【指導参考事項】
乳用子牛の哺乳器に関する試験成績
北海道立新得畜産試験場乳牛科
(昭和42年)

・ 目 的
 北海道で一般に採用されている3種類のいわゆる哺乳バケツの比較を、子牛に与える影響、作業時間などの関係から検討した。

・ 試験方法
 子牛18頭(7〜48日令)をニップル(哺乳バケツに乳首のついたもの)。ストロ−(哺乳バケツからビニ−ル管で導いた乳首を使用する)。オ−プン(がぶ飲み)で哺乳して、牛乳1kgの吸飲時間および回数、増体重、下痢の発生、哺乳に要する作業時間などを調べた。

・ 試験成果の概要
 1. オ−プンは最も短い時間で牛乳を吸飲した。これは1回当り吸飲量の増加による。
 2. 子牛の1日当り増体重の差は殆どないが、オ−プンの平均値に対する偏りが最も大きい。
 3. 下痢の発生もオ−プンによる影響とはみられない。
 4. 哺乳に要する作業時間はオ−プンに対しニップル、ストロ−は約2倍である。
 5. 以上のことから最も安価な哺乳バケツによるがぶ飲みを採用してもさしつかえはないものといえる。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
  1セットの価格
(円)
牛乳1kgの吸飲時間
(秒)
1日当り増体重
(kg)
下痢の発生日数
(1頭・日)
哺乳に要する作業時間
(分・秒)
ニップル 850 69 0.77 2.7 6.23
ストロ− 950 31 0.77 2.0 6.14
オ−プン 550 16 0.78 2.8 3.15
  注) ア) 1日当り増体重は牛乳、脱脂乳を用いた子牛1週令から6週令までの平均値。
     イ) 作業時間は3頭の子牛に3セットの哺乳バケツを用いた。

・ 指導参考上の注意事項
 1. ニップルの乳首は時々更新すること。
 2. ストロ−では、子牛の乳首から口を離しても乳汁が流出することがある。
 3. オ−プン(がぶ飲み)では、はじめに「飲み方」を教えること。時には飲み残しが出る。