【指導参考事項】
牧草の刈取高さと収穫率に関する調査
道立根釧農業試験場
(昭和42年)

・ 目 的
 牧草の実収穫量は一般に行われる坪刈収量より少ないことが云われているが、その事に関した資料は少ない。そこでより正確な収穫量を把握するため調査を行った。

・ 調査方法
 調査期間   6月26日〜7月30日  5日間隔
 うち一番草6月26日〜7月26日
 
7月26日〜9月 4日 (一番草の刈取り 6月19日)
   二番草
8月25日〜9月30日 (一番草の刈取り 7月16日)
 供試圃場  当場一般飼料採草地
 調査草種  チモシ−・オ−チャ−ドグラス・アルサイククロ−バ−・レッドクロ−バ−
 ラジノクロ−バ−
 重量分布  牧草を地わきより刈取り、刈きわより5cm間隔に切断秤量
 その他  機械および坪刈りの刈取り高さの調査


・ 調査成果の概要
 ① 坪刈りの手刈りの刈取り高さと機械の収穫における刈取り高さには明らかに差が認められ機械の刈取り高さが高くその差は7〜10cmであった。
 ② 牧草の重量分布より10cm〜20cmまでの刈取り高さと圃場残草割合との間には相関が認められた。このことは逆に刈取り高さが増すと収穫率が低下することである。
 ③ 坪刈生産量に収穫率を乗じて推定した収穫量は実収穫量に極めて近い価を示した。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 牧草の刈取り高さと収穫率
  調査項目 チモシ−刈取り高さ (cm) オ−チャ−ドグラス刈取り高さ (cm)
草丈 10 15 20 草丈 10 15 20



6.26 100.0 88.6 79.2 71.9 125.0 88.0 77.2 66.7
7. 6 102.5 90.4 82.3 73.5 135.0 88.8 78.8 69.1
7.17 129.4 91.2 83.5 76.2 139.4 88.8 78.6 69.5
7.26 149.2 91.0 83.2 76.1 147.0 88.4 78.1 68.9







7.31 79.5 86.1 74.4 65.9 89.6 79.1 62.7 49.3
8.10 90.3 87.7 76.8 66.2 105.2 84.5 71.3 59.6
8.21 111.7 88.9 78.5 68.2 108.7 83.7 71.0 59.4
8.30 112.3 88.0 76.7 66.7 109.6 82.6 70.4 59.4
9. 4 117.4 88.0 77.4 67.6 115.8 84.4 72.0 51.2




8.25 101.6 85.6 71.7 58.7 85.4 79.0 62.8 49.6
9. 4 94.2 81.7 65.0 50.0 85.2 80.2 63.0 47.7
9.14 88.3 78.3 60.8 46.7 75.7 76.3 57.6 44.1
9.26 84.2 81.0 64.2 48.7 85.1 78.0 60.3 46.3
9.30 86.3 82.4 65.8 51.3 95.1 82.9 67.0 53.3
  ※ 早刈=6月19日、遅刈=7月16日+地面から5cm以上を100%とした。

・ 奨励又は指導参考上の注意事項
 牧草の刈取り高さは刈取作業機の種類、作業速度、土地の状態によって変化するものであり、そうした刈取り高さの変化が牧草の実収穫量に大きく影響するものであり、牧草の刈取り高さには常に気をつけて一定の高さに刈ることが大切なことであるが機械によっては刈取り高さが低くならないものもあり、また刈取り高さを下げると土砂の混入をまねき、粗飼料の品質に影響するから刈取り高さをあまり下げることは好ましくない。それぞれの機械について刈取り高さを一定に保つよう配慮し、その刈取り高さに対する収穫率によって収量を修正し、より正確な調整量を把握することが飼料計画立案に必要なことである。
 本調査は42年度1ヶ年の調査結果であり、年次変動については明らかでない。しかし刈取り高さによって実収穫量が影響を受けることは確かなことであり、本調査成績の結果傾向としてみても圃場に残される割合は多く、なおざりにできない問題である。今後資料の積み重ねが出来るまでは定期作況報告の型式をとって毎年の収穫率を報告するような方法も考える必要がある。