【普及奨励事項】
ネギの簡易軟白栽培試験成績 道立道南農試園芸科 (昭和40〜42年) |
・ 目 的
ネギは生育期間が長く、更に定植、培土などの重労働が多い作物で、栽培も容易ではない。しかし、本道におけるネギの需要は年間を通じて非常に多いので、初夏から秋にかけて何時でも出荷できる安易なネギの栽培法を検討する。
・ 試験方法
(40年度)
◎ 1区面積 0.5m2、単区制
◎ 品種 「南部1本」
◎ 区別 1.大苗、2.小苗
◎ 播種 5月20
◎ 軟白 8月18日
◎ 収穫 10月1日
(41年度)
◎ 1区面積 1m2、2区制
◎ 品種 「新九条」「十和田」
◎ 区別 1.モミガラ軟白、2.無処理
◎ 播種 4月9日
◎ 軟白 7月5日、7月21日
◎ 収穫 8月5日(30日目)、8月20日(45日目)
(42年度)
◎ 1区面積 1m2、2区制
◎ 品種 「金長」
◎ 区別 1.15×3cm8222本/m2)、2.15×5cm(133)、3.20×3cm(166)、4.20×5cm(100)
◎ 播種 4月7日
◎ 軟白始 7月4日、7月24日
◎ 収穫 7月24日、8月12日
◎ 施肥量 (1m2当り)硫安18g、尿素14g、過石55g、硫加18g、追肥、硫安150g(3ヶ年間同じ)
・ 試験成果の概要
播種から収穫まで同じ圃場で、移植作業を省略して、モミガラによる簡易軟白で白色部長の20cm以上で品質の良いネギが得られた。これに向く品種は、葉ネギ系で分けつ性のネギより千住系の1本ネギが適していた。
栽植密度については播種から軟白に適する大きさになるまで約90日、軟白から収穫までに30〜40日で合計120〜130日程度でとい。
軟白法は床(巾約90cm程度)のまわりに板又はそれに代わるもので、高さ30cm位の枠を作り、その中にスコップで上からモミガラを静かに落下させる。モミガラは降雨による沈下と、ネギの成長で不足しがちなので15日〜20日後に追加して品質の向上につとめると良い。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
(40年度) 1株当(栽植密度30×5cm)
項目/ 区別 |
処理前(8月18日) | 処理後(10月1日) | ||||||||||
全重 (g) |
全長 (cm) |
葉数 (枚) |
第1葉ま での長さ (cm) |
全重 (g) |
全長 (cm) |
葉数 (枚) |
軟白長 (cm) |
茎径 (cm) |
1m2当り | 調整 割合 (%) |
||
全重 (kg) |
調整重 (kg) |
|||||||||||
小苗 | 31 | 65.6 | 3.4 | 10.7 | 590 | 71.8 | 4.4 | 22.0 | 1.6 | 3.9 | 3.2 | 82 |
小苗 | 16 | 63.0 | 23 | 10.6 | 430 | 71.0 | 3.9 | 20.0 | 1.2 | 2.9 | 2.4 | 81 |
項 目/ 区 別 |
7月24日 | 8月12日 | ||||||||||
1m2当り | 1株当り | 1m2当り | 調整 歩合 (%) |
比重比 (%) |
||||||||
全重 (kg) |
調整重 (kg) |
全重 (g) |
全長 (cm) |
白色 部長 (cm) |
葉数 (枚) |
茎径 (cm) |
本数 (本) |
全重 (kg) |
調整重 (kg) |
|||
1. 15×3cm | 11.1 | 9.5 | 70.0 | 88.8 | 30.5 | 4.3 | 1.4 | 221 | 15.5 | 12.6 | 81 | 97 |
2. 15×5cm | 7.1 | 5.8 | 132.0 | 87.5 | 29.0 | 5.0 | 1.7 | 124 | 16.4 | 13.0 | 79 | 100 |
3. 20×3cm | 8.8 | 7.4 | 92.9 | 90.4 | 30.7 | 5.2 | 1.7 | 161 | 15.0 | 12.1 | 81 | 93 |
4. 20×5cm | 8.0 | 6.8 | 167.0 | 96.0 | 28.8 | 5.6 | 1.8 | 96 | 16.0 | 11.6 | 73 | 90 |
・ 普及指導上の注意
○ 大面積の栽培には向かないが、苗床やハウスの間の空地などを利用したい。(普通、露地栽培の1/7で良い)
○ タマネギバエの防除には特に注意したい。