7
熔  燐 10.6 2.1 34.0 4.4 73.6 9.4 3.4 5.8
熔燐+過石 11.4 2.1 34.7 4.8 74.6 9.4 3.4 6.0
過  石 12.8 2.1 37.9 4.8 73.3 10.0 3.7 6.1

  (2) 収量調査成績
項目/試験区 a当収量(kg) 鱗茎平均
1個重
(g)
収量比

(%)
鱗茎構成割合(%)
大玉 上玉 中玉 合計 大玉 上玉 中玉
-P 145 143 58 346 124 98 41.9 41.3 16.8
熔  燐 177 101 41 319 123 90 55.5 31.7 12.8
熔燐+過石 183 113 34 330 125 93 55.5 34.2 10.3
過  石 194 108 52 354 124 100 54.8 30.5 14.7

  (3) 作物体分析成績
   ア-生育初期(6月19日)の養分吸収
項目/試験区 含有率(乾物%) 1株当吸収量(mg) 当吸収量(g)
N P2O5 K2O N P2O5 K2O N P2O5 K2O
-P 3.66 0.56 5.83 2.2 0.3 3.5 8.3 1.1 13.2
熔  燐 3.87 0.59 5.69 2.3 0.4 3.4 8.7 1.5 12.9
熔燐+過石 4.03 0.60 5.42 2.8 0.4 3.8 10.6 1.5 14.4
過  石 3.74 0.67 6.04 3.0 0.5 4.8 11.3 1.9 18.1

   イ-生育最盛期(7月26日)の養分吸収
    (ア)養分含有率
項目/試験区別 N P2O5 K2O CaO MgO
鱗茎 鱗茎 鱗茎 鱗茎 鱗茎
-P 2.91 1.67 0.66 0.66 5.34 2.75 1.96 1.30 0.40 0.23
熔  燐 3.18 1.56 0.71 0.69 5.79 2.45 2.10 1.05 0.38 0.15
熔燐+過石 2.91 1.75 0.75 0.76 5.68 2.94 1.75 1.12 0.43 0.23
過  石 2.84 1.55 0.76 0.76 6.01 2.69 1.96 1.05 0.40 0.20

    (イ)a当養分吸収量(g)
項目/試験区別 N P2O5 K2O CaO MgO
鱗茎 鱗茎 鱗茎 鱗茎 鱗茎
-P 881 202 1.083 200 84 284 1.615 333 1.948 593 157 750 121 28 149
熔  燐 999 224 1.224 223 90 322 1.817 352 2.169 659 151 810 119 22 141
熔燐+過石 958 250 1.208 247 106 353 1.868 422 2.290 576 161 737 141 33 174
過  石 988 234 1.222 264 115 379 2.090 407 2.497 682 159 841 139 30 169

   ウ-収穫期(9月25日)の養分吸収
項目/試験区別 含有率(乾物%) a当吸収量(g)
N P2O5 K2O CaO MgO N P2O5 K2O CaO MgO
-P 2.53 0.64 2.47 0.49 0.55 1.146 290 1.120 222 250
熔  燐 2.30 0.66 2.05 0.68 0.82 1.085 312 969 321 388
熔燐+過石 2.21 0.66 2.17 0.49 0.88 1.084 324 1.066 241 432
過  石 2.30 0.77 2.25 0.57 0.92 1.128 378 1.106 280 452

 4. 考察
  熔燐区は生育初期より、無熔燐区と同様に不良であり、熔燐の吸収量も少ない。肥大期より倒伏期において生育の面では、やや過石区に追いついたが、鱗茎中の熔燐含有率が低下し、減収となった。
 熔燐1/2量+過石1/2量区の初期生育は過石区より劣る様であるが、岩田試験地では肥大期より倒伏期にかけて追いつき、収量では過石よりやや良かった。一方、大滝試験地では減収となった。
 以上、生育経過、養分吸収の推移、収量を考察して、熔燐質肥料として過石が適当と思われる。
 尚、熔燐を使用する場合は、半量は過石と併用して初期生育の向上を計る事が必要である。

 Ⅵ 施肥法について
  1. 試験目的
   施肥法の相違による作物生育と養分吸収を検討する。
  2. 試験方法
   (1) 試験地   札幌市丘珠川向南  大滝 汎
   (2) 試験区   1区1.2m2、2連制
   (3) 耕種梗概
       供試品種  札幌黄
       栽植密度  42cm×12cm、2条植
       播種期    5月4日
       収穫期    10月5日
   (4) 試験区別
       ア) 3要素全面施肥
       イ)  〃 作条施肥区
       ウ)  〃 側肥区
       エ) 窒素のみ全面施肥区
       オ)  〃 側肥区
      共通肥料として、N(硫安):1.2kg、P2O5(過石):1.5kg、K2O(硫加)1.0kg/a施用す。
  3. 試験成績
   (1) 生育及び球径調査成績
項目/試験区別 6月26日 7月10日 8月18日 球径(cm)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
草丈
(cm)
葉数
(枚)
3

全面施肥 17.6 2.0 34.3 4.2 81.3 9.5 4.6 6.8
作条施肥 17.4 2.1 35.2 4.3 80.0 9.7 5.0 6.8
側   肥 16.8 2.2 36.9 4.2 82.1 9.0 4.7 6.4
N 全面施肥 17.5 2.1 39.5 4.4 81.2 10.1 4.9 6.8
側   肥 20.0 2.0 39.6 4.0 83.0 9.2 4.9 6.6

   (2) 収量調査成績
項目/試験区別 収量(kg/a) 収量比
(%)
鱗茎
平均
1個重
(g)
鱗茎構成割合(%)
大玉 上玉 中玉 腐敗
規格外
合計 大玉 上玉 中玉
3

全面施肥 268 97 42 132 407 136 240 65.8 23.8 10.4
作条施肥 200 81 19 156 300 100 207 66.7 27.0 6.3
側   肥 249 125 48 133 141 141 178 59.0 29.6 11.4
N 全面施肥 238 119 35 119 131 131 190 60.7 30.4 8.9
側   肥 299 141 35 154 158 158 178 62.9 29.7 7.4

   (3) 作物体分析成績
    ア-養分含有率(乾物%)
項目/試験区別 7月10日 8月18日
N P2O5 K2O
N P2O5 K2O 鱗茎 鱗茎 鱗茎
3

全面施肥 3.77 0.96 4.22 3.10 1.75 1.18 1.13 4.40 2.02
作条施肥 4.11 0.98 4.48 2.76 1.64 1.13 1.15 3.81 1.89
側   肥 3.44 0.87 4.19 2.94 1.67 1.29 1.20 4.43 2.00
N 全面施肥 3.25 1.08 3.84 2.65 1.60 1.08 1.07 3.52 1.96
側   肥 3.46 1.09 4.61 2.61 1.50 1.03 1.06 3.53 1.84

   イ-a当養分吸収量
項目/試験区別 7月10日 8月18日
N P2O5 K2O N (kg) P2O5 (kg) K2O (kg)
(g) (g) (g) 鱗茎 合計 鱗茎 合計 鱗茎 合計
3

全面施肥 75.4 19.2 84.4 0.88 0.37 1.25 0.34 0.24 0.58 1.25 0.43 1.68
作条施肥 88.4 21.1 96.3 0.92 0.32 1.24 0.38 0.23 0.61 1.27 0.37 1.64
側   肥 74.3 18.8 90.5 0.64 0.17 0.81 0.28 0.12 0.40 0.94 0.20 1.14
N 全面施肥 95.9 31.9 113.3 0.76 0.34 1.10 0.31 0.22 0.53 1.00 0.41 1.41
側   肥 91.3 28.8 121.7 0.66 0.39 1.05 0.26 0.27 0.53 0.90 0.47 1.37

  4. 考察
   植壌土系の圃場で、窒素の多肥による初期生育劣悪化の出やすい土壌である。
  3要素作条施肥区の発芽状況が極めて悪く、欠株率も高く、その後も窒素過剰吸収的傾向を示し収量調査では他区に比してもっと劣った。この事は条施した場合には窒素の過剰障害により初期生育が劣悪化して減収となったもので、施肥法としての方法が悪いということではなく、発芽及び生育初期の土壌中の窒素濃度さ軽減した側肥区、又は全面施肥区は比較的良好な生育を示し、特にN系列の側肥区が増収となったものであろう。
  窒素過剰による初期生育減退の危険性がある圃場においては、これを緩和する意味で全面施肥法又は側肥法が考えられる。

 Ⅶ 玉ねぎ栽培土壌の特性に関する調査
  1. 調査目的
   玉ねぎ栽培地帯は河川の流域に限られ、その土壌条件は肥沃な沖積土地帯と考えられているが、この点について検討し、土壌改良の基礎資料を得んとする。
  2. 調査実施場所及び土壌断面調査成績
   本調査は札幌市6ヶ所、岩見沢市5ヶ所、滝川市6ヶ所、新十津川町5ヶ所、富良野町6ヶ所、計28ヶ所について行われたが、ここには代表地点3ヶ所の成績のみを示す。
  (1) 代表調査地点の概要
地点番号 市町村名 農家名 調査
月日
草丈
(cm)
葉数 球径 土壌断面の特徴
2 札幌市 高橋信次 7.27 85.8 9.2 5.0 砂質壌土(SL)-粉状構造、透水性良
7 岩見沢市 坂本誠一 7.29 85.9 8.2 5.6 微砂質埴土(Sic)-中粒構造、稍密、透水性稍不良
20 新十津川町 下枚秀雄 7.31 74.3 8.3 4.8 埴質壌土(CL)-中粒構造、疎、透水不良

  (2) 代表調査地点の土壌断面形態
   ア)地点番号 2 粗粒土壌
構造 密度 酸化
沈積物
  土 色 腐植 土 性
粉状 なし
15cm
55cm
灰黄色
(10YR3/4)
含む なし 砂質壌土
(SL)
不鮮明
小塊状
なし 黄色
(10YR4/6)
なし なし 砂質壌土
(SL)
なし なし 黄色
(10YR6/8)
なし なし 砂土
(S)

   イ)地点番号 7 細粒質土壌
構造 密度 酸化
沈積物
  土 色 腐植 土 性
中粒状 稍疎 なし
14cm
25cm
灰黄色
(10YR4/2)
なし なし 微砂質埴土
(Sic)
中塊状 なし 黄色
(10YR4/2)
なし なし 微砂質埴壌土
(SicL)
塊状 稍密 なし 黄色
(10YR5/3)
なし なし 微砂質埴壌土
(SicL)

   ウ)地点番号 20 中粒質土壌
構造 密度 酸化
沈積物
  土 色 腐植 土 性
中粒状 なし
15cm
45cm
灰黄色
(10YR5/4)
含む なし 埴質壌土
(CL)
小塊状 稍密 なし 黄色
(10YR5/4)
なし なし 埴質壌土
(CL)
なし なし 黄色 なし なし 微砂質土
(SiL)

  (3) 土壌の理化学性分析成績
   ア)現地における三相分布
調査
地点
深  さ
(cm)
実施容積重
(g)
実容積
(g)
固相率
(%)
液相率
(%)
気相率
(%)
孔隙率
(%)
2 0~10 161.0 81.5 47.8 33.7 18.5 52.2
10~20 154.7 83.3 43.0 40.3 16.7 57.0
20~30 158.3 84.7 44.3 40.4 15.3 55.7
30~40 157.7 85.1 44.2 40.9 14.9 55.8
40~50 147.3 80.0 39.5 40.5 20.0 60.5
7 0~10 162.0 88.0 44.8 43.2 12.0 55.2
10~20 163.0 87.5 45.7 41.8 12.5 54.3
20~30 160.6 87.5 44.3 43.2 12.5 55.7
30~40 165.0 87.3 44.1 43.2 12.7 55.9
40~50 158.5 86.2 40.8 45.4 13.8 59.2
20 0~10 151.5 79.1 39.7 39.4 20.9 60.3
10~20 162.3 86.8 41.4 45.4 13.2 58.6
20~30 170.3 89.4 45.7 43.7 10.6 54.3
30~40 166.3 87.7 43.4 44.3 12.3 56.6
40~50 148.8 89.4 32.8 56.6 10.6 67.2

   イ)土壌の粒径組成と酸度
調査
地点
深  さ
(cm)
土  性 PH Y1
H2O KC1
2 0~10 砂質壌土
(SL)
6.65 5.95 0.29
10~20 砂質壌土
(SL)
7.05 6.15 0.28
7 0~10 微砂質埴土
(Sic)
6.75 6.65 0.28
10~20 微砂質埴質壌土
(SicL)
6.65 6.05 0.19
20 0~10 埴質壌土
(CL)
6.55 6.00 0.24
10~20 埴質壌土
(CL)
6.35 5.20 0.20

   ウ)土壌の化学的性質
調査
地点
深  さ
(cm)
T-C
(%)
T-N
(%)
C/N 吸収係数 置換容量
(C.E.C)
置換性塩基 期効態
P2O5
(Truog法)
N P2O5 CaO MgO K2O
2 0~10 1.15 0.20 5.8 338 1.066 24.54 532 101 90 63.8
10~20 0.93 0.10 9.3 388 1.011 24.48 603 93 72 6.2
7 0~10 2.51 0.29 8.7 274 959 24.59 612 91 76 56.0
10~20 2.09 0.21 10.0 288 756 30.03 557 55 43 4.0
20 0~10 1.37 0.15 9.1 317 758 21.19 458 100 67 21.9
10~20 1.04 0.15 6.9 222 806 26.32 362 91 42 0.9

  3. 要約
   (1) 玉ねぎ栽培土壌は、表土15cmから20cm、有効土層は1m以上で深く、粗粒質、細粒質の土壌に分かれるが、特に中粒質(L.CL.SiC)の土壌が大部分であり、粗粒質の(SL)ものは極めて少なく、叉、細粒質(LiC.SiC)の場合でもHCの如く極端に粘土含量の多いものはない。
   (2) 粗粒質、中粒質の場合は、作土及び心土共に膨軟で通気性、透水性が良好である。細粒質の場合は犁底盤が発達し、透水性不良の所も見受けられる。
   (3) 土壌3相分布状態は深さ50cm迄、固相率は大体35~45%、孔隙率は55~65%で、表土と心土でも三相の割合は余り変わらず、通気性、透水性、植物根の伸長性は極めて良好である。
   (4) 土壌のPH(H2O)は6.0~7.0であり、Y1も0.2~0.4で、中性に近い土壌が多く吸収係数は窒素200~400、燐酸700~1200であり、吸収力は中庸である。置換容量は20me~40meで保肥力が良好であり、叉、置換性石灰、苦土、加里及びTruog可溶P2O5の含量も極めて高く、自然肥沃度が豊かである。
   (5) この様に玉ねぎ圃場は一般鉱質土壌に比し極めて肥沃であるが、特殊な土壌条件でなく、土壌改良、肥培改善により普通畑においても玉ねぎ栽培は可能であると思われる。

 Ⅷ 総括
  1. 玉ねぎに対する燐酸施用の効果は初期生育の促進と葉数の増加面に顕著に表れ、窒素施用の効果は栄養生長の旺盛と鱗茎の肥大面に表れている。
  2. 土壌の種類によって三要素の肥効の程度に差はあるが、燐酸の肥効がもっとも顕著に認められ、次いで窒素であり、加里の肥効はほとんど認められない。
  3. 三要素の利用率は窒素16%、燐酸17%、加里19%位である。
  4. 脱脂米糠、鶏糞は肥料的効果の他に、土壌の通気性及び根の伸長性に好影響を与える。
  5. 玉ねぎ窒素及び加里の吸収は7月下旬頃が最大であり、燐酸の吸収は8月下旬がもっとも多い。かつ、葉部から鱗茎部への養分移行時期は燐酸がもっとも早く、その移行割合も多い。
  6. 作条施用の場合、窒素肥料としては生育、収量及び品質の面より考えて硫安が、燐酸肥料として過石が最も適当である。
  7. 三要素の適量は砂壌土系土壌では窒素1.2kg/a埴壌土系土壌では0.8kg/a、燐酸はともに1.5~2.0/a、加里は1.5kg/a前後が妥当と思われる。
  8. 直播の場合、窒素過剰により、発芽障害及び初期生育の不振が起こる土壌では、その障害を軽減する方法として窒素の施肥方法を変えることが有効である。この場合施肥方法としては、作条施肥よりも全面施肥または側肥法が有利である。
  9. また、「玉ねぎ」栽培地か28箇所の土壌についての調査成績からは次のことが認められた。
   (1) 玉ねぎ栽培圃場は深さ50cm以上まで3相分布状態が変わらず、気水の透水性及び作物根の伸長性が極めて良好である。
   (2) 土性は作土及び心土ともに中粒質の場合が多く、極端に粘性を呈するものや極端に粧粒な場合は少ない中性に近い土壌である。
   (3) また、土壌中の成分として、置換性塩基(特に石灰)及び有効態燐酸が多い。