【指導参考事項】
菜豆かさ枯病防除時期に関する試験成績
道立北見農試 病虫科
(昭和41〜42年)

・ 目 的
 本病防除に銅剤の卓越することを認め昭和40年度応急対策として指導したが、その散布濃度および散布時期、回数を検討し、省力防除の資に供する。

・ 試験方法
 1) 散布濃度試験
  本病発生ほ場生産の「大正金時」または「昭和金時」を当場標準耕種法により栽培した。銅水和剤400〜1000倍液を、それぞれ発芽直後より生育末期まで10a60〜120L宛15日間隔で5回散布したほか標準無散布を加え、1区10m3乱塊法3反復により試験した。
 2) 散布時間・回数試験
  イ.場内試験は上記に準ずるほか、銅水和剤500倍液を15日間隔で早期・中期・後期2〜3回および全期間5回ほか、10日間隔で7回、20日間隔で4回散布した。
  ロ.現地試験は両年とも置戸町、女満別町および網走市でいずれも前年度本病発生ほ場生産の「大正金時」をそれぞれの慣行法により栽培し、銅水和剤500倍液をトラクタ−スプレ−ヤ−により早期または中期3回および全期間5回散布のほか、標準無散布を加え、1区10aを連制で試験した。

・ 試験成果の概要
 1) 散布濃度試験
  防除効果および生育収量は高濃度ほど優り、400〜600倍液が安定した効果を示し、600倍液が経済的である。
 2) 散布時期、回数試験、散布間隔の短いほど、散布回数の多いほど、散布時間の早いほど、その防除効果および生育収量は優るが、発芽直後より7月中下旬(生育前半)まで15日間隔で3回散布するのが効果も高く実用的で省力防除の1方法である。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 1) 散布濃度試験成績(昭和42年度、北見農試「大正金時」)
処理区別 発病(30株) 生  育


(月日)
総重
(K)
子実重
(K)
立重
(g)
千粒重
(g)
茎葉 草丈
(20株)
(cm)
莢数
(30株)
病株率
(%)
罹病
程度
病株率
(%)
罹病
程度
標準無散布 100 29.6 97 22.4 30.6 11.4 9.9 291.1 148.1 697.0 655.6
銅剤濃度 ×400 71 15.0 10 2.0 32.5 13.9 13 340.1 182.5 721.7 674.6
×600 87 18.6 12 2.6 32.5 13.0 13 323.4 180.5 717.6 674.3
×800 90 18.8 23 4.8 31.1 12.0 12 316.2 168.1 711.3 666.3
×1.000 99 23.0 36 7.2 31.0 11.7 12 310.1 161.9 702.0 664.0
LSD 1%   8.80   6.92 2.75 0.91      12.81 4.83 34.54
5%   6.04   4.72 1.89 0.63      8.80 3.32 23.74

 2) 散布時期、回数試験成績(同上)
処理区別 発病(30株) 生  育


(月日)
総重
(K)
子実重
(K)
立重
(g)
千粒重
(g)
茎葉 草丈
(20株)
(cm)
莢数
(30株)
病株率
(%)
罹病
程度
病株率
(%)
罹病
程度
標準無散布 100 33.8 99 24.8 30.3 11.5 9.9 285.0 138.6 694.3 647.0
15


早期2回散布 100 23.0 88 20.6 32.7 12.5 11 314.5 152.9 723.3 655.3
中期  〃 100 24.6 56 12.0 31.1 12.0 11 292.3 148.5 717.0 650.3
後期  〃 100 29.0 53 11.8 30.2 11.6 10 291.7 139.3 713.3 645.3
早期3回散布 89 18.2 51 10.8 32.2 12.9 12 321.2 165.0 730.0 658.0
中期  〃 100 23.0 37 8.8 31.3 12.3 11 312.1 156.1 726.0 653.6
後期  〃 100 24.8 40 8.4 30.7 12.0 11 301.2 151.2 716.3 653.6
全期5回 〃 80 16.2 22 4.4 31.9 13.1 14 334.5 173.8 730.0 669.6
10日おき  〃 7回 〃 59 12.0 8 1.6 32.8 14.0 16 345.1 175.8 739.6 674.3
20日おき  〃10回 〃 82 16.8 33 7.0 31.0 12.5 12 299.5 167.1 726.0 670.6
LSD 1%   8.52   8.18 2.86 1.85     13.18 11.14 41.01
5%   6.22   5.96 2.15 1.35     9.62 8.14 29.94
  注) 調査月日、茎葉発病8月24日、莢発病9月6日、草丈8月21日、莢数9月6日

・ 奨励又は指導参考上の注意事項
 発芽直後の散布が最も必要であり、有効である。