【普及奨励事項】

豆類菌核病に関する試験成績 2.　豆類菌核病の防除に関する試験 (昭和43〜45年終了) 北海道立十勝農業試験場　病虫予察科 北海道立中央農業試験場病虫部病理科

・　目　的
　豆類菌核病の防除法として、生態防除、急激発病期の予知、薬剤防除について検討する。なお、本試験の一部は昭和43・44年試験会議に提出し、指導参考事項となっている。

・　試験方法

被害回避技術：　播種期の変動による発病回避について試験した。 　急激発病増大期の予知：　各年次について開花始と増大期の関係を検討した。 　薬剤防除：　ジクロゾリン剤の効果、剤形、濃度、回数について検討した。 　　　　　　　　　小豆についてはジクロゾリン剤の効果を検討した。室内における新農薬の検討(侵入阻止効果、 　　　　　　　　　粒剤検討)を行った。

・　成果の概要
　○被害回避技術
　　1.　早播ほど早く発病し、蔓延も激甚である。遅播ほど発病が遅く発生も軽い。
　　2.　このことから本病回避にはやや遅播が良いが、遅播は収量を減少させるので、本法は不適である。
　○急激発病増大期の予知
　　1.　菜豆菌核病に対するジクロゾリン水和剤に関する試験(昭和44年会議提出)
　　　菜豆菌核病に対してジクロゾリン20%水和剤は卓効を示した。使用法は100L/10aを急激発病増大期直前を第1回として、10日間隔2〜3回散布が有効である。
　　2.　菜豆菌核病に対するジクロゾリン粉剤に関する試験
　　　(1)　ジクロゾリン粉剤は本病に対して卓効を示した。
　　　(2)　10a当り3kg散剤の場合、2%粉剤、1%粉剤が共に高い防除効果を示した。
　　　(3)　散粉時期、回数、間隔は水和剤に準じる。
　　3.　小豆菌核病に対するジクロゾリン水和剤に関する試験
　　　(1)　小豆菌核病に対してジクロゾリン水和剤は卓効を示した。
　　　(2)　使用濃度は30%水和剤では1.500倍、20%水和剤では1.000倍が有効である。
　　　(3)　散布時期・回数については、菜豆菌核病に準じたが、小豆の開花期間が長いこと、などから今後さらに合理的改善が必要と思われる。
　○新農薬の室内検定試験
　　1.　昭和45年までの結果、ジクロゾリン剤が顕著な効果を示している。
　　2.　ジクロゾリン粉剤土壌処理については室内試験で効果を認めているが、ほ場試験では問題点が多く、今後の課題である。

・　主要成果の具体的デ−タ−
　急激発病増大期の推定　(菜豆大正金時)

年度	播種月日	開花始日	急激播坪輸期	開花始日から急激発病期までの日数
41	5.26		7.27	9
42	5.17	7. 6	7.15〜18	9〜12
	26	12	21	9
	6. 8	19	27	8
	17	24	8. 2	9
43	5.10	7. 7	7.19	12
	15	10	19	9
	21	10	19	9
	25	13	22	9
	30	15	24	9
	6.10	21	30	9
	20	29	8. 6	8
	29	8. 1	14	13
44	5. 9	7. 6	7.19	13
	15	9	23	14
	20	13	26	13
	27	16	26	10
	6. 2	18	28	10
	10	20	31	11
	20	25	8. 5	11
	30	8. 1	15	14
45	5.15	7. 2	7.13	11
	20	6	15	9
	25	11	20	9
	30	15	24	9
	6.10	22	31	9
	22	28	8. 6	9
	29	31	9	9

　菜豆菌核病に対するジクロゾリン粉剤に関する試験(昭和45年成績)

	散布量	発病株率　(%)			収穫調査
		7月30日	8.5	8.14	草丈(cm)	着莢数(コ)	子実重(10a)	同比	1.000粒重(g)
ジクロゾリン2%　粉剤	3kg/10a	6.7	3.3	0.0	43.8	10.7	254	139	604.2
1%　粉剤	〃	12.2	5.6	5.6	45.5	11.2	248	136	605.7
0.5% 粉剤	〃	31.2	26.7	17.8	41.4	9.7	233	127	591.7
ジクロゾリン20%　水和剤	1.000倍	17.8	11.1	4.5	44.7	9.1	255	139	588.3
無　散　布	−	80.0	96.7	87.8	43.0	8.3	183	100	582.9

　　注)　1.　開花始　7月14日
　　　　　2.　薬剤散布日　7月21日、30日、8月7日の3回
　　　　　3.　3反復平均

　小豆菌核病に対するジクロゾリン水和剤に関する試験(昭和45年成績)

	濃　度	発病株率　(%)				収穫調査
		8月12日	8.20	8.28	9. 7	草丈 (cm)	着莢数 (コ)	子実重 (kg/10a)	同比
ジクロゾリン20%　水和剤	1.000倍	1.1	0.0	0.0	0.0	80.0	26.4	228	124
〃　　　30%　水和剤	1.500	0.0	1.1	0.0	0.0	73.9	22.1	226	123
無　散　布	−	2.2	6.7	13.3	36.7	74.0	22.6	184	100

　　注)　1.　開花始　8月3日
　　　　　2.　薬剤散布日　8月10日、21日、29日の3回
　　　　　3.　散布量　100L/10a
　　　　　4.　3反復平均