【指導参考事項】
ドライヤ-による乾草調製法試験成績
(多雨時における大量乾草調製に関する試験)

ベ-ラ-で梱包して畜舎に収納するには、20%相当以下の乾燥状態にしなければ極めて危険であり、従来の調製技術では、この様な理想的な牧草の含水分にすることは稀である。
 従って乾草調製用の性能の高い機械を利用するとともに、人工乾燥によることを考えなければならない。良質の牧乾草を適期に短時日で調製する経済的省力的な技術が要求される。良質な牧乾草の大量調整技術を確立しようとして、熱風式乾燥機を用いて、移動型プラットホ-ムによる試験を実施した。
 なお、この試験は、農林水産技術会議の総合助成費と道担によるものである。
Ⅰ 試験材料と方法
 1. 施設の概要
  供支ドライヤ-は、昭和40年度に導入したアメリカ、ニュ-ホランド製モデルNo.751型クロップドライヤ-である。
 熱発生装置は軽油を主燃料とする、自動電気着火による間接オイル燃料式、加圧ノ-ズル噴射式バ-ナ-による、後部燃料式であって、発生された間接熱風をファンにより、メインダクトを通じて、プラットホ-ムに送入される。
  (1) 型式
 ニュ-ホランド751型クロップドライヤ-、間接オイル燃料式、加圧ノ-ズル噴射バ-ナ-による後部燃料式
 2. プラットホ-ム(スノコ移送台)施設
  乾燥施設は1側端に主風格をもつもので、縦6m横9mの有効床面積5.4m2で、次のものからなっている。
  (1) メ-ンダクト(1個)
 縦1.35m、横1.2m、長さ5.4mの木製トタン張りであって、風胴体積8.75m2で、側面下端に送風路(縦0.3m、横5.4m、面積1.62m2)があり、スノコに直接接続出来る様にしてある。
  (2) エアエトランセクション(4個)
 1.2m平方の台で高さが0.3mであって、メ-ンダクトに接続させるものであって1/2スノコ1/2板張りのもので、送風をコントロ-ルする役目を果たしている。
  (3) オ-プンセクション(24個)
 1.2m平方で高さ0.3mの完全なスノコ式であってスノコ間隙は1.2m2の1/2である。
  (4) エアタイトセクション(19個)
 スノコ台の外周に取り付けるものであって送風をも横に逃がさないようにする役目を果たし、縦0.6m、よっこ1.2m、高さ0.3mの上面完全板張りのものである。
  (5) キャンパス(1枚)
 ドライヤ-と、メ-ンダクトを接続させる、布製のもので、長さ5.0m。
 3. 試験方法
 (1) 試験材料
  イネ科主体の1番牧草を供試したが、その予乾作業体系は刈り取り後ヘイコンディショナ-で処理しワッフラ-、サイドレ-キを使用して、平均水分を50%以下までに予乾した牧草を、コンパクトタイプのバ-ラ-を用いて150kg/m2相当以下の密度に梱包したものを、4~10段の高さにプラットホ-ムの上に堆積をした。
 (2) 乾燥調製方法
  ドライヤ-は前途のとおりで、ファンモ-タ-は15HPの1.460rpmの速度で運転したが、乾草調製時期なので、常に夕刻より運転開始をし、そのまま夜間運転を継続し翌日の昼迄に完了し新たに夕刻運転出来る様にした。
 各回とも特にバ-ナ-コントロ-ルはしなかったが出来るだけ加温時間を減少して、燃料費の節約を計りつつ、合わせて加温送風後、常温送風を、1~4時間実施してから畜舎に収納した。
 (3) 温度測定
  堆積時に測定予定の梱包を決定して、位置を限定し温度計を用いて測定した。叉吸入、排気の温度、湿度、温度の測定は自記温湿計による。
 (4) 水分測定
  堆積時にそれぞれを決定し、密度等の変化をさせないように堆積し、開始前にKett F 10型及びKett 1型を用い梱包より一定少量試料採取したものを用いた。
 (5) 静圧測定(風圧)
  測定器の関係で本年は実施しなかった。
 (6) 電力及び燃料消費量
  乾燥終了後測定した。

Ⅱ 試験成績の概要
 (1) ニュ-ホランド製モデル751型クロッブドライヤ-(熱源付通風乾燥機)性能を調査し考察した。
 (2) 乾燥装置はプラットホ-ム式(スノコ型)9.0×6.0mの有効床面積54m2で、バ-ル1段目176~205梱包、2段目166~200梱包、3段目157~189梱包、4段目115~139梱包、5段目108~130梱包、6段目102~121梱包、7段目94~113梱包を交互にクロスすると共にカッティング面を下にして、3~10段として、熱風時間、11時間30~21時間30分(16時間25分)、通風時間1~4時間(3時間25分)、計14時間30~23時間30分(19時間50分)、加温及び常温通風をした。
 (3) 供試した牧草はイネ科主体(オ-チャ-ド又はチモシ-)の1番草で予乾作業体系(モ-アヘイコンディショナ-・サイドレ-キ・ワッフラ-)のもとで、含水率平均27.4~44.7%のものであって、平均ベ-ル重量9.7~17.8kg(12.9)、平均ベ-ルサイズ62~72cm(66)、平均ベ-ル密度94~150kg/m2のコンパクトベ-ラ-梱包で集積当初の総重量3.1~21.1ton、ベ-ル梱数313~1.458梱を用いた。
 (4) 電力の消費量は8.6~9.3Kw/h料金約66~71円/h、燃料の消費量27.6~32.0L/h(29.4)料金約552~640円/h(588)であった。
 (5) メ-ンダクト入口の温度38~50℃であって外気温差22~36℃高く、温度変化はやや吸入温度に平行している。
 (6) 乾燥中の牧草温度の変化は集積当初外気温より低く(-)4℃であったが終了時期になると逆に(+)10℃高かった。叉ダクト入口との関係は当初28℃が22~26℃の温度差となりわずかに近接する。
 (7) 排気温度は背部において、外気湿に対して(-)1~(+)13℃、側部(壁なし)(-)4~(+)1℃であるが、背部排気温は外気温にやや平行する。
 (8) 排気湿度は外気湿度に対して43~62%に下降して常温通風時には28~36%低かった。
 (9) 送風量は9.5m2/secであった。
 10) 有効熱量19.6~25.6、104KC10/hで外気に影響されるが、熱効率62.0~80.0%で平均72.8%と比較的高率であった。
 (11) 脱水量は時間当り124kg/hで燃料1L当り4.7kg/L、ベ-ル1梱包当り23%であった。
 (12) プラットホ-ムにおける温度分布、上段より下段が、良い傾向で一般に「コ」の字型で各段が若干高い傾向を示したが、相対的には大差はなかった。
 (13) 処理経費は燃料、電力費は製品kg当り1.84円、労力費0.6円で、処理経費はkg当り2円44銭であった。その割合は、70:8.3:217%であった。
 (14) 一回の製品仕上がり量は10ton程度は可能であった。
 (15) 一回に要する運転時間は熱風11.30~17時間、常風1~3時間であった。
 (16) 人工乾燥における予乾程度は低い程安価であるが、50%程度迄は2.5円/kgの範囲内で可能である。
 (17) 材料草の含水率幅が広く今後検討を必要とする予乾の均一化が大切である。
 (18) 熱の加え方、風の調査等について詳しく調査してないが大まかな性能は推定された。
 更に経済性を高めるために問題点の検討を続ける予定である。