【指導参考事項】
グ−スベリ−の品種に関する試験成績 (昭和43年1月)
北農試作物第2部園芸作物第1研究室
(昭和34年〜42年)

・ 目 的
 グ−スベリ−の品種を蒐集、優劣を比較検討する。

・ 試験方法
 道内外よりグ−スベリ−10品種を蒐集し1.8×2.0mに定着した。施肥量は2年生まで成分窒素10g、燐酸6g、加里8g、3〜5年生までは窒素2.5g、燐酸20g、加里25g、6年生以上は窒素35g、燐酸25g、加里35gを春先に施して耕紀し、秋まで3〜4回中耕除草した。堆肥は10a当り約1.000kgを春先に耕紀する前に施こしてすき込み、炭酸石灰も2〜3年おきに10a当り50kg内外施した。樹形は厳状形とし、古枝や込み合っている枝を間引いて更新した。病害虫防除はウドンコ病、ナミハダニ、タマカタカイガラ、カキカイガラ毛虫などを対象にして年4〜5回程度薬剤散布した。

・ 試験成果の概要
 品種によって樹勢および果実の大きさが異なり、赤実大玉、ドイツ大玉、有毛種、赤実中玉、青実中玉は樹の伸びが鋭く、性であり、これに対してGlendale、Pixwell、Downing、youngberry、Oregou ckampionなどは樹勢旺盛で樹は大形となる。
 収量はYoungberryおよびOregou ckampionが最も多く、これに次ぐのがPixwell、赤実大玉、ドイツ大玉などである。Downingは結実歩合低いため収量少なく、有毛種も収量劣る。
 品質は各品種とも大差なく、したがって収量の多い品種が有望といえる。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
品種名 樹令
(年生)
樹の大小 樹勢 樹姿 新稍の多少 刺針の多少 成葉の大小 発芽期
(月日)
赤実大玉 14 開張 4.12
ドイツ大玉 8 4.12
赤実中玉 11 ヤヤ開張 4.16
青実中玉 11 4. 8
Youngberry 11 4. 9
Oregou ckampion 8 4.11
Glendale 8 4.19
Pixwell 8 4.1
Downing 8 4.18
有毛種 7 4.14

品種名 開花期
(月日)
成熟期
(月日)
果色 果形 1株の収量
(kg)
平均果重
(g)
Brix
赤実大玉 5.13 7.31 暗赤 ヤヤ長円 4.020 6.3 12.4
ドイツ大玉 5.14 7.24△ 緑白 2.763 7.3 10.3
赤実中玉 5.16 8. 2△ 淡紅 2.429 3.6 11.1
青実中玉 5.12 7.27△ 濃緑 2.374 2.7 11.6
Youngberry 5.15 7.26△ 緑黄 6.520 1.8 10.7
Oregou ckampion 5.15 7.29 6.485 2.2 11.4
Glendale 5.14 7.25× 赤紫 2.077 2.6 12.5
Pixwell 5.15 7.27□ 4.568 2.2 12.8
Downing 5.17 7.25× 緑白 0.700 2.1 12.2
有毛種 5.13 7.24 暗赤 1.203 2.8 12.1
  注) (1)は樹令は昭和42年の値を示す。
     (2)樹の大小、樹勢、樹姿、新稍の多少、刺針の多少、成葉の大小は昭和41年度調査、果色、果形は昭和42年調査。
     (3)発芽期、開花期、成熟期、1株の収量、平均果重、Brixは昭和40.41.42年の3ヶ年の平均を示す。但し成熟期の△は昭和41.42年の2ヶ年平均、□は昭和40.42年の2ヶ年平均、×は昭和42年のみを示す。
     (4)昭和40年の発芽期、開花期は各品種とも一般に遅れた。

・ 奨励又は指導参考上の注意
 1. 耐寒性が強く-35℃に耐えるので全道的に栽培可能である。
 2. 土地を選ぶことは少ないが排水の良いやや粘質がかった土地が最も良い。
 3. 植え付けは秋の末か春先に行うが、春植えの場合は発芽が早いので融雪後直ちに植、根が浅いのでやや深めとし、植え付け後根本に敷草をする。
 4. 栽植距離は矮性が1.5×2.0m、樹の大形のものは2.0×2.5mとする。
 5. 肥料は化学肥料にかたよらず、有機質肥料も施し、また2〜3年おきに肥料用石灰を10a当り50kg位施すこと。
 6. 収穫は2〜3回に分けて行うこと。