【普及奨励事項】
水稲「イシカリ」(系統名「道北1号」)

1. 道北1号の特性概要
系統名 道北1号 組合せ 北海182号×空育4号


長所
 1. 良質、多収
 2. いもち病耐病性強
 3. 耐冷性(障害型)がすぐれている
 4. 耐伏抵抗性大
 5. 直立草勢で受光態勢が良い
短所
 1. 初期生育がやや悪く、茎数確保が難しい
 2. 刈りおくれると銹米等が発生し易い
 3. 少肥で収量が少ない

 

採用地帯及び
普及見込面積
北海道 30.000ha
品種名
/形質
道北1号 対照
しおかり
比較
うりゆう
早晩性 早生の晩 中生の早 中生の早
草 型 偏穂数型 偏穂数型 中間型
出穂期 8月2日 8月4日 8月5日
稈 長 66cm 76cm 69cm
穂 長 17.5cm 15.9cm 17.6cm
穂 数 22本 22本 19本
芒の多少・長短 多・中芒
ふ先色 黄 白 黄 白 黄 白
脱粒性
耐倒伏性
耐冷性(障害) ヤ強 ヤ強 ヤ強
葉いもち耐病性 ヤ強 ヤ強 ヤ強
首いもち耐病性 ヤ強
a当玄米重 54.3kg 49.4kg 47.0kg
玄米千粒重 22.2g 19.9g 21.2g
玄米品質(等級) 上下(2等下) 中上(3等中) 中中(3等中)
食 味 ヤ良 ヤ良 ヤ良
調査地 北海道立上川農業試験場   
調査年次 1966〜1970年の5ヵ年間 1966・1969〜1970年の3ヵ年間
品種候補名 未 定
  注) 玄米品質( )は、1969年(遅延型冷害年)標肥栽培の精玄米等級を示す。

2. 道北1号の特記すべき特徴
 諸特性にすぐれ、長期間北海道の基幹品種として貢献してきた、対照品種「しおかり」の弱点である芒性、倒状懸念を解消し、他の特性でもそれと同等か、それ以上の特性を有している。早生種として、収量性は、中〜晩生種に劣らない。時代的に要求される良質性をも満たしている。

3. 北海道中央地帯で奨励品種に採用する理由
 本道の早生の晩〜中生の早品種は、一部の品種を除いて、良質性、耐冷性、強稈性、いもち病抵抗性などを兼備した品種は少ない。また、最近の品種構成は一般に晩生化の傾向にあり、これが低温年次における玄米品質の低下を招く大きな原因となっている。
 「道北1号」を本道の中央地帯における基幹品種として採用し、玄米品質の向上と稲作の安定化をはかりたい。

4. 道北1号の普及地帯図

  注) 縦線は普及地帯を示す。