【指導参考事項】
乳用種と肉用種との交雑子牛の発育と肥育に関する試験
(昭和43〜45年)
道立新得畜産試験場 研究部飼養科

・ 目 的
 食肉不足に対する対策の一つとして、乳用雄子牛を活用して牛肉増産をはかるべく試験を進めてきた。その一環として、最近外国から輸入されている肉用種のシヤロレ−種(おす)、アバデイ−ンアンガス種(おす)を乳用種のホルスタイン種(めす)に交雑して生産したF1子牛と乳用雄子牛との発育および産肉能力について比較する。

・ 試験方法
 (1) 供試牛:試1. 43.2〜44.12 実施   試2.  44.2〜45.12 実施
            CD種(♂) 4頭      AD種(♂)1頭 (♀)5頭
            D 種(♂) 4頭       D 種(♂)4頭
                計8頭           計10頭
 (2) 飼養法
  試1.2とも生後7日から90日まで哺育、その後舎飼育成。2年目夏全放牧、その後、3ヵ月間肥育、12月初旬 22ヵ月でと殺解体

・ 試験成果の概要
 試験1. シヤロレ−種(おす)とホルスタイン種(めす)との交雑子牛の発育と肥育。
    (1) 発育;前期の1日平均増体量CD種0.78kgD種0.74kgでCD種がやや良好、哺育期、舎飼育成期、肥育期では両者に差はないが、放牧期はCD種がD種より良好。
    (2) 飼料利用性;育成期ではわずかにD種がCD種より良いが肥育期ではCD種がD種より良い。
    (3) と殺解体結果;枝肉歩どまりCD種58.6% D種54.7%でCD種が良い。枝肉の状態もCD種がD種よりよく、枝肉からの正・精肉の歩どまりもCD種がよい。
   以上こうした飼養法下ではCD種の産肉性がまさっていた。
 試験2. アバデイ−ンアンガス種(おす) とホルスタイン種(めす)との交雑子牛の発育と肥育。
    (1) 発育;全期の1日平均増体量はAD種(♂)0.73kg、(♀)0.70kg、D種0.76kgで、D種の増体がAD種よりやや良い傾向にあった。
    (2) 飼料利用性;試験1と同じく育成期ではD種がAD種より飼料利用性がよく肥育期ではAD種がD種よりよかった。
    (3) と殺解体結果;枝肉歩どまりAD種(♂)58.1%(♀)57.8% D種55.9%でAD種がよい。枝肉の状態が良好で、肉質はD種より良好。
   以上こうした飼養法下ではAD種の肉質がD種よりも著しく改善された。

・ 主要成果の具体的データー
 各期別の発育(増体)
  哺育期 育成期(舎飼) 放牧期 肥育期 全期
試験Ⅰ CD種(♂) 0.736 0.631 0.926 1.305 0.783
D  〃 0.698 0.637 0.693 1.295 0.744
AD種(♂) 0.798 0.616 0.566 1.297 0.725
試験Ⅱ  〃 (♀) 0.805 0.632 0.408 1.215 0.700
D種(♂) 0.756 0.707 0.545 1.233 0.764

 飼料養分摂取量(1kg増体当り)
  育成期 肥育期 育成期 肥育期
CD種 D種 CD種 D種 AD種(♂) D種 AD種(♂) D種
DM 7.88 7.42 10.27 11.01 9.42 8.19 8.72 9.69
DCP 0.64 0.61 0.85 0.87 0.60 0.53 0.71 0.83
TDN 4.89 4.62 7.50 7.92 6.00 5.23 6.24 7.17

 と殺結果
  終了時体重
(kg)
と殺前体重
(kg)
枝肉重量
(kg)
枝肉歩どまり
(%)
評価単位
試験Ⅰ CD種(♂) 561.0 519.3 304.5 58.6 480〜340
D  〃 536.5 492.3 269.3 54.7 370〜320
試験Ⅱ AD種(♂) 518.0 477.0 277.0 58.1 550
 〃 (♀) 509.0 465.0 268.6 57.8 500〜550
D種(♂) 550.0 505.5 282.8 55.9 380〜500

・ 普及指導上の注意事項