【指導参考事項】
熱風による乾牧草の調製に関する試験成績
                 新得畜産試験場
              中央農試農業機械部

1. 新得町における成績
試験番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
試験年月日 40.7.1・2 7.2・3 7.5・6 7.7・8 7.8・9 7.9・10 7.12・13 7.15・17 7.20・21 7.21・22 7.22・23 7.23・24 7.27・28 7.30・31

総運転時間   (時・分) 19.00 23.30 19.00 20.00 19.30 16.30 20.00 41.30 16.00 16.30 20.30 14.30 14.30 16.00
加温通風時間   (時・分) 17.00 21.30 17.00 17.00 15.30 15.00 16.00 25.30 15.00 15.00 18.00 11.30 11.30 14.30
常温通風時間   (時・分) 2.00 2.00 2.00 3.00 4.00 1.30 4.00 16.00 1.00 1.30 2.30 3.00 3.00 1.30

総燃料消費量      (l) 520 680 490 380 435 460 525 720 460 480 540 320 350 400
時間当り燃料消費量(l/h) 30.6 31.6 28.8 22.4 28.1 32.2 30.7 28.2 30.7 32.0 30.0 27.8 30.4 27.6

総電力消費量    (Kw) 172.9 202.1 165.3 172.0 171.6 148.5 178.0 364.4 148.5 142.0 182.4 124.0 124.0 141.0
時間当り電力消費量(Kw/h) 9.1 8.6 8.7 8.6 8.8 9.0 8.9 8.8 9.3 8.6 8.9 8.6 8.6 8.8



集積重量       (ton) 3.5 8.0 9.4 13.3 5.75 7.4 6.75 14.1 10.0 9.0 8.8 8.6 16.0 21.16
集積段数       (段) 2 3 5 10 3 4 4 6 5 5 4 5 7 10
集積ベ-ル梱数   (梱) 313 450 565 1.232 514 693 520 961 814 941 672 790 1.188 1.458
平均ベ-ル重量   (kg) 11.2 17.8 16.6 10.8 11.2 9.7 13.0 14.7 12.3 10.7 13.1 10.9 13.5 14.5
平均ベ-ルサイズ(36×46cm)(cm) 72.0 71.5 68.5 68.0 70.5 64.0 66.0 62.0 64.0 62.0 66.0 66.0 64.0 64.0
平均ベ-ル密度  (kg/m2) 93.9 150.3 146.3 95.9 95.9 91.5 118.9 145.5 116.1 104.2 119.9 99.7 127.4 136.8
含水率        (%) 36.3~
51.6
33.9~
49.0
28.6~
48.0
25.4~
47.2
30.5~
47.5
24.6~
30.0
30.4~
59.2
31.7~
37.2
32.6~
47.5
31.2~
39.0
40.0~
49.0
31.0~
40.0
26.0~
29.0
24.0~
28.6
平均含水率     (%) 44.0 43.6 42.0 31.0 34.9 27.9 33.9 34.4 36.0 35.2 44.7 34.7 28.3 27.4


牧乾草製品重量 (kg) 2.030 6.140 6.510 11.450 4.750 5.550 5.500 9.370 8.800 68.000 5.600 7.250 13.150 18.050
平均ベ-ル重量(kg) 6.5 13.6 11.5 9.3 9.2 8.0 10.6 9.8 10.8 8.1 8.3 9.2 11.1 12.4
平均ベ-ル密度(kg/m2) 54.5 114.9 101.3 82.6 78.8 75.5 97.0 97.0 101.9 78.9 75.9 84.2 104.7 117.0
含水率       (%) 11.8~
21.0
15.1~
19.2
14.6~
19.1
11.3~
19.5
10.0~
20.8
9.8~
15.4
9.0~
12.4
15.0~
19.4
14.1~
19.6
13.6~
18.0
16.0~
20.0
17.5~
20.0
14.0~
20.0
11.8~
17.0
平均含水率    (%) 18.8 17.2 16.5 17.4 14.3 12.7 10.5 17.7 16.9 15.0 18.3 18.5 16.7 14.9



ton

燃料 燃料消費量   (l) 256.2 110.7 75.3 33.2 91.6 82.9 95.5 76.8 52.3 70.6 96.4 44.1 26.6 22.2
燃料費   (20/円) 5.124 2.214 1.506 664 1.832 1.658 1.910 1.536 1.046 1.412 1.928 882 532 444
電力 電力生消費量(Kw) 85.1 32.9 25.4 15.0 36.1 26.7 32.3 38.9 16.9 20.9 32.9 17.1 9.4 7.8
電力費(76.2/Kw円) 648 251 194 114 275 203 246 296 129 159 251 130 72 59
燃料電力費    (円) 5.772 2.465 1.700 778 2.107 1.861 2.156 1.832 1.175 1.571 2.179 1.012 604 503




総放出水分量   (kg) 1.470 1.860 2.890 1.850 1.000 1.850 1.250 4.730 1.200 2.200 3.200 1.350 2.850 3.110
時間当り放出水分量(kg) 77.4 79.1 152.1 92.5 51.3 123.3 62.5 114.0 80.0 146.7 177.8 117.4 247.8 214.5
ton当り放出水分量(kg) 433.3 365.6 169.6 205.4 435.0 248.6 420.0 152.2 383.3 218.2 168.8 237.0 122.8 128.6
燃料l当り放出水分量(kg) 2.8 2.7 5.9 4.9 2.3 4.0 2.4 6.1 2.6 4.6 5.9 4.2 8.1 7.8
ベ-ル1梱平均放出水分量(kg) 4.7 4.1 5.1 1.5 1.9 2.7 2.4 4.9 1.5 2.6 4.8 1.7 2.4 2.1
ベ-ル1梱平均放出水分率(%) 4.2 23 30 14 17 28 18 33 12 24 37 16 18 15

 (1) ニュ-ホランド751型熱源付通風乾燥機の性能を調査した。
 (2) 乾燥装置はプラットホ-ム式(スノコ型)9.0×6.0m有効床面積54m2で、ベ-ルを1段目176~205梱包、2段目166~200梱包、3段目157~189梱包、4段目115~139梱包、5段目108~130梱包、6段目102~121梱包、7段目94~113梱包を交互に積み上げ、カッティング面を下にして、3~10段として、熱風送風時間、11時間30~21時間30分(16時間25分)、冷風通風時間1~4時間(3時間25分)計14時間30~23時間30分(19時間50分)とした。
 (3) 供試した牧草はイネ科主体(オ-チャ-ド又はチモシ-)の1番草で予乾作業体系(モ-ア、ヘイコンディショナ-、サイドレ-キ、ワッフラ-ワッフラ-)のもとで、含水率平均27.4~44.7%のものであって、平均ベ-ル重量9.7~17.8kg(129)、平均ベ-ルサイズ62~72cm(66)、平均ベ-ル密度94~150kg/m2のベ-ラ梱包で集積当初の総重量3.5~21.1ton、ベ-ル梱数313~1.458梱を用いた。
 (4) 電力の消費量は8.6~9.3Kw/h料金約66円~71円/h、燃料の消費量27.6~32.0l/h(29.4)料金約552円~640円/h(588)であった。
 (5) メ-ンダクト入口の温度は38~50℃であって外気温度に比し22~36℃高く、温度変化は吸入温度にやや平行している。
 (6) 乾燥中の牧草温の変化は、当初は外気温より4℃低かったが終了時期になると逆に10℃高かった。叉ダクト入口との関係は当初28℃あったものが22~26℃の温度差となりわずか近接する。
 (7) 排気温度は背部において、外気温に対して(-)1~(+)13℃、側部(壁なし)(-)4~1℃(+)であるが背部排気温は外気温にやや平行する。
 (8) 排気湿度は外気湿度に対して43~62%に下降し、通常通風時には28~36%低かった。
 (9) 送風量は9.4m2/secであった。
 (10) 脱水量は時間当り124kg/hで燃料1L当り4.7kg/L、ベ-ル1梱包当り23%であった。
 (11) プラットホ-ムにおける温度分布は上段より下段が良い傾向で一般的に「コ」の字型で各各段が若干高い傾向を示したが、相対的には大差はなかった。
 (12) 処理費はkg当り2円44銭で、その内訳は燃料費70%、電力費8.3%、労力費21.7%であった。
 (13) 一回の製品仕上がり量は10ton程度は可能であった。
 (14) 一回に要する運転時間は熱風11.30~17時間、常風1~3時間であった。
 (15) 人工乾燥における予乾程度は低い程安価ではあるが、50%程度迄は2.5円/kgの範囲内で可能である。
 (16) 材料草の含水率幅が広く今後検討を必要とする予乾の均一化が大切である。

2. 江別市における成績
 道内において牧草用大型乾燥機が開発されたので、梱包牧草を対象として、その性能と安全性につき試験を行った。
 (1) 試験方法
  ア) 試験場所  江別市、町村牧場
  イ) 試験期日  昭和40年7月3日~10日
  ウ) 供試材料
   第1回-7月3日、オ-チャ-ド・チモシ-・赤クロ-バ-混ベ-ル後仮貯蔵中のもの197ベ-ル
   第2回-7月4~6日、赤クロ-バ-228ベ-ル・オ-チャ-ド・チモシ-・赤クロ-バ-混83ベ-ル
   第3回-7月9~10日、オ-チャ-ド・チモシ-・赤クロ-バ-混458ベ-ル
  エ) 供試機種  HDP 850型牧草乾燥機
   主要諸元
    全長  2.845mm
    全巾  1.700mm
    全高  1.928mm
    重量  1.000kg
   ファン性能
    回転数(r・p・m)  1.500 1.800 2.100
    風速  (m/sec)  24.6  28.7  33.3
    風量  (m2/sec) 10.7  12.6  14.7
    風圧  (Agmm)   58   68   88
    エンジン出力 30.5PS/2.400r・p・m
    予熱装置燃料  灯油  消費量最大10L/h
   梱包牧草の積み込みは箱型ダクト方式とした。
 (2) 試験結果
  ア) 梱包牧草の積み込み
   試験に供した梱包を見ると、一般に水分の多い牧草は良く締まっていた。水分の少ない牧草は締まりがゆるいが、大きさは大体一定していた。
 梱包牧草の積み込みは、各試験共両壁部を箱型ダクトに対して縦に積み込んだために、両壁の通気性が悪かった。内側は縦に並べて最外側は横にすべきであり、特に第2回目の如く水分の多い牧草の場合は内側は乾燥過度になっているが、外側は殆ど乾燥不足であった。しかし、第3回目の再乾燥時のように下段と第2段目を横方向に積み込むと外側の乾燥むらが非常に少なくなる。積み込み数も第5段迄はむらが少ないから、第6段、第7段になるとむらができてくる。
  第1回目 第2回目 第3回目
乾燥前総重量  (kg) 2.840 8.077 9.965
ベ-ルの大きさ(cm) 50×35×80 48×35×74 49×35×71
1個平均重量  (kg) 14.5 25.9 20.8
平均含水率    (%) 16.8 36.0 24.5
第1回乾燥後全重量(kg) 2.609 6.209 8.808
そのうち仕上り重量(kg) 2.609 2.867 4.546
仕上り平均含水率 (%) 13.0 11.5 16.6
再乾燥前の重量 (kg) 3.342 4.262
再乾燥後の重量 (kg) 2.907 3.801
仕上り平均含水率(%) 13.4 17.6
水分18%以下の仕上率(%) 97.9 82.2 90.0
乾燥後全重量   (kg) 2.609 5.774 8.347
運転時間    (時・分) 5.09 28.05 12.45
総時間      (時・分) 5.09 53.00 17.15
水分減少率(水分差/運転時間) 0.72 0.88 0.59
燃料費 仕上乾草1ton当り 482 1.268 493.0
1梱包当り  (円) 6.32 23.04 8.97
蒸発水分1kg当り 5.31 3.17 2.52

  イ) 乾燥前後の水分の乾減状態
   第1回目の如く、乾燥前の含水率が比較的低い牧草については内側と外側の段別に乾減程度にそれほど大差がない。第2回目の如く乾燥前の水分の多いものは内側に積んだ梱包と外側に積んだ梱包の水分差が大きい。
 再乾燥を行ったものについても、ダクトの内側と上部は乾減が進むが、外側、特に、風下側の乾減は不良である。叉降雨のあった場合、最下段は特に悪い。
 早朝から10時頃迄濃霧にわざわいされ、風が良く通らなかったりすると外側は吸湿現象が起こった。このような場合には、乾燥程度によって選別を行い中心部の過乾をおさえ、効率的な乾燥を行うようにすべきである。
  ウ) 火災防止
   本機のバ-ナは直火式を採用しているため、火災防止には特別な配慮がなさなければならない。バ-ナの開度を"5"にした場合、送風機の直後で108℃の箇所もあるが、ダクトでは40℃以上の箇所はなかった。しかしバ-ナ開扉を全開にすると炎が大きくなりファン附近迄長く尾を引き、極めて危険があった。子供のいたずら等で、このような危険にさらされることのないようにすべきである。バ-ナ開度を調整するバルブも不完全である。
  エ) バ-ナの改良
   試験終了後に点を改良したので、火災の危険が少なくなり、牧草の品質を害するおそれが少なくなると考えられる。交流100Vの電源により作動する電磁弁。LPガスバ-ナによる予熱装置の採用。