【普及奨励事項】
4. 寒びなの性成熟調整に関する試験 滝川畜試家きん科 (昭和42〜43年) |
・ 目 的
冬期ふ化のひなは性成熟が早くなるため、小卵、寡産となり、その後の生産性が劣る傾向がある。今回冬期ふ化のひなの生産性を向上する飼養法を開発するため本試験を行った。
・ 試験方法
性成熟を、日長時間の調整、飼料給与量の制限によって遅延させ、生産性がどのように変わるか調査を行う。
1. 試験区分と供試鶏は次表のとおり
品種/ 羽数/ 区分 |
WL | F1 | 備 考 |
羽数 | 羽数 | ||
L.C.R.F. | 50 | 26 | L.C.光線処理、WL:白色レグホ−ン |
L.C. | 50 | 26 | R.F.制限は給餌、F1:ロ−ドボ−ン |
R.F. | 50 | 26 | L.C.、R.F.は光線処理と制限給餌の併用 |
Cont. | 50 | 26 | Contは無処理 |
・ 試験成果の概要
1. 性成熟を初期日令で比較すると、制限給餌により平均初産日令が8.5日〜9.5日おくれ、一方光線処理によって、殆ど影響されなかった。両処理を併用した場合WLで20.2日、F1で10.4日遅れた。5%産卵日令についても同じような傾向が認められた。
2. 産卵は両処理を併用した場合最も良く、特にF1はWLに比較して処理の効果が大きかった。
3. 卵重は両処理を併用した場合重い傾向があった。
4. 飼料要求率は光線処理によって低くなる傾向があった。
5. 育成期の飼料摂取量は制限給餌によって節約出来たが、産卵期および全期の飼料摂取量については、処理間、品種間にとくに、特定の傾向は認められなかった。
6. 育成率、生存率にも処理による差は認められなかった。
以上の結果から、育成期間中の光線処理と制限給餌の併用が、生産性の向上に最も効果的であると考えられる。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
産卵成績
品種 | 区 分 | 性成熟 | 全期 産卵率 (%) |
全期 平均卵重 (g) |
50%産卵〜 500日令 飼料要求率 |
全期 飼料要求率 |
|
初産日令 (日) |
50%産卵日令 (日) |
||||||
WL | L.C、R.F. | 172 | 175 | 62.0 | 59.9 | 2.53 | 3.33 |
L.C. | 157 | 166 | 60.9 | 58.9 | 2.61 | 3.42 | |
R.F. | 161 | 168 | 58.2 | 57.5 | 2.81 | 3.62 | |
Cont | 151 | 156 | 61.8 | 57.6 | 2.80 | 3.66 | |
F1 | L.C、R.F. | 171 | 174 | 67.5 | 54.3 | 2.65 | 3.46 |
L.C. | 159 | 164 | 63.7 | 53.8 | 2.91 | 3.42 | |
R.F. | 170 | 169 | 60.6 | 53.9 | 3.00 | 3.98 | |
Cont | 161 | 162 | 58.1 | 51.9 | 3.11 | 4.32 |
・ 普及指導上の注意事項
1. 飼料の摂取量は、鶏の品種、系統、発育の状態、気温等によりかなり変わるので、あらかじめ自由摂取量を調整し、制限給餌期間中の制限量を誤らないよう注意が必要である。
2. 制限給餌期間中の飼料は平均に摂取できるよう1日1回給与する。
3. 制限給餌中はとくに観察を密にし、衛生管理には充分留意する(例えば、コクシジュ−ム症など)
4. 点灯は、3.3m2当り10W程度になるよう電灯(白熱電球)を設置する。