【指導参考事項】
グリ−ンアスパラガスの貯蔵(鮮度保持)に関する試験
(昭和43〜45年)
中央農試園芸部加工科 (山崎 健・印東 照彦)

・ 目 的
 グリ−ンアスパラガスに対する収穫後の取り扱い、ポリ包装、冷蔵の効果、出庫後の取り扱いを検討して、その鮮度を保ったための条件、方法の確立を図る。

・ 試験方法
 ① 収穫後の取り扱い−氷水による予冷(43年度)収穫後冷蔵;15、20、25℃に0.5〜1日放置後冷蔵(44年度)
 ② 包装法−0.03、0.05mm有孔(孔径5m/m6ヶ)無孔ポリ袋20×30cm
 ③ 貯蔵条件−温度0〜2℃、湿度70〜80%
 ④ 貯蔵期間−1〜20日(43、44年度)1〜5日(45年度)
 ⑤ 出庫後の条件−15、20、25℃に1〜3日着袋のまま、また除袋して放置

・ 試験成果の概要
 ① アスパラガスの品温低下は早く2℃の冷蔵庫に入庫後1時間で18.5℃→5.0℃に低下した。
 ② 水分ロス5%で萎凋が目立ち商品性限界10%で固有の硬さがなくなり商品性失う。
 ③ 孔の有無にかかわらずポリ包装冷蔵すれば、冷蔵20日間でも水分ロス2%、また出庫後15〜20℃3日で2〜3%25℃2〜3日で3〜4%鮮度は保持された。
 ④ 無包装でも冷蔵3〜5日間であれば、水分ロス2〜3%また出庫後15℃1日では4〜5%に抑えられるようであった。
 ⑤ 頭部がゆるみ開いたものは又は傷んだものは出庫後常温におくとなまぐさい異臭を生じ、20℃では1日15℃でも1〜2日でこの異臭を強め商品性を失った。氷水による予冷は頭部を傷めこの異臭を強め逆効果であった。しかし、頭部が固く開いてないものは20℃に1〜2日間おいてもこの異臭を生じなかった。
 ⑥ 無孔ポリ包装で出庫後常温におくと呼吸の急激な増加により1日で袋内のCO2ha8〜14% O2:2〜3%となった。このため袋内のアスパラガスは発酵した発酵臭味の変質を来たし、このため20℃では1日で15℃では1〜2日で商品性を失い、アスパラガスの包装フィルムとして無孔ポリ袋は使用できない。これに対し有孔袋は発酵もなく原料さえ適当ならなまぐさい臭いの発生もなく、また出庫後の蒸散も抑制し鮮度を保ち得るのでアスパラガスの包装に適する。
 ⑦ 収穫後出来るだけ早く品温を下げることはビタミンCの保持に効果がある。予冷したもの、また収穫後直ちに冷蔵したものはビタミンの減少が少なく収穫後冷蔵で高温におかれるほど減少が大であった。また出庫後の温度が高いほど減少も大きいようであった。
 ⑧ 収穫後の取り扱い、出庫後の諸条件と糖分の変化との関連には一定の関係はみられなかった。しかし冷蔵18日になると外観的な鮮度は保持されていても甘味が少なくなり、また固くなるので実際的な貯蔵限界は10〜15日までのようであった。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 出庫時および常温放置後の重量保留(貯蔵時重量=100.0とする)44年度
調査時期
/処  理
貯蔵6日後 貯蔵11日後 貯蔵18日後
出庫時 出庫後
1日
出庫後
2日
出庫時 出庫後
1日
出庫後
2日
出庫時 出庫後
1日
出庫後
2日
0.03無孔〜着袋15° 100.5 99.7 99.6 100.0 98.7 99.6 99.7 100.2 99.7
0.03無孔〜着袋20° 100.5 99.5 99.3 100.0 99.5 99.4 99.7 99.8 99.4
0.03無孔〜除袋20° 100.5 97.0 85.8 100.0 96.6 90.5 99.7 95.9 89.3
0.03有孔〜着袋15° 99.7 99.6 98.9 99.8 99.6 99.2 99.6 98.7 98.6
無包装〜    15° 95.8 92.3 87.8 93.0 90.3 88.4 86.6 85.7 83.4
  注) 0.03無孔−着−15°:0.03mm無孔ポリ袋に包装出庫後着袋のまま15℃に放置

 収穫後の取り扱いと総ビタミンC(mg %)−中間部−44年度
収穫後の取扱
/収穫後日数
収穫後直ちに
冷蔵
収穫後15℃に半日
放置後冷蔵
収穫後15℃に1日
放置後冷蔵
収穫後20℃に1日
放置後冷蔵
収穫後25℃に1日
放置後冷蔵
直 後 55.9 55.9 55.9 55.9 55.9
1 日 52.6 53.7 52.2 38.9 37.9
2 日 51.5 48.8 43.0
4 日 49.5 43.7 45.0
10 日 38.9 32.2 32.5
15 日 36.3 31.0 32.0
  注) 中間部:頭部から5〜60cmの部分

・ 普及指導上の注意事項
 ① 収穫後できるだけ速やかに品温を貯蔵適温(0〜2℃)まで低下させる。
 ② 青果として出荷するものは頭部が固くしまっているものを厳選し、また取扱中できるだけ頭部を傷めないように注意する。
 ③ ポロ包装は厚さ0.03mm有孔ポリ袋(200g詰で10×25cm孔経5m/mの孔6ヶ)が適当である。無孔ポロ袋は付加。
 ④ 品種(味)が保持できる期間は0〜2℃貯蔵で10〜15日である。なお、出庫後もできだけ20〜15℃以下におくようにする。