【指導参考事項】
肥育豚に対する合理化乾草澱粉粕の給与限界
北海道立農業試験場畑作部 家畜導入研究室
(昭和41〜42年)

・ 目 的
 澱粉工場の近代化、合理化に伴い、在来工場産の澱粉粕に比べ飼料価値の低下傾向が認められる。一部では、乾燥調整し飼料に供されているが、肥育豚に対する給与限界が明らかでないので飼養試験により飼料特性を明らかにする。

・ 試験方法
 供試豚:中ヨ−クシャ−種  一群4頭
 期 別 :前期20〜50kg  後期50〜90kg
 試験区:対照飼料  豚産肉検定飼料
      試験飼料
群 /
飼料
試験群 対照群
(%)
試験Ⅰ
(%)
試験Ⅱ・Ⅲ
(%)


産肉検定飼料 65.5 72.4 100 
澱粉粕 25.0 20.0  
大豆粕 9.5 7.6  


産肉検定飼料 68.3 75.0 100 
澱粉粕 25.0 20.0  
大豆粕 6.7 5.0  


・ 試験成果の概要
 1. 所要日数:
  試験Ⅰでは試験群が対照群より10日遅延し、試験Ⅱ・Ⅲは逆に4日早く、同日数であった。
 2. 1日当増体重:
  試験Ⅰ−試験群483g、対照群581.9g、試験Ⅱ・Ⅲ482g、468g、416g、411g。
 3. 飼料の消費量:
  試験Ⅰは試験群が対照群より14.6%多く消費し、試験Ⅱ・Ⅲでは4.3〜7.8%少なかった。
 4. 要求率:
  試験Ⅰで試験群4.43、対照群3.97、試験Ⅱ・Ⅲ4.29〜4.72、4.47〜5.14であった。
 5. と体調査:
  枝肉歩留りは試験群68.4〜70.6%、対照群69.8〜70.9%、と体長背腰長も対照群が若干優ったが脂肪層の厚さは試験群が優る傾向があった。大割肉片は大差がなかった。
 6. 観察事項:
  試験Ⅰでは被毛の光沢乏しく粗剛で軟便であったが試験Ⅱ・Ⅲはみられなかった。
 以上の結果から澱粉粕の配合割合は20%が限界と推考される。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 発育増体状況

試験開
始日令
試験終
了日令
所要日数 試験開 試験終 1日平均増体重
前期 後期 始体重 了体重 前期 後期 全期
試験群 77 219 68 74 21.4 90.3 420.6 540.5 483.1
対照群 77 209 64 68 21.5 92.5 445.3 588.2 513.9
試験群 75 214 75 64 22.8 90.4 360.0 625.0 482.0
対照群 75 218 75 68 22.9 93.9 360.0 588.0 468.0
試験群 74 242 77 91 20.8 90.7 375.0 452.0 416.0
対照群 74 242 77 91 21.4 90.6 373.0 445.0 411.0

 要求率

飼料要求率 前期 後期 全期
前期 後期 全期 DCP TDN DCP TDN DCP TDN
試験群 3.76 5.13 4.43 0.49 2.69 0.40 2.49 0.44 2.58
対照群 3.46 4.35 3.97 0.43 2.41 0.37 2.14 0.40 2.25
試験群 4.36 4.23 4.29 0.509 2.81 0.455 2.66 0.48 2.63
対照群 4.36 4.55 4.47 0.406 2.55 0.53 2.84 0.50 2.72
試験群 4.86 5.31 4.72 0.431 2.397 0.494 3.05 0.47 2.78
対照群 3.89 6.03 5.14 0.427 2.369 0.579 3.35 0.52 2.94

 と体調査

絶食
体重
と体重 枝肉
歩留
と体長 背腰長 と体巾
試験群 90.1 61.95 61.7 68.4 89.2 72.6 65.4 34.5
対照群 90.5 63.75 63.2 69.8 96.0 75.5 65.5 35.5
試験群 87.8 59.1 58.5 66.6 90.0 74.3 65.1 35.0
対照群 90.0 62.0 61.1 67.8 91.7 75.1 66.4 35.4
試験群 87.5 63.0 62.1 70.6 91.5 72.6 63.3 34.1
対照群 87.5 62.7 62.1 70.9 92.5 74.5 65.2 34.0

・ 注意事項
 1. 素畜の選定と20kgまでの標準発育
 2. 飲水量は十分与える
 3. 飼料給与の切りかえ時の下痢の防止と豚房の保温に留意し、自然条件を堪案配合割合を決める。