【指導参考事項】
除草剤の生育期散布用スプレイヤ−に関する試験成績 北海道農業試験場畑作部 機械化栽培研究室 (昭和42〜43年) |
・ 目 的
畑作物の除草は機械的な方法のみでは完全を期しがたく、除草剤の併用が必要と考えられる。特に畦内除草については多くの作物で問題となっている。本試験は接触型の除草剤を生育期に畦内の土壌表面に散布し、除草作業を省力化するため除草剤の生育期散布法について検討した。
・ 試験方法
1. 供試機:生育期散布用スプレ−ヤ(2畦用、トラクタ直装型)
2. 供試作物:菜豆「大正金時」「大手亡」、小豆「タカラ小豆」、大豆「シンセイ」、とうもろこし「交4号」
3. 供試除草剤:PCP水溶剤
・ 試験成果の概要
1. 供試機の構造はトラクタ−直装型、2畦用、ステアレジタイプで、ギャロ−タリポンプステアリングハンドル、薬液タンク(240L)と作物の薬害を防ぎ、一定の散布を行うため平行運動リンク、ゲ−ジシュ−、シ−ルからなるユニットにノズルを固定し、低圧で散布する。
2. 畦内に帯状散布する場合のノズルは、取付位置および散布巾の関係で噴霧角の小さいものがよく、全面に散布する場合は大きいものでよい。いずれも低圧で散布するので吐出量の大きなノスルを必要とする。
3. PCP水溶剤を菜豆「大正金時」「大手亡」、小豆「タカラ小豆」、大豆「シンセイ」、とうもろこし「交4号」に生育期散布した結果、薬害による作物の葉の枯死は少なく、1年草の除草効果は高かった。しかし多年草に対する効果は認められなかった。
4. 散布作業を行う場合、圃場の表面ができるだけ均平で、あまり軟弱でないことが望ましい。したがってカルチベ−タの作業回数が多かったり、培土後の散布作業は不適当である。適切でない散布をすると薬害を生ずるので充分注意して適切な作業を行うことが必要である。
5. 作業速度は、0.9m/sec以下で、機械作業能率は3.5〜4.3hr/haであったが、作業巾の増加によって更に改善されると考えられる。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
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① ギャロ−タリポンプ ② 平行運動リンク ③ ゲ−ジシュ− ④ ノズル ⑤ シ−ルド ⑥ ステアリングハンドル ⑦ 薬液タンク |
第1図 生育期散布用スプレ−ヤの構造 |
期日 | 作業名 | 大正金時 | 大豆 | |||
1区 | 2区 | 3区 | 1区 | 3区 | ||
6.19 | カルチベ−ション | 0.95 | 0.95 | 0.95 | 1.01 | |
24 | 〃 | 0.90 | 0.90 | 1.08 | ||
7.1 | 〃 | 0.70 | 0.70 | 0.92 | ||
5 | 〃 | 0.78 | 0.78 | 0.96 | ||
9 | 除草剤生育期散布* | 3.54 | 3.54 | 4.30 | ||
11 | カルチベ−ション | 0.71 | 0.98 | |||
合 計 | 4.04 | 6.87 | 4.49 | 4.95 | 4.30 |
作物 | 区 | 1年草本数* | 多年草本数* | 合計 | 生草* | 個体枯葉数** | ||||||
イヌ タデ |
禾本科 | ツユ クサ |
ナギナタ コウジュ |
シバ ムギ |
ヒメス イバ |
1年草 | 多年草 | 初生葉 | 本葉 | |||
大 正 金 時 |
1 | 0.3 | 0.3 | 2.0 | 1.5 | 4.0 | 0.8 | 2.0 | 0.07 | 0 | ||
2 | 0.3 | 0.3 | 3.8 | 4.3 | 1.3 | 1.8 | 0.17 | 0.04 | ||||
3 | 2.8 | 2.8 | 0 | 1.8 | 0.18 | 0 | ||||||
大 豆 |
1 | 0.5 | 0.5 | 0.3 | 1.3 | 1.8 | 0 | 0.19 | 0.05 | |||
3 | 0.8 | 1.5 | 0.3 | 1.3 | 3.8 | 3.3 | 0 | 0.32 | 0.27 |
・ 普及指導上の注意事項
1. 作物への薬害を少なくするよう注意して適切な散布法を行うこと。
2. 多年草に対する除草効果は期待出来ない。
3. 圃場の均平化、鎮圧を行うこと。