【指導参考事項】
炭酸カルシウム雪上散布効果確認試験成績
農務部
(昭和41〜42年)

・ 目 的
 従来酸性矯正用石灰の散布は秋耕または、春耕時に行っているが労働ピ−ク時にあたるため矯正事業の進捗が阻まれた面が少なくないので農閑期に於て炭酸カルシウムを雪上散布した場合の酸性矯正効果と併せて融雪促進効果を確認しようとする。

・ 試験方法
試験箇所 地形 地質 土性 原土PH(水) 排水 試験年次
倶知安町 平坦 火山性土 CL 5.4 昭和41
美瑛町 微傾斜 洪積層 SL 5.2
ニセコ町 平坦 火山性土 CL 5.8   〃42
 試験区別    供試作物はてん菜
 1. 無処理区    雪上散布時期
 2. 全量雪上散布区    倶知安4月9日
 3. 1/2雪上散布
   1/2春耕時散布区
   (積雪量135cm)
   美瑛  3月28日
 4. 春耕鋤前、後    (積雪量742cm)
   ニセコ 3月22日
 5. 席上散土、炭カル
   施用法4区同区
   但し倶知安のみは上の第4区
   の処理がなく、上の5区が4区
   となっている。
   炭カル施用量はPH6.5に
   矯正目標量。倶知安120、
   美瑛390、ニセコ300kg/10a
   ニセコ、倶知安は褐色タンカル
   使用


・ 試験成果の概要
 土壌酸性矯正効果は春耕前、後各1/2宛用の場合に比し全量雪上散布区、雪上散布1/2量、春耕時1/2散布区はともに大差なく、融雪促進効果対は全量雪上散布の場合本試験の炭カル(褐色)施用量の範囲では10a当1トンの散土に略々等しく5〜7日融雪が早まった。
 てん菜の収量も大体矯正効果を反映して増収した。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
試験地 試験区別 菜根収量比
( )内収量
(kg)
収穫時
の土壌PH
融雪期
倶知安 1. 無処理 100
(5.895)
5.4 4.29
2. 全量雪上 108.9 6.7 4.24
3. 雪上1/2 春耕時1/2 116.0 6.3 4.26
4. 散土1.0トン 炭カル3区同 91.7 6.2 4.24
美 瑛 1. 無処理 100
(3.239)
5.2 4.23
2. 全量雪上 96.7 5.8 4.21
3. 雪上1/2 春耕時1/2 108.3 5.9 4.20
4. 春耕前、後各1/2 97.2 5.8 4.23
5. 雪上散土 炭カル3区同 111.9 5.9 4.16
ニセコ 1. 美瑛に同じ 100
(4.653)
5.8 4.25
2.   〃 98 6.5 4.18
3.   〃 106 6.6 4.18
4.   〃 105 6.4 4.25
5.   〃 103 6.3 4.17

・ 指導上の注意
 土壌凍結地帯および急傾斜地に対しては尚検討を要する。