【指導参考事項】
地上堆積方式によるサイレ−ジ調製に関する調査
根釧農業試験場
(昭和41〜42年)

・ 目 的
 根釧にける酪農施設の現状と多頭化に対処するため、地域的生産諸条件に立却した飼料の大量確保上に必要な調製型態の究明と実用化を図る。

・ 試験方法
 地上堆積方式による作業体系、所要労力、調製の難易性、産乳性などを慣行(タワ−利用)サイレ−ジ調製方式と比較検討した。
 調査対照地域はアンケ−ト調査を含め、根釧全域15地区に亘る。

・ 試験成績の概要
 1. 地上堆積方式の1人当の調製量は機械利用方式の約2.1倍、人畜力による方式の約4倍で示され、100tの原料草処理に対しては、草量2t、1日8時間労働とすると、地上堆積方式では4日間、処理面積は4.5ha、機械利用方式では8.5日、面積で4ha、人畜力方式では10.6日、処理面積は4haであった。
 2. 産乳効果だは同一農家で調製されたタワ−と堆積サイレ−ジを比較し、堆積サイレ−ジ給与期に7.6%の生産増加を示した。
 3. アンケ−ト調査からみた今後の貯蔵飼料強化には、タワ−サイロ増設よりも地上堆積によって確保する意見が100%であった。
 4. 以上の結果から、根釧地域における酪農装備の現状から考え、大量飼料確保の型態として、地上堆積方式が有利と思料された。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 1. 労働積算1人当り調製量と処理面積
調製量と面積/
方式区分
1人当り調製量(t) 1人当り処理面積(ha)
1時間当り 8時間当り 1時間当り 8時間当り
地上堆積方式 1.11 8.88 5.04 40.3
機械利用方式 0.53 4.24 2.11 16.9
人動力による方式 0.28 2.28 1.12 9.0

 2. 地上堆積サイレ−ジの産乳効果(期別反転)
乳量/
農家No.
タワ−サイレ−ジ期 地上堆積サイレ−ジ期 増減率 %
(Ⅱ期) kg (Ⅰ期+Ⅲ期平均) kg
75.4 80.3 6.69
100.2 110.2 10.01
120.1 124.8 3.79
95.4 105.3 10.38
平均 97.8 105.2 7.57

・ 奨励又は指導参考上の注意事項
 1. 原料草は若刈を原則とし、水分調整を70〜75%にする。
 2. 2日以内に堆積を完了する。そのため人畜力、家族労働による場合は20tの堆積、機械力の場合は50tが制限日数以内である。
 3. 堆積直後に被覆し、1次の覆土をする。(側面下部30cm、上部10cm〜15cmに覆土して加重、気密化する)2次の覆土は堆積後5日間くらいに全面にする。更に上部に10cm以上覆土する。
 4. 堆積後の管理上の注意として堆積上肩部がくずれやすいので修復し、ビニ−ル、ポリの破損は直ちに修理する。
 5. 細切サイレ−ジの場合と同じ原理の応用であるから適格にそれを守ること。
 6. 原料草を平均に堆積し、とくに側面をよく鎮圧して形を整えること。