【指導参考事項】
豚の発育に及ぼす総合ビタミン、ミネラル飼料添加剤の効果について 滝川畜産試験場 |
Ⅰ 緒言
多頭飼育経営において単味飼料、残飯、薯澱粉粕などを完全配合飼料に大々的に利用する場合に、ビタミン、ミネラル等の微量成分の不足が予想される。最近各種の総合飼料添加剤が市販されるようになったので、これらの一つであるT社製のものを供試し、この効果について報告する。
Ⅱ 試験方法
試験飼料-特殊飼料(ビタミン、ミネラル等を全く含まないもの)に添加剤を加えたものと、完全配合飼料(ビタミン、ミネラルを含むもの)に加えたものとの二種類の飼料。添加剤は16種の微量栄養を含む。
飼料豚-30~90kgの肥育期間は中ヨ-クシャ-20頭、12~30kgの育成期間は中ヨ-クシャ-とランドレ-スを用い15頭を使用した。
Ⅲ 試験成果
育成期で各区の1日増体量をみると、肥育期も同様であるが、②が最も優れている。次いで③区及び④区で①区は最も不良である。試験開始10日後より全群に軽い皮膚病が発生したが間もなく回復した。特に①区では20日後より下痢を認め直ぐ回復したが、更に30日後より再び皮膚病が発生し、このことが①区の発育を低下させた原因の一つである。
肥育期における所見も育成期の場合とほぼ同様で、②区が最も優れ、③区と④区は僅かに差があり①区が最も劣っている。①区の発育の悪い原因は、2週目より皮膚病が発生したためである。
第1表 添加剤の肥育効果
区 別 | 試験開始 | 試験終了 | 1日平均 増体量 (g) |
飼料 消費量 |
飼料 要求量 |
|||
日令 (日) |
体重 (kg) |
日令 (日) |
体重 (kg) |
|||||
育 成 期 |
特殊飼料無添加 ① | 61.8 | 13.2 | 105 | 30.6 | 432.5 | 51.0 | 2.94 |
特殊飼料添加 ② | 61.8 | 13.1 | 92 | 30.2 | 575.9 | 42.3 | 2.47 | |
幼豚用完配無添加 ③ | 61.8 | 12.3 | 97 | 30.3 | 539.9 | 43.9 | 2.43 | |
幼豚用完配添加 ④ | 61.8 | 12.8 | 96 | 30.3 | 529.2 | 45.3 | 2.59 | |
肥 育 期 |
特殊飼料無添加 ① | 110.2 | 28.8 | 236.6 | 90.6 | 507.5 | 270.4 | 4.38 |
特殊飼料添加 ② | 106.8 | 28.6 | 211.0 | 90.3 | 597.2 | 232.8 | 3.78 | |
仕上用完配無添加 ③ | 108.6 | 28.5 | 222.6 | 90.5 | 559.1 | 252.5 | 4.07 | |
仕上用完配添加 ④ | 108.8 | 27.9 | 226.2 | 90.2 | 535.7 | 266.8 | 4.28 |
Ⅳ 結言
総合ビタミン、ミネラル添加剤が豚の発育におよぼすこうかについては、幼豚期及び肥育期を通じて次の如き結果が得られた。
1. 微量成分を特に添加しない飼料に本剤を添加した場合に、発育がよくなり、更に飼料に原因するものと考えられる皮膚病の予防にもかなりな効果がみられた。
2. 一般市販完配飼料に添加剤を応用しても効果は認められなかった。
3. 自家配合飼料の調製の際に、本剤の投与は有効である。また一般市販完配飼料に自給飼料を大幅に配合する場合も、それなりに効果が認められるものと思う。