【指導参考事項】
水温上昇剤OED粒剤に関する試験成績
北海道立北見農業試験場・上川農試・農業物理部・作物第1部・農務部
(昭和41〜42年)

・ 目 的
 蒸発抑制剤OEDを粒剤化したものを水稲作の水温上昇剤といして利用した場合の実用性を明らかにする。

・ 試験方法
 水稲移植後の初期から7月中・下旬ころまで(一部場所では、さらに幼穂形成期ころの散布を行った)。毎日または3〜5日おきに、aあたり25gのOED粒剤を散布する区を設け、対照区と水温、水稲の生育・収量を比較した。

・ 試験成果の概要
 OEDの水温と昇効果は平均1〜2℃で、晴天時の最高水温の昇効果が顕著であり、日射量と水温昇効果との間に正の相関がみられた。また、水稲が繁茂し、水温上昇効果が小さくなった幼穂形成期ころの散布でも、最低気温の低い日の水温の低下防止効果がみられた。
 水稲は出穂期が2〜4日程度促進され、茎数・穂数の増加がみられ、増収の傾向がみられた場合が多かった。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 水温上昇効果
  北見農試(昭42)


  上川農試(昭41)


  北農試農業物理部(昭41)


・ 指導参考上の注意事項
 1. 漏水田・掛け流し日・風の強い地帯の水田では水温上昇効果が小さいので、使用をさける。
 2. 水深は3〜5cm程度とし、水管理はOED散布前に行う。
 3. 降雨や風によってOEDの被膜がこわされたときには、気象の回復後に散布するなど、常に被膜の状態を観察しながら使用する。
 4. 稲体が露にぬれているときには、ロスが多くなるので使用をさける。