【普及奨励事項】
ラベンダー「中咲2-2」に関する試験成績(新品種名「はなもいわ」)
               道立中央農業試験場畑作部畑作第2科

・ 育種目標
 香料作物として将来有望視されているラベンダーの有望系統を選抜し新品種育成に供する。

・ 来歴
 昭和12年曾田香料KKがフランスから種子を導入し、その後昭和26年より系統を選抜していたがこの中10系統につき昭和34年以来曾田香料KK札幌農場において現地試験として系統比較試験を行い、昭和39年「ようてい」「おかむらさき」を優良品種として決定したが8系統について、更に中央農試畑作部圃場において昭和37年より選抜してきたものである。

・ 特性
 (1) 開花
  7月17日に開花期となり「ようてい」より5日遅く「おかむらさき」より1日早い中生に属する。
 (2) 花茎長
  「ようてい」「おかむらさき」より短く中間。
 (3) 花茎姿勢 稍直立
 (4) 葉色 淡緑白味の短毛あり
 (5) 花茎収量
  定植後1〜2年は「ようてい」とほぼ同程度、「おかむらさき」に劣るが、3〜4年目以降は「おかむらさき」より増収する。
 (6) 収油率
  「ようてい」「おかむらさき」より劣る
 (7) 収油量
  定植後1〜2年は「ようてい」「おかむらさき」に劣るが3年目以後は逆に増収する

・ 主要成果の具体的データー
項目 番号 品種又は系統名 38 39 40 41 平均 対標準比




(kg)
1 ようてい 134.3 321.5 296.5 392.1 286.1 85.3
2 早咲2-1 146.2 398.2 381.8 669.6 399.0 119.0
3  〃 2-3 117.9 303.0 363.4 436.8 305.3 91.0
4 中咲2-1 59.9 143.6 195.7 245.5 161.2 48.1
5  〃 2-2 154.1 262.4 631.2 825.3 468.3 139.6
6 遅咲1-1 98.3 184.3 310.3 354.7 236.9 70.6
7  〃 1-3 176.1 310.2 468.1 658.2 403.2 120.2
8 おかむらさき 183.2 357.4 369.5 431.3 335.4 100.0
9 遅咲1-5 127.2 267.9 359.4 405.7 290.1 86.5
10  〃 2-1 197.8 421.3 469.3 538.6 406.8 121.3
   LSD         147.4
201.9
 



(kg)
1 ようてい   1.672 2.716 2.616 2.335 87.9
2 早咲2-1   1.792 2.596 3.616 2.668 100.5
3  〃 2-3   1.878 2.016 2.708 2.201 82.9
4 中咲2-1   0.904 1.402 1.620 1.309 49.3
5  〃 2-2   1.154 3.938 6.437 3.843 144.7
6 遅咲1-1   0.737 1.587 1.986 1.437 54.1
7  〃 1-3   1.954 2.355 1.909 2.073 78.0
8 おかむらさき   2.216 2.775 2.976 2.656 100.0
9 遅咲1-5   0.911 1.046 1.217 1.058 39.8
10  〃 2-1   1.306 2.096 1.885 1.762 66.3
   LSD         1.319
1.807
 



(%)
1 ようてい   0.52 0.92 0.67 0.70 101.4
2 早咲2-1   0.45 0.68 0.54 0.56 81.2
3  〃 2-3   0.62 0.55 0.62 0.60 87.0
4 中咲2-1   0.63 0.72 0.66 0.67 97.4
5  〃 2-2   0.44 0.62 0.78 0.61 88.4
6 遅咲1-1   0.40 0.51 0.56 0.49 71.0
7  〃 1-3   0.63 0.50 0.29 0.47 68.1
8 おかむらさき   0.62 0.75 0.69 0.69 100.0
9 遅咲1-5   0.34 0.29 0.30 0.31 50.0
10  〃 2-1   0.30 0.45 0.35 0.37 5.36

・ 奨励又は指導参考上の注意事項
 本圃定植に際し苗木の根に肥料附着するか、圃場が乾燥するような場合は肥料の障害により枯れ易いので注意すること。定植後の生育が緩慢であるから育苗に注意して良苗の育成に努めること。
 現在栽培されている「おかむらさき」と一部配合して奨励したい。
 (注)奨励品種については、種苗審議会の議を経て決定する。