【指導参考事項】
ハウス抑制キュウリの品種ならびに加温に関する試験成績
昭和43〜45年
北農試作物第2部園芸作物第2研究室

・ 目 的
 本道におけるハウス抑制キュウリの品種生態ならびに生育特性を調べ、有望な品種の選定と適栽培法を確立する。また本道での無加温栽培では、収穫期間が短く、収量が低いので作期の延長と収量増大に対する加温効果を検討する。

・ 試験方法
  品種数  播種期  定植期  栽培距離  施肥量 暖房期間
43年 24 7月11日 8月7日 90cm×40cm 標準区 5割増肥区 10月12〜11月15日(温風)
44年 12 7月11.21 8月8.21 100cm×35cm  〃      〃 9月22日〜11月20日(〃)
45年 8 7月10.20 8月10.14 90cm×40cm  〃      〃  10月1日〜11月20日(〃)
 試験規模:間口5m、奥行19.8mのパイプハウス2棟使用 


・ 試験成績の概要
 1. 品種特性調査の結果 主枝と側枝の節成性との間に正の、また主枝節成性と側枝発生数との間に負のともに高い品種間相関が認められた。
 2. 白イボ系は一般に節成性は低いが、側枝の発生数が多く、後期収穫が高かった。
 3. 総収量は、それを構成する主枝収量、側枝収量のいずれとも高い相関があるが、主枝収量の方が寄与率が高い傾向があった。この結果から本道での養成栽培キュウリはある程度主枝節成性の強いものが安定した収量を上げると推定され、更に1、2と併せて整枝法を考える上での有効な資料を得た。
 4. 標準施肥区と5割増肥区の差は小さく、5割増肥区で3ヶ年平均3.3%の増収であった。
 5. 播種期では、標準区に対し遅まき区は収量が平均a当り100kgの減収であったが、10月中旬以降標準区より収量の高い傾向を示し、10月下旬ではその差が有意であった。
 6. 収穫は11月中旬まで行ったが、3ヶ年黒イボ系の「亀交春秋」を対照品種として試験にした結果、白イボ系の中で有望な品種が認められた。
 7. 暖房効果は温風加温効果のみで、地中加温効果は明らかでなかった。
 8. 以上の結果、現在抑制栽培で基幹品種となっている「亀交春秋」の他、黒イボ系では「長日青節成」、白イボ系では「ときわ夏節」「さつきみどり」が本作型に適合すると認められた。また加温栽培により11月中旬まで作季を延長することが可能で、収量はa当り400〜500kg以上を期待することができる。なお、燃料消費量は3ヶ年結果では1200〜2900l(5a当り)であった(設定温度8℃)。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 第1図 各品種の年次別収量(kg/a)



 第2図 各品種の播種期別、旬別収穫の推移(kg/16株合計値)
            亀交春秋          ときわ夏節
                
          長日青節成           さつきみどり

・ 普及指導上の注意事項
 1. 前作の収穫期が遅れる場合、抑制の加温栽培では、播種期を一週間前後遅らすことができる。
 2. 札幌地方を標準とすると、11月20日以降は低温期に入るので燃料費が増大するとともに、キュウリの生育がほとんど停止するのでこれ以後に栽培は不利である。