【指導参考事項】
リンゴ新農薬に関する試験成績
Ⅰ モノックス(有機硫黄剤)に関する試験
道立中央農試園芸部

 (1) 対象病害……りんご黒星病
 (2) 薬剤名………モノックス(有機硫黄剤)
 (3) 主成分………NNビス(ジメチルチオカ-バモイル)エチレンジアミン30%
 (4) 散布濃度……800倍
 (5) 試験方法
 1. 供試品種及び樹数
  国光成木を用い樹別に3反復とした。なお果実は無袋とした。
 2. 供試薬剤及び濃度
薬剤名 濃度 有効成分
モノックス 800倍 エチレンジアミン30% ジラム50%
ダイホルタン 800 80%
CDT321 800 サイプレックス30% ジクロン20% TMYD10%
ジクロン 1.000 チュ-ラム40% ジクロン10%
 3. 散布時期及び混用薬剤
  散布時期 第1回 4月30日
         第2回 5月12日
         第3回 5月18日
         第4回 5月25日
         第5回 6月18日
         第6回 6月26日
         第7回 以後ボルドウ
  混用薬用 各区とも第1回 DDT50% 600倍
         第2回 サッピラン 2.500倍
         第3回 テデオン 1.000倍
         第4回 砒酸鉛 320倍
         第5回 砒酸鉛 300倍 を混用して散布した。
 4. 調査方法
  各樹新梢葉100~300葉を任意抽出によって行った
  果実についても同様にして行った。
 5. 成績
薬剤名 反復 6月23日 7月4日
調査葉数 被害薬数 % 調査葉数 被害薬数 % 調査葉数 被害薬数 %
モノックス 100 15 15.0 153 22 14.3 82 8 9.7
103 17 16.5 159 46 28.9 97 10 9.7
105 20 18.0 155 24 15.4 105 5 4.8
平均     16.9     19.7     8.1
ダイホルタン 132 0 0 158 0 0 107 0 0
135 0 0 156 0 0 131 0 0
120 0 0 164 0 0 98 0 0
平均     0     0   0 0
C  D  T 136 0 0 150 2 1.3 110 0 0
142 1 0.7 138 1 0.7 96 0 0
135 0 0 148 0 0 132 0 0
平均     0.2     0.7     0
ジクロンT 140 0 0 156 4 2.6 117 3 2.5
122 5 4.1 144 4 2.8 107 5 4.6
130 3 2.3 141 19 13.4 105 2 1.9
平均     2.0     6.1     3.0
無散布 371 110 35.4 302 109 36.1 125 24 19.2

薬剤名 反復 10月3日
調査葉数
被害葉数 % 調査果数 被害果数 %
モノックス 300 172 57.3 300 22 7.3
300 183 61.0 300 23 7.6
300 159 53.0 300 19 6.4
平均     57.1     7.1
ダイホルタン 300 30 10.0 305 5 1.3
300 21 7.0 296 3 1.0
300 28 9.3 300 4 1.3
平均     8.8     1.3
C  D  T 300 41 13.7 210 3 1.4
300 52 17.3 300 5 1.6
300 30 10.0 240 4 1.7
平均     13.7     1.6
ジクロンT 300 117 39.0 290 10 3.4
300 96 32.0 302 9 3.0
300 128 42.0 282 11 3.9
平均     37.9     3.4
無散布 300 300 100 300 278 92.6

 6. 成績
 りんご黒星病に対してはダイホルタン及びCDT321は従来のジクロンTより効果は大きい、しかしモノックスは効果の劣ることが認められた。
 普及指導上からはダイホルタン、CDT等については果実及び人体に対する影響等を更に検討する要があるので普及指導上とりあげるまでにいたっていない。なお、モノックスは黒星病に対しては対照薬剤より効果が劣るので黒星病の発生地帯ではすすめることができない。