【指導参考事項】
寒冷地畑作物の生育促進に関する試験成績
−畑作物のマルチ栽培技術確立−
A. 食用ばれいしょ
(昭和43〜45)


・ 目 的
 道央地帯における早堀食用ばれいしょのマルチ栽培法を確立する






  昭43 昭44 昭45
ばれいしょマルチ
適品種の選定



黒マルチ
高  畦
高畦マルチ



×


男爵薯

メ−クイン



 




無マルチ
平畦マルチ
高畦マルチ(透)
高畦マルチ(黒)




×


男爵薯

メ−クイン



 
ばれいしょのマルチ
浴光催芽、CCC処理
組合せ
  



平畦マルチ

無マルチ



×


催芽処理

無処理



×


CCC処理

無処理






無マルチ
平畦マルチ
高畦マルチ



×


催芽処理

無処理






催芽処理

無処理



×


CCC処理

無処理



ばれいしょマルチ栽培
跡地のそば栽培法
 



7月中旬播種
7月下旬 〃



×


播種量
400g/a
600






7月上旬播種
 〃中 〃
 〃下 〃



×


播種量
400g/a
600



・ 試験成果の概要
 1. マルチ適品種としては男爵薯がよい。
 2. 浴光催芽と平畦マルチ(テンサイ甲シ−ト)6月中旬の着蕾期まで処理の組合せでいも肥大効果は高く、50g以上の上いも重構成比は7月上旬73〜75%(無処理13〜48%)、7月中旬81〜90%(無処理38〜78%)を占め、叉上いも収量も無処理に比べ7月上旬263〜307%、7月中旬168〜208%と増収の効果は顕著である。
 3. 浴光催芽、マルチ組合せの効果は7月中旬(開花始より24日程度)までである。
 4. 跡地のそばは7月中旬以降播種は年次によって収量が不安定であり、7月上旬まで播種が適当である。

・ 試験成果の具体的デ−タ−
 1. ばれいしょマルチ適品種の選定
 昭43
  7月8日 7月16日 7月26日
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
男爵薯 無マルチ 105 100 48 205 100 76      
高畦マルチ 207 196 80 284 139 89      
メ−クイン 無マルチ       140 100 48 281 100 82
高畦マルチ       198 142 73 321 114 83

 昭44
  7月14日 7月18日 7月22日
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
男爵薯 無マルチ 86.4 100 39 100.9 100 44      
平畦マルチ 141.1 163 60 209.2 207 81      
高畦マルチ 139.5 161 71 229.3 227 83      
メ−クイン 無マルチ       45.3 100 24 90.9 100 24
平畦マルチ       125.2 276 64 147.0 162 73
高畦マルチ       143.0 316 54 177.3 195 72

 2. ばれいしょのマルチ、浴光催芽組合せ(男爵薯)
 昭44
  7月14日 7月18日
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
無マルチ 無催芽 72.9 100 38 109.0 100 46
催芽 110.9 152 49 116.1 107 53
マルチ 無催芽 161.4 221 69 156.0 143 74
催芽 192.0 263 73 227.0 208 85

 昭45
  7月7日 7月17日 7月27日
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
a当り上いも重
(kg)
同比
(%)
50g以上
(%)
無マルチ 無催芽 51.2 100 13 152.8 100 78 231.3 100 74
催芽 100.7 197 50 205.2 134 84 366.5 145 92
マルチ 無催芽 121.2 237 58 213.2 140 91 326.5 141 88
催芽 157.1 307 75 256.1 168 90 329.7 143 90

 3. ばれいしょマルチ栽培跡地のそば栽培法(a当り子実重 kg)
年次 昭44 昭45
菜根重/
播種量
7月中旬 7月下旬 7月上旬 7月中旬 7月下旬
400g/a 12.1 11.9 8.1 1.2 0.4
600 〃 12.1 12.3 6.9 1.3 0.2

・ 指導普及上の注意事項
 1. 施肥は慣行の5割増とし、全面全層施肥が望ましい。
 2. 浴光催芽のたねいもを播種ふく土後、均平にし除草剤を散布し、マルチ(平畦)を設置する。マルチ資材としてはテンサイ用シ−トが望ましく、マルチ巾は35〜40cmとする。
 3. 萌芽を始めたら、マルチを破り、マルチ上面に幼苗を露出させる。とくに萌芽時高温の際は留意して速やかに作業を進めること。
 4. 6月上〜中旬 着蕾期にマルチを除去し、培土する。
 5. 増収効果は7月中旬(開花始より24日程度)までである。
 6. 早堀跡地は有効に利用することが望ましい。
 7. マルチ設置はマルチャ−により省力化である。