【指導参考事項】
スイ−トコ−ンの除ケツに関する試験成績 (畑作および園芸部会) 農林省北海道農業試験場 草地開発第2部 北海道立十勝農業試験場 北海道立北見農業試験場 北海製缶株式会社缶詰研究所 昭和30年〜45年 (途中中断あり) |
・ 目 的
現在栽培されているスイ−トコ−ン品種の多くは分ケツの発生が旺盛んで、多くの栽培者は従来の慣習に基づいて除ケツ作業を行っているが、これが労力的に負担となってきて、その可否が問題視されるようになった。この一連の試験は除ケツ処理の効果を追求するために道内数カ所において行われた。
・ 試験方法
無処理に対する除ケツ処理の効果を肥料あるいは栽培密度を異にする栽培条件と処理時期、回数および本数などの除ケツ方法との関連において比較検討した。(具体的方法は試験数が多いので省略)
・ 試験成果の概要
道内4場所でそれぞれに行われたスイ−トコ−ンの除ケツ試験を総括的に検討した結果は、次のごとく要約される。
1. 品種に対する除ケツ効果は、少なくとも現在道内で広く栽培されている優良品種「ゴ−ルデン・クロス・バンダム」および「ゴ−ルデン・ビュ−ティ」については認められない。
2. 施肥量の多少により分ケツ発生数量ならびに収量性も増減するが、いずれの場合においても除ケツによって、とくに増収となることはない。
3. 窒素質肥料の分施あるいは燐酸質肥料の増量による除ケツ効果もほとんど認められない。
4. 栽植密度が密になるにつれて、分ケツ発生数は少なくなる関係が認められたが、栽植密度の疎密にかかわらず、除ケツによって減収となることが多い。
5. 除ケツ時期については、どの時期でも無処理に対して減収となるが、早期に止める場合の減収割合いは低い。
6. 除ケツ処理は早期から晩期へと回数を重ねるごとに減収するとは限らないが、いずれにおいても増収効果はない。
7. 第1および第2分ケツを残存させることにより、無処理と同様の収量が得られる。
8. これらのことから、分ケツは主稈に対して養分吸収あるいは光合成産物の同化転流に幾分かの相加的役割りを果しているものと考えられる。
9. 除ケツ処理の影響度は年次によっても変わらず、また地域的変動も少ない。
以上の傾向から、除ケツ処理は栽培法または除ケツ法のいあkんにかかわらず、増収効果が現れてこない。また本体を傷つけるだけでなく、労力の浪費となるものであるから、実際栽培においては、なるべく除ケツを行わないことが望ましい。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
施肥量との関連における除ケツ試験成績
(北海道農試 昭30〜32年平均 供試品種「ゴ−ルデン・クロス・バンダム」)
区 別 | 絹糸抽出期 (月日) |
稈長 (cm) |
a当り 総重量 (kg) |
a当り 生穂重 (kg) |
同左 比率 (%) |
|
多 肥 |
除ケツ | 8.17 | 173 | 249 | 108 | 91 |
無除ケツ | 17 | 179 | 319 | 120 | 100 | |
標 準 肥 |
除ケツ | 8.17 | 173 | 222 | 95 | 94 |
無除ケツ | 18 | 173 | 254 | 101 | 100 | |
少 肥 |
除ケツ | 8.18 | 164 | 204 | 89 | 91 |
無除ケツ | 18 | 171 | 251 | 98 | 100 |
品 種 名 | 区 別 | 穂芯 ブリックス (%) |
a当り 総重量 (kg) |
a当り 生穂重 (kg) |
同左 比率 (%) |
ゴ−ルデン・ビュ−ティ | 早期除ケツ | 12.3 | 504 | 118 | 87 |
慣行 〃 | 12.1 | 444 | 115 | 85 | |
放 任 | 13.5 | 666 | 135 | 100 | |
ゴ−ルデン・クロス・バンダム | 早期除ケツ | 12.3 | 633 | 115 | 87 |
慣行 〃 | 12.0 | 545 | 105 | 80 | |
放 任 | 4.0 | 815 | 132 | 100 |
・ 普及指導上の注意事項
特になし