【普及奨励事項】
ラベンダ−挿木増殖法に関する試験成績 北海道立中央農業試験場畑作部 第2科 (昭和39〜42年) |
・ 目 的
ラベンダ−の増殖法として種子繁殖、挿木、とり木などの方法があるが種子繁殖は発芽能率の乏しい事、また遺伝的に雑種性であること等により極めて困難であるので、挿木方法を検討し、増殖技術の改善をはかり栽培上の資とする。
・ 試験方法
試験項目 | 年度 | 試験区別 | 品種 | 一区面積 区別 |
耕種梗概 |
挿木時期試験 | 39 | 6月上旬、中旬、下旬 | ようてい おかむらさき |
1.65m2 1区制 |
畦巾9cm 株間9cm 無肥料 高さ15cm 巾100cmの 挿木床を 設ける |
40 | 上記各区によしず被覆区 ビニ−ルマルチング区を設ける |
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挿木被覆法試験 | 39 | ビニ−ルテント被覆 ビニ−ルマルチ よしず被覆(慣行) |
ようてい おかむらさき |
1.65m2 1区制 |
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40 | ビニ−ルテント被覆 ポリエチレンマルチ ビニ−ルマルチ よしず被覆(慣行) |
3.3m2 1区制 |
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除草剤と発芽促進剤 の効果に関する試験 |
41 | 除草剤 2処理(Propagine) 発芽促進剤 2処理(CAT・NAA・ル−トン) 挿木時期 2処理(5月上旬・5月下旬) |
ようてい |
1.65m2 1区制 |
畦巾9cm、 株間9cm、 無肥料、 高さ15cm、 巾100cmの 沖積土の 上部に洪積 火山土を 15cmの厚さ に敷き挿木 床とした各区 とも、0.01mm のポリマルチ をした。 |
42 | 除草剤 2処理(トレファノサイド・CAT) 促進剤濃度 2処理(NAA100ppm・1000ppm) |
・ 試験結果
① 挿木の時期は5月上旬〜中旬で融雪后なるべく早い方が良い。ただし挿木時の地温が低い場合は活着が劣るので環境条件の回復を待って挿木すべきである。
② 被覆方法としてポリエチレンマルチとビニ−ルマルチは水分調節が比較的簡単で、しかも床地温が上昇するので、活着率が高く極めて有効である。
③ マルチをした場合、雑草の多い圃場ではCAT、Propagineを使用すると、除草効果大きく除草労力を軽減出来る。
④ 除草剤を使用した場合、活着率が4〜5%低下しやや抑制作用が認められるので、発芽促進剤として、NAA100ppmを併用すると除草労力の軽減と共に除草剤の抑制作用を著しく軽減出来る。かつ良苗を育成出来るので極めて有効である。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
挿木時期試験(40年)
試験区別 | 上苗 割合 (%) |
良苗 割合 (%) |
活着率 (%) |
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5 月 中 旬 |
ビニ−ルマルチ | ようてい | 34.5 | 59.3 | 87 |
おかむらさき | 73.3 | 94.4 | 96 | ||
よしず被覆 | ようてい | 2.2 | 33.0 | 70 | |
おかむらさき | 16.7 | 86.7 | 88 | ||
5 月 上 旬 |
ビニ−ルマルチ | ようてい | 16.5 | 42.3 | 75 |
おかむらさき | 3.4 | 24.1 | 68 | ||
よしず被覆 | ようてい | 0.0 | 4.4 | 22 | |
おかむらさき | 0.0 | 27.1 | 52 | ||
6 月 上 旬 |
ビニ−ルマルチ | ようてい | 2.1 | 12.8 | 37 |
おかむらさき | 11.9 | 38.6 | 79 | ||
よしず被覆 | ようてい | 0.8 | 8.3 | 27 | |
おかむらさき | 0.0 | 15.0 | 54 |
試験区別 | 上苗 割合 (%) |
良苗 割合 (%) |
活着率 (%) |
|
ビニ−ルテント | ようてい | 5.1 | 16.6 | 47.4 |
おかむらさき | 15.3 | 47.9 | 77.6 | |
ビニ−ルマルチング | ようてい | 16.3 | 36.4 | 66.0 |
おかむらさき | 48.9 | 75.3 | 89.7 | |
ポリエチレンマルチング | ようてい | 18.9 | 50.0 | 82.9 |
おかむらさき | 51.7 | 85.5 | 90.7 | |
よしず被覆 | ようてい | 0.4 | 16.9 | 61.7 |
おかむらさき | 0.3 | 62.1 | 84.4 |
処理区別/ 項 目 |
NAA 100ppm |
NAA 1000ppm |
CAT | CAT NAA100 |
CAT NAA1000 |
トレファ ノサイド |
トレファノサイド NAA100 |
トレファノサイド NAA1000 |
黒色 ポリマルチ |
無処理 |
良苗割合(%) | 56 | 51 | 45 | 61 | 63 | 65 | 75 | 58 | 46 | 54 |
活着率 (%) | 70 | 62 | 55 | 69 | 73 | 74 | 81 | 62 | 63 | 61 |
・ 実施上の注意事項
① マルチに用いるポリフィルムおよびビニ−ルフィルムの厚さは0.01mmで十分である。マルチに先立ち潅水の効果を高めるため挿木畦に鉛筆大の棒で溝を切り、フィルムをよく張り、たるみのないようにしなければならない。
② CAT、Propagine使用基準
10a当り成分量 100g、10a当り使用水量200L
散布方法〜挿木直前に均一に撒布し直ちにマルチし挿木する。
③ NAAの使用基準
処理濃度 100ppm、時間 24時間
処理方法〜挿木の基部を採種后直ちにNAA液に一定時間浸漬する。