【普及奨励事項】
花ゆり「岩宇7号」に関する試験成績(新品種名「えぞあか」) 道立中央農業試験場園芸部 岩宇園芸試験地 |
・ 育種目標
促成切花用で早生。花色赤色又は黄色。花被片の斑点は少ない。
花梗は短い。花の大きさ大輪。蕾の毛少ない。葉は細く短く水平又は稍々上向。病害に強く栽培容易。
・ 来歴
昭和27年、岩内地方海岸に自生の「えぞ透百合」を採葉、1作の優良な個体を母体として、昭和28年、愛知県園芸試験場より各種透百合の花粉の送付を受け交雑育成を行った。
28年、♀えぞ透百合×♂千草の交配、交配数6、種子数483ヶで、29年播種。32年開花、33年783号として予備系統に選抜、増殖、36年783号〜2として本系統に選抜、増殖40年岩宇7号として名称を付け促成栽培の適否を検討した。
・ 特性
開花期は岩内地方で6月中〜下旬、「えぞ透百合」より遅いが「金剛城」と同じ「千草」「重代」等の透百合より相当早い。花色は赤味橙色で花被片は斑点少なく、やや反転、雌ずいは紫赤色で柱頭は紫赤色、雄ずいは紫赤色、花粉は褐橙色、花梗の長さは中、花の大きさは中輪水平の葉をつける。
ポトリチスに対しては葉は強い方であるが花は弱い様に観察される。
・ 主要な具体的データー
(1) 開花期(岩宇園芸試験地)
年 次/ 品種及び 系統名 |
予備系統 | 本系統 | 平均 | ||||
34 (月日) |
35 (月日) |
36 (月日) |
39 (月日) |
40 (月日) |
41 (月日) |
||
岩宇7号 | − | 6.28 | 6.16 | 6.17 | 6.25 | 6.22 | 6.21 |
えぞ透百合 | 5.26 | 6. 7 | 5.27 | − | 6.15 | 6.14 | 6. 5 |
改良千草 | 6.29 | 7. 6 | 6.28 | − | − | 7.12 | 7. 4 |
品種名 | 着蕾期 (月日) |
開花始 (月日) |
開花揃 (月日) |
一茎当り 着花数 (ヶ) |
蕾の毛 |
開花期の調査 | ||||||
草丈 (cm) |
葉数 (枚) |
葉長 (cm) |
葉巾 (cm) |
茎色 |
葉色 |
茎の毛 | ||||||
えぞ透 (在来) |
1.11 | 1.26 | 2. 1 | 5.2 | 多 | 53 | 62 | 7.3 | 1.1 | 緑 | 緑 | 有 |
岩宇7号 | 1.14 | 2. 4 | 2.11 | 2.2 | 中 | 54 | 42 | 6.5 | 0.8 | 〃 | 〃 | 極少 |
神 恵 (参考) |
1.18 | 2. 3 | 2. 9 | 1.8 | 多 | 36 | 35 | 7.2 | 1.0 | 〃 | 〃 | 〃 |
品種名 | 開花期の調査 | 不開花 茎数 (本) |
概 要 | ||||||
花梗長 (cm) |
花径 (cm) |
花高 (cm) |
花被長 (cm) |
花色 |
花被斑点 |
花型 | |||
えぞ透 (在来) |
4.8 | 9.8 | 6.1 | 8.2 | 黄橙色 | 大 多 | カップ状 | 7 | 金武扁に似る 濃色で花良好 毛百合に似る |
岩宇7号 | 3.4 | 13.3 | 3.9 | 8.2 | 花芯黄色 橙赤色 |
大 中 | さかずき状 | 4 | |
神 恵 (参考) |
2.8 | 12.2 | 5.6 | 8.5 | 橙 色 | 大 多 | さかずき状 | 2 |
・ 適用地帯及び栽培上の注意
在来の「えぞ透百合」が母体であるので土壌の及び寒さには極めて強いが球根が稍々剥がれ易い欠点があるので砂質土及び火山灰土のような軽い土での栽培が望まれる。