【指導参考事項】
ネギのハウス栽培試験(生産地形成に関する試験)
昭和44年〜45年)
道南農試 園芸科

・ 目 的
 本道におけるネギの生産は、1部の貯蔵を除けば積雪期以外に限定され、さらに2年ネギの栽培を行っても、6・7月中の良品の出荷は思うにまかせられなかったのが実情である。これらの問題を解決するためハウスを用いて、ネギの6・7月出荷の栽培を検討した。

・ 試験方法
 1区面積および区制  1.0m22区制(45年0.5m2)
 試験区別
年次 播種期 生育初期
地温
供用品種 収穫期 軟白操作 畦巾
株間
地温維持
方法
44年 2月15日
3月 1日
無加温
(発芽まで
加温)
松本
金長
石倉
6月 もみがらを2目
に分けて敷きつめる
簡易軟白法による。
畦巾20cmで
直播し間引いて
5cm株間とする。
133本/m2
25W/m2で発芽まで
夜間のみ通電
45年 2月16日
3月 2日
加温
無加温
金長
石倉
6月
7月
63W/m2で18℃に
4月30日までセット
同上で発芽まで加温


・ 試験成果の概要
 1. 早播と遅播の収穫差は、当然遅播が減少し、6月収穫では20%減収するが、10日後の7月2日収穫では50%減収とその差は大きくなる。これは軟白時点における草体の大小によるものと考えられた。
 2. 加温の増収効果は顕著であり、6月22日では無加温との差が平均80%の増収で、7月2日では38%の増収となり、生育期間が長くなるとその差は小さくなる。
 3. 早播無加温と遅播加温を比較すると、収穫期が早い時は遅播加温が35%増収するがおそく、生育期間を長くすると加温しても増収とはならない。
 4. 以上から最多収区は石倉の2月16日播加温7月2日収穫で11.1kg/m2ついで金長の同処理9.7kg/m2である。ここで金長の2月16日播無加温、7月2日収穫が9.1kg/m2の多収を上げていて加温区の5%減にとどまっていて同様、石倉では30%の減収となっていて、品種による加温効果の差が注目される。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 収量

区  名 1株当 1m2 地温の影響
収穫 播種 地温 品種 全重
(g)
全長
(cm)
白色部
(cm)
茎径
(cm)
本数
(本)
全重
(kg)
調整重
(kg)
収量比
(%)
加温 播種期 合計値 収穫期


44

6


1 16/Ⅱ 無加温 松本 34 69.5 18.6 0.9 92 3.1 2.6 52          
2 金長 52 84.4 23.5 0.9 112 5.8 4.9 100
3 1/Ⅲ 松本 32 75.0 20.7 0.8 112 3.6 3.1 63
4 金長 48 77.0 22.1 0.9 98 4.7 3.8 78
5 石倉 49 78.4 22.5 0.9 110 5.4 4.3 88


45

6


1 16/Ⅱ 金長 87 79.5 22.9 1.4 91 7.9 6.5 72 15.6
(100)
2月
62.2
(100)
加温
59.9
(100)
6月

(76)
2 石倉 102 88.0 27.5 1.5 106 10.8 9.1 100
3 金長 53 73.3 19.3 1.2 111 5.9 5.1 56 8.9
(57)
4 石倉 50 68.1 18.0 1.2 87 4.4 3.8 42
5 2/Ⅲ 金長 57 75.3 20.2 1.3 117 6.7 5.7 63 12.0
(100)
6 石倉 60 69.7 18.1 1.3 121 7.3 6.3 69
7 金長 95 63.2 16.6 1.2 98 4.4 3.7 41 6.5
(54)
8 石倉 39 58.4 15.3 1.1 84 3.3 2.8 31
7


1 16/Ⅱ 金長 112 81.3 27.2 1.6 105 11.8 9.7 106 20.8
(100)
3月
37.5
(60)
無加温
39.8
(67)
7月
56.7
(100)
2 石倉 122 98.0 21.6 1.7 115 14.0 11.1 122
3 金長 95 79.5 24.0 1.5 113 10.7 9.1 100 16.9
(82)
4 石倉 82 78.0 23.4 1.4 115 9.4 7.8 86
5 2/Ⅲ 金長 66 75.3 20.2 1.4 92 6.1 5.2 57 11.5
(100)
6 石倉 84 83.2 22.5 1.5 92 7.7 6.3 69
7 金長 55 77.3 20.1 1.3 85 4.7 4.0 44 7.5
(65)
8 石倉 49 70.1 19.5 1.2 85 4.2 3.5 38
  注) 収穫日(44)6月9日、6月25日、 (45)6月22日、7月2日  ( )内%

・ 普及指導上の注意事項
 1. 播種時よりタマネギバエの防除を徹底する。
 2. 生育後期でのハウスの換気は充分に行う。
 3. ハウスは秋のうちに骨組し、マルチで融雪水がはいらないようにしておく。