【普及奨励事項】
菜豆「十育A-22号」に関する試験成績
(昭和35〜45年)
道立十勝農試豆類第2科

・ 育種目標
 大手亡種、大粒・良質・多収品種の育成

・ 来 歴
 交配年次:昭和35年
 交配場所:十勝農試
 組合せ  :「大手亡(網走)×「改良大手亡」
 育種方法:F2〜F5 集団育種  F6以降 系統育種
 育成経過:昭和42年 生産力検定予備試験 系統名「2015」
        昭和43年以降 生産力検定試験 系統名「十育A-22号」
        昭和44年以降 生検、特検、系適、現地試験
 世   代:昭和45年 F11

・ 特 性
 (1) 一般状性:草丈120cm程度の半蔓性、硬莢種で嫩茎色、花色、莢色は「大手亡」に類似する。莢は扁平で巾は広い。
 (2) 開花始および成熟期:「大手亡」に比べ開花始、成熟期はともに1〜2日早い中生種。
 (3) 子 実:粒色は白、形状は楕円形で「大手亡」よりやや長めで、1000粒重は「大手亡」より10%程度重い。
 (4) 収 量:「大手亡」に比べ着莢数はやや少ないが、一莢粒数がやや多く、粒大が大きいので、十勝・網走では10〜20%多収を示すが、道央部では子実が十分肥大しない場合は「大手亡」並の収量を示す。
 (5) 耐害性:各種病害や耐状の状態は「大手亡」並である。
 (6) 品 質:子実の外観的品質は「大手亡」より良好で、種皮はやや薄く、種皮歩合も低く、製餡歩留もやや高めである。

・ 主要成果の具体的デ−タ
 (1) 十勝農試試験 (昭和43〜45年 3ヶ年平均)
品種
および
系統名
開花始
(月日)
成熟期
(月日)
生育
日数
(日)
草丈
(cm)
分枝数
(本)
着莢数
(個)
10a当り 1000
粒重
(g)
屑豆
歩合
(%)
品質
総重
(kg)
子実重
(kg)

(%)
十育A-22号 7.21 9.17 116 123 3.5 17.0 404 223 112 387 2.7 1下
大手亡 7.22 9.18 117 117 3.9 18.0 392 200 100 343 3.3 2上
改良大手亡 7.22 9.19 118 117 4.2 19.9 385 196 98 346 2.8 2上
大正大手亡 7.21 9.18 117 122 2.2 16.8 377 196 98 318 3.1 2上

 (2) 各農試における成績 (昭和43〜45年 2ヶ年平均)
品種
および
系統名
北見農試 上川農試 中央農試 中央 原々種農場
10a当り
収量
(kg)

(%)
1000粒重
(kg)
10a当り
収量
(kg)

(%)
1000粒重
(kg)
10a当り
収量
(kg)

(%)
1000粒重
(kg)
10a当り
収量
(kg)

(%)
1000粒重
(kg)
十育A-22号 203 115 337 285 99 364 187 130 311 192 94 318
大手亡 176 100 297 288 100 337 144 100 293 205 100 304
改良大手亡 186 106 306 270 94 353 184 90 307
大正大手亡 183 104 276 288 100 310 172 84 271

 (3) 現地試験成績 (昭和44〜45年 2ヶ年平均)
地帯/
年次/
品種
および
系統名
十勝管内 網走管内 上川管内
昭和44 昭和45年 昭和44 昭和45年 昭和44 昭和45年
10a当り
平均収量
(kg)

(%)
10a当り
平均収量
(kg)

(%)
10a当り
平均収量
(kg)

(%)
10a当り
平均収量
(kg)

(%)
10a当り
平均収量
(kg)

(%)
10a当り
平均収量
(kg)

(%)
十育A-22号 251 127 281 111 268 129 270 102 325 148 275 100
大手亡 198 100 254 100 208 100 266 100 220 100 275 120
改良大手亡 179 90 255 100 189 91 253 95 265 120 300 108
大正大手亡 219 111 276 100 241 116 258 97 255 116 255 93
試験個所数 8 5 2 3 1 1

・ 適応地帯ならびに栽培上の注意
 (1) 適応地帯
  十勝・網走など道東の畑作地帯に適するが、特に無霜期間の短い地帯を除く。
 (2) 栽培上の注意
  「大手亡」に準じ、過度の密植や多肥栽培はさけるべきである。また遅播による減収程度は少ないが、子実の十分な肥大をはかるため播種期はおくれせない方が良い。