【指導参考事項】
耕地内草地の造成における掃除刈りと牧草の定着との関係に関する試験成績
北海道農業試験場畑作部

試験成績の要約
 耕地内草地の利用上、初年目から牧草の生産を望むが、5月中旬から旺盛な畑雑草との競合に悩まされる。
 掃除刈りの要点は雑草の発生期と牧草の伸長との関係を把握して、掃除刈りを行ったあとの旺盛な牧草の伸長を期待することにあるが、その目途として発生時期と生長点の位置がひとつに考えられる。シロザ、タデ、ナギナタコウジュなどはこうした点で掃除刈りの効果が顕著である。ヒエメヒシバなどは生長点が低く、メヒシバの発生が遅いことから掃除刈りを免れることや、ヒエの分蘖(げつ)の多いことから比較的効果が少ない。
 施肥との関係ではシロザなど吸肥性が大で、窒素施用により雑草にも若干の関係が認められた。
 この試験では雑草を極力絶滅しようとして頻繁に刈り取ったA区が逆にメヒシバなど夏(晩)生の雑草の発生を見、収量的にもっとも刈取回数のすくないB区とC区では収量的には大差ないが、雑草率で著しく相違した。しかも掃除刈りのおそいC区の場合、雑草の利用も出来難いし、とくに加里の奪取量が牧草のそれに匹敵するほど大きいことは一考に価するところである。
 したがって雑草の発生期を考え早めに掃除刈りを行うことが有利であると考えられる。